研究開発活動

5【研究開発活動】

当社は、「電動機(モータ)とその応用」を事業領域に定め、世界初・世界一にこだわった製品・技術の研究開発をグローバルな体制で行っています。長期経営計画「2025年ビジョン」では、メカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域に設定し、新しい価値と市場の創造を目指しています。

「工場自動化・最適化」においては、これまでのソリューションに「デジタルデータのマネジメント」を加えたコンセプト「i3-Mechatronics」を軸とした産業自動化革命の実現に向け、メカトロニクス技術とICTの融合により、新しい自動化ソリューションの開発を継続しています。

「メカトロニクスの応用領域」では、メカトロニクス技術が応用できる分野を探索・実証しながら、事業化に向けた取り組みを進めました。特に、Energy Saving分野(省エネ機器・高効率モータ)、Food & Agri分野(野菜生産システム・食品工場自動化)、Clean Power分野(風力/太陽光発電・電気自動車)、Humatronics分野(リハビリ機器・バイオメディカル用ロボット)に焦点を当てて取り組んでいます。

さらに、お客さまの要求に対してスピーディに対応できる体制を構築するために、基礎技術開発から量産試作までを一貫した開発拠点「安川テクノロジーセンタ」(以下、YTC)の本格稼働を2021年9月に開始しました。

以上の取り組みにより当連結会計年度の研究開発費は18,175百万円となりました。

 

〔研究開発分野〕

長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、2021年度はソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」の具体化に向けた研究開発に取り組みました。IoTを軸とする新製品・新技術開発、AI技術を製品に反映させるため、オープンイノベーションのさらなる強化を進めています。

2021年3月に九州初となるローカル5G無線局免許を取得し、YTCにおいて5Gを活用して産業用ロボットの遠隔制御や新しい生産設備の検証を行うなど、お客さまのスマート工場化実現のためのソリューション開発に着手しました。

2021年6月には国立大学法人九州大学と包括的な連携を図っていくことを合意しました。これまでプロジェクトごとにテーマを設定し共同研究を行ってきましたが、最先端の技術開発、異分野での連携、人材の育成など、幅広い活動で共に持続的な成長と双方にとってプラスとなる関係を築き、広い範囲でのシナジー創出を目指します。

2021年8月には「日本の農業の発展と日本の食と農の国際競争力強化に貢献すること」を目的として、全国農業協同組合連合会と業務提携を締結しました。畜産・農業生産・流通販売の3分野を中心にスマート農業の具体化に向けた取組みを加速します。

当分野の研究開発費は5,681百万円です。

 

〔モーションコントロール分野〕

「i3-Mechatronics」の実現に向けた製品として、装置や産業用ロボットなどで構成された“セル”の様々なデータを高速かつリアルタイムそして時系列に同期し、統合的に制御する「YRM-X(テン)コントローラ」を業界で初めて製品化しました。

半導体製造や電子部品組立て装置の高速化や高機能化に貢献するマシンコントローラMP3200用CPUユニットの最上位機種となる「CPU-203」、および新世代の産業ネットワークで従来のMECHATROLINK-Ⅲと比べて伝送効率が4倍のMECHATROLINK-4に対応した「CPU-203F」を製品化しました。

また、脱炭素社会の実現が世界共通の目標となる中、製造業を中心に省エネやカーボンニュートラルへの取組みを加速する動きがみられます。そこで当社は、業界最薄となるモータ長かつ全容量において世界最高効率であるIE5を達成した「エコPMモータフラットタイプ」を製品化しました。冷却ファンレスによる小型化を徹底的に追求し、ビルや工場などの空調設備・ポンプなどの省スペース化や消費電力の削減に貢献します。

当分野の研究開発費は7,305百万円です。

 

〔ロボット分野〕

2022年3月に開催された「2022国際ロボット展」には、「i3-Mechatronics」コンセプトに基づき、変種変量・工程変化など多様化する生産に柔軟に対応する製品群として、装置とロボットが融合したDX化ソリューションや新型自律ロボットなどをリアルおよびオンラインで出展しました。

食品加工用途の新たなラインアップとして、特殊な表面処理と食品機械用の潤滑剤を使用した新仕様の「MOTOMAN-GP8」(可搬質量8kg)を製品化しました。また、スマートフォンのように直感的なロボット操作ができるタブレット型のプログラミングペンダント「スマートペンダント」を小型垂直多関節ロボット4種に適用した「スマートシリーズ」の提供を開始しました。

人協働ロボットの新たなラインアップとして、小型ながら従来比2倍の可搬質量を持つ「MOTOMAN-HC20SDTP」(可搬質量20kg)や、さらに、手元作業性を高めたショートアームタイプの「MOTOMAN-HC10SDTP」(可搬質量10kg)を製品化しました。省スペースでフレキシブルな生産ラインの実現に貢献します。

当分野の研究開発費は3,726百万円です。

 

〔システムエンジニアリング分野〕

環境・エネルギー分野においては、省エネ・創エネ技術を応用し、太陽光発電関連機器の開発などを進めました。

当分野の研究開発費は1,461百万円です。

 

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