事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社は、経済・市場の状況等を含む経営の遂行状況に係るリスクについては、経営会議等の執行会議および取締役会においてモニタリングしています。加えて、当社グループに発生する可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処することを目的に危機管理基本規程を定め、この規程に従い危機管理委員会とその傘下に各専門委員会を設置しています。危機管理委員会では、リスク管理体制の整備に関する事項やリスク管理教育の企画・推進およびリスクが発生した場合の各種対応などを実施しています。また、これらのリスク管理状況は経営会議等の執行会議および取締役会に適宜報告しています。

当社グループの業績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある重要なリスクおよびそれらの対策については以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営環境に関する項目

 

地政学リスク

リスクの説明

 当社グループは日本・中国を中心に7カ国に生産拠点を持ち、グローバル30カ国に展開している営業拠点を通じ、日々お客さまに製品・サービスを提供しています。このことから、ロシア・ウクライナ問題や米中貿易摩擦など国際関係変化やそれに起因する社会/環境の変化、法規制の変更などは事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、各国の輸出規制、技術移転の制限、関税の引き上げ等により、開発、生産、物流や営業活動が制限を受け、お客さまへの製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、各地域の政治・経済情勢や法規制の動向などについて、各拠点を通じて定期的にモニタリングし、事業への影響を迅速に把握できる体制を整えています。

 特に、近年では変化による事業への影響が大きいグローバルにおける法制変化などのモニタリングを強化するため、国内における各事業・本社部門に加え、海外子会社を始めとしたグローバル拠点に法令担当者を設置することで、本社の法務部門を中心としたグローバルでの統制体制を整備しています。

 また、地政学リスクに起因する多岐に渡る事業活動リスクが顕在化した際には、本社の危機管理委員会を通じ迅速な初動対応を講じるとともに、各専門委員会および経営層会議との連携を図りながら、グローバルにおける効果的なインシデント対応体制を構築することで被害や損害を最小限とすることに努めています。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響に係るリスク

リスクの説明

 当社グループは事業をグローバルに展開していることから、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大や長期化、新たな変異株の出現等が起こった場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、従業員やその家族等に感染者が発生し、大規模に感染が拡大した場合、生産をはじめとした事業活動等に影響を及ぼす可能性があります。また、部品調達先の所在する国・地域において、ロックダウン等の移動規制が行われた場合、当社グループの生産活動やサプライヤーにおける部品調達等に影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは2020年に危機対策本部を立ち上げ、テレワークやテレビ会議の積極的活用を推進し、また、感染対策の社内徹底を繰り返し行う等、社員の安全確保と事業継続に向けた対策を講じています。また、万が一、従業員に感染者が出た場合であっても、危機対策本部を中心に関係部署がタイムリーに情報を共有できる体制が築かれており、状況に応じた対策を行っています。

 加えて、当社グループではコロナ禍における不透明な先行き状況を踏まえ、必要な成長投資を除く経費について徹底した削減を継続していきます。同時に、コロナショック後のニューノーマルにおける新たな自動化需要を事業機会として取り込むことで業績拡大に努めていきます。

 

(2) 事業環境に関する項目

 

部材調達・物流に係るリスク

リスクの説明

 当社グループは鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先から調達していますが、価格の高騰や業界の需要増によっては、継続的な必要量の確保が困難となる可能性があります。また、取引先において、自然災害、感染症の拡大、事故、経営状況の悪化等により、当社グループに対する部品や原材料等の安定的な提供が困難になる可能性があります。

 特に、世界的な半導体不足の長期化や新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーン全体の混乱等により、納期遅延のリスクが高まっています。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは取引先との対話を通じた信頼関係の構築、グローバルでの調達先の分散を図るとともに、適正な在庫水準の確保と現地生産・現地調達の推進を通じた需要変動への対応、国内および主要海外拠点における事業継続計画(BCP)策定による災害リスク等への対応を強化するなど調達機能の強化に努めています。

 また、本社にサプライチェーン管理課を新設し、リスク部品の早期発見と全社対策の強化を図るとともに、入荷困難な状況が継続する部品に関しては、入手可能な部品への設計変更を行う等、対応を強化しています。

 

 

為替相場の変動に係るリスク

リスクの説明

 当社グループはグローバルで事業展開し、その取引先は世界各地にわたるため、為替相場の変動リスクにさらされています。当社グループは、米ドル、ユーロ、中国人民元等の現地通貨建てで製品・サービスの販売・提供および原材料・部品の購入を行っていることに加え、現地通貨建ての製品輸出を行っており、想定以上の為替相場の変動は製品の競争力を弱めるなど、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは現地通貨で表示された資産および負債を保有していることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2022年2月28日に終了した連結会計年度の為替感応度(実績為替平均レート(米ドル:111.5円、ユーロ:130.4円、中国人民元:17.33円、韓国ウォン:0.096円)から1%変動した場合の業績影響額)は、売上収益については、米ドル:約8.7億円、ユーロ:約7.4億円、中国人民元:約12.2億円、韓国ウォン:約2.4億円となり、営業利益については、米ドル:約2.1億円、ユーロ:約2.0億円、中国人民元:約4.2億円、韓国ウォン:約1.7億円となります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループでは、先物為替予約契約や為替ヘッジを実行することに加え、現地生産や現地調達の推進などを通じ、為替変動に強い収益構造の構築に取り組んでいます。

 

 

競争の激化に係るリスク

リスクの説明

 当社グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在します。当社グループ製品のシェアの高い分野においても、将来にわたり競争優位性を保てるという保証はありません。このため競合企業との価格面における激しい競争が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品等は、技術および品質等における競争力を確保するため、適時・適切な製品投入を行う必要があります。当社グループが提供する製品等の競争力が相対的に脆弱である場合や、製品投入時期が適切でない場合等に、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

リスクへの対策

 このようなリスクに対して、当社グループは安川テクノロジーセンタを中心として部門横断的な研究開発の継続的な強化を図っています。世界初・世界一にこだわった画期的な製品開発を進めるとともに、徹底した効率化を図ることで開発期間の短縮を図り、コスト競争力の高い製品のタイムリーな市場投入に努めています。また、i3-Mechatronicsを通じたお客さまにとって最適なソリューションの提供により、製品・サービスの差別化および高付加価値化に努めています。

 

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