業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する情報は、当事業年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

業績等の概要

(1)業績

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

 

 当連結会計年度におけるわが国経済は、世界規模で拡大する新型コロナウイルス感染症に伴い、外出自粛や休業要請、緊急事態宣言の発出などの影響により、個人消費や企業活動が著しく制限され、急速に景気が悪化しました。一部で持ち直しの動きがみられたものの、再び緊急事態宣言が発出されるなど新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは立たず、先行きは依然として不透明な状況が続いております。国内大手メーカーでは、厳しい経営環境のなかで先進技術に対応するための研究開発投資、及び人手不足に対応するための省力化投資、並びに老朽化した設備の更新等は持ち直し始めており、『マニュアルを「本当に使えるもの」にし、「無駄な経費・工数のかからない」品質の高いマニュアルの普及に努める』という当社の使命と市場ニーズとの適合性が高まっております。このような経済環境の下、当社では、付加価値の高い製品・サービスの提供に積極的に取り組み、受注・売上・収益の拡大に努めてまいりました。

 経営戦略につきましては、当社の主力サービスである「e-manual」の導入促進を積極的に図った結果、「e-manual」の導入社数は66社となりました。今後もより一層、「e-manual」「GRACE VISION®」の普及に努めてまいります。2019年11月に設立した米国子会社 GraceVision Inc.につきましては、新型コロナウイルスの影響により、現在も稼働を停止しております。また、当社グループ全般の経営資源の補強を目的として、2020年11月にHOTARU株式会社を子会社化いたしました。今後も、成長のスピードを速めるために、シナジー効果が期待できる企業へのM&Aや事業提携等を引き続き積極的に検討してまいります。

 技術面につきましては、「e-manual」及び「完全誘導型AIマニュアル」である「GRACE VISION®」の機能向上に引き続き取り組んでおります。

 営業面につきましては、クライアントからの「高品質なマニュアル」への要求の高まりから、コンサルティング案件及び「e-manual」の導入に注力しております。

 以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高2,691,171千円、経常利益1,177,978千円、親会社株主に帰属する当期純利益1,076,130千円となりました。

 当連結会計年度の業績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

① MMS事業

 MMS事業においては、上記のとおり、「e-manual」サービスの導入促進及びコンサルティング案件の獲得を積極的に図った結果、売上高1,286,486千円、セグメント利益1,031,124千円となりました。

② MOS事業

 MOS事業においては、既存顧客への是正提案及び2020年11月に子会社化したHOTARU株式会社を連結した結果、売上高1,404,685千円、セグメント利益461,437千円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、3,677,237千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は1,290,450千円となりました。これは、法人税等の支払額320,927千円、負ののれん発生益222,375千円、未払金の減少額202,408千円等による資金の減少があった一方で、税金等調整前当期純利益1,402,142千円の計上、売上債権の減少額616,154千円等による資金の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は372,515千円となりました。これは、長期貸付金の回収による収入214,000千円、定期預金の払戻による収入99,999千円等による資金の増加があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出636,479千円等による資金の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増加は1,110,092千円となりました。これは、配当金の支払額211,744千円等による資金の減少があった一方で、長期借入による収入1,433,078千円等による資金の増加によるものであります。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

MMS事業

70,182

MOS事業

595,391

合計

665,573

(注)1.金額は、製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。

 

(2)受注実績

 当社の取引は、受注から売上計上までの期間が比較的短く、また、企画・構成、編集、制作及び翻訳の途中で仕様変更・内容変更が発生する場合もあるため、受注実績の記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

MMS事業

1,286,486

MOS事業

1,404,685

合計

2,691,171

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

ダイキン工業株式会社

272,140

10.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 下記文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は6,366,452千円となりました。

 

(流動資産)

 流動資産は5,215,747千円となりました。主な内訳は、現金及び預金4,188,353千円、受取手形及び売掛金616,253千円、有価証券238,350千円であります。

 

(固定資産)

 固定資産は1,150,704千円となりました。主な内訳は、有形固定資産778,743千円、無形固定資産60,402千円、投資その他の資産311,558千円であります。

 

(流動負債)

 流動負債は1,652,021千円となりました。主な内訳は、短期借入金650,000千円、支払手形及び買掛金315,449千

円、1年内返済予定の長期借入金276,280千円、未払法人税等220,107千円であります。

 

(固定負債)

 固定負債は1,510,351千円となりました。主な内訳は、長期借入金1,466,968千円であります。

 

(純資産)

 純資産合計は3,204,079千円となりました。主な内訳は、利益剰余金2,435,950千円、資本剰余金509,222千円、

資本金245,864千円であります。

 

(2)経営成績の分析

① 売上高

 売上高は2,691,171千円となりました。主な要因として重点顧客へ積極的な営業活動を実施し、大口顧客獲得に成功した結果です。

 

② 売上原価、売上総利益

 売上原価は660,850千円となりました。この結果、売上総利益は2,030,320千円となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費、営業利益

 販売費及び一般管理費は865,467千円となりました。この結果、営業利益は1,164,853千円となりました。

 

④ 営業外収益、営業外費用及び経常利益

 営業外収益は主として保険返戻金であり、24,783千円となり、営業外費用は主として支払利息であり、11,658千円となり、この結果、経常利益は1,177,978千円となりました。

 

⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益

 税金等調整前当期純利益は1,402,142千円となり、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,076,130千円となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、登録スタッフであるマニュアルのテクニカルライター・翻訳者等への外注費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に「e-manual」や「GRACE VISION®」のソフトウェア開発等の無形固定資産への投資等によるものであります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は2,436,241千円、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,677,237千円となっております。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、「世界一の“わかる”を創り出す企業」を目指すという経営目標のもとで、マニュアルを通じて、メーカーとユーザー、人と人、企業と人をつなぐコミュニケーションビジネスを展開し、形や常識とされる既成概念に捉われず、「解る」・「理解できる」を追求することで、当社に心底傾倒し、お客様自身の体制をも変化させていただけるような、絶大なる支持を得られるように事業展開を行っております。

 具体的には、国内・国外のメーカーを中心に、産業機械などの工業製品や会計システムなどの情報サービスソフトウェアに付随する操作系マニュアル、運用系マニュアルや、各企業における業務系マニュアルまで、お客様の目的に合致した技術マニュアルをコアに、各種マニュアルの管理・配信・閲覧・制作を支援する「e-manual」の企画、導入コンサルティング及び運営のサービスを提供するMMS事業と、エンドユーザーの立場に立って、ユーザーログの分析をベースとしたテクニカルライティング(原稿執筆)を行うとともに、輸出対象国の言語に翻訳(多言語化)する等のサービスを提供するMOS事業を展開しております。

 2018年1月には、これまでのテクニカルライティングの手法を踏まえ、読むことも、見ることも、覚える必要もない、従来にはない全く新しい完全誘導型AIマニュアル「GRACE VISION®」を発表して、更なる「解る」・「理解できる」の追求に邁進しています。

 

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社経営陣は、急速な業界環境や経済動向の変化に対応するため、当社事業のあるべき将来像を描き、収益機会を創造し、明確な目標設定を基本とする戦略的事業展開を推進し、これらの変化を的確に捉え、時に先取りして、入手可能な情報に基づき最善の経営意思決定をするように努めております。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、今後の世界経済の先行きへの懸念が非常に高まっております。当社の主要ターゲットである国内大手メーカーは、引き続き厳しい経営環境に置かれておりますが、当社においては、マニュアルのプロとして、ドキュメントコンサルティング、マニュアル制作及び「e-manual」の導入促進とあわせ、「GRACE VISION®」を積極的に販売することにより、技術伝承、人手不足及びコストダウンなど、国内大手メーカーの生産性向上を支援してまいります。

 これまでのところ、当社の業績に大きな変調は見受けられません。今後、感染症の影響が長期化した場合は、収益が減少する可能性がありますが、そのような状況下においても、当社は生産性の向上とコストダウン等の対策を実施し、収益減少を最小限に抑えるよう努めてまいります。

 なお、今後の解決すべき主たる重点課題及び今後の方針等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の項目をご参照下さい。

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たりましては、引当金の計上など一部に将来の合理的な見積りが求められているものもあります。これらの見積りは当社における過去の実績・現状・将来の計画を考慮し、合理的と考えられる事項に基づき判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 追加情報」に記載のとおりであります。

 

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