業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。なお、また、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため、前連結会計年度比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」「(1)連結財務諸表」「注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年6月1日から2022年5月31日)における当社グループを取り巻く事業環境においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発出され、先行きは不透明な状況が続きました。

就労支援事業においては、企業の人材流動化の需要もあり新型コロナウイルス感染症による大きな影響は受けておりません。放課後事業、保育事業においては、放課後施設、保育施設の一時的な休室や休園も断続的に発生しましたが、施設運営は徐々に本来の姿を取り戻しつつあります。引続き働く保護者の受け皿という役割を担うため、感染防止に努めながら運営を行っております。また、2020年12月に政府により「新子育て安心プラン」として2024年度末までに約14万人分の保育の受け皿を整備する方針が打ち出されており、女性の就業率の上昇を背景とした保育需要の高まりは今後も継続すると見込んでおります。さらに2023年4月に「こども家庭庁」を創設することが閣議決定し、子育てしやすい環境整備について政府を挙げて取組む姿勢はより強まっております。

このような状況の中、当社グループは、働きながら育児と両立できる環境をより多くの方に提供できるよう雇用の創出に取組んでまいりました。また、放課後・保育両事業の施設数拡大に対応する運営体制の強化を継続しております。

売上高においては、2021年4月に新規開設した保育園及び放課後施設の増加により増収となりました。営業利益においては、前年に発生した新型コロナウイルス感染症拡大の影響による放課後施設の大幅な開設時間縮小や保育園の登園児減少により一時的に減少した労務費が増加したこと及び、中期的な運営強化を目的とした本部人員増強に伴う人件費等の増加により減益となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、4,627,539千円(前連結会計年度末4,495,676千円)と、131,862千円増加いたしました。

当連結会計年度末の負債合計は、2,565,348千円(前連結会計年度末2,563,902千円)と、1,446千円増加いたしました。

当連結会計年度末の純資産合計は、2,062,190千円(前連結会計年度末1,931,774千円)と、130,416千円増加いたしました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は9,130,846千円(前期比11.1%増)、営業利益は233,795千円(同30.7%減)、経常利益は272,202千円(同21.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は173,532千円(同22.4%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績の概要は次のとおりであります。

a.就労支援事業

就労支援事業につきましては、「仕事と家庭の両立応援企業」としてより多くの女性へライフステージにあわせた働き方を提供するため、様々な業種の企業に対し人材の適正配置によるコストダウンを可能とする人材支援の提案を行っております。

売上高においては、既存顧客からの依頼増、及びコールセンター業務における官公庁からの新規大型案件受託により増収となりました。利益面においては、システム環境等の整備にかかる一時的費用による原価が増加し減益となりました。

以上の結果、就労支援事業の売上高は2,694,944千円(前期比4.2%増)、セグメント利益は98,624千円(同2.6%減)となりました。

 

b.放課後事業

放課後事業につきましては、引続き新型コロナウイルス感染予防のガイドラインに則り、安全・安心な施設運営に努めております。まん延防止等重点措置の解除以降は、感染者数の減少に伴い運営施設への影響も減少しております。行事やイベント等を徐々にコロナ前の状況に戻し、子どもたちが安心して「明日も来たい」と思える施設運営を目指しております。

このような状況の中、当社グループは下表のとおり、2022年4月に新規施設8施設を開設いたしました。新たに運営を受託いたしました自治体は1団体となりました。一方、契約期間終了などにより8施設の閉校があり、合計の運営施設数に変更はありません。これにより、当社グループが運営する放課後施設は、公立(地方自治体からの委託)133施設、私立小学校アフタースクール10施設、民間1施設となり、合計144施設となりました。

売上高においては、前期11施設の新規開設純増分が寄与し増収となりました。利益面においては、前年のコロナ禍から施設運営が正常化に向かい、労務費が増加したことにより減益となりました。

以上の結果、放課後事業の売上高は2,824,582千円(前期比10.9%増)、セグメント利益は114,079千円(同27.8%減)となりました。

 

(当連結会計年度に新たに開設した放課後施設)

施設名

所在地

開設年月

形態

月光原小学校ランランひろば

東京都目黒区

 2022年4月

公設放課後事業

向原小学校ランランひろば

東京都目黒区

 2022年4月

公設放課後事業

原町小学校ランランひろば

東京都目黒区

 2022年4月

公設放課後事業

大泉西小学童クラブ

東京都練馬区

 2022年4月

公設放課後事業

袖ケ浦西小学校地区放課後児童会

千葉県習志野市

 2022年4月

公設放課後事業

袖ケ浦西小学校放課後子供教室

千葉県習志野市

 2022年4月

公設放課後事業

植田東小学校トワイライトルーム

名古屋市天白区

 2022年4月

公設放課後事業

天白小学校トワイライトルーム

名古屋市天白区

 2022年4月

公設放課後事業

 

 

c.保育事業

保育事業につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い一部の施設において一時的な休園やクラス閉鎖を余儀なくされる状況がありましたが、徐々に施設運営は本来の姿を取り戻しつつあります。引続き自治体等と連携しながら感染予防のガイドラインに則り、利用園児及び職員の感染防止に努めております。

2021年4月1日時点における全国の待機児童数は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う利用控えもみられ5,634人と前年同時点から6,805人減少しましたが、女性の就業率の上昇に伴い実際に保育所等を利用する児童の数は前年比4,712人増の274万人と引続き需要が旺盛な事業環境となっております。

このような状況の中、下表のとおり、新たに認可保育園3施設を開設いたしました。一方、契約期間終了により地域子育て支援施設1施設の閉室があり、運営施設の純増は2施設となりました。これにより当社グループが運営する保育施設は、当連結会計年度末現在、認可保育園26施設、小規模認可保育園11施設、企業主導型保育園3施設、地域子育て支援施設2施設となり、計42施設となりました。

売上高においては、待機児童の多い立地での新規開設により開園時募集での園児数が増加したことに加えて、既存園の園児数が増加したため増収となりました。利益面においては、中期的な運営強化を目的とした本部人員増強に伴う人件費等の増加に加え、園庭芝生化事業を展開する株式会社セリオガーデンの販売費及び一般管理費増加により減益となりました。

以上の結果、保育事業の売上高は3,610,665千円(前期比17.0%増)、セグメント利益は172,798千円(同15.8%減)となりました。

 

(当連結会計年度に新たに開園した保育施設)

施設名

所在地

開園年月

形態

トレジャーキッズほんじょう保育園

大阪市北区

 2022年4月

認可保育園

トレジャーキッズいっしゃ保育園

名古屋市名東区

 2022年4月

認可保育園

トレジャーキッズてんぱく保育園

名古屋市天白区

 2022年4月

認可保育園

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ27,888千円減少し、当連結会計年度末は、1,869,535千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益271,930千円、減価償却費113,648千円、売上債権及び契約資産の増加による支出84,603千円及び前払費用の減少による収入69,806千円等により169,499千円の収入(前期は483,806千円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出307,624千円、差入保証金の差入による支出16,891千円及び補助金の受取額による収入173,501千円により184,249千円の支出(前期は163,147千円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額44,305千円、長期借入れによる収入130,000千円、長期借入金の返済による支出81,600千円等により13,138千円の支出(前期は44,943千円の収入)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

前期比(%)

就労支援事業         (千円)

2,694,944

4.2

放課後事業          (千円)

2,824,582

10.9

保育事業           (千円)

3,610,665

17.0

合計(千円)

9,130,192

11.1

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

大阪市

1,545,852

18.8

1,630,804

17.9

綜合警備保障株式会社

546,994

6.7

506,167

5.5

2.上記の大阪市に対する販売は、主に放課後事業・保育事業における同市からの施設運営に関する業務委託料及び補助金収入となっております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループが行っている事業、特に放課後事業、保育事業におきましては、民間事業者の社会的信用度、知名度を高め、業界全体のサービス水準の向上を図る必要があります。それを可能とするためには、経営の透明性を高めること及び優秀な人材を確保することが重要となります。事業規模拡大により、保育士や指導員の人数が年々増えている中において、コンプライアンスやガバナンスに関しても更に強固な体制を構築することが、当社グループの健全な成長発展の礎となると考えております。さらに、事業規模の拡大によって保育用品・消耗品の一括購入による低コスト化等のいわゆる規模のメリットを得ることや安全で利用しやすい保育施設等の設備の充実を積極的に実施していく方針です。また、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、業界の動向、法的規制、人材の確保等様々なリスク要因が当社の業績に影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループ、事業環境に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、社会のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、業績に影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 以上の取組みの結果、経営成績は下記のとおりとなりました。

 

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は9,130,846千円(前期比11.1%増)となりました。その内訳は就労支援事業においては、既存顧客から依頼増及びコールセンター業務における官公庁からの新規大型案件受託により2,694,944千円(同4.2%増)となり、また放課後事業においては、新規施設8施設の開設、契約期間終了などによる8施設の閉校により、公立(地方自治体からの委託)133施設、私立小学校アフタースクール10施設、民間1施設、当連結会計年度末現在、計144施設となり2,824,582千円(同10.9%増)、保育事業においては、2022年4月に認可保育園3園を新たに開設したことにより3,610,665千円(同17.0%増)となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度の原価率が82.1%となり売上原価は7,499,537千円(前期比13.8%増)、販売費及び一般管理費は1,397,512千円(同8.0%増)となりました。主な内容は給与手当で618,520千円、支払手数料で131,183千円、法定福利費で113,176千円であります。この結果、営業利益は233,795千円(同30.7%減)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は48,086千円となり、これは主に新設の保育園の整備に対する補助金のうち圧縮記帳処理の対象とならない補助金収入であります。営業外費用は9,679千円となり、この結果、経常利益は272,202千円(前期比21.1%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の特別利益は143,460千円となり、これは新設の保育園の施設等に係る補助金収入によるものです。特別損失は143,732千円となり、これは主に固定資産圧縮損143,460千円であります。また、法人税等合計(法人税等調整額を含む)は98,397千円となり、これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は173,532千円(前期比22.4%減)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、2,675,652千円となり、前連結会計年度末に比べ96,276千円増加いたしました。その内訳は、主に売掛金及び契約資産が97,415千円増加、現金及び預金が27,888千円減少、前払費用が15,902千円増加したことによるものであります。固定資産は1,951,886千円となり、前連結会計年度末に比べ35,586千円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が95,742千円増加、無形固定資産が8,172千円減少、投資その他の資産が51,983千円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は4,627,539千円となり、前連結会計年度末に比べ131,862千円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、1,388,834千円となり、前連結会計年度末に比べ41,332千円増加いたしました。その内訳は、主に未払費用が43,406千円増加、未払消費税等が41,229千円減少、未払法人税等が64,759千円減少、未払金が4,222千円減少、契約負債が70,900千円増加したことによるものであります。固定負債は1,176,513千円となり、前連結会計年度末に比べ39,885千円減少いたしました。これは主に長期借入金が31,936千円増加、長期前受金が89,293千円減少、資産除去債務が22,736千円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は2,565,348千円となり、前連結会計年度末に比べ1,446千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、2,062,190千円となり、前連結会計年度末に比べ130,416千円増加いたしました。その要因は、親会社株主に帰属する当期純利益173,532千円の計上による増加及び配当金の支払44,305千円による減少によるものです。

 この結果、自己資本比率は44.6%(前連結会計年度末は43.0%)となりました。

 

c.資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、新設保育園の設備投資の長短期資金需要、保育園及び放課後施設の備品購入費及び人材採用費などの運転資金需要であります。

 

d.財務政策

 当社グループは、当社と子会社の資金管理の一元化を図り、連携をとることにより資金効率の向上を図っております。また、事業活動のための資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることに努めております。新設保育園の設備投資や運転資金等への短期資金需要については金融機関からの借入によって調達しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断する客観的な指標等

 当社グループは、目標とする経営指標については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度における当社グループの経常利益率は3.0%(前年は4.2%)及び連結配当性向は25.5%(前年は19.8%)を確保しております。今後につきましても当該指標の確保に努めてまいります。

 

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