業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1) 当期の経営成績の概況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動抑制の影響を引き続き受けることになりました。段階的に経済活動が再開されているものの、景気回復への影響は限定的で、依然として厳しい経済状況が続いております。また、製造業においては半導体を筆頭に、部品の需給逼迫や原材料価格の高騰による生産停止、納期遅延及び調達価格の上昇等の影響を受けております。

 

このような事業環境において、当社は3月に、株式会社ネクス(以下ネクス)の株式の49%を株式会社CAICA DIGITAL(旧社名株式会社CAICA)より取得し完全子会社化いたしました。今後、戦略的注力領域であるIoT関連事業をさらに強化するために、意思決定の迅速化、企業価値の向上を図ることを目的としております。

また11月には、慢性的な営業赤字の解消と財務基盤の強化を目的とした、事業構造改革の実施を決議いたしました。当社グループにおける、経営資源の選択と集中のため、現在赤字の状態で早期の業績の回復が見込めない、インターネット旅行事業、ブランドリテールプラットフォーム事業に関して、事業から撤退することにより、営業赤字の早期解消を図ります。加えて、財務基盤の強化にあたり、各法人での事業構造改革に伴うコストカットの実施、金融機関との交渉による返済スケジュールの見直しに加え、状況に応じて保有する有価証券や暗号資産の売却等により、今後の成長に必要な投資資金を確保していく予定です。

 

連結業績につきまして、IoT関連事業に関しては、今般の新型コロナウイルスの感染症対策として、在宅勤務などのテレワークの導入企業の増加に伴い通信端末の販売が伸長した一方で、世界的な部品調達の大幅な遅れ、先行きの不透明さからM2M分野における設備投資などの抑制の影響や、新型コロナウイルス感染症対策が優先となったことによる医療機関への機器導入の延伸が出るなどの影響により、売上計画を下回る結果となりました。

インターネット旅行事業、ブランドリテールプラットフォーム事業に関しては、当連結会計年度を通して、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大幅な売上減少となりました。

 

上記の結果、売上高においては、4,848百万円(対前期比26.1%減)となりました。それに伴い、営業損失は208百万円(前期は営業損失620百万円)、経常損失は133百万円(前期は経常損失597百万円)、税金等調整前当期純利益は321百万円(前期は税金等調整前当期純損失1,318百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は303百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,361百万円)となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は以下のとおりであります。

 

(IoT関連事業)

ネクスは、培ってきた自動車テレマティクスをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指します。

具体的には、大量のデータを判別・収集するAI学習の「目」となる画像認識分野において、AIコンピューティングの分野で様々なプラットフォームを提供しているNVIDIA Corporationが提供するGPU(画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置)を利用したリアルタイム画像認識技術と、マルチキャリア対応の高速モバイル通信技術を搭載した、NCXX AI BOX「AIX-01NX」を開発、試作機での検証をしており、2022年に販売開始を予定しております。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野、工場ラインでの不良品検出、介護分野での見守り、河川水位監視などの防災、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に展開が期待される技術であり、デバイス事業の新たな製品開発に活用をしてまいります。

 

 

 


 


 


NCXX AI BOX「AIX-01NX」

プライバシーに配慮した行動解析

 転倒などの異常検知

 

 

既存製品につきましては、株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)の相互接続性試験をクリアし、ドコモの取扱製品として同社製品サイトに掲載されるとともに全国のドコモショップ及びドコモオンラインショップにて販売されている、USB型 LTE/3G データ通信端末「UX302NC-R」の売上が増加しております。2020年12月には、文部科学省が教育改革案として推奨している学校のICT化「GIGAスクール構想」における「1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画」に標準仕様として提示されているGoogleのChrome OSを搭載したコンピュータ「Chromebook」に対応する機能の追加バージョンをリリースしております。

農業ICT事業(NCXX FARM)につきましては、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進しております。

「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の栽培と青果及び加工品の販売を行っております。9月には、GOLDEN BERRYアイスを専用のギフトボックスに入れたセット商品「GOLDEN BERRYアイスギフト」の販売を開始、本社のある岩手県花巻市のふるさと納税の返礼品としても採用をいただいております。またGOLDEN BERRYを原材料としたフレッシュ・リキュールの販売も開始しております。

 

 


 


「GOLDEN BERRY アイスギフト」

「GOLDEN BERRY FRESH LIQUER」

 

 

「フランチャイズ事業」では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、自社独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加えて、お客様の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品の提供を行う農業総合コンサルティングサービスを行っております。2021年3月には、農業専門に会計・税務・経営について総合的な支援を行う一般社団法人全国農業経営専門会計人協会と業務提携を行い、それぞれの強みを活かした総合的なコンサルティングサービスの提供を目指しております。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は581百万円(対前期比57.2%減)、営業損失は102百万円(前期は営業利益204百万円)となりました。

 

(インターネット旅行事業)

イー・旅ネット・ドット・コム株式会社(以下イー・旅ネット・ドット・コム)及びその子会社では、新型コロナウイルス感染症の影響が長引き海外旅行需要の回復が見られない中、継続的に国内旅行に注力しました。しかし、度重なる緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の発出により、国内旅行の需要も大幅に減少し、売上高も大きく減少いたしました。

イー・旅ネット・ドット・コムでは、自治体向けの情報提供サービスを開始したところ、26の自治体の登録があり115の国内観光情報が掲載されました。今後の国内旅行と訪日旅行の復活に向けて活用してまいります。

株式会社ウェブトラベルでは、獲得コストの高いリスティング広告以外からの集客をするため、積極的なSNSでの発信や外部企業との業務提携を進めてまいりました。また、顧客とのコミュニケーションツールとしてチャットを積極的に活用し、リアルタイムのやり取りを実現できるように社内環境を整えてまいりました。

 

 


 


 


 

 

株式会社グロリアツアーズでは、東京パラリンピックが無観客開催となったことにより観戦ツアーを主催することができませんでしたが、東京パラリンピックに向けた国内の強化合宿と海外遠征が全体の売上に貢献いたしました。また、フランス語留学においては、昨年に引き続き国内でのスクーリング授業の開催や現地とのオンライン留学、大学単位でのオンラインセミナーを開催し、来期の留学研修につなげることができました。

売上高は、ほぼ国内旅行が主となり、国内旅行事業売上は99百万円(対前期比7.6%減)となりました。年間の総取扱件数は460件(対前期比65.1%減)となり、年間の総取扱人員数は895名(対前期比73.0%減)となりました。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は151百万円(対前期比75.8%減)、営業損失は165百万円(前期は営業損失140百万円)となりました。

 

(ブランドリテールプラットフォーム事業)

株式会社チチカカ(以下チチカカ)では、店舗事業においては2020年10月末時点の72店舗から今期11店舗の閉店により2021年10月末時点で61店舗体制、またEC事業においては8店舗体制となっています。前期に引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めております。

店舗事業に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、売上計画比89%という結果になりました。当連結会計年度においては、2020年11、12月及び2021年9、10月を除く全ての期間で緊急事態宣言が発令されており、特にチチカカが出店するモールへの来店減少が直接店舗客数減少につながり、売上減少の最も大きな要因となりました。

また、オンライン事業に関しては、前年度の緊急事態宣言の影響による売上の伸長の揺り戻しの影響で、計画比81%という結果となりました。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は3,367百万円(対前期比25.8%減)、営業損失は399百万円(前期は営業損失364百万円)となりました。

 

(暗号資産・ブロックチェーン事業)

本事業では、暗号資産市場の動向と資金効率を踏まえた安定的な運用を行ってまいります。

今期は一部暗号資産の売却を行ったことで、営業利益を計上しております。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は735百万円(前期は売上高30百万円)、営業利益は733百万円(前期は営業利益18百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下資金)の期末残高は、前連結会計年度末と比べて273百万円減少し、737百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により支出した金額は176百万円(前年同期は285百万円の資金支出)となりました。これは主に、資金の増加要因として税金等調整前当期純利益321百万円、減損損失252百万円があり、減少要因として投資有価証券売却益624百万円、未払金の減少額110百万円があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により獲得した金額は637百万円(前年同期は680百万円の資金獲得)となりました。これは主に、資金の増加要因として投資有価証券の売却による収入699百万円があり、減少要因として有形固定資産の取得による支出41百万円があったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した金額は735百万円(前年同期は297百万円の資金支出)となりました。これは主に、資金の減少要因として長期借入金の返済による支出85百万円、社債の償還による支出50百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出589百万円があったことによります。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

IoT関連事業

557,635

64.2

ブランドリテールプラットフォーム事業

1,427,973

82.7

合計

1,985,609

76.5

 

(注) 1 インターネット旅行事業、暗号資産・ブロックチェーン事業及びその他事業については、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

2 金額は、製造原価によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

IoT関連事業

591,085

48.6

161,816

116.4

合計

591,085

48.6

161,816

116.4

 

(注) 1 インターネット旅行事業、ブランドリテールプラットフォーム事業、暗号資産・ブロックチェーン事業及びその他事業については、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

IoT関連事業

581,348

42.8

インターネット旅行事業

151,301

24.2

ブランドリテールプラットフォーム事業

3,367,817

74.2

暗号資産・ブロックチェーン事業

735,338

その他

12,565

168.7

合計

4,848,371

73.9

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、キャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

② 財政状態

(資産)

資産の残高は、前連結会計年度末と比較して243百万円減少し、4,537百万円となりました。この主な要因は、投資有価証券が486百万円増加したものの、現金及び預金が276百万円減少し、受取手形及び売掛金が94百万円減少、商品及び製品が136百万円減少、有形固定資産が153百万円減少、のれんが75百万円減少したことによります。

 

(負債)

負債の残高は、前連結会計年度末と比較して364百万円減少し、3,591百万円となりました。この主な要因は、借入金残高(※)が97百万円減少し、未払金が116百万円減少、未払消費税等が75百万円減少、資産除去債務が50百万円減少したことによります。

 

(純資産)

純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して120百万円増加し、945百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が310百万円増加し、その他有価証券評価差額金が496百万円増加したものの、為替換算調整勘定が61百万円減少し、非支配株主持分が606百万円減少したことによります。

 

(※)短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金残高の合計

 

 

③ 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、以下のとおりであります。

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、4,848百万円(対前期比26.1%減)となりました。

詳細につきましては「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 当期の経営成績の概況」に記載したとおりであります。

 

(売上総利益)

売上高総利益率は、前連結会計年度より8.8ポイント増加し、55.7%となり、売上総利益は、2,698百万円(対前期比12.2%減)となりました。

 

(営業損益)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より減少し、2,906百万円(対前期比21.3%減)となりました。

以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度より5.2ポイント増加し、△4.3%となり、営業損失は208百万円(前期は620百万円の営業損失)となりました。

 

(経常損益)

営業外収益は105百万円(対前期比54.9%増)となりました。これは主に受取配当金、暗号資産評価益の増加によるものであります。営業外費用は30百万円(対前期比33.2%減)となりました。これは主に雑損失の減少によるものであります。

以上の結果、経常損失は133百万円(前期は597百万円の経常損失)となりました。

 

(特別損益)

特別利益は732百万円(前期は117百万円の特別利益)となりました。これは主に助成金収入、新株予約権戻入益、投資有価証券売却益の増加によるものであります。特別損失は277百万円(前期は837百万円の特別損失)となりました。これは主に投資有価証券評価損の減少によるものであります。

 

(税金等調整前当期純損益)

以上の結果、税金等調整前当期純利益は321百万円(前期は1,318百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は303百万円(前期は1,361百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは現在、必要な運転資金、設備投資及び投融資資金については、自己資金、借入、社債の発行、及び保有株式の売却といった資金調達方法の中から、諸条件を総合的に勘案し、最も合理的な方法を選択して調達していく方針であります。当連結会計年度末におきましては、短期借入金351百万円、1年内返済予定の長期借入金295百万円、長期借入金680百万円となりました。

当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金等を調達していく方針であります。

 

 

⑤ 戦略的現状と見通し及び今後の方針について

当社では、自動車テレマティクスをはじめとするIoT関連サービスの拡充、「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指します。
 また今後は、既存のハードウェアの分野に加えて、成長率の高いアプリケーションやデジタルコンテンツの分野に取り組むことで、IoT市場のバリューチェーン全体での利益の最大化を目指してまいります。

さらに、デジタルコンテンツ事業の今後の展開を見通すうえで、現在注目されている「メタバース」の分野に進出をいたします。「メタバース」とはオンライン上に構成されたデジタル仮想空間サービスや仮想空間そのものを指します。「メタバース」市場規模は、アメリカの市場調査・コンサルティング会社のEmergen Researchが、「世界のメタバース市場規模は2020年に476.9億米ドルに達し、2028年までには8,289.5億米ドルへ拡大するだろう」との予想を発表するなど、成長性が非常に高く注目されている市場です。仮想空間で提供されるサービスやデジタルコンテンツの取り扱い、ブロックチェーン技術を利用したトークン「ネクスコイン」を活用したサービスの提供、また仮想空間を楽しむためのハードウェアの開発・販売などを検討してまいります。

 

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