当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、断続的に社会・経済活動が制限され、景気の回復は緩やかなものにとどまりました。海外では、当社グループの主要市場である中国は、堅調な輸出に支えられ景気が回復しましたが、今後はゼロコロナ政策などの影響により、緩やかな景気減速が見込まれます。アセアン諸国では多くの国々がマイナス成長から回復しましたが、成長率にはばらつきが見られます。
当社グループが関連する主要市場の動向は次のとおりであります。
国内の電力会社向け市場は発送電分離に対応した機器や変電所の設備更新などが高水準に推移し、また、一般民需市場は電力設備の新設・更新の需要が堅調でした。中国の電力機器市場においては、電力投資の強化という政府方針に基づき、当社グループが注力している超高圧送電分野の投資が継続しました。ビーム・プラズマ事業の市場では、主力のイオン注入装置の需要は高精細・中小型FPD(フラットパネルディスプレイ)及びSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体メーカーの積極的な設備投資により拡大し、電子線照射装置は堅調であり、自動車部品向け等のファインコーティングサービスの需要も回復を見せました。タイ・ベトナム・ミャンマーで展開している装置部品ソリューション事業の市場は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時的にロックダウンや生産調整等の影響を受けましたが、半導体製造設備の投資拡大の影響を受け、概ね好調に推移しました。
こうした中で、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた経済活動が徐々に回復する中、市場動向や顧客ニーズに対応した製品やサービスの開発と市場投入、全社をあげてコスト競争力強化などの対策を積極的に推進してきました結果、当期の受注高は前期比14.6%増加の146,552百万円となりました。
受注高の事業セグメント別内訳は、「電力・環境システム事業」が94,095百万円(前期比0.2%増)、「ビーム・プラズマ事業」が46,171百万円(前期比66.5%増)、「装置部品ソリューション事業」が6,285百万円(前期比0.3%増)であります。
「電力・環境システム事業」の増加は国内一般民需の増加や中国・台湾の電力会社向けの増加によるもの、「ビーム・プラズマ事業」の増加は高精細・中小型FPD製造用イオン注入装置及び半導体製造用イオン注入装置の増加によるものであります。また、「装置部品ソリューション事業」の増加は国内向けの産業用装置・部品の製造受託の増加によるものであります。
売上高につきましては、前期比6.0%増加の132,128百万円となりました。
売上高の事業セグメント別内訳は、「電力・環境システム事業」が90,209百万円(前期比3.2%増)、「ビーム・プラズマ事業」が35,206百万円(前期比10.0%増)、「装置部品ソリューション事業」が6,712百万円(前期比28.2%増)であります。
「電力・環境システム事業」の増加は国内の電力会社向け及び官公庁向けの増加や台湾の電力会社向けの増加などによるもの、「ビーム・プラズマ事業」の増加は半導体製造用イオン注入装置及びアフターサービスの増加や自動車部品向けファインコーティングサービスの回復によるものであります。また、「装置部品ソリューション事業」の増加は国内向け及びアセアン向けの産業用装置・部品の製造受託の増加によるものであります。
営業利益は、「電力・環境システム事業」及び「ビーム・プラズマ事業」の増益により、全体で16,756百万円(前期比10.4%増)となりました。
特別利益につきましては、政策保有株式の一部売却により投資有価証券売却益586百万円及び中国の子会社である日新意旺高科技(揚州)有限公司の譲渡完了に伴い事業整理損失引当金戻入額22百万円を計上しました。特別損失につきましては、固定資産の減損損失268百万円及びPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処理に必要となる環境対策費47百万円を計上しました。
以上を踏まえ、法人税等の計上を行った結果、親会社株主に帰属する当期純利益は11,881百万円(前期比8.2%増)となりました。
(注) セグメントの業績の中の売上高は「外部顧客に対する売上高」で、「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含まれておりません。
②財政状態の状況
資産は、当期末で195,287百万円となり、前期末に比べ14,876百万円増加しました。これは、短期貸付金の減少や受取手形、売掛金及び契約資産が減少の一方、現金及び預金や棚卸資産や有形固定資産が増加したことなどによるものです。
負債は、当期末で60,599百万円となり、前期末に比べ4,050百万円増加しました。これは、未払法人税等は減少しましたが、契約負債や支払手形及び買掛金が増加したことなどによるものです。
純資産は、当期末で134,687百万円となり、前期末に比べ10,826百万円増加しました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により増加したことや円安により為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。
営業活動による資金の増加は22,320百万円(前期は22,517百万円の増加)となりました。投資活動による資金の増加は6,962百万円(前期は2,305百万円の減少)となりました。フリーキャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」+「投資活動によるキャッシュ・フロー」)は29,282百万円のプラス(前期は20,211百万円のプラス)となりました。財務活動による資金の減少は4,311百万円(前期は3,987百万円の減少)となりました。これらの結果、当期末の現金及び現金同等物は58,809百万円(前期は32,783百万円)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は販売価格によります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 金額は販売価格によります。
2 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、主にビーム・プラズマ事業で
海外向けの高精細・中小型FPD製造用イオン注入装置の受注が増加したことによるものです。
当連結会計年度における外部顧客への販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
当連結会計年度におけるセグメント間の内部取引を含めた販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は販売価格によります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、中長期計画「VISION2025」において、経営上の目標の達成状況を、売上高、営業利益、ROA及びROEを重要な指標として測定することとしております。
当連結会計年度における売上高は132,128百万円(前期比7,465百万円増)、営業利益は16,756百万円(前期比1,584百万円増)、「ROA(総資産営業利益率)」は8.9%(前期比0.1ポイント上昇)、「ROE(自己資本利益率)」は9.4%(前期比0.1ポイント低下)となりました。
営業利益の前連結会計年度比での主な増加要因は、将来を見据えた研究開発費の増加等により販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上高の増加に加えて、グループをあげた原価低減により収益力が向上したことであります。
営業外収益は、固定資産売却益の減少等により前期比12百万円減の415百万円、営業外費用は、解体撤去費用の増加等により前期比81百万円増の537百万円となり、経常利益は、前期比1,490百万円増の16,634百万円となりました。特別利益は、政策保有株式などの一部売却により投資有価証券売却益586百万円や、日新意旺高科技(揚州)有限公司の譲渡完了に伴う事業整理損失引当金戻入額22百万円を計上しました。特別損失は、固定資産の減損損失268百万円及びPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処理に必要となる環境対策費47百万円を計上しました。この結果、税金等調整前当期純利益は、前期比1,187百万円増の16,928百万円となりました。ここから法人税等の計上を行った結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比902百万円増の11,881百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
電力・環境システム事業は、売上高は90,702百万円(前期比2,897百万円増)となりました。営業利益は、13,673百万円(前期比402百万円増)となりました。売上高営業利益率は前期と同じく15.1%となりました。セグメント資産は、97,228百万円(前期比3,963百万円増)となりました。
ビーム・プラズマ事業は、売上高は35,287百万円(前期比3,228百万円増)となりました。営業利益は、5,837百万円(前期比1,378百万円増)となりました。売上高営業利益率は16.5%と2.6ポイント上昇しました。セグメント資産は、34,466百万円(前期比1,361百万円減)となりました。
装置部品ソリューション事業は、売上高は7,536百万円(前期比1,222百万円増)となりました。営業利益は、545百万円(前期比7百万円減)となりました。売上高営業利益率は7.2%と1.6ポイント低下しました。セグメント資産は、9,317百万円(前期比685百万円減)となりました。
セグメントごとの売上高は、「セグメント間の内部売上高又は振替額」を含めております。
セグメントごとの営業利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
②財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8.2%増加し、195,287百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ9.9%増加し、144,461百万円となりました。これは、短期貸付金や受取手形、売掛金及び契約資産が減少の一方、現金及び預金や棚卸資産が増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3.8%増加し、50,825百万円となりました。これは、投資有価証券の減少はあったものの、前橋製作所のガス絶縁開閉装置工場建設で有形固定資産が増加したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ7.2%増加し、60,599百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ8.3%増加し、54,180百万円となりました。これは、短期借入金や未払法人税等が減少しましたが、支払手形及び買掛金や契約負債が増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1.4%減少し、6,418百万円となりました。これは、環境対策費用の流動負債への振り替えにより減少したことなどによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ8.7%増加し、134,687百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金の減少はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の増加による利益剰余金の増加や、円安により為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。
また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、0.2ポイント上昇の67.3%、流動比率は前連結会計年度末に比べ、3.9ポイント上昇の266.6%となりました。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益16,928百万円及び減価償却費4,135百万円に、売上債権の減少6,787百万円、契約負債の増加2,606百万円、仕入債務の増加1,386百万円など資金増加要因を加え、棚卸資産の増加2,343百万円など資金減少要因を差し引いた結果、合計で22,320百万円の収入(前期比197百万円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、短期貸付金の減少11,000百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出4,728百万円、投資有価証券の売却による収入675百万円などにより、合計で6,962百万円の収入(前期比9,268百万円の収入増加)となりました。以上により、フリーキャッシュ・フローは29,282百万円のプラス(前期比9,070百万円のプラス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い3,633百万円などにより、合計で4,311百万円の支出(前期比324百万円の支出増加)となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、58,809百万円(前期比26,025百万円の増加)となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債(短期借入金及び長期借入金)を対象としております。
4.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源は、利益による積上げを継続的に行うことを基本方針とし、安定した配当の維持を図ってまいります。資金の流動性については、利益の確保、資産効率の向上による必要運転資金の増加抑制により、キャッシュ・フローの安定的な確保に努めております。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入や、当社グループのキャッシュマネージメントシステムでの調達を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。負債と資本のバランスに配慮しつつ必要な資金需要に対応してまいります。
⑤重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表を作成する際には、当連結会計年度末日時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
(退職給付会計)
当社グループの退職給付費用及び債務の計算は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて算出しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の優良社債の利回り等を参考に決定し、また年金資産の長期期待運用収益率は、年金資産の配分と年金資産を構成する多様な資産から期待される長期の収益率などを考慮して設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
(新型コロナウイルス感染症の影響)
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大が経済活動に少なからず影響を与える事象であると認識しており、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は収束時期等の不確定要素が多く、変異株の出現による感染再拡大や中国のゼロコロナ政策などが、2022年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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