事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社グループでは、ビジネスリスクを含むグループ全体のリスクを想定し、緊急事態発生時の対応を主管する部門をリスク別に定め、グループ横断的なリスク管理を行っております。

基本方針などを定める「リスク管理委員会」と、その下部組織として実効性を確保する「リスク管理実務委員会」を設置し、各部門やグループ会社においては、部門長及びグループ会社社長が部門別リスク管理責任者として、リスク管理を推進しております。

このようなリスク管理体制のもと、当社グループの業績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下のとおり記載しております。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

なお、文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 政治情勢・経済情勢・需要変動等に係るリスク

当社グループは、国内外の電力会社、一般民需、官公庁など広い需要分野にわたって事業を展開しております。このため、当社グループの業績、財政状態並びにキャッシュ・フローは、特定の取引先・製品・技術等に過度に依存する状況にはありません。地域的には、日本のほか、アジアの7つの国・地域及びアメリカに製造・販売拠点等を有しており、特に中国での現地生産・現地販売事業に中国向け輸出を加えた中国市場を対象にした事業や、アセアンでの各国内市場向けを対象にした事業が大きくなってきております。これら中国をはじめとした国・地域において急激な政治・社会・経済情勢の変化、景気変動、為替変動等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に相当の影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため、国内外の政府関係機関等から早期に正確な関連情報を入手し、グループ内への展開に努めるとともに、必要に応じて弁護士等の専門家と契約するなどコーポレート機能を強化しております。

なお、当社グループ製品の多くは、社会インフラ用の機器システムなどであり、景気変動の影響を受けることはもとより、顧客の購買政策の変化や設備投資に対する政策的判断などの影響を受けることがあります。

また、ウクライナ情勢による世界経済への悪影響が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法律・規制の変更について

当社グループは、日本国内のほか諸外国・地域に製造・販売拠点等を有していることから、下記のような各国の法律・規制等の変更により、完全には回避することが困難なリスクが存在しており、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

・国産化推進による外資規制や優遇策の撤廃、輸入規制、関税率の引き上げ等
・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更等
・地域的な雇用環境の変化、労働関連法令の改正等
・製品の化学物質、廃棄物処理等の環境規制の適用、変更等

当社グループは、このようなリスクを最小限に留めるべく、政府関係機関及び各業界団体等より正確な情報収集に努め、的確かつ迅速に対応してまいります。

 

 

 

(3) コンプライアンスについて

当社グループでは、コンプライアンス(法令・企業倫理の遵守)は、経営の根幹をなすものであり、グループが今後存続・発展していくために不可欠の絶対的な基盤であると考えております。「事業の精神」を礎にステークホルダーとの信頼関係構築(お客様、株主、社会、パートナー及び社員相互の「5つの信頼」の実現)を「行動の原点」として、「企業理念」(日新電機グループは、社会と産業の基盤を支える企業活動を通じて、環境と調和し活力ある社会の実現に貢献します)の実現を目指し、各種法令に十分対応し、遵守していきます。

当社グループは、独占禁止法、安全保障貿易管理、贈収賄防止に係る法令など、様々な法規制の適用を受けております。これらの法令違反行為や企業倫理に悖る行為を行うことにより、法令に基づく処罰、訴訟の提起及び信用・評判の失墜など当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。

コンプライアンス委員会を設置し、行動規範の制定、各拠点・階層における研修会の実施、及び内部通報制度の活用等を通じて、法令違反行為及び企業倫理に背いた行為の発生可能性を低減するよう努めております。

 

(4) 気候変動について

当社グループは、環境配慮製品開発、省エネ活動等、製品ライフサイクル全体で気候変動の原因となる温室効果ガス排出量の削減に積極的に取り組んでおります。一方、温暖化ガス排出ネットゼロの世界に向けた気候変動対策のための制度や規制の導入・強化が進んだ場合には事業活動の制約やコストの上昇などが業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループはアジア圏を中心に海外に事業展開していることから、大型台風や集中豪雨等の自然災害による被害を受ける可能性がありますが、下記の「(5) 災害等について」に記載する対応策を実施し、リスクに対処しております。このような中、当社グループはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同(2021年3月5日)し、気候変動がもたらすリスクと機会の分析を実施しております。

 

(5) 災害等について

当社グループは、大規模災害が発生した際にも被害を最小限に抑え、事業の継続と迅速な復旧を図るため、事業部門ごとに事業継続計画(BCP)を策定し、備えを進めております。また、大規模地震に備え、社員と家族の安否を確認する緊急連絡システムの整備や、事業所ごとに自衛消防隊を組織し、消防署のご指導・ご協力のもと、定期的に訓練を実施しております。

しかしながら、事業を展開している各地域において、予期せぬ大規模な地震や台風、洪水その他の自然災害が発生した場合には、製造・販売拠点の設備破損等の重大な被害を受ける可能性があります。また電力・ガス・水道の供給不足、部材調達の遅れなどの影響を受け生産活動が計画通り進まない可能性があります。

 

(6) 感染症について

当社グループは、行動計画ガイドラインの策定や危機管理体制の構築を進めておりますが、今後の感染症の拡大及びそれらに伴う経済活動の停滞による市場環境の悪化・長期化や人的被害が拡大した場合には、製造・販売拠点の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症に対しては、在宅勤務等リモートワークの積極的な活用、時差出勤等により従業員の健康と安全を確保すると共に、対策会議を定期的に開催し、感染拡大防止策の徹底・対策を講じております。

なお、中国におけるゼロコロナ政策の拡大・継続が、景気の悪化や当社グループの中国拠点の稼働率低下など、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7) 産業事故等について

当社グループの製造拠点において、火災・爆発等の産業事故や環境汚染等の公害事故の発生防止のため、定期的な設備保全や老朽化設備の更新を計画的に実施すると共に各拠点における法律・規制を遵守し厳格な管理のもと操業を行っております。

しかしながら、予期せぬ事態により産業事故等が発生し、当社グループの業務及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む事故対応費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 金融情勢の変動について

当社グループは、有利子負債の割合が少ないことから金融情勢の変動による影響は比較的受けにくくなっておりますが、今後アジア等で資金調達が困難になった場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 為替レートの変動について

当社グループは、各国で製造・販売活動を展開しており、在外子会社の現地通貨建ての財務諸表は連結財務諸表作成のため円換算しております。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、円換算時の為替レートの変動が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、原材料等の海外調達や製品の輸出を行っております。外貨建ての売買取引により生じる外貨建債権債務は均衡している点や、為替予約取引等の手段により短期的な為替変動による影響を最小限に留めるようにしていることから、当社グループの業績及び財政状態に与える影響は限定的であると考えております。

 

(10) 原材料の調達について

当社グループでは、重要資材について政策的な在庫の確保や仕入先の分散化などによって調達リスクの回避に努めており、また、原材料の仕入価格上昇を含めたコストアップを吸収すべく売価の見直しや継続的な原価低減活動を推進しております。

素材や原材料の市況が、地政学的リスクなどに伴い大きく高騰した場合には、価格上昇の影響を抑えきれず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、リードタイムの長い部材の調達について、供給者の倒産、自然災害、交通機能の障害等により、必要量の調達が困難となる可能性があります。この他、半導体不足に伴う当社グループ製品の長納期化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 保有有価証券の時価の下落について

当社グループは、安定した原材料調達や販売先との取引関係の維持・強化を目的として、関係取引先等の株式を保有しております。保有目的に適さなくなった株式、あるいは中長期的な企業価値の向上に資することのなくなった株式は定期的に処分の検討を行っております。売買目的の株式は保有していないため、株式市況の変動が経営に直接与えるリスクは比較的小さいですが、急激な株式市況の悪化は自己資本比率を低下させる可能性があります。

 

 

(12) 人材育成について

当社グループは、理念とビジョン・目標を共有し、コラボレーションを重視し、高い問題解決能力を持ち、海外での事業展開を一層推進すべくグローバルな視点で諸課題に果敢に挑戦していく人材が必要であると考えております。また、従業員の世代交代が進む中、次世代へのコア技術・コア技能の継承の重要性を強く認識しております。

これらに対応するために、積極的に優秀な人材の採用等を進めると共に、階層別教育や技能教育を中心とした人材教育システム、ジョブローテーション、オンザジョブトレーニングの三位一体教育と、コア技術・コア技能を抽出して継承と養成を実施するなどの教育・研修をグループ全体で、また、グローバルな視点で展開することにより、人材育成に努めてまいりますが、人材確保及び人材育成が計画通りに進まない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 知的財産について

当社グループは、特許権、意匠権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、他社の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。

事業活動推進時には、知的財産権問題には十分留意しておりますが、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大、それに伴う流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。

また、各国の法制度や執行状況の相違により、他社が当社グループの知的財産権を侵害しても常に必要な保護が得られるとは限らず、当社グループの製品が十分な市場を確保できない可能性があります。このため、事業を展開する各国・地域の最新の知的財産環境情報を収集し、事業防衛に効果的な権利網の構築を図ってまいります。

 

(14) 情報セキュリティについて

当社グループは、情報セキュリティを取り巻く環境の変化に対応するため、情報セキュリティに関する規程を適時改定し、情報漏洩対策・ウイルス防御ソフト導入・接続デバイス監視などの多層防御に加え、昨今では経産省のサイバーセキュリティ経営ガイドラインの改訂を受けて、これまでの防御だけでなく、ウイルス感染後の被害拡大を防ぐ「攻撃の検知・封じ込め」対策についても環境を整備し、全従業員に対しても情報セキュリティ教育や標的型攻撃メール訓練等の最大限の対策を講じております。

しかしながら、サイバーテロや人為ミスなど予期せぬ事態により、当社グループ及び顧客・取引先の営業秘密を始めとした機密情報の漏洩やシステム障害を完全には防止できない可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 製品及びサービスの品質問題について

当社グループは、各部門において全社共通の品質管理基準に基づき、製品及びサービスの品質保持に万全の注意を払っております。また、万一の事態に備え、企業総合賠償責任保険に加入する等の対策を講じております。

しかしながら、予期せぬ事態により製品及びサービスの欠陥等の品質問題が発生し、製品の納入遅れや工場の生産性低下、リコールとなる可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、製品の再製作費用や損害賠償の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 退職給付費用について

当社グループは、退職一時金、確定給付企業年金の他、確定拠出年金制度を導入しております。従業員の退職給付債務及び費用については、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出しております。

実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、具体的には、株式や債券等の価格下落に伴う年金資産の価値減少などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 企業年金基金の年金資産運用にあたっては、資産運用委員会を設置及び外部の運用コンサルティングの意見を聴取し、運用基本方針の策定、資産構成や資産配分の決定、運用機関の選定等を行っております。

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