業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、ワクチン接種率の増加に伴い、回復の兆しが見えたものの新たな変異株による感染拡大の波、長引くサプライチェーンの課題及びインフレ圧力の高まりの中で、重大な逆風に直面しています。わが国経済についても、ワクチン接種が進み緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の実施が解除され、徐々に経済活動は正常化に向かってはいるものの、新たな変異株の脅威や世界的な部材不足の影響、ウクライナ情勢等、楽観できる状況ではありません。また、特に半導体不足の影響により、当社主要顧客であるコネクタ・電子部品メーカーの設備投資は引き続き活発な状況にあるものの、導入時期調整等の動きも見受けられました。

このような状況の中で、当社グループは地域間の移動制限等により営業活動が一部制限されることもありましたが、国内外の5G関連スマートフォン向けコネクタ及び自動車コネクタやMEMS等の電子部品向け画像処理検査装置の出荷は前期並みに推移しました。

その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は4,070,212千円となり、前連結会計年度末に比べ376,112千円(10.2%)増加いたしました。これは主に、賞与、配当金の支払、法人税等の納税及び本社の増床、大阪営業所の移転に係る支出等により現金及び預金が136,580千円減少、製品並びに原材料及び貯蔵品が51,790千円減少した一方で、受取手形及び売掛金が519,835千円増加したことによるものであります。

当連結会計年度末における固定資産は485,031千円となり、前連結会計年度末に比べ46,401千円(10.6%)増加いたしました。これは主に、在外子会社の留保利益の増加に起因する繰延税金資産の減少17,801千円があった一方で、本社の増床、大阪営業所の移転に伴い有形固定資産が21,593千円増加、敷金及び保証金が42,878千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は685,726千円となり、前連結会計年度末に比べ102,737千円(13.0%)減少いたしました。これは主に、前連結会計年度に係る仕入代金の支払により買掛金が84,224千円減少、及び未払法人税等が38,190千円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末における固定負債は326,892千円となり、前連結会計年度末に比べ26,302千円(7.4%)減少いたしました。これは主に、株式給付信託(J-ESOP)の導入に伴い株式給付引当金が18,287千円増加、及び本社の増床、大阪営業所の移転に伴い資産除去債務が8,370千円増加した一方で、長期借入金が53,328千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計額は3,542,624千円となり、前連結会計年度末に比べ551,553千円(18.4%)増加いたしました。これは主に、配当金支払により利益剰余金が50,103千円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益463,982千円の計上、為替換算調整勘定が91,717千円増加、及び非支配株主持分が25,903千円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は74.5%(前連結会計年度末は69.4%)となりました。

 

 

 

b. 経営成績

連結売上高は3,979,542千円(前年同期比5.8%増)、売上総利益は2,345,027千円(同6.7%増)、営業利益は674,297千円(同3.4%増)、経常利益は691,039千円(同8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は463,982千円(同7.6%増)となりました。

なお、当社グループは、画像処理検査装置事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上689,730千円(前年同期比7.8%増)、減価償却費の計上、及び棚卸資産の減少等の増加要因があった一方で、売上債権の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払、有形固定資産及び無形固定資産の取得、長期借入金の返済、及び配当金の支払等の減少要因があったことにより、前連結会計年度末に比べ137,782千円減少し、当連結会計年度末には2,195,140千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、117,347千円(同85.2%減)となりました。これは主に、売上債権の増加額506,795千円、仕入債務の減少額91,382千円、及び法人税等の支払額208,208千円の減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益の計上689,730千円、減価償却費の計上171,325千円、及び棚卸資産の減少額76,336千円の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、201,264千円(同25.8%増)となりました。これは主に、本社の増床及び大阪営業所の移転、市場販売目的ソフトウエアの改良・強化、及び評価用デモ機の取得等に伴い、有形固定資産の取得による支出51,805千円、無形固定資産の取得による支出104,522千円、及び敷金及び保証金の差入による支出45,591千円の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、123,476千円(同47.7%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出58,808千円、及び配当金の支払額50,021千円の減少要因があったことによるものであります。

 

 

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業は、画像処理検査装置事業の単一セグメントであります。

 

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

画像処理検査装置事業(千円)

1,440,697

95.5

(注)金額は、製造原価によっております。

 

b. 受注実績

 当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

画像処理検査装置事業

3,674,353

90.3

446,729

61.0

 

c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

画像処理検査装置事業(千円)

3,979,542

105.8

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社たけびし

718,176

19.1

725,880

18.2

深圳市菱電高精密設備有限公司

345,701

9.2

480,402

12.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等)

a. 財政状態の分析

 財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b. 経営成績の分析

 (売上高)

 当連結会計年度の売上高は3,979,542千円(前年同期比5.8%増)となりました。地域間の移動制限等による営業活動の一部制限、半導体不足による設備投資時期調整等の影響を受ける事もありましたが、主要顧客であるコネクタ・電子部品メーカーの設備投資が活発であることを背景に、国内外の5G関連スマートフォン向けコネクタ及び自動車コネクタやMEMS等の電子部品向け画像処理検査装置の出荷は前期並みに推移しました。

 なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについて)」に記載した仮定及び現状を勘案しますと、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が当連結会計年度及び有価証券報告書提出日現在における足元の経営成績に与える影響は限定的と考えております。

(単位:千円)

 

 

2021年3月期

2022年3月期

増減率

国内売上高

2,324,338

2,389,017

2.8%

海外売上高

1,436,331

1,590,524

10.7%

うち、アジア地域

1,429,185

1,578,268

10.4%

うち、その他地域

7,146

12,255

71.5%

合   計

3,760,670

3,979,542

5.8%

 

 国内売上高は、2,389,017千円(前年同期比2.8%増)となりました。地域間の移動制限等による営業活動の一部制限、半導体不足による設備投資時期調整等の影響を受ける事もありましたが、前連結会計年度と比較して営業訪問を増やす等、既存顧客及び新規顧客との関係深耕を進めて参りました。また、コネクタ・電子部品メーカーの設備投資が活発であることを背景に、既存顧客を中心とした5G関連スマートフォン向けコネクタ及び自動車コネクタ等の電子部品向け画像処理検査装置の販売が前期並みに推移しました。

 

 海外売上高は、1,590,524千円(前年同期比10.7%増)となりました。主力の中国市場及び東南アジア市場においては、地域間の移動制限等による営業活動の一部制限、半導体不足による設備投資時期調整等の影響を受ける事もありましたが、コネクタ・電子部品メーカーの設備投資が活発であることを背景に、販売が堅調に推移しました。また、韓国市場においても前連結会計年度後半から当連結会計年度にかけて企業の設備投資再開の動きが見られたことから、売上高は前年同期比で増加に転じました。

 

 (売上原価、販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における売上原価は、1,634,514千円(前年同期比4.6%増)となりました。これは、売上の増加に伴うものであります。

 販売費及び一般管理費は、1,670,730千円(前年同期比8.1%増)となりました。営業・開発力強化のための継続的な人的投資に伴う人件費及び研究開発費の増加、譲渡制限付株式報酬制度(RS)及び株式給付信託(J-ESOP)の導入に伴う株式報酬費用・株式給付引当金繰入額等の費用発生、本社の増床・大阪営業所の移転に伴う地代家賃等の増加、及び新型コロナウイルス感染症による制限は依然としてあるものの、営業活動に係る旅費交通費が前年同期比で増加に転じたことにより、売上高に対する比率は前連結会計年度の41.1%から42.0%へ減少しました。

 以上の結果、営業利益は674,297千円(同3.4%増)となりました。

 

 

 (営業外収益、営業外費用)

 営業外損益は、受取利息、為替差益等25,718千円の営業外収益を計上し、支払利息、支払手数料等8,977千円の営業外費用を計上した結果、経常利益は691,039千円(同8.0%増)となりました。

 

 (特別利益、特別損失)

 特別損益は、固定資産売却益510千円の特別利益、固定資産除却損1,818千円の特別損失を計上した結果、税金等調整前当期純利益は689,730千円(前年同期比7.8%増)となりました。

 

 (法人税等、法人税等調整額)

 法人税、住民税及び事業税は、170,093千円(前年同期比6.6%減)となりました。また、法人税等調整額は、18,070千円(損失)(前年同期は3,009千円(利益))となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、463,982千円(前年同期比7.6%増)となりました。

 

c. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 資金需要は、主にデモ機作成等の設備投資、製品・ソフトウエアの開発、営業人員の採用・増員に伴う人件費の増加、及び業容拡大に伴う運転資本の確保から発生しております。現在の経営環境及び経営方針を考慮した場合、上記の資金需要については、従来どおり内部資金を中心とした調達で対応可能と認識しております。

 

(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループは、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。

 当社グループの資金調達を当社で一元化し、事業活動における資本効率の最適化を図るとともに、当社グループ内の運転資金管理の効率化を図っております。当社は、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えております。

 また、資金需要に応じて株式の発行及び金融機関からの借入により資金を調達することが可能であります。

 設備投資、製品・ソフトウエアの開発及び営業人員の採用のための資金については、主として内部資金により充当することとしておりますが、必要に応じて株式の発行や借入により資金を調達することとしております。当社は、資金需要に応じた効率的な資金調達及び流動性確保のため、取引銀行3行と総借入限度額900,000千円のコミットメントライン契約を締結しております。

 なお、当連結会計年度末におけるコミットメントライン契約に係る借入未実行残高は800,000千円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについて)」に記載のとおりであります。

 

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