2022年3月期の活動の成果は、以下の通りであります。
ソリューションシステム事業では、DX領域での共創が開発から成果を目指すフェーズへ移行しつつあり、また推進の要となるDXエコシステムの構築が進みました。OKIの注力分野である交通、建設/インフラ、防災、金融・流通、製造、海洋の各分野における共創パートナーは105社、そして技術的なアライアンスをするAIエッジパートナーは115社に増えました。これらパートナーの拡大、新商品の投入、POCなどの活動によりDXを推進しております。
コンポーネント&プラットフォーム事業では、今後の成長を支えるための構造改革は計画通り進捗しており、一定程度の効果も出ております。また、情報機器事業におけるプリンターエンジンの共同開発など新たなパートナー戦略などの成果も出てきました。
これらの一方で、コロナ禍の想定以上の長期化、サプライチェーン影響の拡大といった非常に厳しい事業環境が続いております。そのような厳しい事業環境ではありましたが、将来に向けた投資と構造改革は着実に実行しました。収益性の改善は十分とはいえないものの、持続的成長に向け引き続き取り組んでまいります。
2022年3月期の業績については、以下の通りであります。
売上高は3,521億円、前連結会計年度比408億円の減収となりました。前期末から回復基調にあるFA/半導体製造装置向けは好調を維持し、為替による増収影響もありました。しかしながら、不安定な部材供給状況が長期化しており、調達できない部材の範囲が拡大したことにより、生産遅延が継続しております。加えて、前期の大型案件の影響も重なり、大きく減収となりました。
利益面につきましては、部材不足や部材価格の高騰を中心としたサプライチェーン影響が大きく、構造改革効果による固定費減や中国向けATM債権に対する貸倒引当金32億円の戻入によるプラスがあったものの、営業利益は前連結会計年度比30億円減益となる59億円となりました。なお、部材不足による生産遅延影響として売上高で約300億円、営業利益では約83億円のマイナス影響があったと想定しております。
経常利益は、営業外区分に含まれる為替差損益の改善などにより、前連結会計年度比11億円減益となる77億円となりました。
これらに加えて、資産売却に伴う特別利益が11億円あった一方で、特別損失として中国プリンター工場の収束や欧米販社の構造改革等に伴う事業構造改善費用28億円、並びに法人税等21億円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比29億円良化し、21億円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用していることに伴い、売上高は6億円減少しております。また、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外子会社において、当連結会計年度第4四半期より、2021年4月に公表されたIFRS解釈指針委員会(IFRIC)によるアジェンダ決定「クラウド・コンピューティング契約にかかるコンフィギュレーション又はカスタマイズのコスト(IAS第38号)」を踏まえ、会計方針を変更しました。これに伴い、前連結会計年度の数値については、当該会計方針の変更を反映した遡及修正後の数値を記載しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
事業別の業績状況は、以下の通りであります。
なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントの区分及び測定方法を変更しております。そのため、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分及び測定方法により組み替えた数値で比較しております。
ソリューションシステム事業の売上高は1,626億円、前連結会計年度比で282億円の減収、営業利益は95億円、同68億円減益となりました。不安定な部材供給状況が継続しており、事業全般において生産・売上影響を受けたほか、前期大型案件の反動減、期ズレなどあり、エンタープライズソリューション事業領域及びパブリックソリューション事業領域を中心に減収となりました。なお、部材不足については、主に、エンタープライズソリューション事業領域及びDXプラットフォーム事業領域のネットワーク端末やPBXなどの製品のほか、サーバーやネットワーク装置など機器にも影響が広がっております。
コンポーネント&プラットフォーム事業の売上高は、1,890億円、前連結会計年度比で125億円の減収となりました。モノづくりプラットフォーム事業領域においてはFA/半導体製造装置向けが好調を維持するものの、部材不足による生産・売上影響が大きく、減収となりました。利益面につきましては、減収影響の一方で、情報機器の構造改革による固定費削減効果及び中国向けATM債権に対する貸倒引当金32億円の戻入などあり、営業利益は35億円、同45億円良化となりました。
その他の事業の売上高は4億円、前連結会計年度比で2億円の減収、営業利益は3億円、同4億円良化となりました。
総資産は前連結会計年度末から23億円減少の3,692億円となりました。自己資本は、親会社株主に帰属する当期純利益を21億円計上した一方で、その他の包括利益累計額が43億円減少したこと及び普通配当を17億円実施したこと等により、前連結会計年度末に対して40億円減少の1,074億円となりました。その結果、自己資本比率は29.1%となりました。
資産では主に、棚卸資産が108億円、有形固定資産が64億円増加した一方で、現金及び預金が81億円、受取手形、売掛金及び契約資産が109億円減少しております。
負債については、前連結会計年度末並みの2,615億円となりました。借入金が92億円増加した一方で、リース債務が32億円、繰延税金負債が29億円減少しております。なお、当連結会計年度末の借入金は872億円となりました。
また、当連結会計年度の営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローとをあわせたフリー・キャッシュ・フローは117億円の支出(前連結会計年度36億円の収入)となりました。営業キャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益を計上したことにより、59億円の収入(同174億円の収入)となりました。投資キャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出等があったことにより、176億円の支出(同138億円の支出)となりました。
財務キャッシュ・フローは、主に借入れによる収入等があったことにより、17億円の収入(同89億円の支出)となりました。
以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額による増加15億円により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末の418億円から334億円となりました。
事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入金等により充当することとしております。このうち、運転資金については短期借入金及び長期借入金で調達しております。また、生産設備などの長期資金については長期借入金により調達しております。長期資金については固定金利で調達し、金融機関等との個別借入の他、シンジケートローンも合わせて利用しております。
また、資金繰りについては、国内キャッシュ・マネジメント・システムを活用し、連結子会社の資金を当社に集中することで資金効率化を図り、借入金の圧縮に努めております。
現在保有している手元現預金は余裕を持った水準で推移しております。主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、事業活動に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しておりますが、部材不足や原材料の高騰を中心としたサプライチェーン影響や新型コロナウイルス感染症等の不測の事態に備え資金調達の安定化を図るため、コミットメントライン契約を継続しております。
OKIグループ(当社及び連結子会社)は財務上の規律を重視し、今後も事業活動により創出されたフリー・キャッシュ・フローを基本的な原資としたうえで、必要な資金については効率的な調達を行うことを基本としております。
また、運転資金の効率的な調達を行うため当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末現在の未使用残高は、541億円となっております。
なお、当連結会計年度末の借入金及びリース債務の概要は以下の通りであります。
(単位:億円)
契約債務 |
年度別要支払額 |
||||
合計 |
1年以内 |
1年超 3年以内 |
3年超 5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
223 |
223 |
- |
- |
- |
長期借入金 |
649 |
211 |
311 |
127 |
- |
リース債務 |
137 |
39 |
64 |
28 |
5 |
注1)連結貸借対照表上、「短期借入金」として表示されている1年内に返済予定の長期借入金(211億円)は、本表においては、「長期借入金」として表示しております。
注2)オペレーティング・リース取引のうち、解約不能のものに係る未経過リース料は56億円であります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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