事業等のリスク

2【事業等のリスク】

OKIグループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。なお、当該事項は2022年3月31日現在においてOKIグループが判断したものであります。

また、業績に影響を与える要因は、これらに限定されるものではありません。OKIグループはこれらのリスクを認識し、その影響の最小化に取り組んでまいります。

 

(1)世界の政治経済の動向に係るもの

OKIグループの製品に対する需要は、OKIグループが製品を販売している日本国内外の各地域の政治経済状況の影響を受けます。

OKIグループの海外市場における売上は当連結会計年度においては549億円(連結売上高比率15.6%)であります。それらの地域は、米州、欧州、アジア等の市場であり、それらの地域の景気後退及びそれに伴う需要の縮小、製品に対する輸入規制を含む各地域の法律・規制等の変更は、OKIグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、各事業における海外向け売上については、定期的に売上状況等をモニタリングするとともに、海外各国の政治経済の変動による影響を極力早期に認識するよう努め、売上が個別地域に過度に集中しないようにする等適切な対策が必要であることを認識しております。

 

(2)カントリーリスクに係るもの

OKIグループは海外に33の子会社を有しており、数多くの販売・生産拠点が存在しております。内訳としては、主な生産・製造拠点として、タイ、ベトナムがあります。また、主な販売拠点として、欧州、米国、中国のほか、インド等があります。

それらの国、地域において、感染症、公害病等の疾病の蔓延に起因した社会的混乱、生産、物流の停滞等が発生する可能性があり、それらの影響を受け、原材料部品の調達の支障、生産の遅延等により事業そのものに悪影響が及ぶ可能性があることを認識しております。

さらには、クーデター・紛争・革命、または、暴動・テロ・自然災害等による社会的混乱、それらに関連して、OKIグループの資産の接収、収用、また、人的・物的被害が発生する可能性があることを認識しております。

そのようなリスクが高まる場合、または、具体的な危機事象が発生した場合は、代替の原材料部品・物流ルートの確保、また、関連する拠点の機能の移管、それらの影響により人材が不足する場合は、補完人員の確保等の代替手段の確保が必要であると考えております。

また、発生した事象を的確に分析し、採算性も含め適切な事業運営が継続できないと判断した場合には、撤退も含めた対応の検討が必要であることを認識しております。

 

(3)外国為替の影響に係るもの

OKIグループは日本国内外の政治経済の状況に影響を受ける為替変動リスクにさらされており、その結果、OKIグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

しかしながら、外貨建て資産と負債のポジション不均衡に対して、一定の方針に基づき為替予約やマリー等によりリスクヘッジを実施しております。さらに、投機的な取引は原則禁止しております。これらにより、OKIグループとして外国為替の影響を極力抑制するよう努めております。

 

(4)金融市場・金利変動に係るもの

OKIグループの有利子負債は、金融市場及び金利変動の影響を受けます。現在のOKIグループの長期・短期借入金残高の合計は872億円でありDEレシオは0.8倍となっております。また、当連結会計年度における支払利息は13億円であります。金融市場、または、OKIグループの信用力の変動等により、借入金利の上昇、資金調達方法の制限等が発生した場合、OKIグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

しかしながら、借入には、金利スワップ取引を行う等さまざまな対策を講じるとともに、健全な借入レベルを維持するよう努めております。従いまして、OKIグループとして金利上昇の影響は極めて限定的と考えております。

また、株式市場の低迷や資産の運用環境が悪化した場合には、OKIグループが保有する上場株式や年金資産の価値が下落し、評価損の計上や純資産の減少により、OKIグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、政策保有株式については、毎年個別銘柄ごとに定量的・定性的要因を考慮し、保有株式の縮減に取り組んでおります。

また、年金資産は企業年金の積立金の運用を行っておりますが、その運用目標等は、資産運用委員会が起案し、代議員会にて決定しております。両会のメンバーは、従業員代表、並びに、財務及び人事部門の専門性を有するもので構成されております。

 

(5)法規制に係るもの

OKIグループは事業展開する日本国内外の各地域において、事業・投資の許認可、国家安全保障、環境関連法規制、情報保護関連規制、外国貿易及び外国為替法関連規制、経済制裁規制等の理由による輸出入制限、税務制度等、さまざまな法規制の適用を受けております。

また、国内においては、製品・サービスにかかわる法規制・技術基準、下請法、建設業法、労働安全衛生法、独占禁止法等の法規制、さらには、インターネットその他の高度情報通信ネットワークに関連しては、サイバーセキュリティ基本法等の適用も受けております。

国内外において、これらの法規制(類似・同種の法規制含む)を遵守できなかった場合、追加費用の発生、並びに、お客様の信用、社会の負託を失うこととなり、結果としてOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

しかしながら、上記の法規制をはじめとしてOKIグループの事業に密接に関係する各法規制については、OKIグループ内にて法規制の遵守を徹底させるべく、統括する主体となる部署を指定し、社員教育の推進、遵守状況のモニタリング等、全社横断的に法規制の遵守を推進しております。

なお、個別項目においても法規制が関係する場合には、当該項目にて法規制影響等について記載しております。

 

(6)事業別市場の動向・製品・サービスに係るもの

OKIグループでは、事業セグメントとして、①ソリューションシステム事業②コンポーネント&プラットフォーム事業に区分し、それぞれ取り扱う製品・サービス機軸について日本国内外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。それぞれの事業の状況は以下の通りであります。

 

①ソリューションシステム事業

OKIグループにおけるソリューションシステム事業は売上高1,626億円(連結売上高比46%)、営業利益95億円であります。当事業におけるビジネス領域は、各種社会インフラシステム、通信キャリア向け機器、金融・流通関連システム、IoT関連システム等多岐にわたります。

特に近年では、DXに対する社会の期待と目覚ましい発展、急速な技術進化と社会実装が進展しているIoT、AIの活用、5Gのサービスが開始される等、OKIグループのソリューションシステム事業において、それらの領域に注力し、持続的に成長することが重要課題であることを認識しております。

 

②コンポーネント&プラットフォーム事業

OKIグループにおけるコンポーネント&プラットフォーム事業は売上高1,890億円(連結売上高比54%)、営業利益は35億円であります。当事業におけるビジネス領域は、さまざまな自動化端末・機器の提供と運用サービスを行うコンポーネントビジネス領域と、EMS(Electronics Manufacturing Services)/DMS(Design & Manufacturing Services)を中心にモノづくりそのものをサービス提供するプラットフォームビジネス領域で構成されております。

コンポーネントビジネス領域は、現金処理機、ATM、発券端末、プリンターといった商品群を、社会インフラを中心とする多様なお客様に提供しております。電子マネー、ペーパーレスという大きな流れを認識しつつ、継続して取り組んでいる社会課題「労働力不足」を解決するための自動化商品や、「非対面」「非接触」といった社会ニーズに応える新商品の継続的な開発・リリースが重要課題であることを認識しております。

また、プラットフォームビジネス領域は、プリント配線基板・ケーブルといった構成品レベルの提供から、受託製品の設計開発・生産・評価試験まで幅広くモノづくりプロセスをサポートしております。EMS、自動機、情報機器の3領域の統合効果を活かした受託プロセス・受託製品の対象拡大を行いながら得意とするハイエンド市場での売上拡大が重要課題であることを認識しております。

 

OKIグループとして、上記の2つの事業における市場動向への追随、お客様のニーズに叶う製品設計・サービスが実施できない場合、既存事業にとらわれない研究開発やイノベーションが功を奏せず、新商品・新技術の創出が為されない場合、新たな収益源となるような新事業が構築できない場合は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

しかしながら、OKIグループでは、商品開発の加速、成長領域へのリソースの再配置、既存市場における一層深度ある事業展開等に継続注力し、事業の成長・継続に努めております。

 

(7)調達に係るもの

OKIグループでは、特定の製品、部品や材料を複数の調達先より調達する仕組みを取っております。自然災害やそれら調達先の事業方針転換等不測事態の発生による資材調達不足、さらには、それらに影響を受けてOKIグループ自体の工場稼働率の低下等による納期の遅延等が発生する場合において、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

OKIグループでは、資材不足、生産設備の非稼働が余儀なくされる場合は、資材調達先の代替確保、代替生産設備の確保等に尽力する体制を構築しております。

これらにより、OKIグループとして調達に係るリスクの影響を極力抑制するよう努めております。

 

(8)重要な特許関連契約及び技術援助契約に係るもの

OKIグループは、複数の企業との間で特許関連契約または技術援助契約を締結しております。これらの契約が適正に遂行されない場合の他、不公平な内容で契約が締結された場合、また、その特許、援助技術が適正に活用されない場合には、OKIグループの関連する事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、OKIグループの製品・サービスには、OKIグループ独自の特許、技術を効果的に活用し、多方面にわたり、その性能に反映させております。

また、関連する契約に関しては、社内の知的財産、及び法務に関連する専門部署による内容の精査等を実施しております。

これにより、OKIグループとして特許関連契約並びに技術援助契約に関するリスクの影響を極力抑制するよう努めております。

 

(9)品質に係るもの

OKIグループは提供する製品・サービスについて品質管理の徹底に努めておりますが、品質不良に起因し、リコールの処置費用及びお客様あて賠償費用が発生する可能性があります。

しかしながら、OKIグループ「品質理念」のもと、事業ごとに品質責任と権限を定め、個々の事業特性に則した品質マネジメントシステムを構築し、商品の企画から製造・保守・運用に至るまで、全ての業務プロセスにおいて、品質向上に努めております。

特に安全に関しては、法令遵守に留まらず、OKIグループ「商品安全基本方針」に従った安全・安心の確保に取り組んでおります。

これにより、OKIグループとして品質に関するリスクの影響を極力抑制するよう努めております。

 

(10)M&A、アライアンスに係るもの

OKIグループは、業容拡大、経営の効率化等を企図して、研究開発、製造、販売等、多岐にわたり他社とのアライアンス、事業買収、関係会社の統合等を適宜推進しております。

しかしながら、経営戦略、製品・技術開発、資金調達等について相手先との当初想定の協力関係が維持できない場合や、不公平な内容の契約締結、関連契約の相手先による一方的な反故、契約違反等が発生した場合、また、M&A、アライアンスにより挑もうとした市場において、当初想定した市場の開拓がなされない場合は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

一方で、相手先との取引開始時には、先方についての信用調査、コンサルタントの活用、また、各種の契約締結時には、社内の知的財産、及び法務に関連する専門部署による内容の精査、市場調査等を実施し、M&A及びアライアンスに関するリスクの影響を極力抑制するよう努めております。

 

(11)環境保全に係るもの

OKIグループでは、生産活動において、大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる化学物質等を使用・排出する工場があります。また、工場やオフィスにおける電力等のエネルギーの使用やお客様による製品使用を通じて間接的にCO2を排出しております。

気候変動に伴う社会変動リスク(移行リスク)としては、投資家やお客様等から、再生可能エネルギーの導入等による温室効果ガスの排出量の抑制等への要求が急速に高まりつつあり、こうした要求に応えられない場合や、OKIが得意とするIoT/AI/制御等の技術を気候変動に伴うビジネス機会に活かせない場合には、販売機会の逸失等のリスクになると考えられます。

また、気候変動の影響による風水害等の激甚化に伴うリスク(物理的リスク)としては、自社及び取引先における工場や調達先の被災による、事業所資産の損失/稼働停止/サプライチェーンの寸断リスクなどが挙げられます。

このほか、風水害等に起因し許容範囲を超えて環境汚染が生じるリスクがあります。環境汚染が発生した場合、賠償責任の発生や販売機会を逸するリスクがあります。

OKIグループでは当該リスクを低減するために、ISO14001統合認証を取得し、環境法規制等の遵守、環境負荷の低減活動、環境関連データの監視、再生可能エネルギーの導入検討のほか、気候変動起因のBCP/BCM、環境貢献売上高の拡大等を推進しております。

その一環として、2020年10月に発表した中期経営計画2022にて工場を含む全拠点で使用するエネルギー起源CO2排出量を2050年に実質ゼロとする長期目標を中長期環境ビジョンに追加する内容として発表し、この目標の達成に向け、本庄工場H1棟が大規模生産施設として国内初の『ZEB(Net Zero Energy Building)』を取得するなど、再生可能エネルギーの導入を進めております。

これらの活動により、OKIグループに関連する環境リスクは限定的と考えております。

 

(12)社内システムに係るもの

OKIグループでは、社内業務において多種多様なコンピューターシステムを運用しております。システムの運用については、適切な使用、システムトラブルの回避、情報の社外漏洩の防止等を実施すべく、各種マニュアル類の制定、システム機器の適切な取扱いの励行、情報の暗号化等、多面にわたり対応を行っております。

しかしながら、防御策を講じてもなお外部からのサイバー攻撃、コンピューターウイルスの感染、システム機器の不適切な取扱等により、システムの停止、情報漏洩の発生等の可能性があることを認識しております。

OKIグループでは、このような事態を極力抑制するため、再三にわたる社員教育の徹底、システムの運用状況のモニタリング、情報セキュリティの推進体制の整備を継続しております。特に新たに認識した課題については、是正ならびに強化策の対応を推進しております。

 

(13)人材に係るもの

OKIグループが、社会やお客様のニーズを理解し、最適な商品・サービスを提供し続ける為に、経営から現場まであらゆる領域で多様性を持ちながら適材を確保し、一人ひとりが十分に力を発揮する必要があります。

OKIグループの年齢構成は50歳代にピークがあり、今後離脱が増えることが想定されております。

また、特に、ニーズを理解しDXにつなげていける人材、グローバルに活躍できる人材、競争力あるモノづくりを実現する人材等は労働市場での獲得競争が激しいことが想定されております。

離脱者の補完や必要人材の確保ができない場合、今後のOKIグループの中長期的な事業推進に悪影響を及ぼす可能性があります。

OKIグループでは、質・量ともに十分な人材を確保するために、採用方法を見直し強化して採用増を実現し、全員参加型イノベーションの浸透を起点に人材を育成し、事業間の人員のシフトやシニア人材の活用を行ってまいります。

また、時間と場所に制約されない働き方を実現する制度の導入や、役割とその遂行を軸足とする評価、さらには多様性についての継続的教育により、多様な人材が活躍できる職場づくりを行っております。

 

なお、カントリーリスクの項にて感染症の発生をリスクとして認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症については、顕在化した危機と認識して対応を継続しております。

社長を本部長、企画、経理、調達、広報等のコーポレート部門、各事業本部等を構成員とする対策本部では、2019年度から継続してグループ横断的に対策を検討、推進しております。2020年6月に定めたOKIグループとしての「感染症予防対策ガイドライン」にて、感染症に対する予防対策を行う際の基本的事項を示し、政府等の方針を踏まえた対応を継続しております。また、リモートワークの推進等新型コロナウイルス感染予防対応を契機とした生産性、効率性を維持・向上させる体制づくりが、Withコロナに向け必要であることを認識し組成された個別プロジェクトを中心に、引き続き働き方の見直しを引き続き、推進をしております。

 

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