OKIグループ(当社及び連結子会社)は、“OKIは「進取の精神」をもって、情報社会の発展に寄与する商品を提供し、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献する。”という企業理念のもと、創業150周年となる2031年に目指す姿として“モノづくり・コトづくりを通して、より安全で便利な社会のインフラを支える企業グループ”を掲げております。
気候変動、新型コロナウイルスの感染拡大など地球規模の課題を背景に、持続可能な社会を実現するための取り組みが待ったなしで求められる中、「中期経営計画2022」においては、キーメッセージ「社会の大丈夫をつくっていく。」のもと、構造改革を実行するとともに、マテリアリティ(後述)を特定し、社会課題の解決を通じた持続的成長を実現するための土台作りを着実に実行してまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染収束の見通しがたたない中、半導体を中心とした部材不足と物流の混乱による減産を余儀なくされました。このような事業環境の変化が与える影響は大きく、現中期経営計画の最終年度でもある2022年度については中期経営計画で掲げた経営目標値を下回る見通しであります。現下の状況に鑑み、当該年度については「サプライチェーン影響等への対策強化」を喫緊の優先課題として、全社を挙げて取り組んでまいります。
そのうえで「成長に向けた土台作り」のために、AIエッジ技術やモノづくりなどOKIの技術的な優位性をさらに強化するためのモノづくり基盤の強化やグループ共通機能のコスト改革などの構造改革を引き続き実行いたします。
あわせて次期中期経営計画策定に向け、取り組むべき課題としては「成長への舵切」、「環境変化への対応力」であり、その課題解決のためには組織横断型の技術・商品・ソリューション創出が必要であるとの認識でおります。具体的な戦略、施策などについては2022年度中にその策定を進めてまいります。
<サステナビリティの取り組み>
OKIは長年にわたり、企業理念に基づいて広義の社会インフラを支え、社会に貢献してきたことを誇りとしております。「中期経営計画2022」においては、こうした姿勢を長期に継続し、「社会の大丈夫をつくっていく。」ために必要なマテリアリティ(重要課題)の特定を行いました。これは、OKIの事業が目指す方向性と、社会・ステークホルダーの期待・要請の両面から取り組むべき課題を抽出し、社会価値創出および経営基盤強化の観点から優先度を整理したものであります。
マテリアリティに掲げた各項目については、表に示すとおり、関連する環境・社会・ガバナンス(ESG)のテーマを設定し、具体的な取り組みに落とし込んで実行しております。また推進体制として、社長執行役員をオーナーに、コーポレートの関係部門と事業本部・営業本部の代表者で構成する「サステナビリティ推進ワーキンググループ(WG)」を設置しております。WGはグループの一人ひとりが「我が事」としてサステナビリティに取り組むことも大きなテーマとしており、2021年度は社内向けのオンラインフォーラムなどを実施しました。引き続き、取り組みの進捗の的確な開示、これに基づくステークホルダーとの対話と活動へのフィードバックなどを進めてまいります。
OKIグループのマテリアリティとESGへの取り組み
<環境への対応>
OKIグループは、深刻化する気候変動、社会課題の解決を通してより良い地球環境を次世代に継承することをミッションと捉え、環境に関連する経営上のリスクや機会を中長期の視点で考慮し、環境経営を推進しております。製造工程におけるCO2排出など環境負荷の軽減とともに、環境課題の解決に寄与する商品・サービスの提供を推進しております。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※1)に沿った開示情報
OKIは経済と環境の好循環の観点から2019年5月にTCFDに賛同し、気候関連のリスクや機会とそれらに対する対応策を組織的に管理するとともに、その内容の情報開示の充実を図っております。
ガバナンス |
気候関連リスクの取締役の監視体制と経営者の役割 ●気候関連リスク管理をはじめとする環境経営推進の最高責任者は、代表取締役社長であります。環境に関する重要事項については、経営会議などの場において決定しております。 ●サステナビリティ推進WGは、気候変動を含む持続的成長に関連する議題を検討し、経営会議への報告を行っております。 ●取締役会に対しては、事業に大きな影響を及ぼす事項が報告されます。
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戦略 |
シナリオ分析 ●国際機関が発行する気候変動に関するレポートなどを踏まえて、物理的/移行リスクを特定し、気温上昇が4℃になった場合の気候変動の激甚化、気温上昇を2℃や1.5℃に抑えるための社会変動を念頭にシナリオ分析を行っております。 ●シナリオ分析には、気候変動、資源循環、汚染の予防の観点も網羅し、これらのシナリオ下におけるリスクと機会を特定し、次ページ以降のように対応策を設定しております。 |
リスク管理 |
リスクの選別・評価プロセス ●年に1回以上、気候変動やその他の最近の事象を抽出し、これらがもたらすリスクや機会の影響度/頻度/発生時期などを評価し重要度を特定しております。 リスクの管理プロセス ●上記のリスクと機会に対する対応策を検討し、環境経営のグループ全体の計画を策定し、各組織や各拠点の環境実行計画に落とし込んでおります。これら計画の実行状況は内部監査などによりチェックされ、必要に応じて是正されます。 総合的リスク管理の統合方法 ●社長の責任のもと、OKIグループ全体の環境マネジメントシステムにおいて統合的に管理されております。各事業本部とコーポレート本部が連携し、計画・実行・監視・是正を行っております。グループ全体のリスクを管理するリスク管理委員会が定める「共通リスク」として、顕在化予防のための施策をグループ内に展開しております。 |
指標・目標 |
使用する指標 ●CO2排出量 ●環境貢献売上高 SCOPE1,2,3 ●当社Webサイトをご参照ください。 目標 <CO2排出量> ●ライフサイクルCO2※2:目標は2030年40%削減、2050年80%削減(2013年対比)としております。 ●拠点からのエネルギー起源CO2排出量:目標は2030年度50%削減(2013年対比)、2050年度までに実質ゼロとしております。 <環境貢献売上高> ●目標を対グループ全体売上高比率2030年度50%としております。 |
※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):気候変動に対する企業の対応について、投資家への情報開示の必要性を勧告する提言
※2 ライフサイクルCO2:調達→事業拠点→物流→お客様による製品使用*→使用済み製品の廃棄の各プロセスにおけるグループ全体のCO2排出量
*お客様による製品使用=製品の想定耐用年数×年間消費電力×販売台数×排出原単位
シナリオ分析を踏まえた戦略
気温上昇を2℃未満に抑えるための社会の変化が進むと、炭素税などの法制、技術進化、市場ニーズの変化などが生じ、OKIの脱炭素ソリューションへのニーズが高まると分析しております。気温上昇が3〜4℃となった場合、気候変動の影響による激甚災害に伴う物理的リスクが高まり、OKIの自社拠点を含むサプライチェーンに重大な影響が生じる可能性があります。また、激甚災害の予防策としての防災情報システムなどのニーズが高まると考えられます。
シナリオ分析 |
戦略・施策 |
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カテゴリー |
想定する事象 |
リスク/機会 |
将来の財務への影響 |
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気候変動 2℃シナリオ 【移行リスク】
IEAの持続可能な 開発シナリオ(SDS)とIPCCのRCP2.6を参照 |
●脱炭素ニーズの一層の高まり、広範囲化 |
リスク |
●ハードウェア製品に対する省エネ基準や顧客要求未達による販売機会の喪失 ●製造プロセスに対するお客様からの再生可能エネルギー使用の要請への対応 ●事業拠点における脱炭素強化に伴うコストアップ |
●商品:ハードウェア製品の省電力化 ・規制強化を先取りした開発目標の設定 ・研究開発の強化 ●拠点:CO2排出量削減施策の効果的な組み合わせによる推進 ・生産設備の効率化、生産工程の効率化・革新 ・工場のネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化 ・再生可能エネルギーの導入 |
機会 |
●脱炭素/省力化ソリューション需要の拡大 ●再生可能エネルギー普及を支援する技術ニーズの拡大 ●ハードウェア製品に対する再生可能エネルギー駆動型製品の需要拡大 |
●商品:環境貢献商品の拡大と創出 ・環境貢献売上高の見える化と訴求 ・IoTやAIを活用した脱炭素/省力化ソリューションの創出 例:交通分野、建設/インフラ分野、金融・流通分野、海洋分野、ビジネスコミュニケーション分野、ビルエネルギー管理分野 ・業務受託によるお客様業務の効率化支援 例:ATMのフルアウトソースサービス ・再生可能エネルギー駆動型ハードウェア製品の拡大 例:ゼロエナジーゲートウェイ ・研究開発の強化(AI軽量化など) |
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気候変動 4℃シナリオ 【物理的リスク】
RCP8.5を参照 |
●異常気象の増加と激甚化(風水害の増加/極端な熱波・寒波/落雷増加) |
リスク |
●拠点・調達先:工場や調達先の被災による、事業所資産の損失/稼働停止/サプライチェーンの寸断 ●拠点:気温上昇に伴う装置故障 |
●拠点:気候変動BCP/BCMの強化 ・止水板の設置、設備の嵩上げ ・製造設備の落雷時停止装置 ・検査装置における空調設備の冗長化 ●調達先:調達BCPの強化 ・調達先に対する気候変動リスクの調査の強化 |
機会 |
●商品:防災・減災高度化需要の拡大(防災分野、海洋分野) |
●商品:防災情報システムなどの事業展開強化 |
シナリオ分析 |
戦略・施策 |
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カテゴリー |
想定する事象 |
リスク/機会 |
将来の財務への影響 |
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化学物質による 汚染の予防 |
●対象法令物質の拡大、複雑化 |
リスク |
●商品:含有化学物質の基準違反 ●拠点:施設老朽化に伴う排出基準違反 |
●商品:グループ全体の運用共通化の強化 ●拠点:点検・交換基準の見直し |
機会 |
●商品:化学物質管理の効率化需要の拡大(製造分野) |
●商品:製品含有化学物質の分析サービス、調査システムの展開 |
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資源循環 |
●海洋プラスチック、マイクロプラスチック対応の法令強化 |
リスク |
●拠点:廃棄物処理費用の高騰、処分業者による引き取り拒否 ●商品:資源の枯渇リスク、部材の供給不足リスク |
●拠点:廃棄物削減 ・プラスチック梱包材のリユース ・金属素材からの採取率向上による廃棄率削減 ●商品:広域認定処理制度を活用した使用済み製品からの部品回収とリユース |
機会 |
●商品:省資源製品やリサイクルサービスの需要拡大 |
●商品:広域認定処理制度を活用した使用済み製品回収によるお客様負担の軽減 |
<当社ネットワークに対する不正アクセスへの対応>
当社は、2021年11月8日、当社ネットワークに対する第三者からの不正アクセスを確認しました。当社といたしましては不正アクセスの確認後、速やかに該当するネットワークの切断や外部からのアクセス制限など必要な対策を講じるとともに、対策本部を立ち上げ、外部の専門機関の協力も得て調査を進め、全容解明と再発防止に取り組んでまいりました。
調査の結果判明した事実と、当社の対応については、以下のとおりであります。
調査で判明した事実と対応内容
調査の結果、第三者が当社海外子会社のサーバーを経由して日本のファイルサーバーに不正アクセスを行った事実が確認されましたが、業務システムを含め当該サーバー以外への不正アクセスは確認されませんでした。
なお、不正アクセスを受けたファイルの外部流出について調査を尽くした結果、外部流出の確証を得る事実は見つかっておりませんが、不正アクセスを受けたファイルが流出した可能性を想定し下記の対応を進めてまいりました。
不正アクセスを受けたファイルに含まれていた情報とその対応内容は以下のとおりであります。
お取引先個人情報
当社のお取引先の役職員の個人情報が含まれていることが確認されました。会社名、会社内での役職情報が主な情報であり、対象の方には個別にご連絡をいたしました。
お取引先情報
お取引先から提供を受けた業務関連情報や当社の社内情報が含まれていることが確認されました。当社にてその影響を分析するとともに、対象となるお取引先には個別にご報告をいたしました。
対策及び今後の対応
当社は海外拠点からの通信制限、ファイルサーバーへの不正アクセスに用いられたアカウントのパスワードの変更、挙動検知の仕組みの導入と監視などのセキュリティ強化策を講じております。引き続き、より高度なセキュリティ対策として認証基盤の強化、海外を含めたセキュリティ監視体制の強化により、再発防止を徹底してまいります。
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