業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループの2022年9月期連結会計年度においては、外的要因や内的要因など様々な要因の影響を大きく受けることとなりました。新型コロナウイルス感染症オミクロン株急拡大による全国規模のまん延防止等重点措置等による消費者心理の冷え込みによる影響を大きく受けました。また、中国政府のロックダウン政策による協力工場の一時的な操業停止による生産量産体制の遅延、国内外の外部要因により、開発試作の遅延が発生いたしました。また、依然として世界的な半導体部品の供給不足、円安による原材料・物流コストの急激な上昇の影響を受け、急激な物価上昇による家計や企業への影響などが重なり、AV関連事業および家電事業は、売上高、利益とも大きく減少しました。

このような事業環境下において当社グループは、新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響を最小限に抑えるべく各種対策を実施する一方で、足元の業績回復に努めるとともに、今後の事業展開を見据え、新商品の企画開発、新規取引先の拡大、大手家電メーカーや地方自治体を中心にBtoB販路の拡大を戦略的に推進しました。

AV関連事業においては、新4K・8K放送開始を経て、4K関連製品を中心に開発・生産体制と販売体制のさらなる強化を見据えて、新規の大手家電メーカー向け4K衛星放送対応スマートテレビプラットフォームの開発、ベンチャー企業向けTVプラットフォームの開発・生産及び販売を実施いたしました。また、研究開発案件で進めていた外務省案件の更なる展開、次世代を見据えたソフトウエアの開発、当社独自機能の追加開発及び新製品の企画、開発に注力いたしました。

また、家電事業においては、調理家電分野、季節家電分野、理美容家電分野の新規開発を積極的に行い、SNSを通じて製品ブランドのマーケティングを推進してまいりました。また、マーケットのニーズに応じた新製品のマーケティング、企画、開発及び販売と大手EC事業者向けOEM製品の販売にも注力してまいりました。

これらの結果、売上高は20億7百万円(前期比39.7%減)、営業損失は12億39百万円(前期は8億53百万円の営業損失)、経常損失は12億63百万円(前期は8億92百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は13億31百万円(前期は9億37百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

〔AV関連事業〕

ホームAV関連製品に関しましては、前期に新たな大手家電メーカーに4K衛星放送対応スマートテレビプラットフォームが採用され、販売を継続してまいりましたが、前期において発生した当該製品の主要半導体部品の米中貿易摩擦の影響による供給難が原因となり前期をもって終了となりました。それにより、4K衛星放送対応テレビボード等の売上高がなくなり大きく減少しました(前期実績4億11百万円)。しかし、並行して開発をしておりました新SoC用新4K衛星放送対応TVスタックソフトウエアがターンキーソリューションとして開発が成功したことで、受託開発及びロイヤリティの売上高が60百万円(前期ゼロ)となりました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による宅内でのテレビ視聴ニーズの増加と新たな供給先の開拓、更にクラウド録画機能搭載の新製品の投入により、Xit-AirBoxの売上高は3億96百万円(前期比2.0%増)となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による宅内でのテレビ視聴ニーズの増加が一段落したことの影響を受けXit-Stickの売上高は79百万円(前期比48.8%減)となりました。海外向けSTBについては、外務省案件のボツワナ向けSTBの納入が前期に完了したことにより売上高が大きく減少し37百万円(前期比62.6%減)となりました。前期の導入の成功を元に次の当社のTV放送に関する技術資産活用としての研究開発をスタートし、ISDB-T採用国の半数以上が存在する中南米市場へ展開するべく、中南米向けEWBS対応STBの試作・開発を完了させ、中南米13ヶ国、アジア2ヶ国、アフリカ2ヶ国での受注活動を積極的に推進しております。また、業務用ブランド「BIZmode」で展開を開始したAndroid TV搭載の4Kスマートチューナー及び4K衛星放送対応スマートテレビの受注は好調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い販売先による納期延期が解消されず、一方新たに投入を開始致しました「pipico」サイネージソリューションの機器販売とソフトウエアのライセンス収入が始まりましたが、「BIZmode」の納期延期を補うまでには至らず、「BIZmode」及び「pipico」の売上高は26百万円(前期比49.8%減)となりました。新たなテレビ視聴及び録画ニーズの増加に応えるため、クラウド録画が可能なだけでなく、どこからでも視聴が可能であり、チューナー増設にも対応した新製品のXit-Baseのクラウドファンディングプロジェクトをクラウドファンディング会社のmakuakeで実施し、売上金額は目標金額に達しました。それらとTVボード部材売上及び受託開発売上を含めたその他の売上高は95百万円(前期比520.0%増)となり、その結果、売上高は6億95百万円(前期比38.0%減)となりました。

IoT関連製品に関しましては、文部科学省から新たに発表された文教市場におけるGigaSchool構想の前倒し展開に伴う、複数の地方自治体からのLTEドングルの新規大型の受注及び販売・納入が前期に完了したことにより、売上高は1億91百万円(前期比66.3%減)となりました。

パソコン向けテレビキャプチャーをはじめとするテレビキャプチャー関連製品に関しましては、インターネットカフェでのテレビ視聴ニーズの増加と新型コロナウイルス感染症拡大の影響による宅内でのテレビ視聴ニーズの増加が一段落したことから、Xit-Brick/Xit-Board及びOEM向けPCチューナーの売上高が減少し、売上高は2億69百万円(前期比34.3%減)となりました。そのほかに、カメラバンドルソフトの保守売上高が12百万円(前期比52.4%減)となりました。

 

以上の結果、当事業の売上高は11億68百万円(前期比45.0%減)、セグメント損失(営業損失)は2億74百万円(前期はセグメント損失1億6百万円)となりました。

 

〔家電事業〕

家電事業におきましては、白物家電、黒物家電、生活家電が新生活商戦、夏物商戦で自社製品、OEM製品ともに拡販を進め、売上高が回復傾向に向かいましたが、新型コロナウイルス感染症オミクロン株の急拡大による全国規模でのまん延防止等重点措置等により実店舗における販売実績が減少しました。また、中国政府のロックダウン政策による中国協力工場が一時操業停止になり、製品の納入が遅延したことや、依然として世界的な半導体部品の供給不足により、生産のリードタイムが伸びていること、円安による材料原価、送料の急激な高騰で、生産面においても、原価面においても大きく影響を受け、売上高、利益とも前期より大きく減少となりました。

2020年5月に販売を開始したRe・Deブランドの製品群については、地上波のTV放送、雑誌等各種メディアで引き続き取り上げられ、気商品となりましたが、売上高は減少しました。しかし、第二弾製品Re・De Kettleは販売開始からSNSを中心に引き続き順調に認知を拡大し、売上高は増加しました。

その結果、家電事業全体の売上高に対し、Re・Deブランドの売上構成比は28.3%(前期は21.2%)となりました。

A-Stageブランドの製品群については、電子レンジ、ワンセグラジオ、コーヒーメーカーの売上高は増加しましたが、白物家電の冷凍庫、黒物家電のTV、生活家電の洗濯機は減少となりました。

カテゴリ別の売上高としては、新型コロナウイルス感染拡大により、ホテル向けの製品の販売が大きく減少したこと等により、冷蔵庫や冷凍庫等の白物家電は売上高3億74百万円(前期比19.0%減)となり、Re・Deブランド、A-Stageブランドを合わせた調理家電は売上高3億1百万円(前期比6.8%増)、生活家電等は売上高77百万円(前期比71.5%減)、4K関連製品や液晶TV、ポータブルDVDプレーヤー等の黒物家電は売上高86百万円(前期比53.7%減)となりました。

 

以上の結果、当事業の売上高は8億39百万円(前期比30.2%減)、セグメント損失(営業損失)は3億81百万円(前期はセグメント損失1億97百万円)となりました。

 

(注) 各セグメントのセグメント損失(営業損失)は、各セグメントに配分していない全社費用5億83百万円(前期比6.2%増)を配分する前の金額であります。

 

当社グループの当連結会計年度末の財政状態については次のとおりであります。

(流動資産)
 当連結会計年度末における流動資産の残高は15億23百万円で、前連結会計年度末に比べ6億51百万円減少いたしました。これは主に、商品及び製品が1億33百万円増加したものの、現金及び預金が5億94百万円、前渡金が89百万円、受取手形及び売掛金が53百万円、原材料及び貯蔵品が26百万円、仕掛品が16百万円減少したことなどによるものであります。
(固定資産)
 当連結会計年度末における固定資産の残高は2億1百万円で、前連結会計年度末に比べ6百万円増加いたしました。これは主に、ソフトウエア仮勘定が40百万円増加したものの、ソフトウエアが34百万円減少したことなどによるものであります。
(繰延資産)
 当連結会計年度末における繰延資産の残高は17百万円で、前連結会計年度末に比べ0百万円増加いたしました。これは、新株予約権発行費が4百万円増加したものの、株式交付費が3百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)
 当連結会計年度末における流動負債の残高は3億93百万円で、前連結会計年度末に比べ69百万円減少いたしました。これは主に、資産除去債務が34百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が78百万円、流動負債その他が39百万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
 当連結会計年度末における固定負債の残高は40百万円で、前連結会計年度末に比べ2百万円増加いたしました。これは主に、資産除去債務が2百万円増加したことなどによるものであります。

 

(純資産)
 当連結会計年度末における純資産の残高は13億8百万円で、前連結会計年度末に比べ5億76百万円減少いたしました。これは新株発行により資本金が3億76百万円、資本剰余金が3億76百万円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が13億31百万円減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億94百万円減少し、3億67百万円となりました。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 
 当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、12億40百万円(前期は7億45百万円の使用)となりました。これは、主に、減価償却費48百万円、減損損失61百万円、棚卸資産評価損66百万円の計上、売上債権の減少60百万円があったものの、税金等調整前当期純損失13億24百万円の計上、棚卸資産の増加1億55百万円、仕入債務の減少66百万円、前受金の減少59百万円があったことなどの要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、92百万円(前期は98百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が35百万円、無形固定資産の取得による支出が57百万円あったことなどの要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、7億36百万円(前期は14億60百万円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入が2億47百万円、新株予約権付社債の発行による収入が4億95百万円あったことなどの要因によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

AV関連事業

1,172,324

61.1

家電事業

765,238

85.6

合計

1,937,563

68.9

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

AV関連事業

1,142,945

55.6

71,953

73.8

家電事業

845,138

72.6

63,032

109.8

合計

1,988,084

61.7

134,986

87.2

 

(注) 各セグメント事業の自社ブランド製品のうち、受注予測に基づく見込生産によっているものについては、上記受注実績には

   含めておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

AV関連事業

1,168,467

55.0

家電事業

839,518

69.8

合計

2,007,985

60.3

 

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年10月1日

至 2021年9月30日)

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

TD SYNNEX㈱

291,738

8.8

283,207

14.1

富士電機ITソリューション㈱

334,050

10.0

27,092

1.3

㈱オーヤマ

405,873

12.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

(売上高及び売上総利益)

売上高は、20億7百万円(前年同期比39.7%減)となりました。

これは主に、AV関連事業におけるホームAV関連製品・IoT関連製品の売上高の減少によるものです。また、売上総利益率は9.4%で売上総利益は1億87百万円(同58.2%減)となりました。

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、14億27百万円(前年同期比9.6%増)となりました。

主な内訳は、人件費(役員報酬・給料手当)4億46百万円(同0.8%増)、業務委託費1億41百万円(同51.1%増)、運送費1億27百万円(同10.2%減)、賃借料1億23百万円(同1.1%減)、研究開発費1億15百万円(同46.7%増)、販売促進費80百万円(同55.6%増)です。

(営業損益)

当連結会計年度における営業損失は12億39百万円(前連結会計年度は8億53百万円の営業損失)となりました。

これは主に売上高の減少、販売費及び一般管理費の増加によるものであります。

(経常損益)

当連結会計年度における経常損失は12億63百万円(前連結会計年度は8億92百万円の経常損失)となりました。主な営業外費用は株式交付費償却10百万円(前年同期比11.6%減)、為替差損8百万円(同32.0%増)、社債発行費償却4百万円(同6.2%増)であります。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

税金等調整前当期純損失は13億24百万円(前連結会計年度は9億30百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。特別損失は、減損損失61百万円(前年同期比62.0%増)であります。

法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純損失は13億31百万円(前連結会計年度は9億37百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料の購入、人件費、外注加工費などの製造費用、営業費用や研究開発費、本社費用などの販売費及び一般管理費と設備投資資金です。
 これらの資金は自己資金、社債及び新株の発行などによる調達を基本としております。
 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があることから、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルスの感染症拡大による事業への影響については、現時点で当社グループの会計上の見積りに及ぼす影響は重要でないと判断しております。

 

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