業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況については、前連結会計年度末と比較し、資産の部は受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により5,397百万円増加し155,459百万円となりました。負債の部は主に買掛金の増加により1,268百万円増加し36,876百万円、純資産の部は親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことで4,129百万円増加し118,582百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における世界経済は、COVID-19の影響による厳しい状況が続く中、経済活動の停滞は緩和されつつあるものの、今後については半導体需給の逼迫や原材料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢に伴う世界経済への影響など景気の先行きは不透明な状況が続く見込みです。
 

当連結会計年度における業績につきましては、売上高は86,789百万円(前期比13.4%増)と前期を大きく上回りました。半導体需給の逼迫やCOVID-19の感染拡大に起因した一部材料の供給不足により、10月から11月にかけて生産調整を実施しましたが、100%自社開発・生産の強みを活かして短期間での設計変更も実施し、12月以降挽回生産を強化しました。第4四半期では強さを増した期末の需要に対して国内外ともに製品在庫が一部不足したものの、可能な限り供給の維持に努めました。これらを通じ、市場における競争優位性を高め、販売を伸張させることができました。市場別では、B&P(Business & Plus)・ヘルスケア・クリエイティブワークにおいて販売が好調に推移しました。アミューズメント市場向けにおいては、新規則機への入替需要に円滑に対応し、前期を上回る売上高となりました。

 

利益面については、増収効果及び高付加価値製品の販売増に加え、円安ユーロ高による利益貢献もあり、売上総利益は30,859百万円と前期比で16.2%増加し、売上総利益率は35.6%と前期比で0.9ポイント上昇しました。また、販売費及び一般管理費については前期抑制した広告宣伝費等の営業活動費用の増加及び研究開発投資の増加により、前期比5.1%増の19,560百万円となりました。その結果、営業利益は11,299百万円(前期比42.4%増)、経常利益は12,110百万円(同37.4%増)となりました。特別損失としてカリーナシステム㈱のM&Aに伴い発生していたのれん及び同社固定資産の減損損失1,243百万円を計上しました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,794百万円(同26.6%増)と過去最高となりました。
 

市場別の売上高の分析は、次のとおりです。

 

[B&P(Business & Plus)]

売上高は、17,544百万円(前期比4.0%増)となりました。材料調達コストの上昇に業界全体が影響を受ける中、当社が安定的な価格で供給を継続したことにより競争力を発揮しました。加えて、生産調整による減産分を取り戻すべく12月以降に順次生産を拡大し、その結果、海外において販売は好調に推移しました。国内においても、法人需要に対応し販売が堅調に推移しました。

 

[ヘルスケア]

売上高は、31,905百万円(前期比18.5%増)、過去最高の売上高となりました。海外においては、欧州での需要が底堅く推移し、北米では一定の需要回復が見られ、診断用途の販売が好調に推移しました。国内においても、政府補助金効果の影響もあり設備投資への回復基調が継続し、販売が好調に推移しました。また内視鏡用途向けでは、高解像度製品の販売が好調で、日本、欧米、中国での販売増につながりました。
 

[クリエイティブワーク]

売上高は、6,278百万円(前期比14.5%増)となりました。海外においては、欧州におけるHDR対応のハイエンドモデルの販売が好調に推移したこと、北米で映像制作向けの需要が回復基調であったことや中国でも需要が伸びたことにより販売が伸張しました。国内においては、ゲームクリエイター向けのテレワーク需要が高まった前期と比較して、売上高は減少しました。

 

[V&S(Vertical & Specific)]

売上高は、8,337百万円(前期比3.8%減)となりました。海外においては、監視向けの販売が回復基調となった一方、ATC向けは北米向けの販売が一巡し、自動車産業を始めとした各種産業向けはCOVID-19の影響を受けいまだ本格的な需要回復には至っておらず、売上高は前期並みとなりました。国内においては、監視向けやATC向けを始めとする産業市場向けの販売が拡大しましたが、顧客要求に対応したカスタマイズ製品の販売が一巡したことにより売上高は前期を下回りました。

 

[アミューズメント]

売上高は、18,141百万円(前期比25.6%増)となりました。規則改正に伴う旧規則機から新規則機への入替需要に対し、確実に製品を供給したことにより、前期を上回る売上高となりました。一方で、遊技人口の減少や店舗数の減少等により、当業界を取り巻く市場環境は厳しい状況が継続しております。
 

[その他]

売上高は、4,581百万円(前期比9.6%増)となりました。アミューズメント用ソフトウェア受託開発の売上高が増加したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ3,505百万円増加し、22,387百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動で獲得した資金は、8,429百万円(前連結会計年度は6,600百万円の獲得)となりました。

主に、収入として税金等調整前当期純利益11,286百万円、減価償却費及びのれん償却費2,612百万円、仕入債務の増加946百万円等、また支出として売上債権の増加4,933百万円、法人税等の支払3,241百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は、2,394百万円(前連結会計年度は3,333百万円の使用)となりました。これは主に、航空管制用を始めとした特定市場向けグラフィックスボード等を開発・製造・販売するアメリカ子会社において、事業拡大を目的として新オフィスを取得したことや、電子回路基板を製造する国内子会社において、生産能力増強・生産性向上を目的とした設備等への投資によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動で使用した資金は、2,899百万円(前連結会計年度は2,648百万円の使用)となります。これは主に、配当金の支出2,558百万円があったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 

当社グループは、映像機器及びその関連製品の開発・生産・販売が主であり、実質的に単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を行っておりません。以下は、品目別の状況を記載しております。

 

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を市場別に示すと、次のとおりです。

市場

金額(百万円)

前期比(%)

映像機器(アミューズメント除く)

53,926

108.4

アミューズメント

16,818

131.7

合計

70,744

113.2

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績及び受注残高は、次のとおりです。なお、映像機器及びその他の一部製品は見込生産を行っております。

品目

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

アミューズメント

16,643

114.5

180

10.8

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を市場別に示すと、次のとおりです。

市場

金額(百万円)

前期比(%)

B&P (Business & Plus)

17,544

104.0

ヘルスケア

31,905

118.5

クリエイティブワーク

6,278

114.5

V&S (Vertical & Specific)

8,337

96.2

アミューズメント

18,141

125.6

その他

4,581

109.6

合計

86,789

113.4

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月 1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月 1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ジェイ・ティ

17,199

22.5

21,408

24.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等について

当連結会計年度の売上高は、前期比13.4%増の86,789百万円、営業利益は同42.4%増の11,299百万円、経常利益は同37.4%増の12,110百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同26.6%増の7,794百万円となりました。

詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりです。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

当連結会計年度は、市場別売上ではB&P・ヘルスケア・クリエイティブワーク・アミューズメントにおいて販売は好調に推移しました。また、地域別売上でも日本・欧州・北米のいずれにおいても前期を上回りました。以上により、当連結会計年度の売上高は86,789百万円となりました。

利益面では、増収や高付加価値製品の販売が増加したことにより売上総利益は増加し、販売費及び一般管理費は営業活動費用や研究開発投資は増加する一方でコストを適切にコントロールしたことにより、営業利益は11,299百万円、営業利益率は13.0%となりました。以上の結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を更新しました。

 

当社グループは2021年度を初年度とする第7次中期経営計画「Amplify Imaging Value ~映像をもっと便利に、価値あるものに~」を策定しております。最終年度である2023年度の数値目標は、売上高88,000百万円、営業利益13,200百万円、営業利益率15%であります。

この達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上の課題」に記載した取組みを行うとともに、成長分野への投資を積極的に行います。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

財務戦略の基本方針

当社グループは、変化の激しい電子機器業界において強固な財務基盤を堅持し、企業価値向上のために戦略的かつ機動的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。

 

経営資源の配分に関する考え方

当社グループは、イベントリスクへの十分な備えを持ちつつ、長期にわたり持続的な成長を図るため、必要な資金を確保することが重要と考えております。

具体的な資金需要は、次のとおりです。

(事業の成長・競争力向上)

・開発創造型企業として、新たな価値を絶えず追求するための研究開発資金

・100%自社生産による優位性をさらに高めるべく、生産性の向上や生産能力の増強に係る設備投資資金

・世界100か国以上にて、タイムリーな供給を維持するための製品や材料の在庫資金

・ビジネスモデルをより強くするための戦略的なM&Aを実施する資金

(事業の安定)

・部品の調達リスクを吸収し、顧客への長期安定供給を実現するための資材調達・在庫資金

・経済環境の急激な変化や自然災害等により一時的な操業停止を余儀なくされるような場合の運転資金

以上の手許資金を確保し将来の見通しを立てた上で株主還元を行います。株主還元は、会社の成長に応じて安定的に株主配当を行うことを基本方針としており、その還元率は連結当期純利益40~50%を目標水準としております。具体的な配当政策については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載のとおりです。

 

資金調達の方法

当社グループは、事業活動の維持及び拡大に必要な資金について、基本的には営業活動で生み出された内部資金で賄うこととしておりますが、資金需要の大きさや時期、為替相場の状況に応じ、自己資金以外での資金調達を実施しております。調達方法のひとつとして、為替の変動リスクを軽減するために外貨建て借入金を利用してリスクヘッジをしております。また、資金調達の状況によっては、必要な資金を確保するために投資有価証券の売却を検討いたします。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示、並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っております。このため、会計上の見積りはその性質上不確実であり、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループの経営成績等に対して重要な影響を及ぼす会計上の見積り及び判断が必要となる項目は次のとおりです。なお、COVID-19による影響は当連結会計年度末時点において軽微であると判断の上、これらの見積りに反映しております。

 

売上債権の貸倒引当金

当社グループは、売上債権の貸倒損失に備え回収不能となる可能性のある金額を合理的に見積り、その額を貸倒引当金として計上しております。将来、販売先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産の市場需要に基づく将来の販売見込み及び正味売却価額から、棚卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。実際の市場における需要又は正味売却価額が当社の見積りより悪化した場合には、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

有形固定資産の減損

当社グループは減損会計を適用しております。当社グループでは、固定資産の種類別、所在地別又は目的別に、物理的及び経済的な価値並びに耐用年数を見積り、償却手続きを実施するとともに、必要に応じて有姿除却等の措置をとっております。また、当該資産の除却に関して法令又は契約にて要求される法律上の義務及びそれに準じるものを資産除去債務として見積り、負債として認識しております。しかしながら、固定資産の価値、耐用年数の見積り、その評価又は除却に係る算定等で使用した前提条件と大きく異なる状況が生じた場合には、償却や損失の追加が必要となる可能性があります。

また、のれんについては、買収した事業の超過収益力に応じて評価し、10年以内に償却しております。重要性のないのれんについては取得時に一括して償却しております。当初見込んだ回収期間の中途において、買収事業の収益力が低下した場合、買収事業を撤退する場合、あるいは適正価値より低い価額での売却を行った場合には、臨時の損失が発生する可能性があります。

 

投資有価証券の減損

当社グループは、取引金融機関、販売又は仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式のうち、上場株式では株式市場の価格変動リスクを負っているため、連結決算日の時価が取得価額から50%以上下落した場合には減損損失を認識いたします。また、連結決算日の時価が取得価額から30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性の判定を合理的な基準に基づき行い、回復する見込みがあると判断したものを除き、減損損失を認識いたします。非上場株式では投資先の純資産額における当社持分額が取得価額より50%以上下落した場合には、減損損失を認識いたします。そのため、保有株式の時価評価額が下落した場合は、投資有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少する場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

また、繰延税金資産は当連結会計年度末における法定実効税率に基づき計上しておりますが、将来において税制改正により税率が変更された場合には繰延税金資産の残高が減少し、それに伴い税金費用が計上される可能性があります。

 

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