当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、前年同期比較及び前年度期末比較は基準の異なる算出方法に基づいた数値を用いております。収益認識に関する会計基準等の適用の詳細については、連結財務諸表「注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当連結会計年度における世界経済は、各国で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種普及や景気対策等により経済活動の再開が進み、生産活動の正常化や個人消費の持ち直し等、総じて回復基調で推移していたものの、ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの高まり、資源価格の高騰、米国の金融引き締めへの懸念等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
国内経済においても、2021年9月末まで断続的な緊急事態宣言等の発令に伴う個人消費の低迷、経済活動の停滞等が続いておりました。同年10月以降は経済活動への制約が徐々に和らぎ、個人消費の持ち直しの動きや、企業収益は輸出の増加傾向により製造業を中心に持ち直す等、回復基調にありました。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰、円安の進行を背景としたインフレ懸念、半導体供給不足等、依然として先行き不透明な状況にあります。
このような状況ではありますが、長期経営計画「Vision-2028 EVOLUTION 100」に基づき、公共交通事業者各社の「構造改革を支える日本信号」となるべくWith/Afterコロナ時代における事業環境の変化を先取りした新製品開発及び事業構造改革を推進しております。
当期の経営成績といたしましては、受注高は79,709百万円(前期比6.4%減)、売上高は85,047百万円(前期比8.3%減)となりました。損益面につきましては、営業利益は5,390百万円(前期比5.7%減)、経常利益は6,538百万円(前期比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,503百万円(前期比8.4%減)となりました。
なお、当連結会計年度における各セグメントの概況は、以下のとおりであります。
〔交通運輸インフラ事業〕
「鉄道信号」では、国内市場において、半導体供給不足により各種製品への影響がある中、鉄道事業者向けにATC(自動列車制御装置)やCTC(列車集中制御装置)等の各種信号保安装置の受注・売上がありました。
また、顧客のアフターコロナを見据えた固定費削減や、安心・安全に資する設備投資に関連した製品を開発しており、鉄道設備、駅務機器から駅周辺設備までをトータルにみまもることができる新プラットフォーム「Traio(トレイオ)」を全国の鉄道事業者各社に展開しております。
さらに、列車の運転自動化に関する取り組みとして、2020年12月より、九州旅客鉄道株式会社様香椎線の一部において、ATS(自動列車停止装置)をベースとした高機能ATO(自動列車運転装置)の実証運転を行ってまいりました。その結果が良好だったことから、同装置を用いた運転区間が香椎線全線に拡大されました。今後も鉄道に従事する労働人口減少等、顧客の経営課題解決に貢献する製品やサービスの開発を推進してまいります。
海外市場においては、インドや台湾、韓国における鉄道信号保安装置等の受注・売上がありました。また、導入実績をもとにアジア諸国のインフラ需要に応え、営業活動に取り組んでまいりました。
道路交通安全システムを中心とする「スマートモビリティ」では、MVNO(回線提供サービス事業)や交通信号機器等の受注・売上がありました。また、高度化PICS(歩行者等支援情報通信システム)の販売拡大に取り組んだほか、当社が独自に開発した路車協調型システムによる自動運転サービスの実証実験に参加いたしました。
結果といたしましては、受注高は44,018百万円(前期比12.7%減)、売上高は48,831百万円(前期比4.6%減)となりました。また、損益面では5,267百万円のセグメント利益(前期比26.0%減)となりました。
〔ICTソリューション事業〕
駅務ネットワークシステムを中心とする「AFC」では、国内市場においては、新型コロナウイルスの影響による顧客の設備投資抑制傾向が続いておりますが、各種ホームドアや改札機、新500円硬貨対応による券売機更新等の受注・売上がありました。
また、将来を見据え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が急速に進展する駅務ネットワークシステムにおいて、デジタルチケット化、EC化、クラウド化等の技術開発や新製品の提案に取り組みました。
海外市場においては、ベトナムやバングラデシュにおけるAFCシステム等の受注・売上がありました。
セキュリティシステムソリューションを中心とする「スマートシティ」では、半導体供給不足による各種製品への影響が続いておりますが、ホームドアメーカーや建機・農機への搭載等の展開を進める3Dセンサや、地中探査レーダ等の受注・売上がありました。
また、ロボティクス分野では、除菌機能、及びエレベーターとの連携を可能とした自動清掃ロボットの販売拡大に努め、鉄道のメンテナンスにおける重筋作業の解消と効率化を目的とした「多機能鉄道重機」の開発をパートナー企業(注)と共同で進めてまいりました。
結果といたしましては、受注高は35,691百万円(前期比2.6%増)、売上高は36,216百万円(前期比12.9%減)となりました。また、損益面では3,300百万円のセグメント利益(前期比99.9%増)となりました。
(注)西日本旅客鉄道株式会社様、株式会社人機一体様
当連結会計年度末における総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加5,002百万円、現金及び預金の減少6,906百万円、棚卸資産の減少3,899百万円、時価の下落等における投資有価証券の減少1,235百万円等により、前連結会計年度末に比べ7,270百万円減少の134,086百万円となりました。
負債は、短期借入金の減少4,748百万円、支払手形及び買掛金の減少3,207百万円、受注損失引当金の減少838百万円、未払法人税等の減少501百万円等により、前連結会計年度末に比べ9,316百万円減少の47,345百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の配当による減少1,684百万円、その他有価証券評価差額金の減少845百万円等がありましたものの、親会社株主に帰属する当期純利益4,503百万円の計上等により、前連結会計年度末に比べ2,046百万円増加の86,740百万円となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は6,344百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,906百万円の減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加△4,524百万円、仕入債務の減少△2,871百万円、法人税等の支払△1,685百万円等がありましたものの、税金等調整前当期純利益6,531百万円の計上等により、2,099百万円の資金の増加(前年同期は1,145百万円の資金の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形・無形固定資産の取得による支出△2,299百万円により、2,344百万円の資金の減少(前年同期は1,911百万円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による資金の減少△4,923百万円、配当金の支払による支出△1,680百万円等により、6,750百万円の資金の減少(前年同期は1,354百万円の資金の増加)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額は販売価格によっております。
当連結会計年度は、長期経営計画「Vision-2028 EVOLUTION 100」で掲げるビジネス転換や、事業ドメイン、人材・組織、技術開発などに関する戦略に取り組んだ3年目となりました。
売上高については、半導体供給不足による各種製品への影響、新型コロナウイルス感染症拡大による顧客の設備投資抑制傾向により85,047百万円(前期比8.3%減)となりました。
損益面につきましては、営業利益5,390百万円(前期比5.7%減)、経常利益6,538百万円(前期比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,503百万円(前期比8.4%減)となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、現在、運転資金及び設備投資資金は、内部資金又は借入により資金を調達しております。このうち借入による資金調達については、運転資金は期限が1年以内の短期借入金により調達しております。
当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。
長期経営計画「Vision-2028 EVOLUTION 100」をより具体的な取り組み・施策に展開した、3年ごとの中期経営計画「21中計」の3年目の経営上の目標値としましては、半導体供給不足による各種製品への影響や新型コロナウイルス感染症拡大による交通インフラへの設備投資や公共事業投資が減少すると予想されるため、2021年11月時点において計画値の見直しを行い、売上高850億円、営業利益率5.9%、並びにRОE4.2%といたしました。
当期における当社グループの経営成績は、売上高850億円、営業利益率6.3%、並びにRОE5.3%となり、収益性・効率性の各指標で目標値を上回ることができましたが、前期比では減収減益となりました。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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