当社グループでは「省エネルギー」と「人と環境を考えたものづくり」を基本として、各分野にわたって「環境配慮」をキーワードにした研究開発に取り組んでおり、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。
研究スタッフはグループ全員で77名であり、これは従業員の12.1%にあたります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
情報機器事業
情報機器事業では、道路における付帯設備の老朽化・延命化を主眼に保守メンテナンスの効率化・高度化のための技術開発としてモニタリング技術の開発を推進しており、今後は高速道路上の情報板の状態監視・保全情報を遠隔から収集できる機能を開発し、システム製品として提案してまいります。
また既存情報提供機器を発展させた高付加価値製品である高速道路向けのLED情報提供装置として、高精細で無線通信が可能なLEDサイネージを新たに製品としてリリースいたしました。従来の情報板は文字・図形のみの表示でしたが、写真や動画も表示できるようになり、また色も15色から10万色となり、悪天候下でもドライバーにはっきりわかりやすく必要な情報を届けることができます。今後は、全国で展開される高速道路の大規模リニューアル工事や、豪雪エリアでの滞留対策、道路交通安全対策のシステム製品として広く提案してまいります。
国土交通省の技術公募である「自動運転の普及拡大に向けた道路との連携に関する共同研究」では、弊社の技術提案等による申請が承認されました。約3か年の計画で自動運転の普及に向けた課題解決について官民の共同研究として参画してまいります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は
照明機器事業
照明機器事業では、産業用・インフラ用照明製品を中心に技術力強化と製品拡充に努めております。
公共設備関連では、光学設計技術をもとに、トンネル照明の性能向上を推進し、更なる省エネに努めております。
産業設備関連では、東アジア、東南アジアをターゲットエリアとした安全増防爆形LED灯器具の新機種を開発いたしました。この製品は、従来品と比べより明るく、消費電力低減、軽量化を実現したほか、すべての可燃性ガスに対応したことで、機種選定が容易となり、本体にポリカーボネートを用いたことで、施工性の向上、輸送時の破損事故が低減します。また雷が多い東南アジアでも安心して使用できるよう耐電圧性能を高め、使用環境温度も55度まで対応しております。海外市場向け製品として、国際防爆認証および欧州防爆認証を取得しております。
また照明で培った技術を活かし、従来より照明機器製品として、UV-Cソリューション製品の開発・販売を行ってまいりましたが、除菌・衛生関連など新規市場開拓の取組みを促進させるために、UV-LEDにかかる技術開発の促進、製品開発を行い、紫外線を用いて各種ウィルスの不活性化を可能にする空間除菌製品や、光源にLEDを使用した表面除菌製品などの開発を進め、製品ラインアップの拡充を図りました。
今後も、更なる性能向上、長寿命化に向け、技術開発と製品拡充に努めてまいります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は
コンポーネント事業
コンポーネント事業では、エンジニアリング領域の評価技術、暗室ソリューションを強化すべく、当連結会計年度に大型の産業機器や医療機器、大電力・大出力のパワーエレクトロニクス機器や車載関連機器等の対応が可能な10m法電波暗室を新設いたしました。既設の3m法電波暗室と合わせ SEIWA EMC Technical Centerとして、新しいEMC市場の展開、創出に努めてまいります。
完成した10m法電波暗室ではEMC評価の周波数上限を業界最高レベルまで拡張することができ、5G、DX、IoTといった高周波通信へ対応するとともに、脱炭素に向かう車社会のEV化と充電インフラの普及といった、社会変化にいち早く対応し、次世代スマート社会の実現に向けより充実した電磁両立性の性能評価とソリューションの提供が可能となりました。
電磁波ノイズ対策は今後、益々重要な課題となり、その対策市場領域は増加の一途をたどることが予想されます。
コンポーネント事業部はこの課題をソリューションとエンジニアリングの両輪でお客様へ提供し、社会貢献を果たしてまいります。
当連結会計年度における当セグメントの研究開発費は
その他
当社は各事業の新製品開発だけでなく要素技術にも研究開発を進めております。
当社と岡山大学、関西学院大学、英国サリー大学の国際共同研究グループで表面に無数の小さな穴が豊富に含まれる炭素材料を開発いたしました。本研究成果は「高比表面積キャパシタ炭素電極の開発」として世界的な査読付き国際学術誌「Energy&Environmental Materials」に掲載されました。本材料は、新規の炭素材料の製法として、今後の期待が高まるエネルギー貯蔵デバイス電極材料や燃料電池触媒担体への開発などにつながるものと考えております。
また当社と大阪府立大学、江崎グリコ株式会社の共同研究で天然糖質のグルクロノキシランの効果的な抽出となる製造技術を開発し、この研究が評価され、技術開発賞を受賞いたしました。この賞はでん粉をはじめとする各種糖質関連産業の技術開発に顕著に貢献した者に、授与されるもので当社としては初受賞となります。
今後も、当社は要素技術の創出に努めてまいります。
当連結会計年度における各セグメントに配分していない全社費用は127百万円となりました。
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