課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を企業理念として以下のとおり定めております。

MISSION

私たちは、タムラグループの成長を支える全ての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。

VISION

① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。

② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。

③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。

④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。

⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。

GUIDELINE

① 私たちは、パートナーシップを大切にする。

② 私たちは、革新する勇気を大切にする。

③ 私たちは、多彩な個性を大切にする。

④ 私たちは、社会的な責任を大切にする。

(2) 中長期の経営戦略

当社グループでは、上述の経営方針に基づき、長期ビジョンと中期経営計画を策定し事業戦略を展開しております。

① 第12次中期経営計画(2019年4月1日~2022年3月31日)の振り返り

当社グループは、2019年4月1日から2022年3月31日までの3年間を対象とする、第12次中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」に取り組んでまいりました。この期間は、2020年初旬から新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まり、感染防止対策と企業活動の両立という想定外の対応が求められる3年間となりました。

当社グループが事業を行うエレクトロニクス市場においても企業活動に大きな影響が出たものの、感染拡大を契機とした巣ごもり需要や工場の自動化ニーズの高まりにより、家電や産業機械関連の分野を中心に比較的早期に需要回復が進みました。一方で、サプライチェーンの分断による部材供給不足や価格高騰の影響も大きく受けました。当社グループの主力製品であるトランス・リアクタ・ソルダーペーストで使用される銅、鉄、錫などの素材価格は急激に上昇し、価格転嫁などの取組みを鋭意進めたものの事業の収益性が悪化いたしました。

この結果、第12次中期経営計画の財務指標は遺憾ながら大きく未達に終わりました。

 

計画

実績

達成率

売上高(億円)

1,000

883

88%

営業利益率

8.0%

1.8%

23%

ROE

9%以上

△0.2%

 

他方、事業の土台作りについては一定の成果がみられました。Oneタムラ活動により、事業部の壁を越えた研究開発や営業活動が進展しました。成長分野として期待している車載分野については、計画通り中国・日本での増産体制が整いました。これらは、素材から完成品までを一貫生産することができる、自動化された最新鋭の工場であります。一方、中国ではコストベースの改善につながる拠点再編も行いました。華南地区では、深圳と恵州にある電子部品の二大工場をスマートファクトリーとして再構築いたしました。また、チャージャの専門工場を、重要顧客に隣接する華東エリアに新設し、物流や倉庫費用の削減を図っております。サステナビリティ面ではマテリアリティを定義し、また温室効果ガス削減についても計画値の見直しを行いました。

 

② 長期ビジョン

当社グループが100周年を迎える2024年を最終年度とする第13次中期経営計画を策定するにあたり、長期ビジョンを見直しました。取締役も入り議論を重ね、創業の精神や企業理念を基盤とし、事業課題、環境・社会課題、ステークホルダー課題などを踏まえて、長期ビジョンを「世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー」と設定いたしました。第13次中期経営計画は、長期ビジョン実現のための第一歩となります。

 

③ 第13次中期経営計画(2022年4月1日~2025年3月31日)

第13次中期経営計画「Energize the Future 100」においては、世界的なカーボンニュートラルへの潮流を事業機会ととらえ、創業100周年とその先の力強い未来を創る変革を進める構想であります。

世界に展開する当社グループにとって、地球環境の変化、地政学的変化、技術の進化、人的資本の重大性増大など、今後とも大きな事業環境の変化が継続すると想定されております。その中で、機敏に機会をつかみ、リスクを低減することが、企業価値創出の根幹と考えております。第13次中期経営計画ではサステナビリティ戦略と事業戦略の統合を更に深化させ、全社一体となって不確実な未来に立ち向かいたいと考えております。

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a.事業戦略と財務目標

事業戦略は、①新製品・新事業創出とグローバル展開による成長戦略と、②収益及び資産効率向上の二本柱で進めます。

まず、成長戦略においては、カーボンニュートラルに貢献する分野としてパワーエレクトロニクス、モビリティ、及びIoTの3分野に引き続き注力します。成長に向けて、新製品・新技術による売上比率を現在の一桁台から30%にすること、また、欧米市場向けの売上比率を10%台から20%超へ引き上げることを目標として設定いたしました。事業部間の融合施策を進め、課題である電子部品事業の収益力を強化し、電子化学実装事業とともに当社を支える両輪となる事業に育てる計画であります。

次に、事業収益・資産効率向上については、以下のとおり財務目標を掲げております。

■財務目標

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

営業利益(億円)

30

50以上

60以上

営業利益率

3.2%

5%

6%

ROE

8%

 

■財務目標達成のためのガイドライン

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連結売上高(億円)

940

約1,000

1,000以上

事業別営業利益率

 

 

 

電子部品

1.5%

4%

5%

電子化学実装

8.7%

9%

10%

情報機器

4.2%

12%

15%

ROIC

6%

 

第12次中期経営計画で苦戦した利益率の改善を早期に行い、業績を立て直すことを最優先とします。価格転嫁やコスト管理の徹底、成長戦略を通じた高付加価値品の拡大に加え、前中期経営計画で進めた生産改善の効果を実現し、収益性の改善を図ります。車載分野における日本・中国の新工場が本稼働を開始するなど、第12次中期経営計画中に行った施策について、第13次中期経営計画では成果の確実な刈り取りを進めます。また、社内ではROICを指標として採用し、資産効率向上を図ります。

b.サステナビリティ戦略

さらに、これら事業戦略と両輪で進めるサステナビリティ戦略については、マテリアリティを軸に展開してまいります。マテリアリティについては、ステークホルダーにとっての重要性と当社グループにとっての重要性という二つの軸を基準に選定し、2021年5月に発表したものでありますが、中期経営計画の議論の過程でその項目を一部見直し、KPIと目標を設定しました。

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サステナビリティの中でも重要視している、温室効果ガス削減については、2030年までに2013年対比で51%削減することとしております。第13次中期経営計画期間においては、それに向けて33%の削減を目標としております。その達成に向けて、自社工程の省エネによる電気使用量削減に取り組むとともに、太陽光発電設備の設置や再生エネルギーの調達にも力を入れてまいります。2023年3月期には国内主要5拠点(本社、坂戸、入間、狭山、児玉)の再エネ使用率100%を実現する予定で、目標に向けて大きく前進できる見込みであります。

また、「人が憧れる会社」、「人が集まる会社」を目指し、働きがいの実現を図ります。人材戦略として、人権・安全教育の充実、心理的安全性プログラムの展開などを進め、グローバルに実施する従業員サーベイの結果を年3ポイントずつ向上させることを目標といたします。日本では、グローバルなステークホルダーの期待に応えられる多様性を確保することを目的に、管理職における女性比率、外国人比率、及び中途採用比率を、2025年3月期にそれぞれ10%、5%、及び50%とすることを目標としております。

タムラグループは、事業戦略とサステナビリティ戦略を統合し、創業100周年とその先の力強い未来を創る変革に取り組んでまいります。

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