業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が進みましたが、先進国を中心にワクチン接種が進展し、経済活動の再開が進んだ結果、全体としては景気持ち直しの動きが継続しました。一方で、米中貿易摩擦の長期化、資源価格の上昇、半導体をはじめとする部材の供給不足による景気への影響が懸念されております。米国では、インフレの進行や金融引き締めの加速等の懸念材料はあるものの、大規模な経済対策等により経済活動の正常化が進展し、個人消費の増加や設備投資の拡大が持続した結果、景気は着実に回復しました。欧州では、各国で経済活動の制限が段階的に緩和され、景気が拡大しましたが、足元ではウクライナ情勢の緊迫化、エネルギー価格の高騰等が景気減速の懸念となっています。中国では、「ゼロコロナ政策」の長期化や電力制限等の政府の規制に加え、資源価格の高騰で景気の回復ペースは減速しています。わが国においては、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の解除等により、経済活動の正常化が進みましたが、新たな変異株の流行や資源価格の高騰等、依然として予断を許さない状況が続いており、先行きは不透明な状況です。

このような経済環境の中、当社グループの関連する市場において、舶用分野のうち商船向け市場では、新造船の受注環境は回復基調となり、また、欧州での換装需要が大幅に回復しました。漁業向け市場では需要が順調に増加しており、プレジャーボート向け市場での需要は、北米を中心に拡大傾向が続きました。産業用事業では、自動車関連市場における需要を背景にETC車載器の需要が好調に推移しました。また、メディカルヘルスケア市場におけるIVD(体外診断用医療機器)等の機器設置需要は堅調に増加しました。国内の教育ICT市場においては、『GIGAスクール構想』が2021年3月にほぼ完了しましたが、ICT整備の需要は底堅く推移しました。

当連結会計年度に適用した米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ109円及び130円であり、前年同期に比べ米ドルは約1.7%、ユーロは約6.6%の円安水準で推移しました。

以上の状況の中、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高847億8千3百万円前年同期比3.1%増)とわずかに増収となる一方で、売上総利益316億3千8百万円前年同期比2.6%増)となったものの、営業利益25億3千2百万円前年同期比32.3%減)、経常利益37億1千7百万円前年同期比22.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益28億1千4百万円前年同期比28.7%減)といずれも大幅な減益となりました。

売上高については、舶用事業が前年同期比で増収となった一方で、産業用事業及び無線LAN・ハンディターミナル事業は前年同期比で減収となりました。

利益については、舶用事業が前年同期比で大幅に増益となった一方で、産業用事業及び無線LAN・ハンディターミナル事業は前年同期比で減益となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

① 舶用事業

舶用事業の分野では、北米でプレジャーボート向け機器の販売が引き続き拡大しました。欧州では商船向け機器の販売が引き続き好調でした。また、日本では、農林水産省の経営継続補助金の対象となる案件が引き続き売上に貢献しました。しかしながら足元では、原材料、部品等の供給不足や物流費高騰が損益に与える影響が続いています。この結果、舶用事業の売上高は705億3千5百万円前年同期比12.1%増)となりました。セグメント利益は27億7千2百万円(前年同期比276.5%増)となりました。

 

② 産業用事業

産業用事業の分野では、PNT事業のうちETC車載器は自動車用品量販店向けを中心に販売は好調に推移し、またGNSSタイミング製品も5Gエリア拡大に伴い携帯電話基地局向けの販売が増加しましたが、OEM受託製品の販売が減少したことにより減収となりました。ヘルスケア事業のうち国内での骨密度測定器の販売と東南アジアでの生化学分析装置及び専用試薬の販売が増加したため、増収となりました。この結果、産業用事業の売上高は103億8千1百万円前年同期比4.0%減)となりました。セグメント損失は2千3百万円(前年同期のセグメント利益は3億2千万円)となりました。

 

③ 無線LAN・ハンディターミナル事業

無線LAN・ハンディターミナル事業の分野では、無線LANアクセスポイントにおけるGIGAスクール構想向け特需の剥落により、大幅な減収となりました。この結果、無線LAN・ハンディターミナル事業の売上高は35億5千2百万円前年同期比56.8%減)となりました。セグメント利益は4億4千6百万円(前年同期比83.9%減)となりました。

 

④ その他

その他の売上高は3億1千3百万円前年同期比9.7%増)、セグメント損失は3億5千9百万円(前年同期のセグメント損失は1千9百万円)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年3月1日  至 2022年2月28日

 

金額(百万円)

前年同期比(%)

舶用事業

45,167

+22.5

産業用事業

10,322

+11.2

無線LAN・ハンディターミナル事業

2,353

△65.1

その他

合計

57,843

+9.4

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当社グループの製品は、一部の受注生産を除き見込生産を行っております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年3月1日  至  2022年2月28日

 

金額(百万円)

前年同期比(%)

舶用事業

70,535

+12.1

産業用事業

10,381

△4.0

無線LAN・ハンディターミナル事業

3,552

△56.8

その他

313

+9.7

合計

84,783

+3.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

1)資産、負債及び純資産の状況

①  資産

流動資産は前連結会計年度末と比較して12億3千9百万円増加し、620億1千万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金21億9千4百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品35億7千2百万円増加したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末と比較して24億8千4百万円増加し、239億6千3百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が29億8千5百万円増加したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末と比較して37億2千4百万円増加し、859億7千3百万円となりました。

 

 ②  負債

流動負債は前連結会計年度末と比較して20億9千3百万円増加し、250億2千3百万円となりました。これは主に、電子記録債務13億8千1百万円増加したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度末と比較して5億5千7百万円減少し、130億6千8百万円となりました。これは主に、長期借入金9億円減少したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末と比較して15億3千6百万円増加して、380億9千2百万円となりました。

 

③ 純資産 

純資産は前連結会計年度末と比較して21億8千8百万円増加し、478億8千万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定(借方計上)が17億6千万円減少したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の自己資本比率は前連結会計年度の55.1%からほぼ横這いの55.7%となりました。また、中期経営計画(2021年2月期~2023年2月期)で経営指標として設定した自己資本営業利益率については、前連結会計年度の8.6%から3.1ポイント下降して5.4%となりました。

 

(当社グループの自己資本営業利益率の推移)

 

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

自己資本営業利益率(%)

5.4

12.0

5.8

8.6

5.4

 

(注) 自己資本営業利益率(%)の算出方法:営業利益/自己資本

 

2) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが61億9千3百万円増加したものの、投資活動によるキャッシュ・フローが43億8千9百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが35億1千8百万円、それぞれ減少したことにより、前連結会計年度末と比較して9億4千万円減少138億6千4百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は61億9千3百万円となりました(前連結会計年度比27.3%減)。これは主に、たな卸資産が増加したものの、税金等調整前当期純利益及び減価償却費を計上したこと並びに売上債権が減少したことによるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は43億8千9百万円となりました(前連結会計年度は45億5千3百万円の減少)。これは主に、有形固定資産の取得及び無形固定資産の取得によるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は35億1千8百万円となりました(前連結会計年度は8億5千万円の減少)。これは主に、配当金の支払及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出によるものであります。

 

 

(当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移)

 

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

自己資本比率(%)

49.8

52.0

55.1

55.1

55.7

時価ベースの自己資本比率(%)

31.1

37.5

38.0

40.4

37.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.7

2.6

1.2

1.2

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

43.3

46.2

85.2

86.8

67.4

 

(注)1.各指標の算出方法は、次のとおりです。

自己資本比率(%) : 自己資本/ 総資産

時価ベースの自己資本比率(%)  : 株式時価総額/ 総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) : 有利子負債/ 営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) : 営業キャッシュ・フロー/ 利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。

5.有利子負債は、連結貸借対照表上に計上している短期借入金1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金を対象にしています。

6.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

3)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、安定した収益を確保するための運転資金及び将来成長に向けた投資に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としておりますが、資本コストや自己資本比率等を総合的に勘案し、必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。

なお、当連結会計年度末における資金の残高は138億6千4百万円、有利子負債の残高は96億2百万円となっております。

また、金融・資本市場の混乱や緊急で資金が必要となる場合に備え、複数の金融機関とコミットメントライン契約及び当座借越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積りを行っております。これらの見積りは、過去の実績等を勘案し慎重に検討したうえで行い、継続して評価・判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りへの影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報 )」に記載しております。

 

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