業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済の動向ですが、国際通貨基金が発表した2020年の世界経済全体の成長率はマイナス3.3%となり、リーマンショックが発生した2009年のマイナス1.7%を大きく下回り、戦後最悪を記録いたしました。2021年の世界経済全体の成長率は4月6日に発表された国際通貨基金の最新の見通しによると、2020年のマイナス成長から一転してプラス6.0%になると予測しており、これは1月に発表された見通しに比べ0.5ポイント上方修正されております。

上方修正の要因の1つとなっているのが、当社グループの主要市場である米国の状況であります。2020年は新型コロナウイルスが米国内において感染拡大し、経済活動に影響を及ぼしたことにより、成長率はマイナス3.5%となりました。しかし、米国政府による巨額の財政支援に加え、連邦準備理事会によるゼロ金利政策などの効果で年末に向け成長率は上昇しておりました。2021年に入り、バイデン政権のもとで新たに成立した200兆円規模の経済対策に加え、新型コロナウイルスのワクチン接種率の向上等に伴う経済活動の正常化等の効果を見込み、2021年の成長率は2020年のマイナス3.5%からプラス6.4%になると予測されております。連邦準備理事会は2021年3月17日に実施された連邦公開市場委員会においてパウエル議長は、少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する方針を表明するとともに2021年中に物価上昇率が目標の2%を突破するとの予測を公表いたしました。バイデン政権はさらに200兆円を超えるインフラ投資計画を議会に提出しており、それに近い規模で成立する可能性が高いと考えられることから、先に成立した経済対策と合わせ、米国の経済成長率は今後、少なくとも2年から3年の期間において高成長が見込まれる状況にあります。

わが国の状況といたしましては、2021年3月23日に政府が公表した月例経済報告におきまして、自動車の輸出の伸びが弱まったとして「輸出」の判断を下方修正する一方で、企業の景況感が改善していることに加え、倒産も減少していることを踏まえ、景気全体について「持ち直しの動きが続いているものの一部に弱さがみられる」との総括判断を維持しております。しかし、先行きにつきましては、足元で新型コロナウイルス感染の「第4波」が急拡大しており、今後の景気見通しについては極めて不透明な状況となっております。

このような状況下、当社グループにおきまして、売上につきましては、米国市場において2020年3月期第4四半期から続いていた液晶テレビの好調な販売が当連結会計年度の第3四半期においても持続されたものの、年末商戦向けの特売製品の販売を行わなかったことに加え、第4四半期において液晶パネルの価格が高騰したことに伴い液晶テレビの利益率が悪化したため販売数量を調整したこと、また、液晶パネルや半導体の不足により計画と比べ液晶テレビを減産したこと等により、前連結会計年度に比べ減少いたしました。営業利益につきましては、前述の通り米国市場における液晶テレビの好調な販売が持続したことに伴い液晶テレビ事業の利益率が改善し第3四半期までは営業黒字を確保いたしましたが、第4四半期に入り、液晶パネルの価格高騰により液晶テレビ事業の利益率が悪化したことから通期においては営業赤字となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は60,588百万円(前連結会計年度末57,985百万円)となり、2,603百万円増加いたしました。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は13,182百万円(前連結会計年度末12,698百万円)となり、484百万円増加いたしました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は20,814百万円(前連結会計年度末18,589百万円)となり、2,225百万円増加いたしました。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は1,130百万円(前連結会計年度末905百万円)となり、225百万円増加いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は51,826百万円(前連結会計年度末51,189百万円)となり、637百万円増加いたしました。

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高80,448百万円(前期比9.0%減)、営業損失328百万円(前期は1,732百万円の営業損失)、経常利益143百万円(前期は1,594百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失12百万円(前期は2,392百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

所在地別セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(日本)

日本は、売上高32,429百万円(前期比10.1%減)、セグメント損失(営業損失)832百万円(前期は2,534百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。

(米州)

米州は、売上高47,961百万円(前期比6.3%減)、セグメント損失(営業損失)369百万円(前期は227百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

(アジア)

アジアは、売上高14百万円(前期比98.8%減)、セグメント利益(営業利益)1,511百万円(前期比215.0%増)となりました。

(その他)

欧州は、売上高43百万円(前期は売上計上なし)、セグメント損失(営業損失)は154百万円(前期は87百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加、未払金の増加及び定期預金の払戻による収入等があったものの、売上債権の増加、有形固定資産の取得による支出及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ103百万円(0.3%)減少し、当連結会計年度末には34,469百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は1,009百万円であり、前連結会計年度に比べ643百万円(38.9%)減少となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加及び未払金が増加したものの、売上債権が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は1,108百万円であり、前連結会計年度に比べ617百万円(125.8%)増加となりました。これは主に定期預金の払戻による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は61百万円であり、前連結会計年度に比べ169百万円(73.3%)減少となりました。これはリース債務の返済による支出によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

3,031

61.7

米州(百万円)

6,782

46.3

アジア(百万円)

42,360

104.3

合計(百万円)

52,173

86.7

 (注)1.金額は製造価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループが販売している自己ブランド製品は需要予測による見込生産を行っております。従いまして、受注実績は記載しておりません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

32,429

89.9

米州(百万円)

47,961

93.7

アジア(百万円)

14

1.2

その他(百万円)

43

合計(百万円)

80,448

91.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、金額には消費税等は含まれておりません。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額

(百万円)

割合(%)

金額

(百万円)

割合(%)

WAL-MART STORES,INC.

46,557

52.7

43,441

54.0

株式会社ヤマダホールディングス

16,724

18.9

16,297

20.3

(注)株式会社ヤマダホールディングスは2020年10月1日付で株式会社ヤマダ電機から商号変更しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は60,588百万円(前連結会計年度末57,985百万円)となり、2,603百万円増加いたしました。

 受取手形及び売掛金の増加(6,472百万円から7,681百万円へ1,209百万円増)、商品及び製品の増加(4,693百万円から8,036百万円へ3,342百万円増)、原材料及び貯蔵品の減少(9,293百万円から6,536百万円へ2,757百万円減)が大きく、受取手形及び売掛金の増加の原因の主なものは、期末日付近の売上が増加したことによるものであります。商品及び製品の増加の原因の主なものは、前連結会計年度において、当社グループの主要市場である米国に対して中国からの液晶テレビの輸出が新型コロナウイルス感染拡大により減少したこと等に伴い、当社製品への需要が増加したことにより、在庫が減少していたためであります。また、原材料及び貯蔵品の減少の原因の主なものは、原材料の仕入が減少したことによるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は13,182百万円(前連結会計年度末12,698百万円)となり、484百万円増加いたしました。

 その原因の主なものは、退職給付に係る資産の増加(1,820百万円から2,505百万円へ684百万円増)によるものであります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は20,814百万円(前連結会計年度末18,589百万円)となり、2,225百万円増加いたしました。

 未払金の増加(5,472百万円から6,804百万円へ1,331百万円増)が大きく、その原因の主なものは、特許権使用料に係る未払金の増加によるものであります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は1,130百万円(前連結会計年度末905百万円)となり、225百万円増加いたしました。

 その原因の主なものは、繰延税金負債の増加(599百万円から814百万円へ214百万円増)によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は51,826百万円(前連結会計年度末51,189百万円)となり、637百万円増加いたしました。

 その原因の主なものは、為替換算調整勘定の増加(△11,974百万円から△11,653百万円へ320百万円増)及び退職給付に係る調整累計額の増加(375百万円から679百万円へ304百万円増)によるものであります。

2)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は80,448百万円(前期比9.0%減)となりました。これは米国市場において、2020年3月期第4四半期から続いている液晶テレビの好調な販売が当連結会計年度の第3四半期においても持続されたものの、年末商戦向け特売製品の販売を行わなかったことに加え、第4四半期において液晶パネルの価格が高騰したことに伴い利益率が悪化したため、液晶テレビの販売数量を調整したことなどにより減少いたしました。

(営業利益)

 米国における液晶テレビ事業の利益率の改善があったものの、第4四半期に入り液晶パネルの価格高騰により液晶テレビ事業の利益率が悪化したことなどにより、営業損失は328百万円(前期は1,732百万円の営業損失)を計上することになりました。

(経常利益)

 経常利益は為替が第4四半期に入り急激な円安ドル高が進展したことによる為替差益が発生したことなどにより143百万円(前期は1,594百万円の経常損失)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純損失は特許権の売却に伴い特別利益を計上した一方、連結子会社ののれんの一時償却等による特別損失を計上したことなどにより12百万円(前期は2,392百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、本業における利益率を高めることが全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、売上高営業利益率を最も重要な指標として位置付けております。

 持続的な成長に向けて収益構造改革を実現するために「2018年度 経営方針(2018年4月~2021年3月)」を策定し、「マーケット・シェアの拡大」「FUNAIブランド浸透」「新規ビジネスの展開」の3つの基本戦略に取り組んでまいりました。その結果、初年度である前々連結会計年度は、売上高105,549百万円、営業利益682百万円となり、黒字化の目標を達成いたしました。経営方針2年目となる前連結会計年度は、当社グループの主要市場である北米市場において米中貿易摩擦の影響を受け、売上高88,425百万円、営業損失1,732百万円となりました。経営方針3年目となる当連結会計年度につきましては、売上高は、80,448百万円(前期比9.0%減)、営業損失は第3四半期までは営業黒字を確保していたものの、第4四半期に入り液晶パネルの価格高騰により液晶テレビ事業の利益率が悪化したことなどにより、328百万円(前期は1,732百万円の営業損失)を計上することになりました。

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(日本)

日本の2020年のテレビ市場におきましては、アナログ停波から約10年が経過したことによる買い替え需要や新型コロナウイルス対策として日本政府による特別定額給付金の給付に加え、巣ごもり需要の影響により好調に推移いたしました。当社が株式会社ヤマダホールディングスと独占販売契約を締結している薄型テレビやBDレコーダーなどの「FUNAIブランド」製品は2K液晶テレビに加え、2020年6月から発売した世界初のハードディスク内蔵有機EL Android TV™が計画通りに推移し、高付加価値製品である4K液晶テレビの販売比率も向上いたしました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により車載用バックライトの売上等が減少いたしました。この結果、売上高は32,429百万円(前期比10.1%減)となり、セグメント損失(営業損失)は832百万円(前期は2,534百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。

(米州)

米国のテレビ市場におきましては、米国政府による現金給付や失業保険の給付増額や巣ごもり需要による特需等により、テレビ販売が前年に比べ大幅に伸長し、その傾向が第3四半期においても持続されたことなどにより、液晶テレビの販売を中心とする映像機器事業の好調な売上が維持されました。これに伴い、北米市場における液晶テレビなどの流通在庫は、引き続き低い水準で推移するとともに販売価格も維持されました。なお、2021年3月期第3四半期については北米市場における年末商戦向け特売製品の販売を行わなかったことから、当連結会計年度については当該売上が減少いたしました。また、当連結会計年度の第4四半期においても液晶パネル不足に伴う製品不足などの影響により売上が想定を下回りました。この結果、売上高は47,961百万円(前期比6.3%減)となり、セグメント損失(営業損失)は第1四半期連結会計期間に全株式を取得し連結の範囲に含めたプレキシオン株式会社の100%子会社であるPreXion,Inc.において生じた損失等を反映した結果、369百万円(前期は227百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

(アジア)

液晶テレビの販売が減少したこと等により、売上高は14百万円(前期比98.8%減)となり、セグメント利益(営業利益)は液晶テレビ向け部品等の販売により1,511百万円(前期比215.0%増)となりました。

(その他)

欧州におきましては、プレキシオン株式会社の100%子会社であるPreXion(Europe)GmbHの損益計算書を第2四半期連結会計期間から連結したことにより、新たに歯科用CTスキャンの売上を計上いたしました。売上高は43百万円(前期は売上計上なし)となり、セグメント損失(営業損失)は154百万円(前期は87百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

 当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要及び設備資金需要があります。

 運転資金需要のうち主なものは製品の仕入、製造子会社では製品を製造するための材料仕入、製造費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要といたしましては、主に機械装置並びに工具、器具及び備品等の固定資産購入によるものであります。

財務政策

 当社グループは現在、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行からの借入金で調達を行っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得