事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当社グループの経営方針について

 当社グループは、グローバル規模での最適地生産・販売体制のもと、良質で低価格の製品を消費者に提供する方針をとっており、主要製品である薄型テレビ、DVD・BD関連製品等をはじめとするデジタル製品、プリンター関連製品並びにその他(車載用バックライト、歯科用CT等)の製造・販売を行っております。

 上記デジタル製品分野は、価格競争が激しく、ライフサイクルも短く、かつ新技術・新機能の開発競争も激化しており、これらの状況は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

① 製品のコスト、市場価格について

 当社グループは、ウォルマートを代表とするマスマーチャンダイザーの顧客を最大のターゲットにしているため、低価格の実現が必要と考えております。このため、最適地生産体制の確立、独自に開発した生産性向上システムであるFPS(フナイ・プロダクション・システム)の一層の発展・深耕を図るとともに、部品の内製化及び液晶パネル等の戦略的な購買等を通じてコスト削減を行っております。

 液晶パネルにつきましては、前述の通り、大幅な価格高騰が生じているとともに液晶パネルの不足、世界的な半導体不足に伴うテレビ用半導体の不足といった課題が連鎖的に拡大している状況であり、収益の大幅な圧迫要因となるとともに製品不足を招く事態となっております。これらに対応すべく、①「サプライチェーンの再構築」「部材の安定確保」「製品の安定供給」、②半導体及びパネル高騰による製品販売価格の是正、③設計品質の向上によるサービス費用削減に戦略的に取り組んでまいります。また、半導体につきましては年間必要数量を発注し、液晶パネルにつきましては回路基板無しでの発注等により安定調達を図ります。

② 新技術への対応について

 当民生用電気機器業界におきましては、かつてないスピードでのグローバル化、業際を越えた業界再編、インターネットの浸透と環境に配慮した社会の進展といった変化の中、市場ニーズも多様化しており、新製品開発の質・量・スピードを高めていく必要があります。

 しかし、予想以上の市場ニーズの多様化や技術革新等の発生によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうした課題に対応すべく、他社との事業提携や産学連携、人材育成などにより新規事業分野を中心とする技術力の向上をさせるとともに、M&A等も選択肢の一つとして捉えております。

③ 製品・サービスの欠陥について

 当社グループにおきましては、製品の欠陥が生じ、製品の修理、交換の対応に問題が生じた場合、その保証の影響及び社会的評価の低下等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対応すべく、品質管理及び技術関係部署を中心に設計品質の向上によりサービス費用削減に戦略的に取り組んでまいります。また、国内外にサービス会社を設立しサービス体制を整えております。

④ 知的財産権について

 昨今の目ざましい技術革新を通じて、キラーコンテンツ・サービスが開発され、瞬く間にデファクトスタンダード化されることにより、それら無しで当社の製品開発が不可欠となることも想定されます。その場合、これに対する想定しない特許支払いが発生するリスクが考えられます。

 また近年、製品の製造販売等をせずに、第三者から購入した知的財産権を用いて特許訴訟を提起して特許実施料収入を得る、所謂「パテント・トロール」の活動が盛んになっております。この傾向に製造販売業界全体が苦慮しており、このトロールの活動如何では多額の裁判費用及び賠償額支払いを余儀なくされ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 業務提携等について

 当社グループでは売上拡大と当社既存事業とのシナジー効果の創出による収益向上を効率的に実現するため、業務提携を行うことがあります。しかし、様々な要因により、当初期待した相乗効果が得られない場合、提携関係を継続できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績、成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。

(2)海外市場動向等の影響について

① 米州市場への依存度について

 当社グループの売上高は海外市場の構成が高く、特に米州市場への全売上に占める割合は当連結会計年度実績で62.4%となっております。また、その中でもウォルマートグループへの全売上に占める割合は当連結会計年度実績で54.0%となっております。

 そのため、米州の景気及びウォルマートグループの業績が急速に後退した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 為替変動リスクについて

 当社グループは、主力製品について最適地生産・販売体制の考えに基づいて生産地を決定しております。

 タイ及びメキシコにおきましては液晶テレビ、フィリピンではプリンター関連製品、インクカートリッジ及びDVD・BD関連製品を生産しております。

 一方、販売につきましては、当社がこれらの製品を当該海外生産子会社から仕入れ、海外販売子会社を通じて、北米等を中心とした世界の市場に向けて販売する他、国内におきましては、OEM供給先に対する直接販売等を行っております。

 当社グループの売上は主に米ドル建てですが、一部メキシコペソや円建ての取引が存在します。また、主な仕入取引については大半が米ドル建てで決済を行っております。米ドル建ての売上と仕入の取引については為替変動による影響はありませんが、売上がメキシコペソや円建ての場合は、米ドル建て費用に対する為替変動の影響を受けます。

 また、海外通貨建ての資産・負債は決算日時点の為替レートにより円換算されることから、大幅な為替変動は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 地政学リスク並びに通商問題等のリスク

 グローバル化の進展とそれに逆行する孤立主義との間で世界情勢は極めて不透明性の高い状況にあり、いつ地政学的な問題が発生するか見通すことが難しい状況であります。特に中東地域でそのような問題が生じた場合、原油価格のボラティリティが大きくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響するリスク等が発生する可能性があります。米中の通商問題につきましても、今後「貿易戦争」が再燃する可能性も否定できません。その場合、中国製液晶テレビを製造するメーカーが北米市場への輸出攻勢をかける可能性があり、これが及ぼす市場への影響に対する当社グループの対応によっては財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)その他のリスク

① 法的規制について

当社グループは事業を展開する各国において、商取引、輸出入、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、金融取引、事業者への課税及び会計監査制度の変更をはじめとする様々な法規制等の適用を受けます。これらの法規制あるいは当局の法令解釈が従来から変更になること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 訴訟等について

当社グループは国内外で展開する事業において、継続的に運営に関する各種の訴訟リスクが存在します。重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 情報管理について

当社グループの社内システムについて情報漏洩対策やウイルス防御システムの導入などを施しておりますが、人的ミスや新種のウイルス等に起因する情報漏洩やシステムダウンを完全に防御できない可能性があります。こうした事象が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 退職給付債務について

当社及び一部のグループ会社では、確定給付企業年金制度を設けており、その退職給付債務は、年金資産に係る長期期待運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。しかしながら、その前提条件に変更の必要が生じた場合や運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合、また、年金制度の変更等により将来の退職給付費用が増加した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 資金調達について

当社グループの業績の悪化により、資金調達の制約を受け、資金調達コストの上昇を招く可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 感染症の世界的拡大に関するリスクについて

今般の新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界経済に甚大な影響を及ぼしました。今後、新型コロナウイルス感染症の更なる拡大や新たな感染症の発生の可能性が否定できない状況にあります。その場合、部品調達の遅延、不達及び工場稼働停止、稼働率低下といった生産面、感染症拡大による需要減少といった需要面で当社事業に大きな影響を及ぼし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ ESGの重要性向上に関するリスクについて

ESGへの取り組みは今後ますます重要性が増すことが想定されます。当社はこれまでも環境、社会、コーポレートガバナンスに関する取り組みを進めてまいりましたが、地球環境保全・気候変動への取り組みを更に強化することは企業の社会的責任として看過することができない問題となっております。加えて、世界的な「脱炭素」に向けた取り組みが高まる中、当社としての対応について社会からの注目がいままで以上に高まっていくことが想定されます。かかる中、当社グループに関して万一「ESGに関するリスク」が顕在化した場合、消費者が当社グループへのレピュテーションを低下させることによる売上減少など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 継続企業の前提に関する重要な事象について

当社グループは、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりましたが、中期経営方針に基づく事業別方針に沿って対応策を着実に実施したことにより、当連結会計年度を含む3期連続でプラスの営業キャッシュ・フローを計上しております。

また、資金面においても現状の当社グループの現金及び預金の残高にて、当面の間の運転資金が十分に賄える状況であり、重要な資金繰りの懸念がないことから、当連結会計年度において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したと判断しております。

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