業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は継続しましたが、先進国を中心にワクチン接種が進展したことにより、経済活動の再開が進み、景気回復の動きが見られました。一方で、米中貿易摩擦の長期化、資源価格の上昇、半導体をはじめとする部材の供給不足に加え、足元ではウクライナ情勢等が景気減速の懸念材料となっており、先行きは依然不透明な状況が続いています。

当社グループに関連する事業環境につきましては、半導体をはじめとする部材の供給不足による影響はあるものの、主要顧客である自動車関連分野や電子部品関連分野等における生産活動の回復が進み、拡大基調が継続しました。

また、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国主導の温室効果ガス(GHG)対策が加速し、代替エネルギーの開発や水素サプライチェーン構築関連需要が急拡大しました。

このような状況のなか、当社グループは、生産・開発の現場で不可欠な高機能温度計測・制御・監視用の製品、システムはもとより、電子部品や新素材等の成長分野における課題を解決するソリューションの提供に注力いたしました。

 この結果、当連結会計年度の受注高は25,557百万円(前期比24.3%増)、売上高は21,908百万円(前期比3.9%増)となりました。顧客の設備投資の拡大に加えて、部材の長納期化を見越した発注時期前倒しの動きもあり、受注高は過去最高となりました。売上高においては、部材調達先の拡大や代替品の採用等を通じて部材逼迫による生産への影響をできる限り避け、前期比で増加を確保しました。

 利益については、増収効果および原価低減の取組みにより、営業利益は1,499百万円(前期比32.0%増)、経常利益は1,744百万円(前期比35.9%増)と前期比で増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は1,050百万円(前期比18.5%減)となりましたが、これは、前年同期に明陽電機株式会社の連結子会社化に伴う特別利益として負ののれん発生益557百万円を計上した影響によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益1,719百万円、減価償却費795百万円、仕入債務の増加821百万円等の資金増加が、棚卸資産の増加987百万円等の資金減少を上回ったことにより、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,880百万円の資金増加(前期比460百万円の資金減少)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形・無形固定資産の取得による支出910百万円等の資金減少が、保険積立金の払戻による収入302百万円等の資金増加を上回ったことにより、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、578百万円の資金減少(前期比169百万円の資金増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 配当金の支払381百万円、長期借入金の返済による支出272百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出222百万円等の資金減少により、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、978百万円の資金減少(前期比9百万円の資金減少)となりました。

 これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ390百万円増加し、5,821百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

計測制御機器

5,946

6.7

計装システム

6,480

△0.1

センサ

6,078

0.4

その他

463

△4.5

合計

18,969

2.0

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、見込販売価額で示してあります。

 

b.受注状況

 当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

計測制御機器

8,669

29.3

計装システム

9,156

37.4

センサ

7,077

8.2

その他

654

1.4

合計

25,557

24.3

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

計測制御機器

7,965

15.1

計装システム

6,302

△6.7

センサ

6,804

3.7

その他

836

△1.0

合計

21,908

3.9

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

<セグメント別の業績>

① 計測制御機器

 売上高は7,965百万円(前期比15.1%増)、セグメント利益は1,168百万円(前期比31.6%増)となりました。前期は新型コロナウイルス感染症の広がりにより顧客の生産活動の停滞、設備投資の先送りの影響を大きく受けた記録計は主に海外向け、特に中国を中心としたアジア地域において需要が伸長し、調節計とサイリスタレギュレータは、大口顧客の売上が順調に推移しました。

 前期に特需が発生した、コロナウイルス感染症拡大対策向けの体表面温度チェッカの売上高は大きく減少しましたが、監視システム用の無線ロガーや温湿度計等の拡販にも注力し、当セグメントの売上高は増加しました。

 

② 計装システム

 売上高は6,302百万円(前期比6.7%減)、セグメント利益は481百万円(前期比18.7%減)となりました。前年度後半から需要が回復した電子部品関連の製造装置向けの売上が引き続き順調に推移しました。また脱炭素関連として、自動車関連向けなどの燃料電池評価試験装置や、水素のエネルギー利用の研究・開発用途の水電解評価装置の需要拡大により売上が増加し、来期以降も拡大傾向が期待されます。

 一方で、コンプレッサー性能試験装置は需要の低迷が継続したことが主因となり、当セグメントは前期比減収減益となりました。

 

③ センサ

 売上高は6,804百万円(前期比3.7%増)、セグメント利益は1,304百万円(前期比14.6%増)となりました。放射温度計、温度センサともに半導体関連の製造装置向けに海外の需要が好調であり、国内においても輸出向けの需要が堅調です。また、放射温度計は鉄鋼関連の設備更新、温度センサはAMS(航空宇宙材料に関わる高度な規格)対応製品やバイオマス関連の需要も堅調に推移しました。

 

④ その他

 売上高は836百万円(前期比1.0%減)で、セグメント利益は194百万円(前期比27.3%増)となりました。

 

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」に記載しました(創立90周年=2026年に向けた経営ビジョン)の実現を目指し、中期経営計画の初年度となる当連結会計年度をグループ一丸となって持続的成長軌道の構築と中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいりました。

 

<経営成績の分析>

(売上高)

 当連結会計年度における売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(営業利益)

 原価低減の取り組みにより、売上原価率は67.7%と2.1ポイント改善しました。また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度より349百万円増加し、5,576百万円となりました。

 その結果、営業利益は1,499百万円と前連結会計年度に比べ32.0%の増益となり、売上高営業利益率は6.8%と前連結会計年度より1.4ポイント増加しました。

 

 セグメント別の営業利益実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

計測制御機器

1,168

31.6

計装システム

481

△18.7

センサ

1,304

14.6

その他

194

27.3

全社費用(注)

△1,649

合計

1,499

32.0

(注) 全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

 

(経常利益)

 営業外収益につきましては、301百万円と前連結会計年度に比べ73百万円増加しました。

 営業外費用につきましては、55百万円と前連結会計年度に比べ24百万円減少しました。

 これらの結果、経常利益は1,744百万円と前連結会計年度に比べ35.9%の増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は1,719百万円と前連結会計年度に比べ6.5%の減益となり、また親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、1,050百万円と前連結会計年度比18.5%の減益となりました。これらの主な要因は、前連結会計年度に負ののれん発生益557百万円の特別利益を計上したことによるものです。

 

<経営戦略の現状と見通し>

中期経営計画初年度(2021年度)においての4つの基本戦略と活動概要は下記の通りです。

1.成長分野の更なる開拓・拡大

・成長分野をターゲットに分野別開拓プロジェクトチームを設置し、市場ニーズの収集・分析から製品開発へ展開

・脱炭素社会の実現に向け水素利用技術支援として特長のある計装システム・温度計測技術を提供

2.コア事業の高度化と価値創造

・『温度標準』『赤外線計測』『湿度・ガス計測』等の技術及び製品・システムのロードマップを整備

・JCSS校正(温度校正事業の中核)に関して各種規制強化に伴う需要増加を見込み組織体制を強化

3.海外事業の基盤強化と拡大

・国内外の営業連携を強化し、国内顧客の海外プロジェクトへ参画することでグローバルなサービスを提供

・中国・韓国を中心にアジア地域向け製品売上を拡大するため、マーケティング機能を強化

・海外グループ会社の「自立・自律」をテーマに地域別戦略を策定し、本社・海外グループ会社一体となり推

 進

4.経営基盤の強靭化

・人的資本の向上に向け、教育研修制度を整備・充実するとともに全社の組織開発活動を推進

・ICTインフラ面について、営業・サービス活動の変革を支えるデジタルツールの導入等DXの取組みを強化

・指名・報酬諮問委員会の発足、役員報酬制度の見直し、取締役会実効性評価の実施等を通じガバナンスを高

 度化

 

 足元では資源価格の上昇、半導体をはじめとする部材の供給不足、ウクライナ情勢等が景気減速の懸念材料となっており、先行きは依然不透明な状況が続いていますが、2022年度は、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しました(2022年度重点施策)を推進し、「成長の基礎固め」を着実に実行いたします。

 

<財政状態の分析>

 当連結会計年度末は、明陽電機株式会社の子会社化を主因として、資産、負債及び純資産が増加しました。

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,146百万円増加し、31,545百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,382百万円増加し、21,681百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加340百万円、売上債権の増加47百万円、棚卸資産の増加1,051百万円であります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ235百万円減少し、9,864百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の減少155百万円であります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ497百万円増加し、11,394百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ941百万円増加し、8,216百万円となりました。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ443百万円減少し、3,177百万円となりました。

(非支配株主持分)

 連結子会社のアーズ㈱、明陽電機㈱、上海大華-千野儀表有限公司、千野測控設備(昆山)有限公司、韓国チノー株式会社及びCHINO Coporation (Thailand)Limitedの非支配株主持分であります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ648百万円増加し、20,150百万円となりました。

 

<キャッシュ・フローの分析>

 当連結会計年度のキャッシュ・フローは、当期は、営業活動によるキャッシュ・フロー1,880百万円が、投資活動によるキャッシュ・フロー(設備投資<建物設備更新、生産効率化設備等>)578百万円を上回り、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、1,301百万円となりました。

 

(フリー・キャッシュ・フロー)

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 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 運転資金は自己資金を基本としつつ、必要に応じて短期資金は、金融機関からの短期借入により調達し、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入により調達することにしております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は2,260百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,821百万円となっております。

 

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