(方針)
当社は、グループ全体のリスクマネジメント活動を統括する組織として「リスクマネジメント委員会」を設置し、委員長を代表取締役社長が務めています。
リスクマネジメント委員会では、経営に重大な影響を及ぼす内外のリスク項目を特定し、各部門・関係会社が実施するリスク管理の状況をモニタリングするとともにリスクの早期発見に努め、その重要性を評価して適切・迅速にコントロールしています。
<リスクマネジメント体制>
<リスクマネジメント基本方針>
当社は、グループを取り巻くリスクの正しい認識と適切なリスク対応を経営の重要事項の一つと位置づけ、ステークホルダーからの信頼の確保と企業価値の向上を図るために、次に示す方針のもと全社を挙げてリスクマネジメントに取り組んでまいります。
・教育や研修・訓練の実施と情報の共有化により、役職員一人ひとりの法令遵守の徹底とリスク感性の醸成に努めます。
・全ての組織でリスクの識別・評価とコントロール活動の継続的改善に取り組み、総合的なリスク対応力の強化を図ります。
・危機発生時には、ステークホルダーの安全・健康を第一義に経営資源の保全、被害の極小化と速やかな回復を図るために責任ある行動をとります。
・リスクマネジメントプロセスの妥当性と有効性を日常的にモニタリングし、事業の継続的発展に努めます。
・リスク情報を適切に社会に開示するとともに、リスクに関連する社会的要請をリスクマネジメントに反映します。
(重要なリスク)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)景気の悪化
当社グループは、温度を中心とする計測と制御の専門企業集団として、様々な業種に製品を提供しておりますが、売上高全体のうち、その多くは製造業が占めております。また、当社グループの製品は国内販売比率が高く、主として設備投資関連や研究開発向けであるため、景気の悪化により、国内製造業の設備投資が著しく落ち込みますと、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替変動
当社グループは、中期経営計画において、海外売上高の拡大を目標とし、諸施策を遂行しております。輸出の為替リスクを回避するため円建て取引を原則としておりますが、一部外貨建輸出もあり、その場合は先物為替予約等によって為替リスクヘッジを行うなど為替変動の影響を最小限にとどめるよう努めております。しかしながら、大幅な為替変動(円高)は価格競争力を低下させ、また海外の連結子会社の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しておりますので、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)カントリーリスク
当社グループでは、中国等アジアを中心に生産・販売等の海外活動を展開しております。この海外活動に関するリスクとして政治・経済情勢の悪化、テロあるいは紛争等の発生による事業活動の制約、海外事業の業績悪化、事業継続に支障をきたし、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)他社との競合・競争
当社グループでは、長年培った「計測・制御・監視」の技術で、計測制御機器、計装システム、温度センサ等の製品・サービスを提供する事業等を営んでおります。しかし、競合他社との品質・性能・価格等における競争が収益を圧迫した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)材料・部品等の調達
当社グループは、製品の生産活動において電気・電子部品及び金属、プラスチック等の材料部品を使用しており、半導体をはじめとする材料部品の供給不足による生産停止を招かないように複数購買先の確保や代替部材の検討等に努めております。
しかし、これらについての供給の逼迫や遅延、価格変動が生じた場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)製造物責任
当社グループでは、国内外の幅広い業種の顧客に対して製品を提供しており、その製品を生産する際、製品の評価試験、デザインレビュー(DR)、出荷前検査、受入検査等を行い、製品の品質維持と向上に努めております。
しかし、製品の品質に関して欠陥が発生する可能性はゼロとは言えず、重大な事象が発生した場合、対応のための費用、顧客への損害賠償、ブランド力の低下による売上の減少等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)人財の採用・確保と育成
当社グループでは、当社の事業活動を担う人財の確保と育成のため、様々な施策を行っております。しかし、事業環境の変化等の要因により必要な人財の確保と育成が十分に行われなかった場合、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報セキュリティ
当社グループは、事業活動上、機密情報や個人情報を保持し、これらを適切に管理するためのセキュリティ対策を実施しております。しかし、事業活動の基盤となるコンピュータ・システムの予期せぬ故障、想定した防御水準を上回る技術による攻撃手段による外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスへの感染などにより、情報漏洩や重要データの喪失・改ざん、システム停止等の事象が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)取引先の財務状況悪化
当社グループでは、取引の前に取引先の信用状況を確認し、不良債権の発生防止に努めております。しかし、取引先の財務状況が著しく悪化し、売掛債権の回収が滞った場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10)パンデミック
新型コロナウイルス等の感染症の拡大により、当社グループにおいて、国内・海外の生産活動及び販売活動が停滞し、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、赤外線技術を用いて非接触で体表面温度を測定する体表面温度監視カメラや体表面温度チェッカを製造しており、これらの製品は、発熱者の早期発見、感染拡大の予防に役立っております。
(11)自然災害
不測の大規模地震や台風等の自然災害により、生産設備への被害等が発生するリスクが考えられます。これらの事象は、工場の操業や顧客への供給に支障が生じ、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)気候変動問題への対応
当社グループでは、気候変動をサステナビリティ経営上の最重要課題の一つと認識し、SDGsやパリ協定の長期目標に示された脱炭素社会への貢献に向け、幅広いステークホルダーとの協働を通して、気候変動に係るリスクへの適切な対応と成長機会の獲得に取り組んでいます。
2022年5月、当社グループは気候変動関連情報開示の重要性を踏まえてTCFD提言への賛同を表明しました。今後、これを契機に気候変動がもたらす事業へのリスクと機会についての分析と対応を一層強化するとともに、TCFD提言に沿った情報開示の拡充を進めてまいります。
<TCFD提言に沿った情報開示>
①ガバナンス
当社グループのサステナビリティ経営に関わる基本方針や重要施策等を検討・審議する組織として、2022年1月に代表取締役社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」を設置しました。当会議では、「気候変動への対応」をサステナビリティ経営の最重要課題(マテリアリティ)であることを経営層全員で共有し、その実行計画の策定と進捗レビューを行っています。また、この課題に対するミドルアップの検討・提言を行う機関として、脱炭素市場に向けたマーケティングとソリューション提案を担う「脱炭素化プロジェクト」と気候変動対応を中心にマテリアリティに対する業務活動の深化を担う「CSR推進プロジェクト」を設置しています。
取締役会は、「サステナビリティ推進会議」で審議された内容の報告を受け、活動の基本方針及び重要施策等についての監督を行っています。
■サステナビリティ推進体制図
②戦略
当社グループは、気候変動に伴うリスク及び機会を事業戦略上の重要な要素の一つと認識し、2℃以下シナリオを考慮したリスク・機会の抽出と対応策の検討・策定を進めています。
その結果、移行リスクとしてカーボンプライシング(炭素税)の導入及び価格上昇による製造コストの増加、物理的リスクとして異常気象の激甚化による自社拠点を含むサプライチェーンの操業停止・停滞がとりわけ事業活動へ大きなインパクトを及ぼすことが想定されます。
一方、脱炭素社会への動き、とりわけ水素利活用の進展とモビリティの電動化および再生可能エネルギーの需要拡大等が、当社グループの技術を活かした課題解決・販売拡大の機会であるととらえています。
なお、事業に及ぼす財務影響度については、現時点では定量評価が難しいため大・中・小の三段階で、定性的に把握しています。今後は継続的にシナリオ分析を進めることで財務影響度の精度を高めながら気候変動に伴うリスクと機会への対応力を強化し、当社グループのサステナビリティ経営のレベルアップに努めてまいります。
■ 主要なリスク・機会及び当社の対応方針
③リスク管理
当社グループでは、リスク管理の統轄機関として「リスクマネジメント委員会」を設置しています。「リスクマネジメント委員会」は、代表取締役社長を委員長として、リスク対応方針の策定や環境課題を含めた全社経営リスクの継続的な識別と評価を行い、優先順位をつけて絞り込んだ重要リスクへの対策を決定するとともにその進捗状況をモニタリングしています。
上記重要リスクのうち気候変動に関連したリスクについては、その時間軸や規模の特殊性を踏まえて「サステナビリティ推進会議」の中でより詳細に検討を行い実行計画に落とし込み、その進捗状況を「リスクマネジメント委員会」と共有化の上、最終的に取締役会へ報告しています。
④指標と目標
当社では、Scope1,2(当社の事業活動におけるGHG排出量)について「2026年度のGHG排出量実質ゼロ」「2040年度のGHG排出量完全ゼロ」という中長期目標を設定し、目標達成に向けて各種の取組みを進めてまいります。
今後は、連結子会社を含めたグループ全体の指標及び目標の策定、Scope3 (当社の事業活動に関連するサプライチェーン全体を含めたGHG排出量)のデータ収集及び削減対策の検討等に精力的に取り組んでまいります。
■事業活動のカーボンニュートラルに向けたロードマップ
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