研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者さんの近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。

 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液等の体液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発等に取り組んでおります。

 

 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。

(1) 2021年4月 当社は、新型コロナウイルスのRNAを検出するSARS コロナウイルス核酸キット「DetectAmp SARS-CoV-2 RT-PCRキット」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得、保険適用を受けました。

(2) 2021年5月 当社は、シンクサイト株式会社と、AIベースの細胞分析技術の実用化に向けた共同開発及び資本提携に関する契約を締結いたしました。

(3) 2021年5月 当社は、2020年6月、神戸医療産業都市内に構築した全国初の官民連携による新型コロナウイルス感染症のPCR検査ラボラトリーをPCR検査数の拡大と機能拡充に向けて当社研究開発センター内に移転、運用を開始いたしました。

(4) 2021年5月 当社と国立研究開発法人国立がん研究センターは、がん患者における新型コロナウイルスの罹患状況とリスクを評価するため、2020年8月から10月にかけてがん患者と健常人について新型コロナウイルスの抗体保有率と抗体量を調査し、その結果を発表いたしました。

(5) 2021年6月 塩野義製薬株式会社は、当社と共同開発したTh2 ケモカイン・TARC キット「HISCL™ TARC 試薬」について、新型コロナウイルス陽性患者の重症化リスクの判定補助を使用目的とする適応追加承認を取得いたしました。本製品は、当社製の全自動免疫測定装置 HISCL-5000/HISCL-800にて使用いたします。

(6) 2021年6月 当社は、OSNA™法※1を測定原理とする遺伝子増幅検出試薬「LYNOAMP™ CK19 E」について、欧州における体外診断用医療機器規則(IVDR)※2の認証を取得いたしました。

※1 OSNA法:

当社が開発した直接遺伝子増幅(One-Step Nucleic Acid Amplification)法。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。

※2 体外診断用医療機器規則(IVDR):

In Vitro Diagnostic Medical Devices Regulation(Regulation (EU) 2017/746)のことで、欧州市場において体外診断用医療機器を上市・販売・流通する場合に適用される新たな法規制。

(7) 2021年7月 当社は、QIAGEN N.V.(キアゲン)と、がん領域コンパニオン診断薬※3の共同開発、グローバル事業に関する戦略的な業務提携に合意いたしました。

※3 コンパニオン診断薬:

医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行われる臨床検査のこと。

(8) 2021年9月 当社と地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立神戸アイセンター病院が、共同で開発を進めてきた遺伝子パネル検査「IRDパネル検査システム(仮称)」を用いて行う「遺伝性網膜ジストロフィー※4における遺伝子診断と遺伝カウンセリング」が、先進医療B※5として承認されました。

※4 遺伝性網膜ジストロフィー(Inherited Retinal Dystrophy: IRD):

遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患。夜盲や視野狭窄、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィーと呼ぶ。

※5 先進医療B:

先進医療とは、効果、安全性等の評価が定まっていない新しい試験的な医療技術のうち、将来的に保険適用の対象にするかどうかを判断するため有効性、安全性の評価を行う医療技術として厚生労働省が指定したもの。そのうち先進医療Bは、医療技術ごとに施設基準を設定し、その要件を満たす医療機関でのみ実施が認められる。

(9) 2021年12月 当社は、全自動免疫測定装置HISCL-5000/HISCL-800を用いて血液中のアミロイドβを測定し、脳内アミロイドβの蓄積状態の把握を補助する検査試薬の製造販売承認申請を実施いたしました。

(10) 2022年2月 当社は、免疫検査分野における診断薬の開発及び生産力の強化を目的に、株式会社カイノスとの資本業務提携に合意いたしました。

 

 なお、当連結会計年度における研究開発費は26,784百万円であります。

 

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