業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績、目標とする経営指標及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況が継続する中で、設備投資関連は多少持ち直しの動きが見られましたが、エネルギー価格の高騰、半導体の供給不足、急激な円安の進行による物価の上昇などに加え、ロシアのウクライナ侵攻による各国の経済制裁による影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。

当業界におきましては、新規製品の引合い増加に加え設備投資案件の引合いも増加傾向となり、回復基調で推移いたしましたが、主要顧客である輸送機器関連を中心に、半導体関連や電子部品等の調達難により、大手メーカでは生産調整や操業停止を余儀なくされるなど、厳しい受注環境となりました。

このような状況のなかで当社グループは、既存顧客への深耕営業に努めるとともに、ウェビナー(WEBセミナー)の継続開催による新規顧客の開拓、WEB会議の開催、ホームページの拡充、インターネットを活用した動画配信を一層強化するなど、コロナ禍による厳しい環境にも対応可能な新たな営業スタイルの確立に注力いたしました。

以上の結果、売上高は24億45百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益は3億11百万円(前年同期比95.0%増)、経常利益は3億51百万円(前年同期比82.9%増)、法人税等調整額△77百万円(△は益)の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は3億40百万円(前年同期比117.4%増)となりました。

セグメント別の状況は次のとおりであります。なお、セグメント利益と営業利益の差額は、主に全社費用である一般管理費であります。

 

(X線残留応力測定装置関連)

活動を自粛していた展示会や学会が再開され対面営業等も通常に戻りつつあり、WEBによる展示会への出展、SNSによる情報発信等、新たな試みのウェビナーにつきましても予想を上回る反響が得られるなど、インターネットを活用した営業活動も定着しつつあり、従来とは異なる顧客への積極的なアプローチを展開いたしました結果、売上高は7億15百万円(前年同期比40.2%増)、セグメント利益は2億84百万円(前年同期比156.7%増)となりました。

(ヘルスケア装置関連)

受託開発案件では、課題検討の長期化や追加仕様への対応により、作業工数が予定を大幅に上回るなどのマイナス面もありましたが、既存顧客からの新たな受託開発・試作・量産等の引合い増加、新規顧客との取引開始、受注済み装置の生産性向上などにより利益率も大幅に改善したことから、売上高は9億82百万円(前年同期比39.1%増)、セグメント利益は86百万円(前年同期比123.2%増)となりました。

(光応用・特殊機器装置関連)

個別案件の引合いは好調を維持しているものの、生産調整による出荷台数の減少、顧客都合による生産計画の変更や仕様検討の長期化に加え、受注時期の先送りや海外出張の渡航規制などの影響により、売上高は7億46百万円(前年同期比14.5%減)、セグメント利益は2億45百万円(前年同期比3.8%減)となりました。

 

② 目標とする経営指標の状況

・売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3億55百万円増加し、24億45百万円となりました。

・売上高営業利益率

当連結会計年度の売上高営業利益率は、前連結会計年度に比べ5.0ポイント改善し12.7%となりました。

 

 

前連結会計年度(実績)

当連結会計年度(計画)

当連結会計年度(実績)

売上高(千円)

2,090,042

2,200,000

2,445,227

営業利益(千円)

159,892

181,645

311,711

売上高営業利益率(%)

7.7

8.3

12.7

 

 

③ 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べて6億46百万円増加し、46億47百万円となりました。これは主に、現金及び預金が5億36百万円増加したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末と比べて3億67百万円増加し、13億74百万円となりました。これは主に、未払法人税等が87百万円、賞与引当金が89百万円それぞれ増加したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末と比べて2億78百万円増加し、32億73百万円となりました。これは主に、利益剰余金が2億78百万円増加したことによるものであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて5億36百万円増加し、22億12百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、6億58百万円の獲得(前年同期は6億46百万円の獲得)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上3億52百万円、賞与引当金の増加89百万円、仕入債務の増加88百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、66百万円の使用(前年同期は28百万円の使用)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出54百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、71百万円の使用(前年同期は54百万円の獲得)となりました。主な減少要因は、配当金の支払額61百万円であります。

 

 

⑤ 生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

X線残留応力測定装置関連

519,030

117.8

ヘルスケア装置関連

1,143,727

141.4

光応用・特殊機器装置関連

681,868

113.0

合計

2,344,626

126.5

 

 

(受注実績)

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

X線残留応力測定装置関連

694,691

137.8

65,700

75.5

ヘルスケア装置関連

1,252,578

94.0

1,345,868

125.1

光応用・特殊機器装置関連

674,558

121.1

235,391

76.6

合計

2,621,828

109.5

1,646,961

112.0

 

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

X線残留応力測定装置関連

715,994

140.2

ヘルスケア装置関連

982,941

139.1

光応用・特殊機器装置関連

746,292

85.5

合計

2,445,227

117.0

 

 

(注) 主な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

(自 令和2年4月1日
  至 令和3年3月31日

(自 令和3年4月1日
  至 令和4年3月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東洋紡株式会社

519,766

24.9

601,300

24.6

株式会社日立ハイテク

312,489

15.0

310,237

12.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成において重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであり、投資の減損及び繰延税金資産の会計方針は、次のとおりであります。

 a.投資の減損

当社グループは、市場価格のある有価証券と市場価格のない有価証券を有しております。市場価格のある有価証券は、期末日の市場価格等に基づいて計上しております。市場価格等が取得原価に比べて30%以上下落した場合は、原則として減損処理を行うこととしております。市場価格のない有価証券の減損処理は、純資産額の減少、財政状態及び将来の業績予想等を総合的に勘案のうえ評価することとしております。

 b.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、回収の可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当額の計上を検討する際は、将来の課税所得と実行可能なタックス・プランニングを考慮することとしております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

新型コロナウイルス感染症は、ワクチン接種も功を奏しており新たな変異株による感染拡大も懸念されますが、景気浮揚に向けた政策への転換により、経済活動の活性化が期待できる状況になりつつあります。一方で、半導体や電子部品の調達難による影響が深刻化しており、エネルギー価格の高騰、円安進行による物価高、ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクの増大なども加わり、コロナ禍の回復途上に加え新たな難題が山積する状況下となりました。

このような状況のなかで当社グループは、より良い製品を創出するモノづくりのプロとして、品質ロスの削減に努めるとともに、働き方改革を実践し生産性向上に努めてまいりました。また、電子部品の調達難に対処するため、入手性の良い部品への設計変更や生産工程の見直しを積極的に行い、機会損失を最少とするよう取組んでまいりました。

中長期的な経営基盤強化の観点からは、新規事業の創出に加え新製品の開発投資などの先行投資を積極的に行うとともに、営業力の強化、人材の採用と育成に一層注力いたしました。

 a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

   売上高

当連結会計年度の売上高は、「(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。

   売上原価

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と比べ2億12百万円増加し、15億48百万円(前年同期比15.9%増)となりました。また、売上高総利益率は、前連結会計年度と比べ0.6ポイント改善し36.7%となりました。

主な増加要因は、予定工数を大幅に超過した受託開発案件の発生や組織異動に伴う製造間接費の増加等によるものですが、作業効率の向上に取組み、さらなる原価低減に努めたことから、売上高総利益率は若干改善傾向となりました。

   販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ8百万円減少し、5億84百万円(前年同期比1.5%減)となりました。これは主に、賞与関連費用の増加や移動制限緩和により旅費交通費が増えたものの、組織異動により人件費が製造原価に振り替えられたことにより減少したものであります。

 

 b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える主な要因は、次のとおりであります。

   受注環境の悪化

当社グループは、電子機器メーカ、機械メーカ及び自動車関連メーカを主要顧客としており、これらの業界の業績や設備投資動向によっては、受注環境が一気に冷え込む可能性があり、このような状況が顕在化した場合は、業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルスの感染状況によっては、国内の移動制限や海外の渡航制限等により、営業活動が制約されることから、受注環境が悪化する可能性があります。

   受託開発の増加

顧客仕様による受託開発や受託生産の増加に伴い、新たな技術的課題の解決に顧客満足が得られるよう取組んでおります。開発工数や調達部材の予算超過による開発費用の増加、当初の見込みとの相違によるスケジュールの遅延、開発仕様の内容不備による機能・性能面の不足又は過剰による不具合の発生など、トラブルが顕在化し許容範囲を超えた場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

   部品の入手難

新型コロナウイルスの感染拡大により、部品メーカの海外生産工場がロックダウン等の影響を受け、部品の生産ができない状況となり、半導体等の電子部品の調達が厳しくなっております。このような部品の入手状況が継続した場合は、当社製品の製作期間が長期化することに加え、部品入手未定により生産計画を立てられないことから、顧客要求の納期に間に合わず失注となる可能性があります。

   人材の確保

顧客仕様による受託開発や受託生産が増加しており、担当できる技術者の不足が深刻化しつつあります。このような状況に対処するため、派遣社員の受け入れや即戦力となり得る人材の採用に注力しておりますが、思うような人材が確保できない場合は、受注活動に支障をきたす可能性があります。

 

   業務委託先の確保

受注量の増加に対処するため、設計・製造業務の委託先の確保に注力しておりますが、力量、価格・納期・品質などの面において顧客の要求を満たせない場合は、新たな受注活動に支障をきたす可能性があります。

新たな調達先の確保

顧客仕様による受託開発や受託生産は、特殊な部材や経験のない加工を顧客から指定される場合があり、従来の購入先や加工外注先では調達できないケースも散見されます。このような場合は、新規の購入先や加工外注先の開拓が必要となりますが、新たな調達先を確保できない場合や、価格・納期・品質などの面において顧客の要求を満たせない場合は、新たな受注活動に支障をきたす可能性があります。

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資金の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、現在及び将来の事業活動に必要な運転資金を確保 し健全な財政状態の維持・向上を図るとともに、効率的な運転資金の管理を行うこととしております。

また、事業のさらなる拡大・発展を図るための新規事業の創出、新製品・新技術の開発、生産・研究開発用設備等に必要な資金は、内部留保資金及び金融機関からの借入により調達することとしております。

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

平成30年
3月期

平成31年
3月期

令和2年
3月期

令和3年
3月期

令和4年
3月期

自己資本比率(%)

70.8

69.7

76.7

74.9

70.4

時価ベースの自己資本比率(%)

65.6

84.2

60.6

60.6

48.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.3

0.1

0.3

0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

195.8

649.3

1,063.3

1,362.4

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

   (注) 1.株式時価総額は、期末株価終値×発行済株式総数(自己株式を除く)により算出しております。

2.令和2年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

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