業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、欧米では、各国政府の景気対策もあり経済活動の再開が進み、個人消費や設備投資が増加するなど、景気の持ち直しの動きがみられました。中国では、景気は緩やかな回復基調で推移してきましたが、政府による電力制限やゼロコロナ政策などにより回復のペースは鈍化しました。わが国経済は、感染症の再拡大により緊急事態宣言が断続的に発令される状況が続きましたが、年度後半にかけては経済活動の段階的な再開により景気の持ち直しの動きが見られました。しかしながら、資源価格の高騰や、世界的な半導体不足の長期化に加え、足元ではウクライナ情勢の緊迫化、エネルギー価格の高騰など、景気の先行きに対する不透明感は一層強まりました。

このような環境の中、当社グループは「光技術と新たな技術の結合で、社会・産業インフラを支える先進企業を目指す」という経営ビジョンのもと、照明事業と光・環境事業において、独自性のある商品開発と周辺事業を含めたソリューションビジネスの展開を図り、付加価値の高い商品やサービスの提供を推進しております。当連結会計年度においては、市場のニーズを捉えた新商品の開発を行い、周辺技術を組み合わせた提案活動を積極的に行ってまいりました。また、継続的に業務の効率化、生産性の維持向上に取り組みましたが、調達面においては、一部の材料の高騰や調達リードタイムの長期化の影響を受けました。

これらの結果、売上高は53,185百万円(前年同期は53,587百万円で0.8%の減少)、営業利益は3,287百万円(前年同期は2,941百万円で11.8%の増加)、経常利益は3,462百万円(前年同期は3,191百万円で8.5%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,330百万円(前年同期は2,041百万円で14.1%の増加)となりました。

なお、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

<照明>

照明事業は、無線通信や双方向通信などの制御機器を搭載したスマートさを有した照明機器や、施設の環境や用途に応じて最適な照明を提供できる照明機器の開発に取り組み、市場への訴求を推進しました。売上高は、国内では、地方自治体のリニューアル需要に対応したことで、LED道路灯やLED街路灯は増加となり、民間需要を中心とした特殊環境照明器具なども新商品の投入があり堅調に推移しました。また、従来型光源は、水銀ランプの生産、輸出入が2020年12月で終了したことで前年から減少となりました。海外では、東南アジア地域は前年同期を上回りましたが、北米は厳しい状況となりました。

これらの結果、売上高は36,332百万円(前年同期は37,150百万円で2.2%の減少)、セグメント利益は3,382百万円(前年同期は3,510百万円で3.6%の減少)となりました。

 

<光・環境>

光・環境事業は、UVキュア分野は、印刷機器関連が低調に推移したものの、EB装置関連の納入があり、売上高は増加となりました。環境試験装置分野は、設備投資の持ち直しの動きがあり、耐候性試験装置などの売上高は増加となりました。殺菌関連分野は、空気循環式紫外線清浄機は、不特定多数の人が利用する施設に対して、衛生面での環境改善に向けた提案活動を推進しましたが、前年同期の感染対策需要の反動もあり、売上高は減少となりました。また、情報機器分野は、売上高は横ばいで推移しました。

これらの結果、売上高は16,899百万円(前年同期は16,481百万円で2.5%の増加)、セグメント利益は1,591百万円(前年同期は1,136百万円で40.0%の増加)となりました。

 

財政状態については、次のとおりであります。

当連結会計年度末における総資産は65,585百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,384百万円減少しました。

 

<流動資産>

当連結会計年度末における流動資産の残高は45,162百万円で、前連結会計年度末に比べ32百万円減少しました。主な要因は、短期及び長期借入金の返済(純増減額)2,110百万円等により現金及び預金が1,563百万円減少し、一方で資源価格の高騰等により原材料及び貯蔵品が1,069百万円増加したことによるものです。

 

<固定資産>

当連結会計年度末における固定資産の残高は20,422百万円で、前連結会計年度末に比べ1,352百万円減少しました。主な要因は、有形及び無形固定資産の新規取得よりも減価償却額の方が大きかったこと、提出会社の埼玉製作所土地の一部を売却したこと等により有形及び無形固定資産が合わせて873百万円減少し、投資その他の資産では政策保有株式の売却(2銘柄)や時価の下落により投資有価証券が363百万円減少したことによるものです。

 

<流動負債>

当連結会計年度末における流動負債の残高は15,544百万円で、前連結会計年度末に比べ4,297百万円減少しました。主な要因は、借入金の返済により短期及び1年内返済予定の長期借入金が合わせて4,060百万円減少したことによるものです。

 

<固定負債>

当連結会計年度末における固定負債の残高は16,606百万円で、前連結会計年度末に比べ820百万円増加しました。主な要因は、長期借入金の借り換えにより1,950百万円増加し、一方で退職給付債務の減少により退職給付に係る負債が684百万円減少したことによるものです。

 

<純資産>

当連結会計年度末における純資産の残高は33,434百万円で、前連結会計年度末に比べ2,092百万円増加しました。主な要因は、株主資本では親会社株主に帰属する当期純利益を2,330百万円計上したことにより利益剰余金が2,235百万円増加し、一方で経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため500百万円の自己株式を取得したことによるものです。また、その他の包括利益累計額では為替の影響により為替換算調整勘定が513百万円増加し、一方で政策保有株式の売却(2銘柄)や時価の下落によりその他有価証券評価差額金が268百万円減少したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は16,939百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,563百万円減少しました。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度において、営業活動により獲得した資金は1,417百万円(前連結会計年度は4,094百万円の獲得)となりました。

主な内訳は、収入要因として税金等調整前当期純利益3,516百万円の計上、減価償却費1,207百万円、一方で支出要因として資源価格の高騰等による棚卸資産の増加額624百万円、退職金の支払い等による退職給付に係る負債の減少額581百万円、法人税等の支払額869百万円であります。

前連結会計年度は東京オリンピック・パラリンピック関連需要の反動を受け、売上債権の減少額3,092百万円による資金の獲得等がありました。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度において、投資活動により使用した資金は193百万円(前連結会計年度は747百万円の使用)となりました。

主な内訳は、支出要因として有形固定資産の取得による支出506百万円、一方で収入要因として提出会社の埼玉製作所土地の一部を売却したこと等による有形固定資産の売却収入412百万円であります。

前連結会計年度は有形固定資産の取得による支出672百万円等がありました。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度において、財務活動により使用した資金は2,989百万円(前連結会計年度は1,060百万円の使用)となりました。

主な内訳は、支出要因として長期借入金の返済による支出4,200百万円、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するために行った自己株式の取得による支出500百万円、安定的な配当の継続を基本とした配当金の支払額306百万円、一方で収入要因として長期借入金の借り換えによる長期借入れ収入2,150百万円であります。

前連結会計年度は長期借入金の純増減額500百万円(純減額)、配当金の支払額307百万円による資金の使用等がありました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

<生産実績>

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

照明

(百万円)

25,813

96.6

光・環境

(百万円)

15,902

98.6

合計

(百万円)

41,715

97.3

(注)金額は販売価格によっております。

 

<受注実績>

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

<販売実績>

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

照明

(百万円)

36,332

97.8

光・環境

(百万円)

16,899

102.5

合計

(百万円)

53,232

99.3

(注)セグメント間の取引を含めております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態に関する分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

・経営成績

<売上総利益>

当連結会計年度における売上総利益は17,267百万円で、前連結会計年度に比べ316百万円増加いたしました。主な要因は次の通りであります。照明事業は、無線通信や双方向通信などの制御機器を搭載したスマートさを有した照明機器や、施設の環境や用途に応じて最適な照明を提供できる照明機器の開発に取り組み、市場への訴求を推進しました。売上高は、国内では地方自治体のリニューアル需要に対応したことで、LED道路灯やLED街路灯は増加となり、民間需要を中心とした特殊環境照明器具なども新商品の投入があり堅調に推移しました。また、従来型光源は水銀ランプの生産、輸出入が2020年12月で終了したことで前年から減少となりました。海外では東南アジア地域は前年同期を上回りましたが、北米は厳しい状況となりました。一方、光・環境事業ではUVキュア分野は印刷機器関連が低調に推移したものの、EB装置関連の納入があり売上高は増加となりました。環境試験装置分野は設備投資の持ち直しの動きがあり、耐候性試験装置などの売上高は増加となりました。殺菌関連分野では空気循環式紫外線清浄機は不特定多数の人が利用する施設に対して、衛生面での環境改善に向けた提案活動を推進しましたが、前年同期の感染対策需要の反動もあり売上高は減少となりました。また、情報機器分野では売上高は横ばいで推移しました。

これらの結果、全体としての売上高は53,185百万円となり前連結会計年度に比べ402百万円減少しましたが、業務の効率化や生産性の維持向上等に取り組んだことで売上原価も前連結会計年度に比べ719百万円減少したため、売上総利益は前連結会計年度に比べ316百万円増加いたしました。

 

<営業利益>

当連結会計年度における営業利益は3,287百万円で、前連結会計年度に比べ346百万円増加いたしました。主な要因は次の通りであります。上記の売上総利益での増加要因に加え、販売費及び一般管理費が前連結会計年度に比べ29百万円減少したことによるものです。

 

<経常利益>

当連結会計年度における経常利益は3,462百万円で、前連結会計年度に比べ270百万円増加いたしました。主な要因は次の通りであります。上記の売上総利益、営業利益での増加要因に加え、営業外収益では為替の影響により当連結会計年度は為替差益が44百万円発生し、前連結会計年度では新型コロナウイルス感染症等の助成金収入が155百万円発生していたことによります。一方、営業外費用では有利子負債の圧縮により支払利息が前連結会計年度に比べ20百万円減少したことによるものです。

 

<親会社株主に帰属する当期純利益>

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,330百万円で、前連結会計年度に比べ288百万円増加いたしました。主な要因は次の通りであります。上記の各利益区分での増加要因に加え、特別利益では当連結会計年度において提出会社の埼玉製作所土地の一部を売却したこと等による固定資産売却益89百万円の発生、政策保有株式の売却(2銘柄)により投資有価証券売却益が20百万円発生したことによるものです。一方、特別損失では当連結会計年度において提出会社の埼玉製作所第一事務棟を解体したこと等による固定資産除売却損56百万円が発生し、前連結会計年度においては事業構造改革費用187百万円及び減損損失214百万円が発生していたことによります。事業構造改革費用は水銀ランプの生産が終了したことにより、それに係る資材の廃棄や水銀ランプを生産していた子会社でのリストラ費用等になります。減損損失は事業構造改革費用と同様、水銀ランプの生産が終了したことに伴う水銀ランプの生産設備の減損と、提出会社において社宅を閉鎖したことに伴う減損となります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

・資本の財源及び資金の流動性

<資金調達の方法及び状況>

当社グループの事業運営上において必要な資金は、運転資金として営業活動により獲得した資金を主な財源とする自己資金を中心に、金融機関からの借り入れによる資金調達を行っています。グループ会社の資金については、金融機関からの借り入れ以外にグループ間金融による提出会社からの融資によって、グループ会社各社の営業政策と利息等の金融費用削減のバランスを考慮し資金計画を策定しております。

当連結会計年度は提出会社において長期借入金を借り換えた結果、当連結会計年度末における金融機関からの借入残高は3,390百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,110百万円減少いたしました。

 

<資金需要の動向>

当社グループは、2022年3月期を初年度とする中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)を策定し、「第二創業に向けた成長戦略・構造改革」を基本方針として、事業領域の拡大、社会への新たな価値提供の実現のために、新規事業の取り組みと当社グループの構造改革を推進しております。その中で、「主力事業の強化・高度化」「周辺ビジネスの展開」「社会への新たな価値提供」に取り組み、商品提供にとどまらない、あらゆる付加価値提供を意識し、既存マーケットのソリューションから社会環境ソリューションを実現すべく、成長に向けた基盤づくりを推進しており、中期経営計画期間では総額50億円を重点投資としております。

当連結会計年度における設備投資は600百万円であり、研究開発費は463百万円となりました。また、当連結会計年度においては、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため500百万円の自己株式を取得しました。

当社グループは、2022年5月12日に配当政策の基本方針を発表しており、株主配当については安定的な配当の継続を基本とし、将来の事業展開に備えて内部留保を勘案しつつ、当期の業績ならびに事業環境等を考慮して、配当金を決定しております。具体的な指標として、連結配当性向30%以上を目安におき、今まで以上に株主の皆様への利益還元を重視し、業績に応じた継続的かつ安定的な配当を実施してまいります。

当連結会計年度における配当金の支払額は306百万円(連結配当性向14.9%)でしたが、翌連結会計年度における配当金の支払額は964百万円(連結配当性向41.5%)を予定しております。

手許資金については、月商の1か月から2か月分の水準は確保し、併せて取引金融機関との融資枠の設定により、緊急の資金需要や経済環境の変化等に対応するための流動性を維持しております。今後も、中長期的な成長へ向けた投資、株主還元、有利子負債の圧縮等に活用してまいりますが、新型コロナウイルス感染症の状況も注視しながら、財務基盤の安定化を図りつつ、株主の皆様への利益還元を充実させる等のバランスを考慮して、十分な手許資金を確保すべく管理してまいります。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16,939百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,563百万円の減少となりました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。

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