課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループは、「誠意」を社是とし、「ファイネストカンパニー(美しき良き会社)・ファイネストワーク(美しき良き仕事)」を経営理念としております。

 また、厳しさを増すビジネス環境において、商品供給の安心、価格の安心、品質の安心が当社の存在価値であると認識し、さらなる成長を目指してまいります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(当社事業を取り巻く環境)

 アジアメーカーの技術力向上に伴う競争が激化するなか、新たな販売領域の確保と既存品の価格低下の他、安定的な商品供給等様々な対応が求められています。また、直近では原材料価格の上昇や輸送コスト高騰の影響を受け、利益を確保できていない状況にあります。

 事業環境の急速な改善は見通しにくいことから、コスト低減に加えて価格へ反映する等の取組みによる黒字化を最優先事項として取組んでまいります。

 

(各セグメントの課題対応)

 コンデンサ製品事業においては、顧客の使用環境の多様化により、耐高温・高湿製品のさらなるラインナップ拡充が求められています。これを実現することで、従来納入が困難であった業界・分野へ進出する足がかりとし、売上拡大に努めてまいります。また、高周波対応コンデンサの開発にあたっては、ユーザーとの実証実験を専門部署にて進めております。特にコンデンサ製品事業は、前出の原材料価格の上昇や輸送コスト高騰の影響を最も受けているセグメントであり、収益改善を着実に進める必要があります。

 ノイズ・サージ対策製品事業においては、機器のデジタル化・高周波化・高速伝送化に伴い電子機器の高機能化が進むなか、電子回路の安定性を確保するノイズ対策技術の高度化要求が強くなっています。従来それぞれの部門において蓄積してきたノイズフィルタ技術とサージプロテクタ技術をさらに高め、基幹技術を確立する必要があります。また、新たな国際基準に適応した製品開発も進めながら、「ノイズ・サージ対策のパートナー」としての地位の確立に努めてまいります。

 表示・照明製品事業においては、特定顧客を納入対象とするカスタム品が主軸であり、さらなる拡大のため、独自技術の開発や新たな業界・分野における顧客の獲得が必要です。また、安定的な売上向上のため、カスタム品の汎用化によるラインナップ拡充を進めております。

 センサ製品事業においては、産業機器向けエンコーダ用や時計指針補正用といった特定分野の製品において高い評価をいただいておりますが、今後はより販路を充実させ、ユーザーの拡大を図る必要があります。

 

(技術・品質・生産の組織能力の強化)

 当社は顧客からの信頼こそがOKAYAブランドそのものであると認識し、これをより一層高めるべく、技術・品質・生産全体のレベルアップを推進しております。

 当社が主要な市場と位置付ける産業機器、エアコン等の分野では、顧客からの要求事項や安全性に関する国際規格の高度化が顕著であり、これに適切に対応してまいります。また、当社は多品種にわたる製品の安定供給を実現しながら余剰在庫の発生を回避するため、受注生産方式を採用しておりますが、急激な受注量の変動に対応できるよう、生産工程のより一層の自動化を推し進める必要があります。さらに、組織体制の変更や専門人材の集約、受注から納品までを一元管理する基幹システムの刷新も行っております。また、一部の生産設備についてはIoT化による生産状況のリアルタイム把握やトレーサビリティ向上を図る試みを実施しております。

 新規ビジネス機会の創出や新技術の開発については、技術本部内の開発部署や社長直下の部署にて取組んでおり、別の部署同士が協力し合うことでの相乗効果を得られるように進めております。

 

 

(生産部門を中心とする緊急時への対応力の強化)

 当社は従前より、緊急事態発生時の初動対応や優先的に実施する諸施策等について、グループ全体でのBCP(事業継続計画)運用に取組んでまいりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響、半導体や電子部品の調達困難等、より深刻化・多様化するリスクへの対応として、緊急事態発生時における代替生産や生産体制の見直し等、継続的な実効性向上に取組んでまいります。

 

(サステナビリティ・CSRへの取組み)

 社会から信頼される成熟した企業を目指し、グループ全体でサステナビリティ・CSRへの取組みを強化してまいります。サステナビリティに関する取組みは、リスクの減少・収益機会に繋がる重要な課題と認識し、営業・購買・生産等様々な領域で、地球環境への長期的な配慮を実現した事業活動に取組んでまいります。

 

(社会環境・構造の変化への対応)

 新型コロナウイルス感染拡大の他、ウクライナ情勢の緊迫化に起因した原材料価格のさらなる高騰、外国為替相場の大幅な変動等の事象に対し、業務の仕組みやインフラの見直しを図っております。今後も社会の変化に柔軟に対応し、社員の働き方や顧客サービス提供のあり方を見直していく必要があります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2022年4月より第11次中期経営計画がスタートし、基本方針を「コア事業のEMC(*)対策を軸とした持続的成長」といたしました。基本戦略として、当社の強みを活かした既存事業の強化に加え、安定的収益基盤の確立に向けた事業ポートフォリオの再構築、成長分野での堅固な収益基盤となる製品群の拡充を進めてまいります。「ノイズ・サージ対策のパートナー」としての地位の確立に向けて、企業価値の向上に努めてまいります。

 なお、第11次中期経営計画の初年度となる2022年度の目標とする経営指標は、連結売上高140億円、営業利益1億円、純利益0.7億円としております。

(*)EMC:Electromagnetic Compatibility 電磁両立性を表し、電磁ノイズとも総称されます。

 

 

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