文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループを取り巻く事業環境は、安全・環境規制の強化、通信・交通インフラ網の拡充など事業機会は拡大 しますが、長年当社グループを支えてきた一部製品は、顧客の設計変更や安価な競合品の台頭などによって構造的な需要減少に直面しています。また、新型コロナウイルス感染症の収束やロシアのウクライナへの侵攻が更に長引けば、経済活動にも深刻な影響を及ぼすことが考えられます。
このような状況の中、当社グループは、「持続的な成長」と「収益力の向上」を基本方針として、新製品の市場投入と既存製品の市場シェア拡大により売上を伸ばし、安定的に10億円以上の営業利益を計上する高収益企業への転換を目標にしています。
目標の早期達成に向け、当期親会社となったWALSIN TECHNOLOGY CORPORATIONを中心とした企業グループ(以下「PSAグループ」)との連携を加速し、同グループが保有するグローバルな販売、調達チャネルや低コストの製造技術などのリソースを最大限活用していきます。
〔持続的な成長〕
ノイズ関連製品、積層誘電体フィルタ、厚膜印刷基板など当社グループの強みを活かせる製品に経営資源を傾斜配分し、当社グループの成長と利益の拡大を図ります。
また、PSAグループが保有するグローバルな販売チャネルを活用した製品の拡販と、PSAグループとの連携による新製品開発を加速することにより新たなビジネスチャンスを創出し、更に事業を拡大していきます。
① ノイズ関連製品は、お客様の様々なニーズに対応するため製品ラインアップの拡充を進めています。また、当社の特長である電磁波ノイズ測定事業では、当社浅間工場に10メートル法大型電波暗室を有しているほか、全国対応可能な業界最多の6チームオンサイトテスト体制を整備しています。他社とのアライアンスにより業務範囲を拡大しており、ノイズフィルタの販売も含め電磁波ノイズ対策のリーディングカンパニーとして幅広いソリューションビジネスを展開していきます。
② 積層誘電体フィルタは、今後とも成長が期待できる高速大容量化に対応したWi-Fi、通信基地局や車載用などの通信機器市場を中心に、当社の特長ある異種接合技術や回路設計技術を活かした新規アプリケーション開発を行っています。今後とも成長が期待される第5世代移動通信システム向けなどの市場ニーズに応じた製品開発を加速し、タイムリーに市場投入していきます。
③ 厚膜印刷基板は、市場ニーズに応じた新製品の開発とお客様が求める技術開発、低コスト、高品質、納期遵守のものづくりを徹底していきます。今後とも新たな市場ニーズ探索を推進し、安定的に事業が拡大する方策を実行していきます。
〔収益力の向上〕
生産設備の自動化や生産拠点の再編による省力化の推進と、機動的な人員配置を行うことなどで生産性を向上し収益性の改善を図ります。
また、PSAグループとの連携により、PSAグループの低コスト製造技術の取り込みや海外拠点活用、グローバルな調達機能を活用した調達コストを低減が可能となり、更に収益性が改善されます。
① 自動化が難しく手動で生産を行っている一部の製造工程において、他社とのアライアンスにより導入した自動化技術開発が完成し、自動化設備を製造工程に投入しました。また、PSAグループの保有する製造技術を取り込むことにより、生産性向上と省人化による製造コストを削減するほか、品質改善による失敗コストを削減し、収益の向上を図っています。
② 製品の商流や工場の人員構成などの総合的な検討により、製品ごとに最適な生産工場を決定し生産拠点を再編していきます。特にコストの安価な双信エレクトロニクスマレーシアの一層の活用による製品の低コスト化を目指します。
③ 基幹部品の内製化やPSAグループとの連携による原材料のグローバルな調達など当社グループ全体の調達コストを削減し原価低減を図っていきます。また、多様な製品設計により増加した部品の点数を、技術部門主導で標準化・共通化することにより削減するなど全社的にコスト削減を進めていきます。
④ 生産計画業務の改善や生産リードタイムの短縮を推進して、お客様が欲しい時に欲しいものを供給できる体制を整備していきます。お客様指定の製品納期を遵守することは、製品の性能、価格などとともにお客様の満足度向上に直結する重要な要因と考えています。また、お客様のニーズにお応えするための活動推進は生産性の向上にもつながり、最終的には収益性の改善に貢献していくことになります。このため従業員の多能工化を推進し、機動的な人員配置によるフレキシブルな生産体制を構築していきます。
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