当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1)経営成績
当連結会計年度における世界経済は、各国で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が普及し、行動制限が解除されたことにより、徐々に経済活動が再開され、景気回復の兆しが見えました。一方、変異株の感染拡大収束は予断を許さず、半導体不足、部品不足、物流網の混乱による供給制約も深刻化しました。また、資源やエネルギー価格の高騰、インフレの長期化が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
米国においては、個人消費や設備投資が堅調に推移し、景気回復が進んだ一方、インフレが引き続き進行しました。また、政策金利の引き上げが実施され、長期金利は上昇基調が続く見通しとなっています。中国においては、世界的な財消費や設備投資の増加を受けて、輸出は堅調に推移しました。一方、ゼロコロナ政策に伴う活動制限と外出自粛による個人消費の下振れにより、景気低迷が懸念されます。新興国・地域においては、東南アジアを中心に新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う活動制限により、経済活動は停滞しました。わが国経済は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用が断続的に続き、景気回復は鈍化しました。また、資源価格の高騰や円安の進行を背景に個人消費への悪影響が懸念されます。
このような状況の中、当社が関連する市場においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体不足、部品不足、物流網の混乱による顧客の生産調整を受けましたが、当社はソリューション提案に注力し、また、グローバルでのサプライチェーンを活用して顧客への部品供給を継続してまいりました。当社は、顧客のニーズに対して当社グループの技術やソリューション提案力の強みを繋げることにより、課題の解決を通し社会に貢献するとともに、新規事業創出の機会としてまいります。
この結果、当連結会計年度の売上高は32,894百万円(前期比11.7%増)となり、営業利益は3,600百万円(前期比69.8%増)、経常利益は3,451百万円(前期比81.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,528百万円(前期比182.9%増)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、前連結会計年度までは当社グループが扱っている製品の技術的な特徴によりセグメントを区分しておりましたが、当連結会計年度より市場や用途別にセグメントを分けることで事業領域の再定義を行い、新たな事業機会の創出に繋げるためセグメント区分を変更しております。当社が成長事業と位置付けている「Life Science事業」をエンプラ事業から切り出し、Life Science事業を除いた「エンプラ事業」は「Energy Saving Solution事業」、「半導体機器事業」は「Semiconductor事業」、「オプト事業」は「Digital Communication事業」に名称を変更しております。
当連結会計年度の比較・分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。
「Semiconductor事業」
各種ICテスト用ソケット、バーンインソケットは、次世代高速通信普及に伴うサーバー、パソコン、自動車、アナログの各用途の需要が高水準を維持しました。各国の経済活動再開の動きやDXやCASEの実現に向けた産業構造の変革など、今後も半導体需要は増加傾向が続くと予想され、それに伴い当社の売上も堅調に推移すると見込んでおります。この結果、当連結会計年度の売上高は15,911百万円(前期比23.1%増)、セグメント営業利益は2,601百万円(前期比64.7%増)となりました。
「Life Science事業」
遺伝子検査用製品は、既存顧客及び新規顧客からの受注が増加し、試作受注も堅調に推移しました。今後も遺伝子検査市場の拡大に合わせて、新規顧客開拓、新製品の開発に注力する事で、当社の売上も堅調に推移すると見込んでおります。なお、当該セグメントには、新規分野への先行投資や新事業開発が含まれております。この結果、当連結会計年度の売上高は2,475百万円(前期比23.2%増)、セグメント営業損失は1,186百万円(前期は1,405百万円のセグメント営業損失)となりました。
「Digital Communication事業」
光通信関連の光学デバイスは、世界的な半導体不足の影響による顧客の生産調整が継続しており、売上は低調に推移しました。LED用拡散レンズは、巣ごもり需要の一巡や東南アジアでのサプライチェーンの混乱による液晶テレビ市況の悪化により、売上は低調に推移しました。この結果、当連結会計年度の売上高は3,538百万円(前期比12.3%減)、セグメント営業利益は1,065百万円(前期比9.0%減)となりました。
「Energy Saving Solution事業」
セグメント全体としては、新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込みから回復基調にあり、前連結会計年度と比較し売上は好調に推移しました。自動車用部品とプリンター用部品は世界的な半導体不足や部品の調達難による顧客の生産調整が継続しました。この結果、当連結会計年度の売上高は10,968百万円(前期比4.8%増)、セグメント営業利益は1,120百万円(前期比44.3%増)となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
Semiconductor事業(百万円) |
15,926 |
123.5 |
Life Science事業(百万円) |
2,366 |
103.4 |
Digital Communication事業(百万円) |
3,534 |
85.4 |
Energy Saving Solution事業(百万円) |
10,787 |
105.1 |
合計(百万円) |
32,615 |
110.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
Semiconductor事業 |
17,921 |
136.7 |
3,925 |
204.9 |
Life Science事業 |
2,646 |
131.8 |
417 |
169.5 |
Digital Communication事業 |
3,413 |
84.5 |
399 |
76.2 |
Energy Saving Solution事業 |
10,873 |
102.6 |
552 |
85.4 |
合計 |
34,855 |
117.1 |
5,294 |
158.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
Semiconductor事業(百万円) |
15,911 |
123.1 |
Life Science事業(百万円) |
2,475 |
123.2 |
Digital Communication事業(百万円) |
3,538 |
87.7 |
Energy Saving Solution事業(百万円) |
10,968 |
104.8 |
合計(百万円) |
32,894 |
111.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は47,061百万円となり、前連結会計年度末比1,905百万円の増加となりました。
流動資産につきましては2,897百万円増加いたしました。主な変動要因は受取手形及び売掛金で1,716百万円、現金及び預金で1,159百万円、原材料及び貯蔵品で477百万円増加し、仕掛品で340百万円、未収還付法人税等で150百万円減少したことによるものです。固定資産につきましては992百万円減少いたしました。変動要因は投資その他の資産で492百万円、無形固定資産で362百万円、有形固定資産で137百万円減少したことによるものです。
負債は5,568百万円となり、前連結会計年度末比1,483百万円の減少となりました。流動負債につきましては1,461百万円減少いたしました。主な変動要因は短期借入金で1,500百万円、未払金で765百万円減少し、未払法人税等で244百万円、買掛金で234百万円増加したことによるものです。固定負債につきましては22百万円減少しました。主な変動要因は繰延税金負債で139百万円減少し、リース債務で80百万円増加したことによるものです。
純資産は41,493百万円となり、前連結会計年度末比3,389百万円の増加となりました。主な変動要因は利益剰余金で2,136百万円、為替換算調整勘定で1,855百万円増加し、その他有価証券評価差額金で614百万円減少したことによるものです。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は87.1%となり、前連結会計年度末比4.1ポイント増加しております。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は14,825百万円となり、前連結会計年度末に比べて、1,147百万円増加しました。キャッシュ・フローの状況及びその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益4,033百万円(前期は1,484百万円)、減価償却費2,312百万円
(前期は2,372百万円)、法人税等の支払額634百万円(前期は還付額220百万円)、特別退職金の支払い439百万円(前期は40百万円)が発生した結果、営業活動による収入は4,046百万円(前期は3,921百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、有形固定資産の取得1,744百万円(前期は2,227百万円)、投資有価証券の取得519百万円(前期は371百万円)、投資有価証券の売却798百万円(前期は752百万円)を行った結果、投資活動による支出は1,576百万円(前期は1,966百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、短期借入金の返済1,500百万円(前期は借入1,500百万円)、配当金の支払い329百万円
(前期は364百万円)、リース債務の返済255百万円(前期は249百万円)を行った結果、財務活動による支出は2,053百万円(前期は12,770百万円の支出)となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安全性及び流動性を確保する効率的な資金管理を行うことを基本方針としております。また、将来の事業展開を勘案し、長期的展望に立って生産設備の増強、研究開発投資及び情報化投資などを行っていく予定で、継続的な利益の積み上げによる自己資金がその財源となります。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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