(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの新規感染者数の増加と減少に合わせて、経済活動の制限と緩和が繰り返されるなか、ワクチン接種が進展したことにより、個人消費は持ち直しの動きが見られましたが、年明けからのオミクロン株の感染急拡大により、多くの地域でまん延防止等重点措置の適用によって、個人消費が再び悪化し始めました。
企業においては、半導体など部品不足による自動車の生産制約が徐々に解消に向かいましたが、資源価格上昇による部材の高騰や入手難が続いております。一方、設備投資は、業績改善を背景に企業の設備投資意欲は底堅さを維持しており、情報化投資やEコマースの拡大を背景とした先進物流施設などの建設投資、脱炭素に向けた環境対応投資、第5世代移動通信(5G)向けの半導体製造装置向けが下支えとなり、ペースは鈍いながらも緩やかな持ち直しとなり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
また、海外においては、中国は新型コロナウイルス感染症再拡大の影響のほか、電力不足も景気の抑制要因となりましたが、各国で厳格な感染抑制措置が徐々に緩和されたこともあり、景気回復の勢いは鈍化しつつも回復傾向で推移いたしました。しかしながら、ウクライナ情勢など地政学リスクが、資源価格の更なる上昇や金融市場の混乱を招く恐れがあるほか、自動車の生産制約の一段の深刻化や長期化が懸念されるなど、世界経済の先行きは極めて不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境は、デジタル化やネットワーク化が急速に進展するとともに経済活動の正常化に向けて、自動車、工作機械、家電等向けで、今後の生産増加に備えた在庫積み増しのための半導体デバイス品の需要増加が継続するとともに半導体デバイス品を生産する機械装置の設備投資が進みました。一方、半導体デバイス品をはじめとする部品材料等の供給が不足していることで、各社の生産計画やサプライチェーンに影響が生じております。
このような環境のなか、当社グループは、3ヵ年中期経営計画の2年目にあたり目標達成に向けた各施策を実行するとともに、グループ内管理系業務の集約並びに東京地区のオフィス統合等による販売管理費の圧縮策を進めるなど、様々な角度から利益創出に向けた取り組みを実施しております。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は569億7千8百万円、前期に比べて7.3%の増収、営業利益は13億8千6百万円、前期に比べて248.8%の増益、経常利益は13億8千1百万円、前期に比べて232.2%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、東京都渋谷区の本社を売却したこと等による特別利益の計上、当社の連結子会社である協栄サーキットテクノロジ株式会社が営むプリント配線板事業において、現在の事業環境及び将来の収益見込み等を勘案した結果、回収可能価額が帳簿価額を下回っている同社の事業に供している固定資産について、減損損失等を特別損失に計上、並びに当社の近年の業績動向を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、法人税等調整額△4億1千8百万円(△は益)を計上したことにより、20億5千5百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失3億8千2百万円)という成績になりました。
なお、これにより、2021年3月期から2023年3月期の3ヵ年の中期経営計画で公表しておりました、経営目標である売上高540億円、営業利益11億円、営業利益率2.0%を達成いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(半導体デバイス事業)
・売上高 |
364億1千3百万円 |
(前期比14.8%増) |
・営業利益 |
17億5千2百万円 |
(前期比95.9%増) |
半導体デバイス事業においては、自動車メーカーにおいて、世界的な半導体不足による生産調整が続いているものの、売上面は、部材供給において、一時の逼迫状況が解消する方向で進んだことにより、車載、産業機器向けのパワー半導体、メモリ、金属材料等が順調に推移いたしました。しかしながら、足元ではウクライナ情勢の緊迫化による資源や部材の高騰、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れが加速していることによるデータセンター向け装置の需要が旺盛であり、依然、半導体不足が継続し、製品確保が難しい状況となっております。利益面は、売上面が順調であったことと為替が円安に推移したことで輸出品の利益率が改善したことにより、順調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
半導体デバイスは、北米、中国向けの新車販売台数が、堅調に推移したことにより、自動車関連向け並びに危険運転対策用車載機器装置向けの需要が底堅く推移したため、順調に推移いたしました。
白物家電関連は、巣ごもり需要の反動減により、空調機向けが減少傾向で推移しましたが、国内、中国向けともに、インバータ用パワー半導体は、堅調に推移いたしました。
産業機関連は、半導体製造装置向けにおいて、5G関連機器向け等での需要増加によりアナログ、パワー半導体が順調に推移いたしました。
金属材料事業は、銅建値が高値圏で推移していることにより売上増加の要因となり、順調に推移いたしました。
IC設計は、主力客先からのパワーデバイス向けの開発案件や車載向けテスト案件の受託開発需要が高く、順調に推移いたしました。
(プリント配線板事業)
・売上高 |
68億3千7百万円 |
(前期比7.1%減) |
・営業損失 |
1千7百万円 |
(前期営業損失1億8千万円) |
プリント配線板事業においては、中国基板メーカーと連携して行っている海外基板ビジネスは、順調に推移いたしました。自社製基板ビジネスは、受注面は順調に推移いたしました。生産面は、基板材料等の納期長期化が継続していること、度重なる材料の値上げとともに地震の影響で生産設備の復旧に時間を要していることもあり、国内工場での生産効率が低下したため、全体として営業損失となりました。
事業の詳細は以下のとおりです。
車載向け基板は、半導体不足による自動車メーカーでの生産調整は徐々に解消に向かっていることにより、メタルコア基板、厚銅箔基板、特殊技術を活用したLED応用製品向けモジュール基板の受注は、堅調に推移いたしました。
民生向け薄板基板は、電子精密機器の需要低下により、受注は低調に推移いたしました。
産業機向け基板は、各種ロボット制御向けや半導体製造装置向け基板の受注が好調に推移いたしました。
海外で中国基板メーカーと連携して行っている基板ビジネスは、リジット基板では、車載メーカーの生産調整により受注面に一部影響がありましたが、車載関連で他社取扱品の代替対応での高利益率スポット受注もあり、順調に推移いたしました。
フレキシブル基板は、新製品への移行時期が延伸したため、電子玩具向けは、低調に推移いたしました。
(産業機器システム事業)
・売上高 |
94億9千3百万円 |
(前期比6.9%増) |
・営業利益 |
7億8千7百万円 |
(前期比16.9%増) |
産業機器システム事業においては、産業メカトロニクスにおいて、下期に入り主要客先での設備投資に慎重さが見られましたが、全体として売上面、利益面とも順調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
産業メカトロニクスは、下期に入り主要客先からの加工装置・自動化システムの大型設備案件の需要に慎重さが見られましたが、売上面では全般に順調に推移いたしました。
FA機器は、製品構成部材の材料不足により製品確保が難しい状況が続いておりますが、半導体製造装置向けの5G、IoT等関連の旺盛な需要増加により、堅調に推移いたしました。
施設向け設備は、空調冷熱では、製品構成部材の材料不足等により受注減となり、低調に推移いたしました。
3Dプリンタは、積極的な営業活動により、装置の販売台数が増加したため、消耗品、保守等のストックビジネスを含め、堅調に推移いたしました。
制御装置は、特定顧客向け通信機器装置の受注が増加しましたが、物流倉庫向け搬送ロボット案件の商談のクロージングに苦戦したため全体として、低調に推移いたしました。
(システム開発事業)
・売上高 |
39億9千2百万円 |
(前期比18.2%減) |
・営業利益 |
6億8千9百万円 |
(前期比38.4%増) |
システム開発事業においては、売上面は、建設関連において商談延期等があったため伸び悩みました。利益面は受託開発で生産性向上による利益率改善等もあり、順調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
受託開発は、電力関連向けにおいては、既存システムの保守・改良案件並びにリプレース案件により、売上面は堅調に推移いたしました。利益面は生産性向上による利益率改善等があり,好調に推移いたしました。また、鉄道関連向けなどの受託関連も順調に推移いたしました。
受注ソリューションは、FAX送受信の代行サービス及びFAX受注支援サービスでの新規顧客での運用が開始されたことにより、順調に推移いたしました。
ビジネス系ソリューションは、大型案件の受注により受注面、売上面ともに順調に推移いたしました。
建設関連は、パッケージ販売においては、商談延期等もあり受注面、売上面ともに若干弱含みに推移いたしました。ソリューション案件は、建設業界全般の市況が不透明なこともあり、商談の長期化等により、低調に推移いたしました。
(その他)
・売上高 |
5億3千2百万円 |
(前期比21.1%増) |
・営業利益 |
5千3百万円 |
(前期比121.2%増) |
協栄マリンテクノロジ株式会社が行う救命設備関連事業は、船舶用救命筏の整備が、好調に推移いたしました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて21億2千6百万円増加し、363億4千7百万円となりました。
・流動資産は、商品及び製品15億4千4百万円の増加、電子記録債権7億3千6百万円の増加、現金及び預金6億7千4百万円の減少等により、19億1千4百万円増加し、292億9千万円となりました。
・固定資産は、建設仮勘定2億4千6百万円の増加、無形固定資産2億4千3百万円の増加、土地3億3千万円の減少等により、2億1千2百万円増加し、70億5千7百万円となりました。
・流動負債は、1年内返済予定の長期借入金12億6百万円の増加、未払法人税等6億4千万円の増加等により、18億6千4百万円増加し、174億8千4百万円となりました。
・固定負債は、長期借入金6億9千3百万円の減少、繰延税金負債4億7千8百万円の減少、事業構造改善引当金3億1千1百万円の減少等により、15億3千3百万円減少し、38億9千8百万円となりました。
この結果、純資産は、17億9千6百万円増加し、149億6千4百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の38.5%から2.7ポイント増加し、41.2%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6億7千4百万円減少し、17億7千8百万円(前期は24億5千3百万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は13億1千8百万円(前期は16億4千4百万円の増加)となりました。これは主として次の要因によるものです。
資金増加要因: |
税金等調整前当期純利益 |
23億7千5百万 |
資金減少要因: |
有形固定資産売却益 棚卸資産の増加 売上債権の増加 |
15億1百万円 14億3千5百万円 3億9千7百万円 |
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は12億9百万円(前期は7千7百万円の減少)となりました。これは主として有形固定資産の売却による収入等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は6億5千6百万円(前期は12億9千9百万円の減少)となりました。これは主として借入金の返済による支出等によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、生産実績中、半導体デバイス事業の生産実績は、技術商社として、半導体デバイス事業内にマイコンソフト開発及びIC設計に係る製造部門を有しており、これの生産実績であります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
半導体デバイス事業(千円) |
1,769,623 |
113.9 |
プリント配線板事業(千円) |
6,408,222 |
101.6 |
産業機器システム事業(千円) |
- |
- |
システム開発事業(千円) |
4,274,912 |
99.4 |
その他(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
12,452,758 |
102.4 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記金額には、セグメント間の内部取引高にかかる生産高が含まれております。
b.受注実績
半導体デバイス事業の一部及びプリント配線板事業、システム開発事業については受注生産を行っており、これらの当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、受注実績中、半導体デバイス事業の受注実績は、技術商社として、半導体デバイス事業内にマイコンソフト開発及びIC設計に係る製造部門を有しており、これの受注実績であります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
半導体デバイス事業 |
1,999,092 |
130.2 |
481,596 |
157.1 |
プリント配線板事業 |
4,716,139 |
95.9 |
1,907,873 |
113.7 |
産業機器システム事業 |
- |
- |
- |
- |
システム開発事業 |
4,583,124 |
85.0 |
790,191 |
82.5 |
その他 |
- |
- |
- |
- |
合計 |
11,298,357 |
95.4 |
3,179,661 |
108.1 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
半導体デバイス事業(千円) |
36,413,579 |
114.8 |
プリント配線板事業(千円) |
6,837,864 |
92.9 |
産業機器システム事業(千円) |
9,493,490 |
106.9 |
システム開発事業(千円) |
3,992,506 |
81.8 |
その他(千円) |
532,005 |
121.1 |
計(千円) |
57,269,445 |
107.5 |
消去又は全社(千円) |
△290,499 |
- |
合計(千円) |
56,978,946 |
107.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概況
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの新規感染者数の増加と減少に合わせて、経済活動の制限と緩和が繰り返されるなか、ワクチン接種が進展したことにより、個人消費は持ち直しの動きが見られましたが、年明けからのオミクロン株の感染急拡大により、多くの地域でまん延防止等重点措置の適用によって、個人消費が再び悪化し始めました。企業においては、半導体など部品不足による自動車の生産制約が徐々に解消に向かいましたが、資源価格上昇による部材の高騰や入手難が続いております。一方、設備投資は、業績改善を背景に企業の設備投資意欲は底堅さを維持しており、情報化投資やEコマースの拡大を背景とした先進物流施設などの建設投資、脱炭素に向けた環境対応投資、第5世代移動通信(5G)向けの半導体製造装置向けが下支えとなり、ペースは鈍いながらも緩やかな持ち直しとなり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。また、海外においては、中国は新型コロナウイルス感染症再拡大の影響のほか、電力不足も景気の抑制要因となりましたが、各国で厳格な感染抑制措置が徐々に緩和されたこともあり、景気回復の勢いは鈍化しつつも回復傾向で推移いたしました。しかしながら、ウクライナ情勢など地政学リスクが、資源価格の更なる上昇や金融市場の混乱を招く恐れがあるほか、自動車の生産制約の一段の深刻化や長期化が懸念されるなど、世界経済の先行きは極めて不透明な状況が続いております。
<売上高>
売上高は、前期に比べて7.3%増収の569億7千8百万円となりました。半導体デバイス事業では、前期に比べて14.8%増収の364億1千3百万円、プリント配線板事業では、前期に比べて7.1%減収の68億3千7百万円、産業機器システム事業では、前期に比べて6.9%増収の94億9千3百万円、システム開発事業では、前期に比べて18.2%減収の39億9千2百万円、その他(救命筏等整備事業)では、前期に比べて21.1%増収の5億3千2百万円となりました。
また、国内の売上高は、前期に比べて3.1%増収の433億9千5百万円となりました。海外売上高は23.6%増収の135億8千3百万円となり、海外売上高の連結売上高に占める比率は23.8%(前期20.7%)となりました。
<売上総利益>
売上総利益は、前期の70億9千7百万円に対し、14.9%増益の81億5千5百万円となりました。システム開発事業とプリント配線板事業において売上総利益率の改善等が見られたことから、売上総利益率は14.3%(前期13.4%)へと改善しました。
<販売費及び一般管理費>
販売費及び一般管理費は、前期に比べて1.0%、6千8百万円増加し、67億6千8百万円となりました。これは、荷造運賃等の販売費が増加したこと等によるものです。
<営業利益>
営業利益は、前期の3億9千7百万円に対し、248.8%増益の13億8千6百万円となりました。これは、半導体デバイス事業において、車載、産業機器向けのパワー半導体、メモリ、金属材料等の売上が順調であったことと為替が円安に推移したことで輸出品の利益率が改善したこと、システム開発事業において、受託開発で生産性向上により利益率が改善したこと等によるものです。
<特別利益>
特別利益は、前期の1億2千6百万円に対し13億8千1百万円増加し、15億7百万円となりました。これは、本社社屋(東京都渋谷区)の売却等による固定資産売却益15億3百万円を計上したこと等によるものです。
<特別損失>
特別損失は、前期の8億7千万円に対し3億5千6百万円減少し、5億1千3百万円となりました。これは、前期に協栄サーキットテクノロジ株式会社が営むプリント配線板事業において、減損損失7億1千4百万円並びに相模原工場閉鎖に伴う事業構造改善引当金繰入額9千9百万円を計上したことに対し、当期は希望退職者の募集等に伴う事業構造改善費用1億8千1百万円並びに本社移転費用1億7千5百万円を計上したこと等によるものです。
<税金等調整前当期純利益>
以上を受けて、前期の3億2千7百万円の税金等調整前当期純損失に対し、27億3百万円増加し、23億7千5百万円の税金等調整前当期純利益となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の3億8千2百万円の親会社株主に帰属する当期純損失に対し、20億5千5百万円となりました。これは、当期は当社の近年の業績動向を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、法人税等調整額△4億1千8百万円(△は益)を計上したこと等によるものです。1株当たり当期純利益は、前期の125.59円の1株当たり当期純損失に対し、675.97円となりました。
b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、営業利益率を重要な経営指標として位置付け、営業利益率3%の早期達成に努めております。
当連結会計年度における売上高は569億7千8百万円、営業利益は13億8千6百万円となり、営業利益率は2.4%となりました。引き続き、高収益ビジネスの創出と販管費の削減に努め、当該指標の改善に邁進していく所存です。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
<キャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローでは、13億1千8百万円の資金の減少となりました。これは有形固定資産売却益15億1百万円、棚卸資産の増加14億3千5百万円、売上債権の増加3億9千7百万円等が、資金の増加要因である税金等調整前当期純利益23億7千5百万円等を上回ったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、12億9百万円の資金の増加となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、6億5千6百万円の資金の減少となりました。これは主に借入金の返済による支出等によるものです。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期の24億5千3百万円から6億7千4百万円減少し、17億7千8百万円となりました。
<資金需要>
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、半導体デバイス事業における仕入から回収までの資金立替、プリント配線板事業における設備投資、材料等の購入及び製造費、全社の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。長期の資金需要については、主としてプリント製造に係わる合理化投資及び設備の更新・増設投資を中心に発生いたします。
<財務政策>
当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、内部資金や借入金を中心に資金調達することとし、海外現地法人を除いては、当社にて一括調達しております。このうち、運転資金については原則として短期借入金で調達し、金融情勢によっては一部を長期資金へシフトしており、また、生産設備などの長期資金は借入金により調達を行っております。2022年3月31日現在、短期借入金15億1千4百万円、長期借入金(一年内返済予定の長期借入金含む)58億9千3百万円から構成されております。
当社グループは、健全な財政状態の維持改善、営業活動によるキャッシュ・フローの捻出、未使用のコミットメント・ライン枠27億5千万円及び未使用の借入枠80億2千4百万円を有することにより、当社グループが将来の成長に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが充分可能と考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループは連結財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発負債の開示額、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しております。
当社グループは、その見積りと判断を、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要素に基づいて行っており、これらは、資産及び負債の帳簿価額あるいは収益・費用の額についての判断の基礎を形成しております。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響等、不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。
a.投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関が発行する株式を所有しております。これらの大半は市場価格のある公開会社の株式で、一部に時価相場のない非公開会社の株式が含まれます。当社グループは公開会社の株式への投資の場合、期末における株価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%~50%下落した場合には、当社取扱い要領に基づき、個別銘柄毎の株価推移等から株価の回復可能性を判断して減損処理を行っております。株式市況悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
c.貸倒引当金について
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。債権管理につきましては最善の注意をはらっておりますが、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
d.退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下や運用利回りの悪化がある場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
e.繰延税金資産について
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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