事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<特に重要なリスク>

(1)新型コロナウイルス感染症・大規模災害のリスク

2020年初頭より世界中にまん延し始めた新型コロナウイルス感染症の拡大により、国内外の多くの産業における経済活動が多大な影響を受けました。現在も終息する見通しは立っておらず先行きは不透明な状況です。

新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザなどの感染症が大流行となった場合、経済の混乱や、政府の感染拡大防止策としての外出自粛、渡航禁止の要請等により商談機会の減少や、顧客の投資意思決定が遅れることが考えられます。これらが受注の遅れにつながった場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、従業員への感染が拡大した場合には各拠点における製造・販売活動など当社グループの事業活動が停滞する可能性があります。当社グループでは、従業員とその家族及び関係者の健康と安全を最優先に確保すべく、当社内に「新型コロナウイルス対応検討委員会」を設置し、衛生管理の徹底、在宅勤務や時差通勤など柔軟な勤務形態の推進、出張や来客の制限、オンライン会議の活用、工場での密度管理などの十分な感染防止策を通じて、従業員の健康と安全・安心の確保に努めております。

また、本感染症をはじめとしたパンデミックに限らず、地震や風水害などの各種災害が発生した場合には、物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、当社グループの生産活動を中心とした事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、パンデミックに加え、地震、風水害など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、設備の点検・訓練の実施、緊急連絡体制の整備など、事業継続計画(BCP)を策定しております。また、損害保険の利用等を通じて負担限度額のコントロールに努めております。

 

(2)エンジニアリング事業における工事原価総額の見積りに関するリスク

 当社グループのエンジニアリング部門では、火力発電土木事業に係るプロジェクトにおいて過年度に多額の損失を計上しています。これは工事の進捗に伴って想定外の厳しい海象条件や施工方法の難度等が判明し、見積工事原価総額が、当初想定を大幅に上回ることが見込まれたため、工事原価総額を見直して必要な引当金を計上したことによるものです。現在は当社社長直下にエンジニアリング事業管理室を設け、損失の拡大防止に努めており引当金の範囲内で推移しています。

 当該プロジェクトのように、長期間に亘る大型プロジェクトは工事原価総額に関する見積りの難度が高く、工事の進捗に伴って工事原価総額が変更となる可能性があります。

 ただし、同事業については既に新規受注を停止しており、既受注工事完工後の撤退を予定しているため、今後同事業におけるリスクは低減する見込みです。

 

(3)海洋開発事業におけるプロジェクトの大型化に伴うリスク

 当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社が行うFPSO等の建造事業は、プロジェクトの大型化が進み、納期の長期化とともに受注額が1件につき1千億円を超える大規模なものとなっております。そのため、見積工事原価総額の見直し等による損益の変動幅が近年では大きくなる傾向にあります。同社の売上収益や営業損益は、当社グループの売上高、営業損益には影響しないものの、同社の「親会社の所有者に帰属する当期利益」の当社持分相当額が持分法投資損益として経常損益以下の各段階損益に認識されます。

 同社の業績が当社グループに与える影響は相対的に大きくなっており、同社の損益が大幅に変動することにより、当社グループの経常損益以下の各段階損益及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

<その他の重要なリスク>

(4)当社グループの事業の特性によるリスク

 当社グループの事業は、個別受注生産が中心であり、製品の特性によっては契約から引渡しまで長期間に亘る工事もあります。その間の社会情勢等の変化により、契約を締結した時点の見積原価と実際の原価との間に差異が生じる可能性があります。当社グループでは対策として、慎重な見積り、多様な調達先の確保、代金の早期回収、海外事業においては貿易保険の利用等リスクの回避に努めております。

 また、納めた製品の性能、品質、納期の遅れに起因するクレーム等が発生した場合や、生産活動の過程で、不測の事態により有害物質が外部へ漏洩する等環境汚染が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等による費用が発生する可能性があります。そのような事態を回避すべく、当社グループでは、品質や安全、環境保全に関する法令等を遵守し、製品の品質及び信頼性の追求と環境汚染防止に努めております。

 

(5)法的規制及びカントリーリスク

 国内外での事業の遂行にあたっては、それぞれの国の各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合や、工事を行う国や地域によっては、政情不安(戦争、テロ)、国家間対立による経済制裁、経済情勢の急変に伴う工事従事者の動員及び資機材調達の遅れ、現地の労使関係等のリスク、商習慣に関する障害、資金移動の制約、特別な税金及び関税等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これを回避するため、貿易保険の付保、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及び顧客や取引先との間で最適な責任分担を図ることにより、リスクの低減に努めております。

 

(6)情報セキュリティに関するリスク

 事業活動の過程では取引先の機密情報や個人情報、当社グループの技術・事務管理に関する機密情報や個人情報を取り扱う場合があります。パソコン、サーバー及びネットワーク機器の障害や紛失・盗難、外部からの攻撃やコンピュータウイルスの感染等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これら情報セキュリティ上のリスクについては、全社情報セキュリティ統括責任者の指示のもと経営企画部情報セキュリティ室を中心に、セキュリティポリシーの策定、外部機関連携による最新情報の入手、ネットワークやIT機器の監視、外部からの攻撃に対する対策、及び教育や訓練等の具体的施策を推進しております。

 

(7)市場変動によるリスク

 当社グループは、海外子会社の受注、売上も含めると海外向け受注高、売上高は年次によりばらつきはあるものの概ね全体の50%以上という高い割合を占めており、為替レートの大幅な変動がある場合には、受注・売上及び損益に影響を受ける可能性があります。為替レートの変動による影響を軽減する対策として為替予約の活用や海外調達により外貨建コストの比率を高めるなど、リスク量を適正な水準に調整しております。また、海外子会社においては、大部分のコストは自国通貨建てのため、損益への為替の影響は軽微であります。

 

(8)会計処理に関するリスク

 当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により収益性が低下した場合、また、遊休資産について時価等が下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

 また、保有する株式についても同様に、経営環境の変化等により収益性が低下した場合や時価等が著しく下落し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

 税効果会計及び退職給付会計においては、将来の予想・前提に基づいて、その資産・債務等の算定を行っております。そのため、予想・前提となる数値に変更がある場合もしくはこれらの算定を行うための会計基準の変更がある場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

<重要事象等>

 当社グループは、海外大型EPCプロジェクトの損失等により当連結会計年度まで5期連続の営業損失を計上しており、十分な自己資本の回復には至っておりません。

 一方、当社グループは「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、不採算事業の整理・撤退並びに資産売却や固定費の圧縮等、財務体質の改善及び収益体質の強化を進めております。

 今後も海外大型EPCプロジェクトの工事進捗に伴いマイナスの営業キャッシュ・フローが見込まれ、継続企業の前提に関する重要な疑義が生じていることを認識しております。しかしながら、資産売却によって資金を獲得できているほか、メインバンクをはじめとした取引金融機関からは事業再生計画の実施状況や、中期経営計画を評価頂いており、コミットメントライン契約や融資の継続など、引き続き支援が得られていることから継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

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