業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績等という。)の概要は次のとおりである。

なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用している。

また、当連結会計年度より、セグメント区分を変更している。これに伴い、前連結会計年度の数値についても、変更後の区分に組み替えて記載している。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりである。

 

①経営成績

科目

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

前期比(%)

売上高

408,592

441,797

33,204

8.1

営業利益

15,396

15,541

144

0.9

経常利益

11,792

11,783

△9

△0.1

親会社株主に

帰属する当期純利益

4,258

7,899

3,641

85.5

 

当連結会計年度の経済情勢は、海外では、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和される中で、一部に厳しい状況が残るものの、全体として持ち直しつつある。国内においても、同様に感染症による影響が緩和され、設備投資等に持ち直しの動きがみられ、全体として持ち直しつつある。先行きについては、感染症およびロシア・ウクライナ情勢が国内・海外経済に及ぼす影響等に留意する必要がある。

こうした中で、当社グループでは、2020年度からスタートした中期経営計画「Forward 22」のもと、製品・サービスの付加価値向上、事業の選択・集中の推進とリソースの伸長分野へのシフト、業務効率化・生産性向上による働き方改革の実現を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進してきた。

当連結会計年度の経営成績について、売上高は、機械・インフラ部門が減少したものの、環境部門等の増加により、前連結会計年度に比べて33,204百万円(8.1%)増加の441,797百万円となった。

損益面では、営業利益は、前連結会計年度に比べ144百万円(0.9%)増加の15,541百万円となった。経常利益は、前連結会計年度に比べ9百万円(0.1%)減少の11,783百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、Steinmüller Babcock Environment GmbH(現社名:Hitachi Zosen Inova Steinmüller GmbH)の全株式を取得し連結子会社としたことに伴う負ののれん発生益を特別利益に計上したこと等により、前連結会計年度に比べ3,641百万円(85.5%)増加の7,899百万円となった。

 

②財政状態

科目

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

前期比(%)

連結総資産

429,336

461,161

31,824

7.4

流動資産

259,505

292,241

32,735

12.6

固定資産

169,767

168,826

△941

△0.6

負債の部

301,169

328,234

27,065

9.0

純資産の部

128,167

132,926

4,759

3.7

 

当連結会計年度末の財政状態について、連結総資産は前連結会計年度末に比べ31,824百万円増加の461,161百万円となった。このうち、流動資産は、前連結会計年度末の259,505百万円から32,735百万円(12.6%)増加し、292,241百万円となった。これは、主として売上高増加に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加と現金及び預金の増加等によるものである。固定資産は、前連結会計年度末の169,767百万円から941百万円(0.6%)減少し、168,826百万円となった。これは、主として当社の茨城工場及び当社の連結子会社㈱ナチュラルエナジージャパンにおける減損損失の計上によるものである。

負債の部は、前連結会計年度末の301,169百万円から27,065百万円(9.0%)増加し、328,234百万円となった。これは、主として未払費用と支払手形及び買掛金の増加等によるものである。

純資産の部は、前連結会計年度末の128,167百万円から4,759百万円(3.7%)増加し、132,926百万円となった。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものである。

 

③キャッシュ・フローの状況

科目

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

22,680

26,858

4,177

投資活動によるキャッシュ・フロー

△13,847

943

14,791

財務活動によるキャッシュ・フロー

△5,271

△8,759

△3,487

現金及び現金同等物の期末残高

45,812

65,956

20,144

 

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び投資活動により獲得した資金が、財務活動により使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ20,144百万円(44.0%)増加の65,956百万円となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度を4,177百万円(18.4%)上回る26,858百万円となった。これは、主として税金等調整前当期純利益の計上等を反映したものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により獲得した資金は943百万円となった(前連結会計年度は13,847百万円の資金の使用)。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入等を反映したものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、前連結会計年度を3,487百万円(66.2%)上回る8,759百万円となった。これは、長短借入金の返済等を反映したものである。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

環境

311,881

13.4

機械・インフラ

150,912

△4.6

その他

14,367

7.4

合計

477,161

6.8

(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

環境

529,406

74.3

883,070

33.6

機械・インフラ

140,158

19.5

134,647

11.5

その他

8,383

△0.1

311

9.7

合計

677,949

57.9

1,018,029

30.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。

2.受注残高の前期比の算出にあたっては、為替レート変動による影響額を前期末受注残高において修正している。

3.「収益認識に関する会計基準」を当連結会計年度の期首から適用し、受注残高の前年同期比については、当該会計基準を適用した後の期首の受注残高と比較している。

4.当連結会計年度において、環境セグメントの受注実績に著しい変動があった。これは、主に当社の連結子会社であるHitachi Zosen Inova AG及びその子会社が、英国およびアラブ首長国連邦において、大口案件を受注したことによるものである。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

環境

307,176

14.0

機械・インフラ

126,264

△3.5

その他

8,356

0.4

合計

441,797

8.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。

2.主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対し10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略している。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 .(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。

また、工事契約に係る収益認識、貸倒引当金、保証工事引当金及び工事損失引当金等の重要な引当金の計上、固定資産の減損ならびに繰延税金資産の回収可能性の判断などの見積りについては、それぞれ合理的な基準に基づいて実施している。連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、期初時点の見通しと比較して、売上高・利益項目ともに達成することができた。

一方で、SDGs(持続可能な開発目標)の概念が世界的に広がり、持続可能な開発・循環型社会の実現に向けて社会は動き出している。この動きは、事業・製品を通じてサステナブル(持続可能)で、安全・安心な社会の実現に貢献するという当社グループの事業の方向性と一致している。

こうした状況を踏まえ、当社は、2020年度から3か年の中期経営計画「Forward 22」を策定している。

詳細は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針、経営戦略等」に記載している。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、流動性の確保と財務体質の強化を基本方針として掲げている。

流動性の確保については、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮等による営業キャッシュ・フローの底上げ、国内のグループ会社間でのキャッシュマネジメントシステムによるグループ内の余剰資金の有効活用により、流動性確保、資金効率化を図っている。また、資本市場へのアクセスの継続等により、長期安定資金の確保に対応するとともに、国内金融機関においてコミットメントラインを設定し、マーケット環境の一時的な変化等不測の事態にも対応できる体制を整えている。

財務体質の強化については、有利子負債の削減を進める一方、資本性劣後ローンの実行によりリスク耐久力の強化を図っている。

 

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループは、経営基盤の安定を意識しつつ、設備投資や事業戦略上必要な投資に配分していく方針である。

設備投資は、営業キャッシュ・フローの範囲で中期経営計画「Forward 22」の基本方針である製品・サービスの付加価値向上に資するものに重点的に配分していく。

事業戦略上必要な投資は、投資規模、将来収益等を勘案しながら、自己資金及び外部資金により対応していく。

株主還元についても、自己資本の充実および企業価値向上とのバランスを取りながら、安定的に継続していく。

(資金調達に関する考え方)

当社グループは、流動性の確保と資金調達の多様化を目的とし、金融機関からの借入及びグリーンボンドを含む社債発行による調達を行っている。地球温暖化対策や再生可能エネルギー等の事業に取り組む当社グループでは、今後もグリーンボンドをはじめとするグリーンファイナンスを積極的に活用していく。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、中期経営計画「Forward 22」にて、2022年度は売上高400,000百万円レベル、2022年度営業利益率5%の目標を掲げている。2022年度は、売上高440,000百万円、営業利益20,000百万円となる見通しである。

環境部門では、公共工事の割合が大きく、また豊富な受注済案件及び継続的事業により、新型コロナウイルス感染症の受注・売上への影響は小さい。ロシア・ウクライナ情勢についても、現時点では大きな影響はない見通しである。一方、機械・インフラ部門では、舶用原動機、自動車用プレス機械及び精密機械等、民需を中心としているため、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年度に受注が減少し、それにより2021年度は売上高が減少した。受注高は一部回復したものの、2022年度に大きな回復は見られないと予想している。こうした予想を踏まえ、2022年度の収益目標は、現時点まで及び現時点で予想されている影響を織り込んで作成している。ただし、ロシア・ウクライナ情勢及び新型コロナウイルス感染症の影響が今後さらに拡大する、もしくは影響が長期化するといった状況になれば、収益目標の達成にマイナスの影響が生じるリスクがあるものの、現時点ではそうした影響を織り込んでいない。

なお、次期連結会計年度より報告セグメントの区分を変更する。詳細は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりである。

 

d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

セグメント

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

売上高

営業利益

売上高

営業利益

売上高

営業利益

環境

269,450

12,682

307,176

12,428

37,725

△254

機械・インフラ

130,816

2,632

126,264

2,617

△4,551

△15

その他

8,325

192

8,356

525

30

332

セグメント計

408,592

15,507

441,797

15,571

33,204

63

調整額

△110

△29

80

合計

408,592

15,396

441,797

15,541

33,204

144

 

(環境)

売上高は、英国向け海外のごみ焼却発電施設等の大口工事の進捗により、前連結会計年度に比べ37,725百万円(14.0%)増加の307,176百万円となった。

セグメント利益は、高収益案件の減少等により、前連結会計年度に比べ254百万円(2.0%)減少の12,428百万円となった。

(機械・インフラ)

売上高は、舶用原動機、半導体向け真空ベアリング等の精密機械が増加したものの、自動車業界向けプレス機械、圧力容器等のプロセス機器の減少等に伴い、前連結会計年度に比べ4,551百万円(3.5%)減少の126,264百万円となった。

セグメント損益は、前連結会計年度に比べ15百万円(0.6%)減少の2,617百万円の利益計上となった。

(その他)

売上高は前連結会計年度に比べ30百万円(0.4%)増加の8,356百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べ332百万円(172.9%)増加の525百万円となった。

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