当社グループ(当社及び連結子会社)は,「グループ経営方針2019」に基づくグループ技術戦略を定め,社会とお客さまの課題解決に関わる技術に重点をおき研究開発に取り組んできました。資源・エネルギー・環境,社会基盤・海洋,産業システム・汎用機械,航空・宇宙・防衛の各セグメントにおける製品の競争力強化,及び今後の事業拡大・創造につながる基礎研究から実用化研究までを,事業領域,本社部門並びに技術開発本部が密接に連
携・協力し,推進しています。加えて,国内外の大学や研究機関との産学官連携による共同研究にも積極的に取り組んでいます。
また,2020年11月に公表しました「プロジェクトChange」において,成長事業分野を「カーボンソリューション」,「保全・防災・減災」,「航空輸送システム」の3つに再定義しました。その上で,社長直轄組織「戦略技術統括本部」を2021年4月に設立し、成長事業に必要な「戦略技術」として,「カーボンソリューション」分野においてはアンモニアの製造・輸送・使用を含むバリューチェーン構築を目指す技術,「保全・防災・減災」分野では自然環境の観測・モデリングによる災害の予測やそれらに応じたインフラ制御,並びに,生態系保全を含めた環境価値創出に係る技術,「航空輸送システム」分野では機体システムの電動化による脱炭素化に係る技術を選定し,獲得に向けた研究開発をコーポレート主導で実施しました。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
各セグメント別の主な研究開発の成果及び研究開発費は次のとおりです。
(1)資源・エネルギー・環境
資源・エネルギー・環境事業領域,技術開発本部並びに戦略技術統括本部では,脱CO₂・循環型社会を目指し,エネルギー,カーボンソリューションに係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,碧南火力発電所におけるアンモニア混焼率向上技術の実証の採択,液体アンモニア100%燃焼によるCO₂フリーガスタービンの開発を開始,アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の社会実装に向けた実証事業を開始,米国ニュースケール社への出資による小型モジュール原子炉(SMR)事業への参画が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(2)社会基盤・海洋
社会基盤・海洋事業領域,技術開発本部並びに戦略技術統括本部では,強靭で経済性・環境性に富んだ社会インフラを目指し,保全・防災・減災,橋梁・水門等に係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,橋梁維持管理マネジメントサポートシステムを開発,工事進捗から人員配置と気象までわかる“現場見える化クラウド”の構築,最新ICT・IoT技術を取り入れた水門業界関係者が誰でも学べる体験型施設「防災・水門技術研修所」の設立が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(3)産業システム・汎用機械
産業システム・汎用機械事業領域,技術開発本部並びに戦略技術統括本部では,環境に優しく,快適で安心な自律分散コミュニティーの実現に向けて,車両過給機,運搬機械,物流・産業機械システム,パーキング,オゾン関連等に係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,電動ターボチャージャーの開発,機械式駐車装置の省電力・EV全台充電システムの実現,世界初 搬送中ケースの賞味期限自動読取システムを米スタートアップと共同で開発,医療向け感染制御システムを公衆衛生対策ソリューションとして提供が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(4)航空・宇宙・防衛
航空・宇宙・防衛事業領域,技術開発本部並びに戦略技術統括本部では,安全・快適・経済的で環境に優しい航空輸送の実現を目指し,また,航空機の電動化,並びに持続可能な航空燃料(SAF)の普及などの航空機のカーボンニュートラル達成を目指し,航空エンジン,ロケットシステム・宇宙利用に係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,航空エンジンの燃費向上に貢献するCMC(セラミック基複合材料)製タービン部品の開発及び複合材ファンブレードの開発,気候変動に対する住友林業との取り組みをCOP26において世界に発信,船舶位置情報受診システム実証衛星「IHI-SAT」がISSへの打ち上げに成功が挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は
(5)その他
本社部門と技術開発本部並びに戦略技術統括本部では,各セグメントの将来を担う新技術・新事業分野及び中長期的な研究開発を担当し,同時に,共通基盤技術に係る研究開発を行なっています。
当連結会計年度の主な成果として,お客さまへの価値をデジタルで創造するプラットフォームの構築,福島県相馬市に開設した水素研究棟「そうまラボ」においてCO₂フリー水素を活用した研究,横浜工場で運用する「IHIつなぐラボ・i-Base」を拠点とした共創活動の場を活用した新しい価値創出の取り組みが挙げられます。
当セグメントに係る研究開発費は115億円です。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。
お知らせ