当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、全国各地で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用が繰り返し行われるなど、厳しい状況が続きました。一方で、ワクチン接種率の上昇に伴い重症患者数は減少傾向にあり、制限緩和による経済活動の持ち直しがみられるものの、東南アジアをはじめ世界的な流行は収まりきらず、半導体はじめ各種工業部品・部材の供給が長期化する事象が頻発しています。
また、地政学リスクの増大がこれらの部品・部材の供給の長期化や原材料価格の上昇に拍車をかけることが懸念され、予断を許さない状況が続いています。
このような状況の中、当社グループの事業のうち、レジャー事業の主力である遊園地運営において秋以降客足が戻り業績が好転しましたが、特に建設業向けセグメントにおける事業会社の運営において、当社の部品・部材調達の遅れや顧客事情による納期の延長、受注の後ずれが発生、業績に大きな影響を与えています。
この結果、当連結会計年度における経営成績 は、売上高は 19,148百万円 ( 前年同期比25,480百万円 (57.1%)の減収 )となり、造船事業を除いた前年同期比では434百万円の増収、営業利益は 222百万円 (前年同期は5,267百万円の営業損失 ・造船事業を除いた前年同期は598百万円の営業損失)、経常利益は 205百万円 (前年同期は5,154百万円の経常損失) 、親会社株主に帰属する当期純利益は 434百万円 (前年同期は3,685百万円の親会社株主に帰属する当期純損失) となりました。これら前年同期比の数値については、2021年2月末造船事業を㈱新来島どっくに譲渡した影響が含まれます。
セグメント別の経営成績の分析につきましては、当連結会計年度より、現在の8事業会社における事業を下記のとおり、産業向け、建設業向け、レジャーに分けて、3セグメントとして分析することとしています。
※2022年4月1日、山田工業㈱はサノヤス・エンテック㈱に商号を変更しております。
当連結会計年度のセグメント別の業績の概要と、前年度比較は次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)前年同期には、上記以外に、造船事業において売上高 25,915百万円 、営業損失 4,669百万円 、受注高 30,379百万円 を計上していたため、調整後合計額は、売上高 44,628百万円 、営業損失 5,267百万円 、受注高 45,278百万円 でした。
産業向けセグメントにおいては、2020年来のコロナ禍影響の解消が進み、各事業会社は引き合い・商談を再開、受注に至る案件が増加、各工場も操業度を上げています。売上高については、半導体関連向け精密機械加工およびドライブ・シャフトの工場が年間を通してフル稼働状態を継続、ショットブラスト製造装置も下期からはフル操業となりました。一方、化粧品製造装置では夏場以降顕在化した設備投資案件を確実に捕捉したものの上期の受注不足を補い切れず、この結果、セグメント売上高は前年同期比微減収となりました。営業利益については、化粧品製造装置、食品産業用タンク、精密機械加工の増益により、前年同期比増益となりました。受注については、期初出遅れた化粧品製造装置の受注が大きく進展し、食品産業用タンクおよびショットブラスト装置受注の増加を合わせて、前年同期比大幅受注増となりました。この結果、当連結会計年度の売上高は9,416百万円(前年同期比48百万円の減少)、営業利益は856百万円(前年同期比179百万円の増加)、受注高は9,708百万円(前年同期比2,421百万円の増加)、受注残高は4,212百万円(前年同期比1,146百万円の増加)となりました。
建設業向けセグメントにおいては、従来、コロナ禍の影響は比較的軽微でしたが、秋以降、当社製品に使用する電子部品・部材の調達が長納期化するケースが頻出する事態となっています。これにより、特に、高層ビル用の動力盤を主体とする配電盤事業において電子部品・部材の不足が著しく、業況に大きな影響が出ている他、機械式駐車装置のリニューアル・修繕において工事の遅延が発生しています。この結果、売上高については、動力盤制御盤等の売上が前年同期比大きく減少し、これらを高層ビル建設用仮設エレベーターと空調衛生給排水設備工事の増収によって補い、微増収となりました。営業利益も同様に、高層ビル用動力盤等の減益を高層ビル建設用仮設エレベーターと空調衛生給排水設備工事の増益で補い切れず小幅な減益となりました。受注については、建設用仮設エレベーターは前年同期を上回りましたが、動力盤制御盤等については、部品・部材の長納期化が影響し、前年同期比受注減となりました。 この結果、当連結会計年度の売上高は 7,192百万円 (前年同期比 19百万円の増加 )、営業利益は 288百万円 (前年同期比 27百万円の減少 )となり、受注高は 6,477百万円 (前年同期比 427百万円の減少 )、受注残高は 4,333百万円 (前年同期比 203百万円の増加 )となりました。
レジャーセグメントにおいては、2021年9月まではコロナ禍による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などによる遊園地営業の休止要請や、水際対策によるインバウンド客の消失など厳しい事業環境が継続しましたが、ワクチン接種普及等により最悪期を脱し、緊急事態宣言の解除された2021年10月以降、利用客が戻り、変異株オミクロン型の流行が懸念されたものの、遊園地施設営業の売上高が大幅に増加しました。また、国内遊園地からの部品・修理のニーズが復活し、当連結会計年度では、営業黒字に転じました。一方、遊戯機械販売においては、第2四半期に東武動物公園から水上木製コースター「レッジーナ」のリニューアル工事を受注しましたが、国内遊園地の新規投資意欲は総じて低いため、当面は部品・修理ニーズへ積極的に対応し受注高を積み上げました。この結果、当連結会計年度の売上高は 2,539百万円 (前年同期比 464百万円の増加 )、営業利益は 342百万円 (前年同期は 418百万円 の営業損失 )、受注高は 1,875百万円 (前年同期比 1,169百万円の増加 )、受注残高は 1,176百万円 (前年同期比 1,022百万円の増加 )となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は 19,148百万円 となりました。前年同期比では 25,480百万円 の減収となりましたが、造船事業譲渡の影響を除いたベースでは前年同四半期比434百万円の増収となりました。
営業利益は 222百万円 となりました。前年同期は 5,267百万円 の営業損失でしたが、造船事業譲渡の影響を除いたベースでは前年同期は598百万円の営業損失でした。
受注高は 18,061百万円 となりました。前年同期対比 27,216百万円 の減少となりましたが、造船事業譲渡の影響を除いたベースでは3,163百万円の増加となりました。
受注残高は 9,721百万円 となりました。前年同期比 2,372百万円 の増加となりました。
また、経常利益は 205百万円 (前年同期は 5,154百万円 の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は 434百万円 (前年同期は 3,685百万円 の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて 2,129百万円減少 し、 11,508百万円 となりました。これは主に、 契約資産 が 534百万円 、 原材料及び貯蔵品 が 141百万円 それぞれ増加したものの、 現金及び預金 が 2,176百万円 、 その他 流動資産が 866百万円 それぞれ減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて 1,157百万円増加 し、 13,919百万円 となりました。これは主に、 投資有価証券 が 655百万円 、有形固定資産が 421百万円 、無形固定資産が 143百万円 それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて 1,583百万円減少 し、 8,573百万円 となりました。これは主に、 契約負債 が 481百万円 、 未払法人税等 が 219百万円 、 その他 流動負債が 130百万円 それぞれ増加したものの、 1年内返済予定の長期借入金 が 883百万円 、 短期借入金 が 850百万円 、 前受金 が 661百万円 、 支払手形及び買掛金 が 364百万円 それぞれ減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて 161百万円減少 し、 8,983百万円 となりました。これは主に、 長期借入金 が 868百万円 増加したものの、 資産除去債務 が 395百万円 、 繰延税金負債 が 386百万円 、 リース債務 が 309百万円 それぞれ減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて 772百万円増加 し、 7,871百万円 となりました。これは主に、 資本剰余金 が 263百万円 減少したものの、 利益剰余金 が 567百万円 、 その他有価証券評価差額金 が 359百万円 それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ 2,076百万円減少 し、 3,376百万円 となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ 2,964百万円 収入が増加し、 284百万円 の資金の増加となりました。主な支出は、売上債権の増加 899百万円 、仕入債務の減少 396百万円 、契約負債の減少 181百万円 であり、一方、主な収入は、法人税等の還付 808百万円 、 減価償却費 667百万円 、税金等調整前当期純利益 227百万円 であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ 2,934百万円 支出が減少し、 1,189百万円 の資金の減少となりました。主な支出は、 有形固定資産の取得による支出 955百万円 、 無形固定資産の取得による支出 224百万円 であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ 1,616百万円 支出が減少し、 1,205百万円 の資金の減少となりました。主な支出は、短期借入金の純増減額 850百万円 、 リース債務の返済による支出 257百万円 であります。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去していません。
2 金額は期間中に発生した製造原価で示しています。
3 当連結会計年度において生産実績に著しい変動がありました。これは、主に造船事業譲渡によるものです。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 レジャー事業の遊園地運営は受注高及び受注残高に含めていません。
2 当連結会計年度より、建設業向けセグメントに建設工事用エレベーターレンタルの受注高、受注残高を含めております。この変更に伴い、前年同期比についても建設工事用エレベーターの受注高、受注残高を含めた数値で比較しております。
3 当連結会計年度において受注実績に著しい変動がありました。これは、主に造船事業譲渡によるものです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
2 CARDINAL MARITIME S.A.については、当連結会計年度において10%未満のため記載を省略しています。
3 当連結会計年度において販売実績に著しい変動がありました。これは、主に造船事業譲渡によるものです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は前期比 25,480百万円 (57.1%)減少 の 19,148百万円 となり、営業利益は 222百万円 (前期は 5,267百万円 の営業損失)、経常利益は 205百万円 (前期は 5,154百万円 の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は 434百万円 (前期は 3,685百万円 の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
造船事業を譲渡した結果、当社グループの事業は主として国内マーケットの影響を受けることになりました。国内景気は新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しつつありますが、部品・部材の供給の長期化や原材料価格の上昇が当社の業績に大きな影響を与えています。これらの外部環境の変化に適切に対応していく一方で、前述の通り、各社の経営規模を効率的な運営を行なえる水準に再編を進めた結果、各個社レベルでの経営水準の向上やグループ間の相互協働・補完も進んできており、経営体質の強化に繋がっています。また、既存事業の成長に加え、2020年1月の動力制御盤、分電盤、配電盤等のメーカーのハピネスデンキ㈱買収や、2022年8月に予定している同業の松栄電機㈱買収にもみられるように、引き続きシナジー効果が期待できる事業の強化・発掘に努めていきます。
近年、若年層の減少やわが国の景気が堅調に継続していることから、雇用環境が売手市場になり、安定的な人財確保が難しくなっています。また、当社グループにおいては、ベテランから中堅・若手への技能伝承も課題の一つです。この課題の解決策の一つとして、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入しており、安定的な新規採用活動の継続と合わせてマンパワーの継続を図っていきます。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ 2,964百万円 増加し、 284百万円 の収入となりました。主な支出は、売上高の増加に伴う売上債権の増加899百万円に対し、主な収入は、法人税等の還付808百万円でした。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ 2,934百万円 減少し、 1,189百万円 の支出となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出 955百万円 、無形固定資産の取得による支出 224百万円 でした。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ 1,616百万円 減少し、 1,205百万円 の支出となりました。短期借入金の返済による支出 850百万円 が主要因です。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、 3,376百万円 と前連結会計年度末に比べ 2,076百万円 減少しました。一方、当連結会計年度末の有利子負債残高は8,922百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,122百万円減少しました。キャッシュ・マネジメント・サービスを導入によりグループの資金効率を改善し、借入金の返済を進めた結果です。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。(産業向け)
産業向けセグメントにおいては、各種産業機械部品の製造及び組立、及び農機・特殊自動車用部品の製造及び組立が国内景気の回復を受け年間を通して好調でした。また、ショットブラストマシンの製造及び保守点検、及び化粧品及び医薬品製造用の乳化装置及び撹拌機の製造が下期から持ち直しました。
(建設業向け)
建設業向けセグメントにおいては、建設工事用エレベーターの製造及びレンタル、及び空調衛生給排水設備の設計及び施工が首都圏を中心とした建設工事の活況を背景に好調でした。一方で、電気機械器具製造及び電気工事、機械式駐車装置の製造及び保守点検は、電子部品・部材の調達難の影響を受け苦戦を強いられました。
(レジャー)
レジャーセグメントにおいては、特に遊園地運営が緊急事態宣言や海外渡航制限の直撃を受けましたが、緊急事態宣言が解除された2021年10月以降は利用客が戻り、業績が回復しました。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討していおりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
お知らせ