当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。」の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」といいます。)に対するワクチンの接種が進む一方、変異株の急激な拡大により緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、社会経済活動の抑制が継続されました。また年末から感染力の強いオミクロン株が拡大し、いまだに収束は見通せない事態となっており、感染症流行の動向が経済に与える影響について慎重に見定めなければならない状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にて記載しておりますが、保育ニーズは今後も拡大するものと考えております。
当社グループでは、高まる保育ニーズへの対応として認可保育所等の保育施設の新規開設に注力したとともに、より良いサービスの提供を実現するために、優秀な人材を確保すること及びサービス品質の更なる向上に注力してまいりました。また、業容拡大スピードにしっかりと対応できる体制構築のために本社本部社員の増員をおこないました。さらに継続して保育施設のICT化を推進しており、保育士等の職員がより保育に集中できる環境作りや一人一人の児童としっかり向き合う機会を作る仕組みの構築に努めてまいりました。
以上の取組みの結果、当連結会計年度に以下のとおり新たに13施設の保育施設等を開設並びに運営開始いたしました。
(公的保育事業) 合計3施設
認可保育所 合計3施設
東京都 3施設(中央区2施設、品川区1施設)
(受託保育事業) 合計10施設
企業内・病院内保育施設 合計5施設
福岡県 4施設(福岡市1施設、太宰府市1施設、那珂川市1施設、遠賀町1施設)
大阪府 1施設(豊中市1施設)
学童保育施設 合計5施設
福岡県 5施設(福岡市1施設、香春町4施設)
なお、当社グループを取り巻く事業環境を鑑み、限られた経営資源のより良い活用を行うことを目的に、2021年3月末をもって運営を終了した施設が公的保育事業において1施設あります。また、委託期間満了等により、2021年9月末までに運営を終了した施設が受託保育事業において17施設あります。
上記を踏まえ、2021年12月末時点の運営施設数は、公的保育事業において64施設(認可保育所45施設、小規模認可保育所19施設)、受託保育事業において218施設(受託保育所130施設、学童保育所56施設、わいわい広場32施設)、その他において7施設(認可外保育所4施設、小規模認可保育所(事業所内保育事業)1施設、介護施設(デイサービス)2施設)の計289施設となっております。
以上により、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。
(売上高)
売上高につきましては、11,454,747千円(前年同期比6.3%増)となりました。これは主に、当連結会計年度に公的保育事業において3施設、受託保育事業において10施設新規に開設したこと、2020年12月に子会社化したオフィス・パレット株式会社の業績への貢献があったこと、各既存施設の充足率が向上したことによるものであります。
(売上原価)
売上原価につきましては、9,652,802千円(前年同期比8.5%増)となりました。これは主に、運営施設数の増加に伴う労務費や経費の増加によるものです。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費につきましては、1,334,069千円(前年同期比4.8%増)となりました。これは主に、給料及び手当の増加によるものです。なお、売上高販管費率は前連結会計年度が11.8%であったところ、当連結会計年度は11.6%となりました。
この結果、営業利益は467,875千円(同23.6%減)となりました。
(営業外損益と経常利益)
営業外収益につきましては29,818千円(前年同期比357.5%増)、営業外費用につきましては42,310千円(同69.9%増)となりました。営業外収益の増加は、主に助成金収入の増加によるものです。営業外費用の増加は、主に支払利息や補助金返還額の増加によるものです。
この結果、経常利益は455,384千円(同23.3%減)となりました。
(特別損益と親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益につきましては716,106千円(前年同期比13.6%減)、特別損失につきましては774,284千円(前年同期比9.2%減)となりました。特別利益の減少は、主に補助金収入の減少によるものです。特別損失の減少は、主に固定資産圧縮損の減少によるものです。
税金等調整前当期純利益につきましては397,206千円(前年同期比30.3%減)となり、法人税、住民税及び事業税を200,573千円、法人税等調整額を△40,517千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は237,150千円(前年同期比30.1%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、記載のセグメントの経営成績はセグメント間取引の相殺前の数値であります。
(公的保育事業)
公的保育事業におきましては、当連結会計年度において新規に認可保育所3施設を開設いたしました。また、各既存施設において、保育の質の向上及び効率的な運営の充実に注力いたしました。前期は、休園や登園自粛による影響で変動費が抑制されましたが、当期は通常どおりに施設運営を行うことができたため、変動費が増加し、利益面を押し下げる要因となりました。この結果、当連結会計年度における売上高は7,404,767千円(前年同期比14.2%増)、セグメント利益は771,322千円(同4.5%減)となりました。
(受託保育事業)
受託保育事業におきましては、企業・病院等が設置する保育施設の新規受託や学童保育所やわいわい広場の新規受託の営業活動に注力し、新規に10施設(受託保育所5施設、学童保育所5施設)の運営を開始いたしました。学童保育施設につきましては、5施設開設いたしました。うち4施設は、福岡県香春町と新たに取引を開始し運営を開始した施設であります。また、各既存施設において、保育の質の向上及び効率的な運営の充実に注力いたしました。しかしながら、当連結会計年度に17施設の運営が終了したことで、前年同期比において施設数が純減いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅勤務の増加や育休延長及び感染リスクへの不安による「預け控え」等に起因し、第3四半期以降、運営施設の稼働が減少いたしました。この結果、当連結会計年度における売上高は3,479,209千円(前年同期比7.2%減)、セグメント利益は138,745千円(同36.6%減)となりました。
(その他)
その他におきましては、主に幼稚園や保育所に対する保育人材の派遣事業、直営認可外保育施設並びに介護施設におけるサービスの質の向上及び効率的な運営の充実等に注力いたしました。しかしながら、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の断続的な発出により、前年に比べて運営施設の稼働状況は改善したものの、平常水準までの回復には至りませんでした。この結果、当連結会計年度における売上高は584,513千円(前年同期比2.4%増)、セグメント損失は20,849千円(前年同期はセグメント利益25,467千円)となりました。
当社グループでは、中長期的な経営の方向性を「teno VISION 2030」で示し、「中期経営計画(2022~2024)」において以下の経営指標の目標値を定めております。なお、目標達成に向けた重点施策については、『第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境 ②「中期経営計画(2022~2024)」』に記載しております。当該計画につきましては、2022年12月期から始まる3か年の中期経営計画として策定しております。
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
2024年12月期 |
売上高(億円) |
125 |
132 |
143 |
生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりであります。
(生産実績)
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(受注実績)
当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
公的保育事業 |
7,404,767 |
14.2 |
受託保育事業 |
3,479,209 |
△7.2 |
その他 |
570,770 |
4.9 |
合計 |
11,454,747 |
6.3 |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
東京都板橋区 |
1,271,932 |
11.8 |
1,261,106 |
11.0 |
東京都新宿区 |
1,094,815 |
10.2 |
- |
- |
(注)1.上記は公的保育事業における同区からの保育園運営に関する補助金収入であり、売上高として計上しております。なお、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産につきましては、7,294,187千円(前期末比124,979千円減)となりました。
流動資産につきましては、3,215,120千円(同8,647千円増)となりました。これは、主に現金及び預金が101,971千円減少、売掛金が24,860千円増加し、流動資産のその他が85,725千円増加したためであります。
固定資産につきましては、4,079,066千円(同133,627千円減)となりました。これは、主に有形固定資産(認可保育所の建物及び構築物)が112,757千円減少、無形固定資産が1,921千円減少、投資その他の資産が18,948千円減少したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、4,962,864千円(前期末比328,637千円減)となりました。
流動負債につきましては、2,427,822千円(同31,947千円増)となりました。これは、主に短期借入金が250,000千円増加、未払金が77,664千円減少、1年内返済予定の長期借入金が2,764千円増加、未払法人税等が97,947千円減少、流動負債のその他が57,558千円減少したためであります。
固定負債につきましては、2,535,042千円(同360,585千円減)となりました。これは、主に長期借入金が377,574千円減少、資産除去債務が363千円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては、2,331,323千円(前期末比203,657千円増)となりました。これは、新株発行による資本金2,373千円増加及び資本剰余金2,373千円増加、配当金の支払いによる利益剰余金38,190千円減少と親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金が237,150千円増加したためであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得が292,834千円、投資活動による資金の減少が251,352千円、財務活動による資金の減少が161,453千円であったことにより、前連結会計年度末に比べ119,971千円減少し、1,745,725千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は292,834千円(前連結会計年度は508,611千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が397,206千円、減価償却費が204,169千円及び法人税等の支払による支出309,609千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は251,352千円(前連結会計年度は1,103,539千円の減少)となりました。これは主に認可保育園の新規開園に関する有形固定資産の取得による支出870,653千円、敷金及び保証金の差入による支出20,081千円及び補助金の受取額711,706千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は161,453千円(前連結会計年度は677,568千円の獲得)となりました。これは主に長期借入れによる収入70,000千円、長期借入金の返済による支出444,810千円、短期借入金の純増額250,000千円及び配当金の支払額38,256千円によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、新規に開設する保育所の設備投資に係る設備資金需要、保育施設における備品購入費及び人材採用費等の運転資金需要であります。
③ 財政政策
当社グループは、当社と連結子会社の資金管理の一元化を図り、連携をとることにより資金効率の向上に努めております。また、事業活動のための資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることに注力しております。新規に開設する保育所の設備投資や運転資金といった資金需要については、主には金融機関からの借入によって調達しております。
(5)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (追加情報)」に記載のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報等に基づき慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し回収可能見込額を計上しております。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。
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