課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、以下の経営理念を掲げて事業展開を行っております。

「私たちは、女性のライフステージを応援します。」

「私たちは、相手の立場に立って考えます。」

「私たちは、コンプライアンスを推進します。」

「私たちは、事業を通して社会貢献致します。」

当社グループは、“女性”が育児をしても、家事をしても、介護をしてもなお、働き続けるためには、「いったい何が必要なのか」を基本に事業展開してまいりました。豊かな社会を築くためには、あらゆる場面でさまざまな発想で多くの知恵を出すことが必要です。そういった「より私らしく」と願う女性たちに対してサービスを提供することを事業コンセプトとしております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2022年12月期から2024年12月期を最終年度とする「中期経営計画(2022~2024)」の中で、最終年度にあたる2024年12月期における目標計画として連結売上高143億円を掲げております。なお、2022年2月14日に前回公表(2021年2月12日)の中期経営計画のローリングを実施し、新たに2022年から始まる3か年の中期経営計画を策定しております。

 

(3)経営環境

当社グループの属する保育業界を取り巻く環境は、長期的には少子高齢化・人口減少の急速な進展が予想されておりますが、厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」(2021年8月27日公表)によると、2021年4月1日時点で、日本全国の待機児童数は5,634人(前年比6,805人減)となっております。一方で、保育所等施設の利用児童数は2,742,071人(前年比4,712人増)と増加しております。

2021年6月に政府により決定された「女性活躍加速のための重点方針2021」により、男女ともに仕事と子育て等を両立できる環境の整備に強力に取り組むという方針のもと、保育の受け皿整備や様々なニーズに応じた子育て支援の充実に向けた施策が行われる等、女性活躍に資する多様な働き方推進や基盤整備に強い関心が払われております。

さらに、2020年12月公表の「新子育て安心プラン」において、2021年度から2024年度末までの4年間で約14万人分の保育の受け皿整備が必要であることが示されております。女性の就業率に関してもこれまで80%を目標としておりましたが、82%(2025年まで)へ引き上げることが閣議決定されております(2019年12月「第2期『まち・ひと・しごと創生総合戦略』」より)。こうした政府の方針を受け、引き続き市場規模の拡大が見込まれるとともに、地域福祉を支える社会インフラとして当社グループが行う事業の役割は、これまで以上に重要性を増すものと考えております。また、女性の社会進出がより進むことによる共働き世帯の増加や働き方の多様化等によって、保育ニーズは今後も高まっていくものと考えております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、国や自治体の要請等に応じて休園を行う施設が一部ありましたが、引続き、感染拡大防止に向け管轄自治体と連携した各施設での管理体制を徹底し、お預かりしている児童・保護者の皆様・取引先・従業員の安全確保を最優先に考え、対応してまいります。

当社グループが、担うべき役割や果たすべき責任は、今後ますます大きくなってくるものと見込んでおり、社会的な要請や多様化するニーズにしっかりと応えることができる企業集団となっていくことが必要であると考えております。

そのため、2030年12月期のあるべき姿(理想像)として、

「teno VISION 2030」

~時代に求められるサービスを提供するプロフェッショナル集団となり、働き手にとって最も自己実現が可能な家庭総合サービスグループを目指す。~

を掲げ、その実現に向けた取組みを盛り込んだ「中期経営計画」を策定しております。なお数値目標については、経営環境の変化等に柔軟に対応するため原則として毎期改定を行うローリング方式を採用しております。

 

① 「teno VISION 2030」

当社グループのボトルネックとなりうる“人材”への戦略的アプローチにより理想的な循環(「人材を持続的に確保・育成できる」→「価値の高い時代ニーズに合ったサービスを提供できる」→「保護者、自治体や企業等から選ばれる」→「グループの総合力が発揮され利益を生み出している」→「働き手にとって最適な環境が整っている」→「人材を持続的に確保・育成できる」→・・・)を実現させることで、当社グループのステークホルダーの皆さまから選ばれる企業集団となることを目標としております。

「teno VISION 2030」の最終年度である2030年12月期においては、連結売上高500億円を達成することを目指し、既存事業の拡大、M&Aによる事業拡大、新規事業の創出に注力してまいります。

 

② 「中期経営計画(2022~2024)」

「teno VISION 2030」の実現に向けて「中期経営計画(2022~2024)」においては主力事業の安定成長と新規事業への取組みを基本方針として掲げ、以下の重点施策に取組んでまいります。なお、2022年2月14日付の中期経営計画のローリング時において、2020年2月13日付で公表いたしました中期経営計画の基本方針に、介護事業における今後の事業拡大に関する項目を追加しております。

イ.公的保育事業、受託保育事業における事業拡大(M&Aによる事業拡大も含む)

ロ.「サービス品質」を追求し、選ばれる施設づくりを行う

ハ.人事制度と人材育成制度の一体改革に着手する

ニ.新規事業(保育以外の主力事業へ)を立ち上げる(将来への投資として、多くの種まきを行う)

ホ.介護事業における事業拡大に注力し、公的保育事業や受託保育事業に続く柱の事業へ成長させる

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営戦略を立案し、企業価値を最大限に高めることに努めております。当社グループが今後より一層の業容拡大を推進し、より良いサービスを実現するためには、様々な課題に対処していくことが必要であり、以下の項目を対処すべき課題として認識しております。なお、最重点課題として人材の確保を掲げ、「teno VISION 2030」の達成に向けて「人材を持続的に確保・育成できる」ことを最初の取組みとしており、当社グループが考える理想的な循環実現のために対応してまいります。また、新型コロナウイルス感染拡大防止の継続取組みとして、安全・安心のために、検温・マスク着用・手洗い・うがい等の衛生管理の徹底、密閉空間を作らないための換気の励行、本社勤務においてはテレワークの推進などの対策を実施してまいります。

 

① 人材の確保

当社グループ運営施設の増加に伴い、保育士、調理師、看護師、介護士等の資格を有する優秀な人材の確保が急務となっています。特に保育士の有効求人倍率は依然全国的に高位に推移しており、大都市圏を中心に採用が難しい状況が続いております。このような中、当社グループではこれまでの経験者を中心とした採用から新卒者採用に注力しており、また人材紹介会社経由の採用に依存しない採用経路確保に継続して取組んでおります。さらに給与条件の改善をはじめ、業務効率化による働きやすい環境整備、研修制度の充実(海外での研修実施等)、人事評価制度の見直し等を通じた総合的な処遇改善への取り組みを進め、優秀な人材の確保に向けた施策を推進しております。

 

② 人材の育成

当社グループでは、テノスクール(tenoSCHOOL)の運営を通じて、保育士資格取得やベビーシッター向けの講座、子ども・子育て支援研修制度による自治体主催研修への講師派遣等を通じ、外部人材の育成・教育を実施しております。また当社グループ運営施設においては、保育のスキルアップ研修や安全・アレルギー研修等を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人材への継続的な教育投資を実施しております。

当社グループが担うべき役割や果たすべき責任は、今後ますます大きくなってくると見込んでおり、社会的な要請や多様化するニーズに対してしっかりと応え続けるべく、人材の育成に継続して努めてまいります。

 

 

③ 保育の質の維持・向上

当社グループでは、公的保育事業を株式会社テノ.コーポレーション及びオフィス・パレット株式会社が、受託保育事業を株式会社テノ.サポートが担っております。事業特性に応じた組織運営によりノウハウの集約を図り、効率的・組織的な管理体制を構築しています。また、研修機会の充実や総合的な処遇改善等による働き方改革の推進により、保育の質の維持・向上に努めてまいります。

重ねて保育の現場では、保育士等の職員がより保育に集中できる環境作りや一人一人の児童に対してしっかりと向き合う機会を作る仕組みの構築に努めております。具体的には、タブレット機器の導入や見守りカメラの設置といった保育施設のICT化(コンピューター技術を活用した保育業務の支援機器等の導入)を推進しております。

 

④ コンプライアンスへの取組み

児童福祉法をはじめ、保育事業を展開するにあたって根拠となる法律・条令等の遵守は、厳格に実施しております。また、当社グループが有している施設利用者等の個人情報についても、法律に則った取扱いを徹底しております。これらコンプライアンスへの取組みとして、社内規程の拡充整備を進め、社員研修等により日常的にコンプライアンスへの意識を高め、適正に業務を遂行してまいります。

 

⑤ 安定的な資金調達の確保と財務基盤の強化

今後も継続的に公的保育施設の開設を進めるためには、必要な設備投資資金を安定的に確保することが重要となります。当社グループでは、複数の金融機関との継続的取引を通じた安定調達、財務安全性を高める諸施策の実施による財務基盤の強化を進め、安定的かつ機動的な資金調達に努めております。

 

⑥ 事業基盤安定化のための新規事業への着手

当社グループの公的保育事業につきましては、国及び自治体の保育所に対する政策変更等に大きく影響を受けております。また受託保育事業につきましても、クライアント企業の業績変動等に少なからぬ影響を受けております。一方、当社グループは、「私たちは、女性のライフステージを応援します。」の経営理念のもと、女性が育児をしても、家事をしても、介護をしてもなお、「働き続けるためにはいったい何が必要なのか」を基本にこれまで事業展開しており、ベビーシッターサービス、ハウスサービス、保育人材の紹介・派遣、人材教育を担うテノスクール(tenoSCHOOL)、企業や病院が事業所内保育所を開園するにあたり開園に係るアドバイスを行うコンサルティング事業、結婚相談所事業等多様な事業を展開しております。

当社グループは、公的保育事業および受託保育事業への上記の課題を踏まえ、事業基盤をより整備・安定化させるために、これら既存事業の一層の拡大に加え、介護事業や経営理念に合致した各種サービス等、当社グループの事業ドメイン(コア・コンセプト)を意識した新たな事業を積極的に展開してまいります。

 

 

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