(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は80百万円増加し、売上原価は77百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ2百万円増加しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動の制限と緩和が繰り返される中で、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかし、半導体の供給不足及び原材料価格の動向、また変異株をはじめ感染症による内外経済の影響、更にウクライナ情勢の緊迫化等による下振れリスクを注視する必要があり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと、当連結会計年度の当社グループの業績は、エンジニアリング事業の売上が増加した一方、鉄道車両事業、輸送用機器・鉄構事業、建設機械事業の売上が減少したことなどにより、売上高は前連結会計年度に比べ5.5%減少の94,022百万円となりました。利益面につきましては、エンジニアリング事業の利益が増加した一方、鉄道車両事業、輸送用機器・鉄構事業、建設機械事業の利益が減少したことなどにより、営業利益は31.1%減少の6,237百万円、経常利益は32.1%減少の6,317百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ34.1%減少の5,226百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりです。
・鉄道車両事業
JR向け車両は、JR東海向けN700S新幹線電車や315系電車、JR東日本向けレール輸送車などの売上があり、売上高は38,882百万円となりました。公営・民営鉄道向け車両では、小田急電鉄向け電車、名古屋市交通局向け電車などの売上があり、売上高は9,075百万円となりました。以上の結果、鉄道車両事業としましては、前連結会計年度に比してJR東日本向けレール輸送車が減少したことなどにより、売上高は47,958百万円となり、前連結会計年度に比べ5.0%減少となりました。
・輸送用機器・鉄構事業
輸送用機器におきましては、貨車の売上が前連結会計年度に比して増加しましたが、無人搬送装置や民生用バルクローリなどが減少しました。
鉄構におきましては、大野油坂道路中津川高架橋鋼上部工事、谷郷池橋、圏央道島名第一橋、東海道新幹線大規模改修工事などの売上がありましたが、官公庁向けの道路橋などが前連結会計年度に比して減少しました。
以上の結果、輸送用機器・鉄構事業の売上高は13,855百万円となり、前連結会計年度に比べ25.1%減少となりました。
・建設機械事業
都市再開発工事の需要などにより建設機械の売上が引き続き高い水準となりましたが、既に撤退した発電機事業が前連結会計年度に比して減少したことなどにより、建設機械事業の売上高は20,185百万円となり、前連結会計年度に比べ6.7%減少となりました。
・エンジニアリング事業
鉄道事業者向け機械設備のほか、家庭紙メーカー向け製造設備、各地のJA向け営農プラントなどの売上があり、鉄道事業者向け機械設備や家庭紙メーカー向け製造設備が前連結会計年度に比して増加したことなどにより、エンジニアリング事業の売上高は11,957百万円となり、前連結会計年度に比べ36.8%増加となりました。
また、財政状態は以下のとおりです。
・資産
前連結会計年度末に比べ2.7%減少し132,868百万円となりました。これは、短期貸付金が増加した一方で、全事業で受取手形及び売掛金が減少したことや、保有する投資有価証券の評価額が下落したことなどによるものであります。
・負債
前連結会計年度末に比べ7.1%減少し84,849百万円となりました。これは、長期借入金の返済や、保有する投資有価証券の評価額の下落に伴い繰延税金負債が減少したことなどによるものであります。
・純資産
前連結会計年度末に比べ6.0%増加し48,018百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したため利益剰余金が増加したことなどによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、29,111百万円(前連結会計年度末は20,766百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は14,507百万円(前連結会計年度は11,537百万円の獲得)となりました。これは、前連結会計年度に比べて、当連結会計年度は全事業に係る売上債権の減少による資金の獲得が多いことなどによるものであります。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は2,637百万円(前連結会計年度は2,294百万円の使用)となりました。これは、前連結会計年度に比べて、当連結会計年度は投資有価証券の売却による資金の獲得が少ないことなどによるものであります。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は3,571百万円(前連結会計年度は1,638百万円の使用)となりました。これは、前連結会計年度に比べて、当連結会計年度は借入金の返済による資金の使用が多いことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
鉄道車両事業(百万円) |
49,421 |
△0.7 |
輸送用機器・鉄構事業(百万円) |
14,349 |
△19.7 |
建設機械事業(百万円) |
17,235 |
△8.6 |
エンジニアリング事業(百万円) |
11,773 |
+27.0 |
その他(百万円) |
6 |
△51.6 |
合計(百万円) |
92,785 |
△3.1 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
b.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
鉄道車両事業 |
26,626 |
△56.2 |
89,529 |
△20.2 |
輸送用機器・鉄構事業 |
15,222 |
△8.0 |
18,025 |
+1.4 |
建設機械事業 |
22,738 |
△22.4 |
13,976 |
+22.3 |
エンジニアリング事業 |
10,281 |
+0.1 |
1,961 |
△46.1 |
その他 |
65 |
△12.8 |
- |
- |
合計 |
74,934 |
△36.0 |
123,494 |
△14.9 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
鉄道車両事業(百万円) |
47,958 |
△5.0 |
輸送用機器・鉄構事業(百万円) |
13,855 |
△25.1 |
建設機械事業(百万円) |
20,185 |
△6.7 |
エンジニアリング事業(百万円) |
11,957 |
+36.8 |
その他(百万円) |
65 |
△15.0 |
合計(百万円) |
94,022 |
△5.5 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
東海旅客鉄道㈱ |
31,605 |
31.8 |
41,807 |
44.5 |
(2)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績について
(売上高)
エンジニアリング事業の売上が増加した一方で、鉄道車両事業、輸送用機器・鉄構事業、及び建設機械事業の減少により、前連結会計年度に比べ5,426百万円減少の94,022百万円となりました。
(営業利益)
エンジニアリング事業の増益の一方で、鉄道車両事業、輸送用機器・鉄構事業、及び建設機械事業における減益により、前連結会計年度に比べ2,810百万円減少の6,237百万円となりました。
(経常利益)
前連結会計年度に比べ2,983百万円減少の6,317百万円となりました。これは、営業利益の減少などによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前連結会計年度に比べ2,701百万円減少の5,226百万円となりました。これは、経常利益の減少などによるものです。
セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
・鉄道車両事業
JR東日本向けレール輸送車が減少したことなどにより、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ588百万円減少の4,418百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ4,467百万円減少の40,848百万円となりました。
・輸送用機器・鉄構事業
無人搬送装置、民生用バルクローリ、及び官公庁向けの道路橋などが減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,976百万円減少のセグメント損失1,264百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ1,868百万円減少の18,248百万円となりました。
・建設機械事業
既に撤退した発電機事業が減少したことなどにより、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ587百万円減少の3,392百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ1,624百万円減少の20,773百万円となりました。
・エンジニアリング事業
鉄道事業者向け機械設備や家庭紙メーカー向け製造設備が増加したことなどにより、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ276百万円増加の608百万円となりました。
セグメント別資産は、前連結会計年度に比べ1,096百万円減少の4,804百万円となりました。
財政状態について
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
キャッシュ・フローの状況の分析・検討について
キャッシュ・フローの状況の分析・検討については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主要製品は、鉄道車両や橋梁など受注生産品がその多くを占め、それぞれの受注単位も比較的大きいことから、各年度により製造ないし売上の製品構成が大きく変化します。このため、操業度の平準化や製品毎に異なる仕様への効率的な対応が恒常的な課題となります。この課題に対し、受注案件毎の工程・原価等の変動を適時適切に管理する体制を整備しております。
また、受注から納入まで時間を要する案件が多いため、原材料価格の変動が経営成績に大きく影響することから、原材料については、適時調達や歩留まりの向上を進めるなど需給環境の変化に対応するための取り組みを行い、コスト上昇の抑制に努め、リスク低減に努めてまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、健全な財務バランスを保ちつつ、事業活動に必要な資金の安定的な確保及び流動性の維持に努めております。主な資金使途としては、製造能力の維持・向上を目的とした設備投資、生産する製品の原材料費、人件費や外注費、各製品の競争力を強化するための新技術・新工法の導入に係る研究開発費等があります。それらの資金については、内部資金を充当するほか、親会社(東海旅客鉄道㈱)グループが運営するCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)に参画し、親会社との連携強化により当座必要となる資金をCMSから機動的に調達できる状態としているため、資金流動性については、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を確保しております。
重要な会計上の見積り及び仮定について
当社グループの連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っております。当社グループが行った重要な会計上の見積り及び使用した仮定は継続して見直しを行っており、その変更による影響は、見積り及び仮定の不確実性により、将来の期間において資産又は負債の帳簿価額に対して重要な修正を求める可能性があります。当社グループが行った重要な会計上の見積り及び使用した仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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