文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「インフラストラクチャー創造企業」として、健全経営のもと、最高品質のものづくりを通じて社会基盤の充実と発展に幅広く貢献していくことを企業理念としております。その実現に向けて、「お客様の満足」「会社の発展」「規範の遵守」に価値を置き、「責任感」「コミュニケーション」「人材育成」「自己変革」「挑戦」の5つを社員一人ひとりの行動指針として掲げて、事業を運営しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2021年3月に公表しました2021年度~2023年度中期経営計画「日車変革2030」において、2024年3月期に連結売上高営業利益率8.0%、ROIC(投下資本利益率)6.5%を達成することを目標としております。
(3)中長期的な経営戦略
2021年の中期経営計画「日車変革2030」策定にあたり、2030年までになりたい姿を表す長期ビジョン「現場に安全と信頼をスマートに提供し、お客様の課題を解決するビジネスパートナーになる」を策定しました。これは、今後加速する少子高齢化やカーボンニュートラルに対する意識の高まりなど外部環境の大きな変化を踏まえ、製品の需要変動に極力左右されない収益構造への転換が不可欠であるとの認識に立ったものです。
この長期ビジョンを踏まえ、中期経営計画「日車変革2030」では重点的に取り組む事項を3本柱として掲げております。
①「収益力(利益を稼ぎ出す力)の徹底強化」
②「成長のための事業基盤改革」
③「ビジネスモデル変革の実現」
加えて、中長期的な企業価値の向上に向け、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題にも適切に対応すべく、取締役会においてサステナビリティ基本方針を策定しました。また、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、長期的な視点で重要課題を特定した上で、その解決に向けた取り組みを推進しています。
(4)経営環境及び対処すべき課題
(鉄道車両事業)
新型コロナウイルス感染症の影響長期化による更新需要の縮小など、今後も厳しい受注環境が継続すると見込まれます。
このような環境下において、新幹線電車をはじめ、特急型車両、通勤型車両、事業用車両等、幅広い車種に対応できる強みを生かしつつ、新ブランドN-QUALISや状態監視技術等を活用した技術開発による差別化と生産プロセスの改善等によるコスト低減に努め、競争力の強化を継続して進めていきます。
(輸送用機器・鉄構事業)
輸送用機器は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化による内外経済の不透明感からくる設備投資の抑制などにより厳しい受注環境にあります。このような環境下において、主力の高圧ガスタンクローリや大型陸上車両(キャリヤ)を中心に、市場ニーズを捉えた新製品の投入や新技術の導入に向けた技術開発を進めるとともに、設計の標準化等によるコスト低減を進め、競争力の強化と新規顧客の開拓に努めていきます。
鉄構は、新設橋梁は引き続き一定量の発注量があるものと予測されますが、厳しい受注環境が継続するものと思われます。一方、高速道路の大規模更新・大規模修繕の発注量が増加傾向にあるなど老朽化対策による補修・保全事業の重要性が一層高まっています。このような環境を踏まえ、コスト低減を進めるほか、新設橋梁は引き続き技術提案能力の強化に努め、受注量を確保するとともに、補修・保全事業では、東海道新幹線の大規模改修工事における橋梁補修の工事実績を通じて蓄積したノウハウを活かして道路橋の補修・保全工事の受注拡大に努めていきます。
以上の取組みを通じて、輸送用機器・鉄構事業の損失改善に努めていきます。
(建設機械事業)
国内外の市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に伴う景気への下振れリスクにより、需要の不透明感が増しています。このような環境下において、杭打機をはじめとする建設機械の製造・開発ノウハウを生かし、各地域のニーズに合った柔軟な対応を進めるとともに、自動化・省力化などを実現することにより、競争力の強化に努めていきます。
(エンジニアリング事業)
鉄道事業者向け機械設備、穀物乾燥調製貯蔵施設及び製紙機械は社会基盤として不可欠な設備であり、今後も一定の需要が継続すると見込まれます。これらの設備には安全性向上、省力化に加え、高齢化や労働力不足を補う省人化や保守性の向上が求められており、市場ニーズにきめ細かく対応する提案を進めることにより、収益確保に努めていきます。
加えて、2021年度より、親会社から2017年11月に借り入れた長期借入金の返済が始まりました。引き続き、長期借入金を着実に縮減し、財務基盤の強化に努めていきます。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に伴い、当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性がありますが、各事業において懸念される受注環境への対策を行うとともに、企業活動の一時的な停止を防止するため、営業活動におけるオンライン会議の導入、操業の維持を図った上での時差出勤や在宅勤務の実施、勤務中のマスクの着用等の感染防止対策を徹底しております。
お知らせ