(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による停滞から、ワクチン接種や経済対策を進めた先進国を中心に社会経済活動が回復するなか、半導体不足や物流の混乱、エネルギー・素材価格の高騰も続き、さらには、ロシアによるウクライナ侵攻など、不透明な状況が続きました。
このような環境の中、当社グループにおきましても、全般的に需要の回復傾向が続き、加えて韓国で電動ウォーターポンプなど新製品の開発や販路拡大を進めました。また、素材価格や物流コストの上昇に対し生産性の改善やコスト削減などの競争力強化に努めました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が71,406百万円(前期比24.4%増)、営業利益は1,148百万円(前期は83百万円の損失)となりました。さらに、外貨建て資産・負債の評価益等の為替差益やデリバティブ評価益も加わったことなどにより、経常利益は1,954百万円(前期は420百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は660百万円(前期は315百万円の損失)となりました。
主要な品目分類別の販売状況を説明しますと、次のとおりであります。
駆動・伝達及び操縦装置部品部門は、海外補修用部品市場や欧州の新車用部品市場におけるユニバーサルジョイントに加えて、韓国・中国の新車用部品市場におけるバルブスプール、等速ジョイントの販売が増加したことなどにより、売上高は36,004百万円(前期比20.5%増)となりました。
エンジン部品部門は、韓国で電動ウォーターポンプの販路拡大を進めるなどしたほか、海外補修用部品市場におけるウォーターポンプの販売も増加したことなどにより、売上高は23,457百万円(同25.3%増)となりました。
ベアリング部門は、海外補修用部品市場におけるテンショナー・アイドラー・ベアリングの販売が増加したことなどにより、売上高は10,908百万円(同28.9%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
当社は、製造、販売体制を基礎とした拠点の所在地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「米国」、「韓国」、「中国」、「タイ」、「欧州」及び「豪州」の7つを報告セグメントとしております。各報告セグメントでは、自動車部品を製造、販売しております。
(a) 日本
海外における補修用部品市場での販売が増加したことに加えて、欧州の新車用部品市場におけるユニバーサルジョイントの輸出も増加したことなどの結果、売上高14,929百万円(前期比25.6%増)、セグメント利益458百万円(同60.9%増)となりました。
(b) 米国
連結子会社のGMB NORTH AMERICA INC.において取扱製品の拡大などにより販売が増加した一方で、輸入関税引き上げや物流コストの高騰などの費用が増加した結果、売上高7,025百万円(前期比14.9%増)、セグメント損失1,186百万円(前期は256百万円の損失)となりました。
(c) 韓国
連結子会社のGMB KOREA CORP.において電動ウォーターポンプの販売が増加したことに加えて、新車用部品市場におけるバルブスプールや等速ジョイントの販売が増加したことなどの結果、売上高41,595百万円(前期比24.6%増)、セグメント利益1,579百万円(前期は407百万円の損失)となりました。
(d) 中国
製造拠点である連結子会社3社及び調達・物流拠点の連結子会社1社において、新車用部品市場におけるバルブスプールや等速ジョイントの販売が増加するなどした結果、売上高5,007百万円(同39.7%増)、セグメント利益537百万円(同20.1%増)となりました。
(e) タイ
タイ国内向けの販売に加えて、日本向けの輸出取引も増加するなどした結果、売上高672百万円(同45.4%増)、セグメント利益94百万円(同235.1%増)となりました。
(f) 欧州
欧州の新車用部品市場においてウォーターポンプの販売が増加するなどしたことの一方で、新工場への移転を含む設備や人員にかかる費用などの増加の結果、売上高2,375百万円(同12.0%増)、セグメント損失76百万円(前期は58百万円の損失)となりました。
(g) 豪州
2019年に設立した新拠点において、前年後半より本格的な販売活動を開始した結果、売上高171百万円(前期比706.9%増)、セグメント損失45百万円(前期は64百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が2,069百万円(前期は496百万円の損失)、減価償却費が3,338百万円(前期比4.5%増)、短期・長期借入金、社債、リースを合わせた有利子負債残高の増加額が1,863百万円(同508.4%増)、政府補助金による収入が873百万円となるなどの一方で、棚卸資産の増加額が4,733百万円(同7,527.7%増)、設備投資による有形固定資産の取得による支出が3,525百万円(同36.8%増)となったことなどの結果、期末残高は1,325百万円減少して4,967百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は958百万円(前期は2,775百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,069百万円(前期は496百万円の損失)、減価償却費が3,338百万円(前期比4.5%増)となるなどの一方で、棚卸資産の増加額が4,733百万円(同7,527.7%増)となったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,466百万円(同32.6%増)となりました。これは主に、設備投資による有形固定資産の取得による支出が3,525百万円(同36.8%増)となるなどの一方で、政府補助金による収入が873百万円となったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,809百万円(同828.7%増)となりました。これは、短期・長期借入金、社債、リースを合わせた有利子負債残高の増加額が1,863百万円(同508.4%増)となったことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは自動車部品のメーカーとして、自動車部品事業以外に事業の種類がないため、投資情報の有用性の観点から拠点の所在地域別セグメントに代えて、事業の種類別に記載しております。
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。
事業の種類の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車部品事業(千円) |
47,450,443 |
124.9 |
合計(千円) |
47,450,443 |
124.9 |
(注)金額は製造原価によっております。
(b)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。
事業の種類の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車部品事業(千円) |
15,040,825 |
150.7 |
合計(千円) |
15,040,825 |
150.7 |
(注)金額は仕入価格によっております。
(c)受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。
事業の種類の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
自動車部品事業 |
72,376,323 |
112.2 |
7,811,814 |
76.4 |
合計 |
72,376,323 |
112.2 |
7,811,814 |
76.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントに代えて、製品の品目分類ごとに示すと、次のとおりであります。
品目分類の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
駆動・伝達及び操縦装置部品(千円) |
36,004,556 |
120.5 |
エンジン部品(千円) |
23,457,857 |
125.3 |
ベアリング(千円) |
10,908,573 |
128.9 |
その他(千円) |
1,035,862 |
304.7 |
合計(千円) |
71,406,849 |
124.4 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
現代トランシス株式会社 |
4,077,139 |
7.1 |
5,048,507 |
7.1 |
現代自動車株式会社 |
3,973,170 |
6.9 |
4,671,142 |
6.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本と なる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)および(追加情報)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による停滞から、ワクチン接種や経済対策を進めた先進国を中心に社会経済活動が回復するなか、半導体不足や物流の混乱、エネルギー・素材価格の高騰も続き、さらには、ロシアによるウクライナ侵攻など、不透明な状況が続きました。
このような環境の中、当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。
売上高
当連結会計年度の売上高は、71,406百万円と前連結会計年度に比べ13,997百万円の増加となりました。これは主に、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で落ち込んだ受注が全般的に回復したことや、電動ウォーターポンプなどの拡販などによるものであります。
営業利益
当連結会計年度の営業利益は1,148百万円となりました(前期は83百万円の営業損失)。これは主に売上の増加に加え、固定費の圧縮や生産体制の見直し等の効率化に努めたこと、韓国における退職給付債務の数理計算上の差異によって退職給付費用が減少したことなどによるものであります。
経常利益
当連結会計年度の経常利益は1,954百万円となりました(前期は420百万円の経常損失)。これは主に、営業利益の増加に加え、為替差益を624百万円、デリバティブ評価益を330百万円それぞれ計上したことなどによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は660百万円となりました(前期は315百万円の損失)。これは主に、経常利益の増加に加え、中国拠点の業績回復により特別利益として減損損失戻入益を151百万円計上したことなどによるものであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
また、今後の経営戦略等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(b)財政状態
資産の部
当連結会計年度末の資産合計は70,423百万円と前連結会計年度に比べ6,810百万円の増加となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が802百万円、棚卸資産が5,726百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
負債の部
当連結会計年度末の負債合計は40,643百万円と前連結会計年度に比べ4,626百万円の増加となりました。これは主に、短期借入金が4,553百万円増加したことなどによるものであります。
純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は29,779百万円と前連結会計年度に比べ2,183百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が560百万円、為替換算調整勘定が590百万円、非支配株主持分が1,023百万円、それぞれ増加したことなどによるものであります。
(c)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入および社債による調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は25,447百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,967百万円となっております。
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