有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難である場合、記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
・市場環境の変化
長期にわたる経済の低迷は、四輪車、二輪車ユーザーの購買力、購入意欲低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは世界各国で事業展開をしており、地理的要因、各種規制、政治不安、商習慣の違いなど様々な潜在的リスクが存在します。
また、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は現在も続いており、この影響がどのように推移するかは不透明です。今後、更なる感染の拡大などにより人の移動や経済活動に対する制約が長期化する場合、四輪車・二輪車の需要低下や当社の事業活動そのものの停滞するリスクが存在します。
これらのリスクに対応できない場合は売上高の減少や固定資産の減損損失の計上の可能性が生じる等当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
With/Afterコロナの時代の変化に対する取り組みとしては、想定される生産変動への適応力強化に向けて、生産の柔軟性向上や、サプライチェーンの最適化、強靭な品質体質の構築などを進めております。また、総費用の削減、リモートワークの活用、業務プロセスの徹底的な効率化等の施策を継続的に推進しております。
・自動車部品業界の構造変化、競争の激化
CASEに代表される技術革新、特に電動化の進展によって自動車の機構変化が進み、当社の既存商品の販売が低迷、縮小する可能性があります。当社は技術動向、市場の変化を注視し、年度毎の事業戦略のローリングによって環境変化に適応した事業展開を進めておりますが、想定を超える変化が起こる場合、売上高が減少する等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、CASEの変化は“自動車の所有”から“移動サービスの利用”という形に社会のニーズを変化させ、それを背景に新たなプレイヤーの参入や、系列の枠組みを越えたサプライチェーンの再編などが現実のものとなっています。当社はこのような変化を更なる飛躍のチャンスと捉え、小型・軽量・高精度を強みとするデファレンシャルアッセンブリィや減速機ギヤ、電動車向けの駆動ユニット開発など、商品の高付加価値化と事業の拡大に取り組んでおりますが、メガサプライヤーなどとの競争環境も激化しており、当社グループの商品開発、受注活動が順調に進展しない場合、売上高が減少する等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・特定の取引先等への依存
当社グループは、自動車産業や二輪車産業向けを中心として、世界の主要自動車メーカー・二輪車メーカーを取引先とし、顧客のニーズに対応したグローバル供給体制を構築する為、全世界の5地域14カ国35拠点で生産を行っております。
当社グループの業績は、今後の自動車産業や二輪車産業の動向によって影響を受ける可能性があります。全世界での新規取引先拡大の結果、2022年3月期は、連結売上高に占めるホンダグループへの売上高比率は約50%となりました。今後のホンダグループの事業戦略や購買政策等により影響を受ける可能性があります。
当社グループは、これまでに培ってきた高い技術力を活かして、ホンダグループ向け販売に加え、全地域で取引先拡大とグローバル生産体制の整備に取り組み、新規事業開拓を含め、今後も引き続き、変化に追従できる企業体質の構築に取り組んでまいります。
・特定の原材料等の外部業者への依存
当社グループは、多数の外部の取引先から原材料などを購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。安定したコストで継続的に供給を受けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因に影響を受けます。それらの要因の中には、取引先が継続的に原材料及び部品を確保できるかどうか、また、供給を受けるにあたって、当社グループがその他の需要者に対してどれだけ競争力があるか等が含まれます。とりわけ、主要な取引先を失うことは、当社グループの生産に影響を与え、コストを増加させる可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、発注数量の最適化や新たな取引先の開拓、従来のサプライチェーンの見直しなどにより、競争力のある、安定した価格で原材料等を調達するための取り組みを進めております。
・製品の欠陥への対応
当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、開発から量産に至るプロセスを通じて商品の品質を評価、保証する仕組みを構築することで、お客様の信頼を頂ける生産・供給体制を維持しております。
・新規事業展開に関するリスク
当社は、将来にわたる事業の継続的成長と、持続可能な社会の実現を目指し、既存事業の枠組みに捉われない新規事業の創出に取り組んでおります。これらの活動の中では、新たな技術の獲得や、事業開発のスピード向上のために、M&Aやスタートアップ企業への出資を伴う共同開発なども行っております。対象企業の事業活動が想定通りに推移しない場合、また対象企業に想定しなかった問題点が発見された場合などには、減損損失の発生などによって当社の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは事業拡大のため積極的な投資を行っていることから当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。当社グループは当該リスクを軽減するため、経営会議における投資可否の厳格な検証に加え、リスク顕在化の早期確認や対応を可能とするため、投資会社の事業計画の進捗を継続的にモニタリングしております。
・固定資産の減損に係るリスク
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下した場合には、減損損失が発生し当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
・為替変動
当社は、当社グループの海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。また、当社グループの海外拠点からも、それらの製品を複数の国へ輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績、また競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響いたします。当社は、日本国内において多くの製造活動を行っており、日本以外の通貨による売上があるため、当社の業績は、円が他の通貨に対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、為替予約契約等を締結しております。
・為替変動のリスクをヘッジしていることが引き起こす別のリスク
全ての為替リスクをヘッジすることは不可能ですが、当社グループは、為替変動リスクの影響を軽減するために、為替予約契約等を締結しております。あらゆるヘッジ契約と同様に、為替予約契約等の利用にはリスクが伴います。このようなヘッジ契約の利用は、為替の変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。当社グループが締結してきた、また、これからも締結するであろうヘッジ契約は、取引相手を大手の国際金融機関に限定することにより、取引相手の信用リスクにさらされるリスクを最小限に抑える努力をしております。しかしながら、そのような取引相手の債務不履行があれば、当社に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、必要に応じて経営会議において契約内容を慎重に検討しております。
・合弁事業
当社グループは、成長戦略の一環として、グローバル展開並びに新技術や新製品の開発強化のため、直接投資を行うほか外部企業との間で資本提携・業務提携等を推進しております。これらを成功に導くべく、戦略的提携・協業の実行段階においては、事前に事業戦略上の必要性、収益性や財務的な妥当性等を十分に検証し、経営戦略会議や取締役会での審議の上で意思決定を行っております。
これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、実行後においては、シナジー創出の進捗確認や定期的なフォローアップによる提携や協業の進捗をモニタリングし、想定通りの成果が得られないことが見込まれる場合には、早期に経営陣にも報告することにより、それらが当社グループの業績および財政状態に与える影響を最小限に留める対策を講じることができるように取り組んでおります。
・情報セキュリティ
当社グループは、事業活動の管理・支援、及び当社製品の製造・研究開発において、第三者に委託しているものも含め、様々な情報システムや情報ネットワークサービスを利用しております。これらの情報システム・ネットワークサービスの利用においては、当社グループが保有する機密情報を保護し、外部への流出を防止するために、規程・管理体制を整備し、ハード及びソフトの両面においてセキュリティ対策を実施しております。しかし、ハッカーやコンピュータウィルスなど外部からのサイバー攻撃、当社グループが利用する情報システムや情報ネットワークサービスにアクセスすることができる者による不正使用や管理上の不備、また、自然災害に伴うインフラ障害などによって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。その場合、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生など、当社グループの事業・財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・知的財産権保護
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、意図せず第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造した場合の売上の減少、あるいは当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合の損害賠償請求による損失の計上により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、当社製品に採用される技術は特許出願により確実に保護すること等により、他社による権利侵害が継続しないように対処しております。また技術開発、製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。
・法的手続きへの対応
当社グループは、訴訟、関連法規に基づく調査、手続きを受ける可能性があります。法的手続きで不利な判断がなされ、和解金及び罰金等の費用が発生する場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与えます。
当社グループは当該リスクを軽減するため、コンプライアンス教育の推進や、内部統制委員会の設置等により、法令が遵守される体制を維持しております。
・環境及びその他の規制
気候変動や環境汚染が地球規模で解決すべき課題となっています。世界の主要国において様々な規制の適用やカーボンニュートラル実現の目標が示され、当社グループにおいては、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指しています。そのためには、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大のための設備投資などが必要になるほか、管理コストの上昇も見込まれ、当社の事業活動に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらの取組みを競争力の源泉とすべく、排出CO2や廃棄物、水資源の使用料の削減に具体的目標値を定めて適切に管理するとともに、製造過程でCO2の排出が少ない商品や、利用時にCO2排出が少ない(またはそれに貢献できる)低炭素商品を追求しています。
・地震等の自然災害
当社グループは、地震等の自然災害の発生時に人的・物的被害を最小限に抑えるための管理体制の確立に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動に支障が生じたり、復旧に要する費用等の発生が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクに適切に対処し、発生時の影響を最小限にするため、災害対応能力の向上を目的とした初動対応訓練を定期的に行っております。また大規模自然災害や感染症等の発生を想定した事業継続計画を策定・運用しております。
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