当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種の進展に伴って持ち直しが見られつつも、半導体不足や物流の混乱などの影響により厳しい状況で推移しました。また、足元では、ウクライナ情勢の緊迫化に伴う原材料・エネルギー価格の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。
わが国経済においては、年明け以降に新型コロナウイルスの変異株による急速な感染拡大が見られるなど、再び、景気の下振れに対する懸念が強まっております。
当社グループの主要産業分野である自動車業界につきましては、国内新車販売台数(2021年度)はサプライチェーンの問題から、前年度と比べ低調に推移しました。また、世界新車販売台数(2021年暦年)はロックダウンと世界的な部品の供給不足が影響し、前年比で微増にとどまりました。世界最大の市場である中国の新車販売台数(2021年暦年)は、2018年から3年連続で減少しておりましたが、若干の増加に転じており、米国の新車販売台数(2021年暦年)につきましても、前年比で微増となりました。
非自動車分野における造船業界につきましては、荷動きの増加や海運市況の高騰などを受け、2021年暦年の世界の新造船受注量は前年から大きく増加に転じ、新造船竣工量も増加となりました。日本における2022年3月末時点の輸出船手持工事量につきましても、前年度末比で大幅に増加しました。
建設機械業界につきましては、2021年度の建設機械出荷額は、内需は、公共工事及び民間工事向けともに需要が堅調に推移し2年ぶりの増加となりました。また、外需は、北米、欧州、アジア、中近東などで一般建機の需要が好調に推移し、特に北米やインドネシアでは鉱山機械の需要も大きく増加し、3年ぶりの増加となりました。
さらに、当社関連の一般産業分野につきましては、前年度は2019年初頭からの米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により設備投資が抑制されておりましたが、2021年度においては、総じて回復基調が見られ、底堅く推移しました。
このような市場環境下、当連結会計年度における当社グループ全体の業績につきましては、売上高は前期比22.8%増収の104,024百万円(前連結会計年度は84,720百万円)となりました。
利益面につきましては、売上高増加による収益の増加、継続的な固定費・経費の削減、収益改善活動及び生産性の向上等に取り組み、営業利益は5,042百万円と前期比3,726百万円の増益(前連結会計年度は1,315百万円)となりました。また、目標とする経営指標の売上高営業利益率は4.8%(前連結会計年度は1.6%)となりました。
経常利益につきましては、4,836百万円と前期比3,962百万円の増益(前連結会計年度は874百万円)となりました。また、売上高経常利益率は4.6%(前連結会計年度は1.0%)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、1,897百万円と前期比1,793百万円の増益(前連結会計年度は104百万円)となりました。また、売上高当期純利益率は1.8%(前連結会計年度は0.1%)となりました。
1株当たり当期純利益は40円70銭(前連結会計年度は2円25銭)、目標とする経営指標であります自己資本利益率は3.3%(前連結会計年度は0.2%)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当社グループ全体での売上高は223百万円減少し、売上原価は224百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ0百万円増加しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、セグメントの売上高に含めております。
① 自動車用エンジン軸受
国内は、2021年度の新車販売台数が前年度比で減少し、海外でも、タイや欧州では、2021年暦年で、前年比減少となりました。しかし、中国、米国では増加となり、全体では新型コロナウイルス感染症の影響からの回復が見られて底堅く推移した結果、前年度に比べ微増となりました。
そのような状況下、当社グループの売上高は、各社がサプライチェーンの分断リスクに対応すべく在庫の積み上げ等を行ったことにより、国内、海外ともに増加となりました。
これらの結果、セグメント売上高は前期比23.8%増収の58,388百万円となり、セグメント利益は前期比38.5%増益の8,380百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は0百万円減少し、セグメント利益は0百万円減少しております。
② 自動車用エンジン以外軸受
自動車用エンジン軸受同様に、当社グループの売上高は国内、海外ともに増加し、セグメント売上高は前期比27.3%増収の20,399百万円、セグメント利益は前期比82.5%増益の3,338百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は111百万円減少し、セグメント利益は1百万円増加しております。
③ 非自動車用軸受
・船舶分野
船舶については、世界的な荷動きの増加に伴う新造船の需要増により好調に推移しております。当社グループにおいては、LNG船(液化天然ガス運搬用のタンカー)や他のタンカー船の低速ディーゼルエンジン用軸受に関して中国向けの新規開拓によるシェアアップが進んだことに加えて、足元では大型船の新規量産納入も始まったことにより、売上高は増収となりました。
・建設機械分野
停滞していた住宅建設、インフラ整備の作業再開や燃料価格の上昇に伴う石油・天然ガスの採掘機械などの需要の増加により、売上高は大幅な増収となりました。
・一般産業分野におけるエネルギー分野
エネルギー市場においては、再生可能エネルギーが注目されている中、水力発電機用軸受ユニットの受注が好調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症の影響によるプラント・設備関連の工期延長などにより、主に蒸気タービンやガスタービン用軸受の需要が減少し、売上高は減収となりました。
これらの結果、一般産業分野におけるエネルギー分野の需要が減少した一方、主に船舶分野における低速ディーゼルエンジン用軸受の旺盛な需要や新規開拓活動、建設機械分野の需要回復に伴う大幅な需要の増加により、セグメント売上高は前期比7.6%増収の11,076百万円となり、セグメント利益は前期比20.0%増益の1,750百万円となりました。
④ 自動車用軸受以外部品
・アルミダイカスト製品
タイにおける自動車産業については、通年ではロックダウンや半導体不足の影響が残ったものの、タイ政府の新型コロナウイルス感染症に関する経済支援策等もあり、総じて回復基調が継続しております。また、電動自動車用部品の生産を開始したタイの新工場(DMキャスティングテクノロジー(タイ)CO., LTD.)においては、電気自動車用部品新規納入の本格量産が通年で寄与し、売上高は大幅に増加しました。
利益面につきましては、新工場の建屋を含む償却や初期投資費用の増加等はあったものの、売上高増加に伴い、前期比で改善いたしました。
・曲げパイプ、ノックピン、NC切削品などの部品
新型コロナウイルス感染症の影響からの回復に伴い、国内外において受注が増加しました。
これらの結果、セグメント売上高は前期比34.5%増収の14,436百万円となり、セグメント損失は1,649百万円(前期はセグメント損失1,852百万円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は111百万円減少しております。
⑤ その他
新型コロナウイルス感染症の影響による需要の減速から回復し、工作機械・各種産業機械をはじめとした全般的な設備投資や建設機械等の需要の増加を受け、電気二重層キャパシタ用電極シート、金属系無潤滑軸受事業及びポンプ関連製品事業に不動産賃貸事業等を加えた当セグメントの売上高は前期比3.8%増収の2,122百万円となり、セグメント利益は前期比7.8%増益の343百万円となりました。
上記の経営成績を分析・検討しました結果、当社としては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題 <第1の柱:既存事業の磨き上げ>」に記載のとおり、対処してまいります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であるため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 財政状態
(総資産)
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比ベ7.1%増加し166,155百万円となりました。
これは主に無形固定資産が減少した一方、商品及び製品、仕掛品が増加したことによります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度末に比ベ6.4%増加し68,695百万円となりました。
これは主に利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことによります。
(自己資本比率)
当連結会計年度における自己資本比率は、前連結会計年度末と同様の36.3%となりました。
(1株当たり純資産額)
当連結会計年度における1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比ベ76円88銭増加し1,289円96銭となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ230百万円(1.2%)の増加となり18,868百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は13,207百万円となり、前連結会計年度に比べ3,109百万円(30.8%)の収入の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益4,379百万円、減価償却費9,240百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、税金等調整前当期純利益が2,933百万円増加したこと、棚卸資産の増減額が9,358百万円減少したこと、仕入債務の増減額が5,947百万円増加したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は8,072百万円となり、前連結会計年度に比べ1,028百万円(14.6%)の支出の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出6,453百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、有形固定資産の売却による収入が1,191百万円減少したことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において使用した資金は5,076百万円となり、前連結会計年度に比べ1,977百万円(63.8%)の支出の増加となりました。これは主に長期借入れによる収入6,640百万円の一方、長期借入金の返済による支出8,681百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出1,051百万円によります。
前連結会計年度との主な差額は、長期借入れによる収入が3,052百万円減少したこと、ファイナンス・リース債務の返済による支出が1,099百万円減少したことです。
② 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金及び設備投資資金です。
設備投資の概況については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりです。
③ 資金調達の状況
当社グループの運転資金及び設備投資資金は主として自己資金により充当し、必要に応じて借入れによる資金調達を実施することを基本方針としております。
当連結会計年度の当社グループの設備投資資金につきましては、内部資金により充当いたしました。
今後は、資本の効率化と財務の安全性確保を重視しつつ、有利子負債の圧縮を視野に入れながら、バランスのとれた財務運営を目指してまいります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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