事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクには、以下のようなものがあると考えております。また、それぞれのリスクについて、顕在化する可能性及び事業に与える影響度を踏まえてリスクの優先度(最優先・優先)を設定しております。

当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定めた上で、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会による情報収集を通じて、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行っております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

《最優先リスク》

(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるリスク(前年度:最優先リスク)

新型コロナウイルス感染症については、ワクチンの接種が進展する一方、年明け以降に変異株による急速な感染拡大が見られるなど、再び、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による景気の下振れ懸念が強まっております。

また、従業員が新型コロナウイルス感染症に感染し、従業員同士の接触等により社内での感染が拡大した場合や当社グループの仕入先及び協力会社の操業が感染拡大による影響を受けた場合は、当社グループにおいて工場の操業の停止を余儀なくされ、生産や出荷に支障をきたす可能性もあります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、感染拡大に対する世界各国・各機関による諸施策及び顧客の生産活動の動向を注視し、適切な操業体制の編成により費用の圧縮に努め利益の確保を図るとともに、各国政府の支援策を活用することを含め、企業持続のための諸施策を継続して実行しております。

また、当社グループ内における感染ケースの発生に伴う企業活動の停滞を防止するため、事業継続計画(BCP)の担当取締役を委員長とする新型コロナウイルス対策委員会を設置し、大同メタルグループにおける新型コロナウイルス感染症の感染対策に係る基本方針の策定及び各拠点に対する具体的な対応指示等を実施しております。

さらに、社内外への感染拡大の抑止と各拠点に勤務する従業員の健康と安全を確保するために、全従業員に対する検温記録の実施や、衛生管理の徹底、在宅勤務制度やリモート会議の積極的な活用、ワクチンの職域接種の推進等の継続的な感染予防対策も実施しております。

これらに加え、主要な仕入先及び協力会社において感染拡大が生じた場合に、当社グループにどのような影響が生じるか等について調査を行うとともに、当社グループへの資材等の供給に懸念が生じた際には速やかに情報を共有できるよう体制を整えております。

 

(2)原材料の需給環境の不安定化によるリスク(前年度:最優先リスク)

当社グループは、軸受の主材料である鋼材・非鉄(銅、アルミ、錫、樹脂原料他)等の原材料を購入しております。これらの価格が需給環境の変化で不安定に推移することにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等により原材料の安定的な調達に支障をきたした場合、適時の調達が困難となり、生産活動への支障により同様の影響を受ける可能性があります。

当社グループの対応策としては、従来にも増して、材料の使用量削減(歩留向上等)の強化を図り、また、原則二社発注化の推進と、調達先とのリスク回避に向けた連携強化等による安定的な調達に加え、コスト低減にも取り組んでまいります。併せて、原材料や燃料価格の高騰に対する顧客との価格改定の交渉を継続的に実施してまいります。

 

 

(3)サイバー攻撃、情報技術ネットワーク及びシステム障害によるリスク(前年度:最優先リスク)

当社グループにおいては、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃等によって、当社グループの業務活動の停止、データ喪失又は個人情報を含む当社グループ内外の情報流出等が発生する可能性があります。その場合、事業活動の停止による直接的な影響や当社グループの社会的信用が失墜すること等によって、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループの対応策としては、事業を推進するにあたって利用している情報システム及び付随する情報技術ネットワークシステムの安全管理のため、社外のデータセンターを利用しており、安全管理対策を適切に講じております。  

また、サイバー攻撃への対応として、有事の際に適切な対応を実現する情報管理体制を構築しており、従業員に対しては、標的型メールへの対応訓練の実施を含む情報セキュリティ教育を実施しております。 

 

《優先リスク》

(1)自然災害及び事故等によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループの国内における主力工場は、愛知県、岐阜県、千葉県、栃木県、福島県及び佐賀県に立地しており、懸念される大規模地震が発生した場合には、当社グループの生産活動に支障が生じ、業績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。また、当社グループ及び当社グループ取引先等の事業拠点が、地震・洪水等の自然災害の発生による電力・ガス等の供給停止等により操業が困難になった場合には、同様に影響を受ける可能性があります。

当社グループの工場については、日常的な建屋・設備等の点検・整備のほか、定期的に災害・事故等に備えた保全・改修等も実施しておりますが、災害・事故等により工場及びその周辺に物的・人的被害が及んだ場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、大規模地震の発生等を想定した事業継続計画(BCP)を策定し災害訓練を実施するとともに、事業の継続と復旧にかかる体制整備の強化を図っております。

なお、国内全ての生産工場において火災・風水害の保険に加入しているほか、主な生産工場(愛知県犬山市、岐阜県関市、岐阜県郡上市、千葉県習志野市・香取郡神崎町、栃木県矢板市及び佐賀県武雄市)においては、付保限度額まで地震保険に加入しております。

 

(2)製品の不具合によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、品質の信頼性の維持向上に努めておりますが、万が一製品の不具合に起因する事故、クレームやリコールが発生した場合、多額の製品補償費用等が発生するほか、顧客が他社発注に切り替えることにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、品質改善計画に基づく対応を継続するとともに、国内・海外PL保険(生産物賠償責任保険)を付保し、第三者に損害が生じた場合の補償費用等による影響を緩和しているほか、取引上の状況に応じリコール保険への加入を行う等、リスク回避に努めております。

 

(3)為替レートの変動によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループにおいては、海外連結子会社のビジネス拡大により、外貨建取引(米ドル、ユーロ等)が増加しておりますが、決算時の換算為替レートにより当社グループの業績及び財産評価が影響を受ける可能性があります。

また、当社グループが日本から輸出する場合における海外売上については、外貨建取引の比率自体は低いものの、同様の影響を受ける可能性があります。

当社は、当該リスクへの対応策として、為替リスクヘッジ取引の方針及びリスク管理手続等を定めた外国為替管理規程を策定した上で、所管部門が3ヶ月に1回以上、為替リスク管理状況を取締役会に報告し、為替方針対策会議においてリスク対策を検討しております。連結子会社については、当社における対応又は外国為替管理規程に準じて管理を行っております。

 

 

(4)グローバル事業展開に伴うリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、日本国内はもとより、北米、アジア、欧州(ロシアを含みます)をはじめ世界各地で事業を展開しており、これらの地域における政治・経済情勢の変動、紛争の発生、各種規制の変更、賃金制度、労使関係及び内部統制システムの運用不備等に起因する諸問題が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、関係会社管理規程に基づき連結子会社を含む関係会社の業務執行について適時適切な報告が受けられる体制を整備するとともに、内部統制システムの整備及び当該システムの適切な運用を通じて、コンプライアンスを含む関係会社における適切な社内体制の整備・運用状況につき定期的に検証、指導し、体制強化を進めております。

 

(5)特定の業界への依存によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループの売上高については自動車用エンジン軸受のセグメントが高い比率を占めているため、自動車の急激な需要変動や「2050年カーボンニュートラル」に伴うグリーン成長戦略を受けた内燃機関の需要減少等が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、自動車用エンジン軸受に対する高い依存状況を緩和すべく、再生可能エネルギー分野の特殊軸受や電動化自動車関連分野のダイカスト製品の市場拡大、航空機用軸受への参入、既存事業における自動車用エンジン以外軸受の更なる拡販推進、及び中期経営計画の第2の柱として新規事業の創出・育成を掲げ、新たな事業の柱を築く努力を続けております。

 

(6)価格競争によるリスク(前年度:優先リスク)

近年、特にグローバル競争の激化により、低価格化の傾向が強まっております。今後、こうした低価格化の傾向が更に進行することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、原価低減に取り組むとともに、技術的優位性の高い製品開発を推進することにより、その影響を最小限にとどめる努力をしております。

 

(7)新製品開発の不奏功によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、市場ニーズに対応した新製品や高性能な製品を継続的に市場投入できるように製品の研究開発を行っておりますが、研究開発活動の成果は不確実なものであり、たとえ多額の支出を行ったとしても必ずしも成果に結びつかない可能性があります。

当社グループは、当該リスクへの対応策として、設計・開発部門、製造・生産技術部門、販売部門のトライアングル体制を構築して積極的かつ的確な市場ニーズの把握に努め、開発すべき新製品の市場適合性や採算性を考慮した開発を行っております。

 

(8)環境規制によるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、事業活動を行う上で環境負荷の高い物質を使用する場合もありますが、最近は環境先進地域であるEUのみならず新興国でも環境意識が高まっており、生産活動はもとより製品自体に関しても、世界各国の様々な環境規制に対応する必要があります。

今後、環境規制が更に強化され、その対応のために相当のコスト増加要因が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループは、世界各国の様々な環境規制に対応するため、環境負荷物質を含まない新規材料の開発等の企業努力に加え、当該対応に要するコスト負担についても顧客と相互に協議することによって様々な環境規制に対応し、環境に対する責任を果たしております。

 

 

(9)知的財産権に関するリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、事業活動における優位性を確保するために商品力の強化に取り組んでおり、その一環として特許権、意匠権、商標権等の知的財産権の適正な取得による権利保護に努めておりますが、特定の地域及び国では法的制約があるために知的財産権による十分な権利保護を受けられない場合があります。そのため、第三者が当社グループの知的財産権を侵害した場合においても、効果的に当該侵害を防止できない可能性があります。

また、将来、当社グループが自らの知的財産権による権利保護を確保するために訴訟等を提起しなければならない事態が生じる可能性や、当社グループが他社の知的財産権を侵害し、第三者より訴訟等を提起される可能性もあります。その場合、多額の訴訟費用等を必要とする可能性があり、また、訴訟等の結果によっては、当社グループが損害賠償責任を負う可能性があります。

当社グループの対応策としては、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な知的財産権の取得及び保全に努めるとともに、当社グループにおける製品開発・販売にあたっては他社の知的財産権を侵害しないよう十分に事前調査を実施しております。

 

(10)設備投資、合弁事業・提携・買収等に関わるリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、広範囲にわたる事業領域において設備投資を実施しており、また、第三者との間で様々な合弁事業や戦略的提携・事業買収等を行っております。これらは、必ずしも確実に予期したとおりの成果が得られる保証があるわけではなく、事業環境の急変等により、予期せぬ状況変化や初期の事業計画からの大幅な乖離が生じた場合、固定資産の減損損失等が発生し、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

当社グループの対応策としては、設備投資、合弁事業・提携・買収等の実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について、外部専門家による評価結果等の慎重な検討や買収先事業計画の慎重な査定を行った上で取締役会における十分な討議を行う等、様々な観点から検討を行っております。

 

(11)気候変動に関するリスク(前年度:優先リスク)

当社グループは、気候変動に関する国内外の政策及び法規制、ステークホルダーからの要請等を踏まえて、SDGsで掲げる諸目標の達成に向けた取り組みを行っていますが、研究開発や設備投資等によるコスト増及び当該取り組みの遅れによる機会損失等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの対応策としては、世界各国で加速する自動車電動化とカーボンニュートラルに対する当社グループ全体としての対応力強化のため、2022年4月より専担組織として、電動化・カーボンニュートラル対応ユニットを新設しました。

併せて、風車ビジネスの拡販に向け、風車軸受に関する基礎技術開発(設計・評価)を専担する組織として、風車技術研究所を新設しました。当社グループは、気候変動に関する国内外の政策及び法規制や社会的な要請内容、市場環境、顧客ニーズを的確に把握するとともに、当社グループが永年培ったコア技術を最大限に活用することにより地球社会に貢献可能な技術・商品を早期に開発・提供できるよう努めております。

 

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