課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

経営の基本方針

当社は、ものづくりを通して社会に貢献することが最大の使命と認識し、お客様をはじめとする全てのステークホルダーに信頼される会社を目指し、事業活動を行ってまいります。

目標とする経営指標

当社は、その時々の環境に見合った利益を確保しつつグループの全体価値を高め、事業の巾を広げつつグローバル展開を進め、売上の拡大と適正利益の確保を目指します。新型コロナウイルスの影響やロシアのウクライナ侵攻、中国ゼロコロナ政策に伴うロックダウン等によりサプライチェーンが混乱して客先各社の稼働状況も不安定になるなど利益確保は厳しくなりますが、中長期的には8%以上の営業利益率確保を目標に事業を進めてまいります。

中長期的な会社の経営戦略

金属関連部品事業につきましては、既存客先へのさらなる浸透を基本戦略として展開してまいります。中でも、EVも含めた電動車等の環境対応車を中心とした製品分野への対応強化を重点課題として取り組むと共に、従来にも増して技術開発重視の「真にお客様に求められるものづくり」を目指し、問題解決型、提案型の事業展開を進めてまいります。

また、いがり産業を主体とする樹脂関連部品事業につきましては、当社の営業基盤を活用し、金属関連部品事業の既存客先や新規開拓先への提案を積極的に行い、樹脂部品単体のみならず樹脂+金属の複合部品の拡販を進め、新たな事業の柱として育ててまいります。

その他事業につきましては、既存品のグローバル市場での拡販を基本戦略として展開してまいります。ツールや新ラインナップ開発を重点課題とし、さらに次なる新商品の開発を進め、他社とのコラボレーションや産学協同事業も試行しつつ引き続き事業拡大を目指してまいります。

海外拠点につきましては、北米・アジア地域への直接販売をさらに強化するために、生産・供給体制の整備と財務体質の強化を図ってまいります。また、中国拠点である睦諾汽車部件(湖北)有限公司が稼働を開始しましたので、早期黒字化を目指して活動してまいります。その他の海外子会社につきましても、全拠点のネットワークを活用し、さらなる拡販と企業体質強化のための活動を推進し、企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループの主要取引先であります自動車業界は、前年度後半からの半導体等のボトルネック部品の供給不足の解消が進み、第1四半期は大きく生産を伸ばしました。しかしながら、第2四半期からはこれらボトルネック部品の供給基地である東南アジアで感染が拡大したことに伴い供給が滞り、第3四半期には部品不足に陥り失速しました。この問題は構造的なものであり、短期での根本的な解決が難しく、第4四半期も回復できずに低調に推移しました。このような状況の中、当社グループの売上は前年度が低迷したことと第1四半期の好調さもあり増収となりました。また利益面では、原材料費の高騰等経費増大もありましたが、改善効果と円安による為替差益もあり増益となりました。

このような経営環境下における当社グループの対処すべき課題は、以下の通りであります。

 

① 事業領域の拡大と見直し

新型コロナウイルスの蔓延を機に、脱炭素社会への取り組みが大きく加速しました。これに伴い自動車の電動化は一気にEV化へと方向付けられ、自動車各社はEV化に向けた野心的な目標を次々に掲げています。これらの目標が達成された場合、近い将来自動車を構成する部品の種類が大きく変わり、部品点数も大きく減少することになります。しかしながら、これらの目標を達成するためには多くの課題があるのも事実です。それらの課題をいつどのように解決できるかで先行きが大きく変わって来るため、EV化の進展を見通すことは非常に難しいと考えております。そこで当社では、超長期の幾つかのシナリオを用意し、事業領域を見直して行くことを考えています。そして、そのシナリオとEV化の進み具合を見比べながら、既存事業と新規事業の比率をコントロールしていく必要があります。EV化が最も進むシナリオでは新規事業の比率を高くし、進みが遅いシナリオでは既存事業の成長を維持して利益を最大化したいと考えます。いずれにしても新規事業の種蒔きをしっかりと行い、どのシナリオにも対応できるように、既存事業でも新規事業でも供給製品の販売先や供給可能な製品の巾を広げる取り組みが必要です。いがりグループの子会社化や睦諾汽車部件(湖北)有限公司の稼働もこうした課題に対する取り組みの一環ですが、基盤となる精密プレス部品と精密樹脂成形部品の領域において、また中国という一大消費地域へのアクセスにより、持てるリソースを最大限に活用しつつグループのシナジーを十二分に発揮して、当社グループの成長につなげてまいります。

中国拠点量産開始

2019年10月に中国湖北省に設立しました「睦諾汽車部件(湖北)有限公司」は工場稼働を開始し、2021年5月より売上を計上しております。中国のゼロコロナ政策等の影響もあり事業活動も思い通りにできている状態ではありませんが、安定稼働に向けて日々活動を進めています。現地のお客様からも引き合いや問い合わせをいただいており、EV化が進む中国市場において、これまでに無かった事業領域も開拓しながら中国拠点を早期に黒字化させてまいります。

安全と品質の取り組み強化

ここ数年来特に重点を置いて取り組んでまいりました製造業の基本であるS・Q(安全・品質)の強化につきましては、引き続きさらなるレベルアップを目指して改善を進めております。その結果、当社では今年度の品質社内目標をクリアすることができました。今後もさらに高い目標を設定し、目標達成に向けて全社一丸となって日々取り組んで参ります。また、当社はISO9001品質マネジメントシステムを取得しておりますが、サプライチェーン上位の自動車部品メーカーでは自動車産業向けに作られたIATF16949品質マネジメントシステムの認証取得が拡大しており、当社客先からも当該システムの認証取得を求められております。このようなことから、2022年度の認証取得を目標に当該システムの構築・運用を進めております。

④ 人材確保の取り組みと働き方の見直し

労働人口が減少して働き方も多様化する時代となり、人材の確保が難しくなっています。当社グループの課題を解決していくためには、現状の課題を引き継いで解決していく人材が必要となります。この対応として、人材確保のために中長期的な視野で既存人員も含めた人への投資を厚くし、働き方の見直しを行い、改善を進めていく必要があります。今後もグループ全体を通じて待遇改善と共に働き方の見直しを進め、生産性の向上を図ってまいります。

自動化・合理化投資の推進

人材確保の取り組みとの裏表になりますが、工数確保が難しくなる環境下においては、付加価値の低い機械的な単純作業、高度な判断を必要としない仕事等は出来る限り自動化・合理化を進めていく必要があります。当社グループはこれらの自動化・合理化投資を積極的に行い、人材が付加価値の高い仕事に従事できる環境づくりを進めてまいります。またこれからは、これらの取り組みを事務系や間接部門系にも広げてまいります。

 

新型コロナウイルスへの対応

発生から既に2年以上が経過している新型コロナウイルス感染症ですが、ワクチンが開発されて状況の改善が進む一方で世界各地では変異株が発生し、現在でも感染の拡大と収束を繰り返しています。現在のウイルスは、感染力は強いものの重症化し難い方向に変異しており、パンデミックからエンデミックへの移行が期待されます。しかしながら、変異の方向性がいつ変わるかも分からず、また現状ではまだまだパンデミックとしての対応が必要であることから、対応を継続していく必要があります。当社では感染者を出さないために、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置発令中の全拠点での出張自粛と都市部の営業支店を中心とした時差出勤やテレワークを実施しております。一方で、海外各国の感染状況が改善し、隔離措置が緩和されて来ている現状を受け、徐々に海外拠点への出張も再開していきたいと考えております。今後の感染状況や社会情勢の変化等により、どのように事業運営し行動しなければならないのかは変わりますが、どのような環境下でもその時々の状況に応じて適切に行動してまいります。

変動に合わせた稼働対応

新型コロナウイルス感染拡大により、様々な潜在的な弱点が顕在化しました。日本ではデジタル化や政治・行政の機能不全、危機管理対応で多くの課題が顕在化しました。産業界ではサプライチェーンの弱点が露わになり、半導体や様々な材料等の供給不足、他国生産品の物流停止による供給停止等で自動車生産が停滞する事態となっており、何が原因でいつ何のサプライチェーンが絶たれるかも分からない状態となっています。これも効率化のための分業と寡占が進んだ結果だと思われますが、一度供給不足になると挽回するだけの生産能力が無いのが現状であり、問題は長期化する傾向にあります。当社でもこれらの要因で受注が変動する可能性があり、変動には対応していく必要があります。昨年度に引き続き、今年度も客先の生産減の影響により短期間ではありますが一時帰休を実施して稼働を減らす対応を行いました。今後も日常的に同じ様な稼働調整をする必要が出て来るものと考えますが、これまでの経験を活かしてしっかりと対応してまいります。

⑧ カーボンニュートラルへの対応

我国の2050年カーボン排出量実質ゼロ目標を達成するため、当社でも事業活動におけるカーボンニュートラル実現のための活動を進めて行く必要があります。当社の主力事業では、大型プレス機や熱処理炉等の様々な設備を稼働させる必要があるため、カーボンニュートラル実現のハードルは非常に高いと認識しておりますが、他社事例や技術動向等を参考に実現のための長期ロードマップを策定して活動してまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得