業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 経営成績の状況

当連結会計年度の当社、連結子会社および持分法適用会社(以下「当社グループ」という。)をとりまく経済環境は、回復基調となったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大、半導体の供給不足、原材料価格の高騰など、厳しい状況が続きました。米国では、政府の景気刺激策や、個人消費の改善などにより、景気は持ち直しました。欧州やアジアでは、景気は持ち直しの動きがみられましたが、一部の国で経済活動の抑制など、厳しい状況となりました。日本では、景気は持ち直しの動きが続いているものの、雇用者数など一部で弱さがみられました。当第4四半期においては、ウクライナ情勢の悪化により、世界的に景気は減速しました。また、当面の景気はさらなる下振れが予想されます。

主な市場のうち、二輪車市場は前年度にくらべ、インドネシア、ブラジルでは大幅に回復、タイでは回復しましたが、インド、ベトナムでは縮小となりました。四輪車市場は前年度にくらべ、インドネシアでは大幅に回復、インドでは回復しましたが、日本、中国、欧州、タイ、ブラジル、米国では縮小となりました。

このような中で、当社グループは、お客様や社会の多様なニーズの変化に迅速かつ的確に対応するため、カーボンニュートラルおよび交通事故死者ゼロの実現をめざすとともに、企業体質の強化にも努めてまいりました。研究開発面では、安全・環境技術や商品の魅力向上、モビリティの変革にむけた先進技術開発に、外部とのオープンイノベーションも活用し、積極的に取り組みました。生産面では、生産体質の強化や、グローバルでの需要の変化に対応した生産配置と生産能力の適正化をさらに進めました。販売面では、新価値商品の積極的な投入や、グローバルでの商品の供給などにより、商品ラインアップの充実に取り組みました。

当連結会計年度の連結売上収益は、二輪事業や金融サービス事業における増加や為替換算による増加影響などにより、14兆5,526億円と前連結会計年度にくらべ10.5%の増収となりました。

営業利益は、売価およびコスト影響による利益減などはあったものの、販売影響による利益増や為替影響などにより、8,712億円と前連結会計年度にくらべ32.0%の増益となりました。税引前利益は、1兆701億円と前連結会計年度にくらべ17.1%の増益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、7,070億円と前連結会計年度にくらべ7.6%の増益となりました。

 

事業の種類別セグメントの状況

(二輪事業)

 

Hondaグループ販売台数

連結売上台数

 

 

 

 

2020年度
(千台)

2021年度
(千台)

増  減
(千台)

増減率
(%)

2020年度
(千台)

2021年度
(千台)

増  減
(千台)

増減率
(%)

二輪事業計

15,132

17,027

1,895

12.5

10,264

10,721

457

4.5

 

日 本

215

244

29

13.5

215

244

29

13.5

 

北 米

332

437

105

31.6

332

437

105

31.6

 

欧 州

234

317

83

35.5

234

317

83

35.5

 

アジア

13,319

14,589

1,270

9.5

8,451

8,283

△168

△2.0

 

その他

1,032

1,440

408

39.5

1,032

1,440

408

39.5

 

 

二輪事業の外部顧客への売上収益は、連結売上台数の増加などにより、2兆1,852億円と前連結会計年度にくらべ22.3%の増収となりました。営業利益は、諸経費の増加などはあったものの、販売影響による利益増や為替影響などにより、3,114億円と前連結会計年度にくらべ38.7%の増益となりました。

 

Hondaグループ販売台数は、当社および連結子会社、ならびに持分法適用会社の完成車(二輪車・ATV・Side-by-Side)販売台数です。一方、連結売上台数は、外部顧客への売上収益に対応する販売台数であり、当社および連結子会社の完成車販売台数です。

 

(四輪事業)

 

Hondaグループ販売台数

連結売上台数

 

 

 

 

2020年度
(千台)

2021年度
(千台)

増  減
(千台)

増減率
(%)

2020年度
(千台)

2021年度
(千台)

増  減
(千台)

増減率
(%)

四輪事業計

4,546

4,074

△472

△10.4

2,617

2,424

△193

△7.4

 

日 本

592

547

△45

△7.6

520

476

△44

△8.5

 

北 米

1,480

1,283

△197

△13.3

1,480

1,283

△197

△13.3

 

欧 州

101

100

△1

△1.0

101

100

△1

△1.0

 

アジア

2,247

2,022

△225

△10.0

390

443

53

13.6

 

その他

126

122

△4

△3.2

126

122

△4

△3.2

 

 

四輪事業の外部顧客への売上収益は、連結売上台数の減少などはあったものの、為替換算による増加影響などにより、9兆1,474億円と前連結会計年度にくらべ6.8%の増収となりました。営業利益は、売価およびコスト影響による利益減などはあったものの、諸経費の減少や為替影響などにより、2,362億円と前連結会計年度にくらべ161.7%の増益となりました。

 

Hondaグループ販売台数は、当社および連結子会社、ならびに持分法適用会社の完成車販売台数です。一方、連結売上台数は、外部顧客への売上収益に対応する販売台数であり、当社および連結子会社の完成車販売台数です。また、当社の日本の金融子会社が提供する残価設定型クレジット等が、IFRSにおいてオペレーティング・リースに該当する場合、当該金融サービスを活用して連結子会社を通して提供された四輪車は、四輪事業の外部顧客への売上収益に計上されないため、連結売上台数には含めていませんが、Hondaグループ販売台数には含めています。

 

(金融サービス事業)

金融サービス事業の外部顧客への売上収益は、リース車両売却売上の増加などにより、2兆8,206億円と前連結会計年度にくらべ13.1%の増収となりました。営業利益は、クレジット損失引当金の計上差などにより、3,330億円と前連結会計年度にくらべ6.7%の減益となりました。

 

(ライフクリエーション事業及びその他の事業)

 

Hondaグループ販売台数/連結売上台数

 

 

2020年度
(千台)

2021年度
(千台)

増  減
(千台)

増減率
(%)

ライフクリエーション

 

 

 

 

 事業計

5,623

6,200

577

10.3

 

日 本

336

353

17

5.1

 

北 米

2,617

2,738

121

4.6

 

欧 州

929

1,189

260

28.0

 

アジア

1,405

1,487

82

5.8

 

その他

336

433

97

28.9

 

 

ライフクリエーション事業及びその他の事業の外部顧客への売上収益は、ライフクリエーション事業の連結売上台数の増加などにより、3,992億円と前連結会計年度にくらべ24.1%の増収となりました。営業損失は、諸経費の増加などはあったものの、販売影響による利益増などにより、94億円と前連結会計年度にくらべ21億円の改善となりました。なお、ライフクリエーション事業及びその他の事業に含まれる航空機および航空機エンジンの営業損失は、337億円と前連結会計年度にくらべ14億円の悪化となりました。

 

Hondaグループ販売台数は、当社および連結子会社、ならびに持分法適用会社のパワープロダクツ販売台数です。一方、連結売上台数は、外部顧客への売上収益に対応する販売台数であり、当社および連結子会社のパワープロダクツ販売台数です。なお、当社は、パワープロダクツを販売している持分法適用会社を有しないため、ライフクリエーション事業においては、Hondaグループ販売台数と連結売上台数に差異はありません。

 

 

所在地別セグメントの状況

(日本)

 売上収益は、二輪事業における増加などにより、4兆3,592億円と前連結会計年度にくらべ12.7%の増収となりました。営業利益は、諸経費の増加などはあったものの、販売影響による利益増や為替影響などにより、64億円と前連結会計年度にくらべ823億円の増益となりました。

 

(北米)

 売上収益は、金融サービス事業における増加や為替換算による増加影響などにより、8兆901億円と前連結会計年度にくらべ8.1%の増収となりました。営業利益は、売価およびコスト影響による利益減などはあったものの、販売影響による利益増や為替影響などにより、5,010億円と前連結会計年度にくらべ9.9%の増益となりました。

 

(欧州)

 売上収益は、二輪事業における増加や為替換算による増加影響などにより、7,012億円と前連結会計年度にくらべ2.8%の増収となりました。営業利益は、諸経費の減少などはあったものの、販売影響による利益減などにより、266億円と前連結会計年度にくらべ2.8%の減益となりました。

 

(アジア)

 売上収益は、四輪事業における増加や為替換算による増加影響などにより、4兆554億円と前連結会計年度にくらべ17.3%の増収となりました。営業利益は、販売影響による利益増や為替影響などにより、3,391億円と前連結会計年度にくらべ34.6%の増益となりました。

 

(その他の地域)

 売上収益は、二輪事業における増加などにより、5,931億円と前連結会計年度にくらべ36.5%の増収となりました。営業利益は、販売影響や売価およびコスト影響による利益増などにより、228億円と前連結会計年度にくらべ279億円の増益となりました。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3兆6,749億円と前連結会計年度末にくらべ9,169億円の増加となりました。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対する各キャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、1兆6,796億円となりました。この営業活動によるキャッシュ・インフローは、部品や原材料の支払いの増加などはあったものの、顧客からの現金回収の増加などにより、前連結会計年度にくらべ6,072億円の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、3,760億円となりました。この投資活動によるキャッシュ・アウトフローは、持分法で会計処理されている投資の取得による支出の減少やその他の金融資産の売却及び償還による収入の増加などにより、前連結会計年度にくらべ4,208億円の減少となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、6,157億円となりました。この財務活動によるキャッシュ・アウトフローは、資金調達による収入の減少や自己株式の取得などにより、前連結会計年度にくらべ3,317億円の増加となりました。

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

増減

台数(千台)

台数(千台)

台数(千台)

増減率(%)

二輪事業

10,089

10,153

64

0.6

四輪事業

2,656

2,522

△134

△5.1

ライフクリエーション事業

及びその他の事業

5,236

6,621

1,385

26.4

 

 (注) 1 生産台数は、当社および連結子会社の完成車の生産台数の合計です。

 2 二輪事業には二輪車、ATVおよびSide-by-Sideが含まれています。

 3 ライフクリエーション事業及びその他の事業にはパワープロダクツの生産台数を記載しています。

 

(受注実績)

見込生産のため、大口需要等の特別仕様のものを除いては、受注生産はしていません。

 

(販売実績)

仕向地別(外部顧客の所在地別)売上収益は、以下のとおりです。

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)
(百万円)

増  減
(百万円)

増 減 率
(%)

 

 

 

 

 

総  合  計

13,170,519

14,552,696

1,382,177

10.5

 

日 本

1,849,268

1,943,649

94,381

5.1

 

北 米

7,080,833

7,624,799

543,966

7.7

 

欧 州

511,795

611,889

100,094

19.6

 

アジア

3,250,125

3,711,460

461,335

14.2

 

その他

478,498

660,899

182,401

38.1

 

 

 

 

 

二輪事業計

1,787,283

2,185,253

397,970

22.3

 

日 本

88,129

105,023

16,894

19.2

 

北 米

197,185

230,780

33,595

17.0

 

欧 州

146,948

202,254

55,306

37.6

 

アジア

1,149,879

1,309,977

160,098

13.9

 

その他

205,142

337,219

132,077

64.4

 

 

 

 

 

四輪事業計

8,567,205

9,147,498

580,293

6.8

 

日 本

1,321,487

1,340,775

19,288

1.5

 

北 米

4,679,324

4,884,934

205,610

4.4

 

欧 州

290,366

319,366

29,000

10.0

 

アジア

2,037,519

2,321,721

284,202

13.9

 

その他

238,509

280,702

42,193

17.7

 

 

 

 

 

金融サービス事業計

2,494,294

2,820,667

326,373

13.1

 

日 本

380,384

418,383

37,999

10.0

 

北 米

2,070,569

2,356,978

286,409

13.8

 

欧 州

11,219

10,876

△343

△3.1

 

アジア

15,060

15,757

697

4.6

 

その他

17,062

18,673

1,611

9.4

ライフクリエーション事業

 

 

 

 

   及びその他の事業計

321,737

399,278

77,541

24.1

 

日 本

59,268

79,468

20,200

34.1

 

北 米

133,755

152,107

18,352

13.7

 

欧 州

63,262

79,393

16,131

25.5

 

アジア

47,667

64,005

16,338

34.3

 

その他

17,785

24,305

6,520

36.7

 

(注) 各事業の主要製品およびサービス、事業形態につきましては、連結財務諸表注記の「4 セグメント情報」を参照ください。

 

 

(2) 経営成績等の状況の分析

当社グループは、2050年に当社グループの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラル、全世界で当社グループの二輪、四輪が関与する交通事故死者ゼロをめざします。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照ください。
 これらの目標の達成に関連する電動化に向けた設備や施設の新設に係る投資や資産化される研究開発支出などが資本的支出全体に占める割合は現時点では重要性はないものの、将来に向けては、適切な支出規模の範囲内で電動化やソフトウェア領域へのリソースシフトをさらに進め、その割合を大幅に拡大させる見込みです。

 

当社グループが展開する事業は厳しい経済・社会環境下に置かれており、その収益性は様々な要因により左右されます。その中でも、当社グループは気候変動をはじめとした様々な社会課題の解決、リスクへの対処に積極的に取り組んでおり、認識している課題、リスク事象の詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「2 事業等のリスク」を参照ください。それらへの対処の過程、結果により販売台数の増減や追加費用などが生じ、将来の収益性に重要な影響を及ぼす可能性があると考えます。

 

以降の経営成績等の状況の分析は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与えた事象や要因を経営者の立場から分析し、説明したものです。

なお、この経営成績等の状況の分析に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月22日)現在において判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
 

 ① 経営成績の分析

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う当社グループの業績への影響

新型コロナウイルス感染症の拡大については、一部の国または地域における行動制限措置の実施などに伴い、従業員の出社規制およびサプライチェーンにおける部品の供給遅延などによる生産拠点の生産活動への影響のほか、販売店の営業休止、営業時間の短縮、点検・修理に関する業務の縮小などの影響が発生していますが、当社グループの業績への重要な影響は生じていません。

なお、「2 事業等のリスク 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響」をあわせて参照ください。

 

当社グループの業績

当連結会計年度の連結売上収益は、二輪事業や金融サービス事業における増加や為替換算による増加影響などにより、前連結会計年度にくらべ増収となりました。

営業利益は、売価およびコスト影響による利益減などはあったものの、販売影響による利益増や為替影響などにより、増益となりました。


二輪事業の概要

当連結会計年度の連結売上台数は、インドなどで販売が減少したものの、ブラジルや米国などで増加したことにより、1,072万1千台と前連結会計年度にくらべ4.5%の増加となりました。

 

四輪事業の概要

当連結会計年度の連結売上台数は、米国などで販売が減少したことにより、242万4千台と前連結会計年度にくらべ7.4%の減少となりました。

 

ライフクリエーション事業及びその他の事業の概要

当連結会計年度のライフクリエーション事業の連結売上台数は、全ての地域で販売が増加したことにより、620万台と前連結会計年度にくらべ10.3%の増加となりました。

 

(当連結会計年度の連結業績の概況)

売上収益

当連結会計年度の連結売上収益は、二輪事業や金融サービス事業における増加や為替換算による増加影響などにより、14兆5,526億円と前連結会計年度にくらべ1兆3,821億円、10.5%の増収となりました。また、前連結会計年度の為替レートで換算した場合、前連結会計年度にくらべ約6,717億円、約5.1%の増収と試算されます。

 

営業費用

営業費用は、13兆6,814億円と前連結会計年度にくらべ1兆1,711億円、9.4%の増加となりました。売上原価は、二輪事業や金融サービス事業における連結売上収益の増加に伴う費用の増加などにより、11兆5,679億円と前連結会計年度にくらべ1兆1,282億円、10.8%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、諸経費の減少などにより、1兆3,264億円と前連結会計年度にくらべ52億円、0.4%の減少となりました。研究開発費は、7,870億円と前連結会計年度にくらべ481億円、6.5%の増加となりました。

 

営業利益

営業利益は、売価およびコスト影響による利益減などはあったものの、販売影響による利益増や為替影響などにより、8,712億円と前連結会計年度にくらべ2,110億円、32.0%の増益となりました。なお、為替影響約1,689億円の増益要因を除くと、約421億円の増益と試算されます。

 

ここで記載されている変動要因の各項目については、当社が現在合理的であると判断する分類および分析方法に基づいています。なお、一部の分析項目において、当社および主要な連結子会社を対象に分析しています。「為替影響」については、海外連結子会社の財務諸表の円換算時に生じる「為替換算差」と外貨建取引から生じる「実質為替影響」について分析しています。「実質為替影響」については、米ドルなどの取引通貨の、対円および各通貨間における為替影響について分析しています。また、為替影響を除いた試算数値は、当社の連結財務諸表の金額とは異なっており、IFRSに基づくものではなく、IFRSで要求される開示に代わるものではありません。しかしながら、これらの為替影響を除いた試算数値は当社の業績をご理解頂くために有用な追加情報と考えています。
 

 

 

税引前利益

税引前利益は、1兆701億円と前連結会計年度にくらべ1,561億円、17.1%の増益となりました。営業利益の増加を除く要因は、以下のとおりです。
 持分法による投資利益は、前連結会計年度において一部の持分法で会計処理されている投資について、過去に認識した減損損失の戻入れを計上したことなどにより、702億円の減益要因となりました。
 金融収益及び金融費用は、受取利息の増加などにより、153億円の増益要因となりました。なお、詳細については、連結財務諸表注記の「22 金融収益及び金融費用」を参照ください。

 

法人所得税費用

法人所得税費用は、3,094億円と前連結会計年度にくらべ908億円、41.6%の増加となりました。また、当連結会計年度の平均実際負担税率は、前連結会計年度より5.0ポイント高い28.9%となりました。なお、詳細については、連結財務諸表注記の「23 法人所得税 (1) 法人所得税費用」を参照ください。

 

当期利益

当期利益は、7,607億円と前連結会計年度にくらべ652億円、9.4%の増益となりました。

 

親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、7,070億円と前連結会計年度にくらべ496億円、7.6%の増益となりました。

 

非支配持分に帰属する当期利益

非支配持分に帰属する当期利益は、536億円と前連結会計年度にくらべ156億円、41.1%の増益となりました。

 

 

(二輪事業)

連結売上台数は、その他の地域で増加したことなどにより、1,072万1千台と前連結会計年度にくらべ4.5%の増加となりました。二輪事業の外部顧客への売上収益は、連結売上台数の増加などにより、2兆1,852億円と前連結会計年度にくらべ3,979億円、22.3%の増収となりました。なお、販売価格の変動が売上収益に与える影響は軽微でした。また、前連結会計年度の為替レートで換算した場合、前連結会計年度にくらべ約3,012億円、約16.9%の増収と試算されます。

営業費用は、1兆8,737億円と前連結会計年度にくらべ3,110億円、19.9%の増加となりました。売上原価は、連結売上台数の増加などにより、1兆6,101億円と前連結会計年度にくらべ2,851億円、21.5%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、諸経費の増加などにより、1,944億円と前連結会計年度にくらべ230億円、13.4%の増加となりました。研究開発費は、691億円と前連結会計年度にくらべ28億円、4.3%の増加となりました。

営業利益は、諸経費の増加などはあったものの、販売影響による利益増や為替影響などにより、3,114億円と前連結会計年度にくらべ868億円、38.7%の増益となりました。

 

日本

日本の2021年度二輪車総需要(注)は、約42万台と前年度にくらべ約14%の増加となりました。

当連結会計年度の連結売上台数は、新型車「GB350」シリーズの投入効果や「Rebel250」の増加などにより、24万4千台と前連結会計年度にくらべ13.5%の増加となりました。

 

(注) 出典:JAMA(日本自動車工業会)

 

北米

主要市場である米国の2021年(暦年)二輪車・ATV総需要(注)は、約78万台とほぼ前年並みとなりました。

当連結会計年度の北米地域の連結売上台数は、主に米国において、「CRF110F」の増加などにより、43万7千台と前連結会計年度にくらべ31.6%の大幅な増加となりました。

 

(注) 出典:MIC(米国二輪車工業会)

            二輪車・ATVの合計であり、Side-by-Side(S×S)は含まない。

 

欧州

欧州地域の2021年(暦年)二輪車総需要(注)は、約108万台と前年にくらべ約8%の増加となりました。

当連結会計年度の連結売上台数は、「Vision」や「PCX」の増加などにより、31万7千台と前連結会計年度にくらべ35.5%の大幅な増加となりました。

 

(注) 英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スイス、ポルトガル、オランダ、ベルギー、オーストリアの10ヵ国の合計、当社調べ

 

アジア

最大市場のインドの2021年(暦年)二輪車総需要(注1)は、約1,445万台と前年にくらべ約2%の増加となりました。その他のアジア地域主要国の2021年(暦年)二輪車総需要(注2)は、インドネシアなどで増加したことにより、約1,989万台と前年にくらべ約16%の増加となりました。

連結売上台数は、2021年(暦年)では増加したものの、当連結会計年度においては、第4四半期にインドで「Activa」シリーズが減少したことなどにより、828万3千台と前連結会計年度にくらべ2.0%の減少となりました。

なお、持分法適用会社であるインドネシアのピー・ティ・アストラホンダモーターの販売台数は連結売上台数に含まれませんが、当連結会計年度の販売台数は、「BeAT」シリーズや「Ⅴariо」シリーズの増加などにより、約387万台と前連結会計年度にくらべ約44%の大幅な増加となりました。

 

(注) 1 当社調べ

   2 タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、パキスタン、中国の7ヵ国の合計、当社調べ

 

その他の地域

主要市場であるブラジルの2021年(暦年)二輪車総需要(注)は、約114万台と前年にくらべ約22%の大幅な増加となりました。

当連結会計年度の連結売上台数は、ブラジルにおける「CG160」シリーズや「Biz」シリーズの増加などにより、144万台と前連結会計年度にくらべ39.5%の大幅な増加となりました。

 

(注) 出典:ABRACICLO(ブラジル二輪車製造者協会)

 

 

(四輪事業)

連結売上台数は、北米地域で減少したことなどにより、242万4千台と前連結会計年度にくらべ7.4%の減少となりました。四輪事業の外部顧客への売上収益は、連結売上台数の減少などはあったものの、為替換算による増加影響などにより、9兆1,474億円と前連結会計年度にくらべ5,802億円、6.8%の増収となりました。なお、販売価格の変動が売上収益に与える影響は軽微でした。また、前連結会計年度の為替レートで換算した場合、前連結会計年度にくらべ1,127億円、約1.3%の増収と試算されます。セグメント間取引を含む四輪事業の売上収益は、9兆3,605億円と前連結会計年度にくらべ5,812億円、6.6%の増収となりました。

営業費用は、9兆1,243億円と前連結会計年度にくらべ4,352億円、5.0%の増加となりました。売上原価は、連結売上収益の増加に伴う費用の増加などにより、7兆4,474億円と前連結会計年度にくらべ4,746億円、6.8%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、諸経費の減少などにより、9,866億円と前連結会計年度にくらべ824億円、7.7%の減少となりました。研究開発費は、6,902億円と前連結会計年度にくらべ430億円、6.7%の増加となりました。

営業利益は、売価およびコスト影響による利益減などはあったものの、諸経費の減少や為替影響などにより、2,362億円と前連結会計年度にくらべ1,459億円、161.7%の増益となりました。
 

各カテゴリ別の販売台数構成比は概ね以下のとおりです。(小売販売台数ベース)

パッセンジャーカー(セダン・コンパクト等):前連結会計年度43%、当連結会計年度42%

ライトトラック(SUV・ミニバン等):前連結会計年度50%、当連結会計年度52%

軽自動車:前連結会計年度7%、当連結会計年度6%

 

四輪事業における主要な製品は以下のとおりです。

パッセンジャーカー(セダン・コンパクト等):

「ACCORD」 、「CITY」 、「CIVIC」 、「FIT(JAZZ)」

ライトトラック(SUV・ミニバン等):

「BREEZE」 、「CR-V」 、「FREED」 、「ODYSSEY」 、「PILOT」 、

「Acura RDX」 、「VEZEL(HR-V)」 、「XR-V」

軽自動車:

「N-BOX」

 

カテゴリ別の収益性を決定する要因はさまざまですが、販売価格は重要な要素の一つと考えています。上記カテゴリごとの販売価格については、各モデルによって異なるものの、全体的には、ライトトラックは比較的高く、軽自動車は比較的低い傾向があります。

車両の貢献利益も各モデルによって異なりますが、一般的にライトトラックは販売価格が高いことから貢献利益も高く、軽自動車は販売価格が低いことから貢献利益も低い傾向があります。例えば、当社グループの主要な販売地域である日本市場と米国市場における、当連結会計年度のカテゴリ別の貢献利益は、ライトトラックは全カテゴリ平均より約25%高く、パッセンジャーカーは約15%低く、軽自動車は約50%低いと試算されます。上記の貢献利益は売上収益から販売量に比例して発生すると考えられる材料費を控除した金額の台当たり金額と定義して算定したものです。

 

 

日本

日本の2021年度四輪車総需要(注1)は、約421万台と前年度にくらべ、約9%の減少となりました。

当連結会計年度の連結売上台数(注2)は、新型「VEZEL」の投入効果などはあったものの、半導体供給不足の影響などを受け、「FIT」が減少したことなどにより、47万6千台と前連結会計年度にくらべ8.5%の減少となりました。

当連結会計年度の日本での生産台数は、63万4千台と前連結会計年度にくらべ7.7%の減少となりました。

 

(注) 1 出典:JAMA(日本自動車工業会:登録車+軽自動車)

2 当社の日本の金融子会社が提供する残価設定型クレジット等が、IFRSにおいてオペレーティング・リースに該当する場合、当該金融サービスを活用して連結子会社を通して提供された四輪車は、四輪事業の外部顧客への売上収益に計上されないため、連結売上台数には含めていません。

 

北米

主要市場である米国の2021年(暦年)四輪車総需要(注)は、約1,507万台と前年にくらべ約3%の増加となりました。

当連結会計年度の北米地域での連結売上台数は、半導体供給不足の影響などを受け、「CRーV」や「CIVIC」が減少したことなどにより、128万3千台と前連結会計年度にくらべ13.3%の減少となりました。

当連結会計年度の北米地域での生産台数は、127万1千台と前連結会計年度にくらべ9.0%の減少となりました。

 

(注) 出典:Autodata

 

欧州

欧州地域の2021年(暦年)四輪車総需要(注)は、約1,177万台と前年にくらべ約2%の減少となりました。

当連結会計年度の連結売上台数は、「CIVIC」の減少などにより、10万台と前連結会計年度にくらべ1.0%の減少となりました。

当連結会計年度の生産台数は、英国工場での四輪車生産の終了などにより、3万1千台と前連結会計年度にくらべ、55.8%の減少となりました。

 

(注) 出典:ACEA(欧州自動車工業会)乗用車部門(EU27ヵ国、EFTA3ヵ国、英国)

 

 

アジア

アジア地域主要国の2021年(暦年)四輪車総需要(注1)は、インドやインドネシアなどで増加したことにより、約709万台と前年にくらべ約17%の増加となりました。

中国の2021年(暦年)四輪車総需要(注2)は、約2,627万台と前年にくらべ約4%の増加となりました。

当連結会計年度の連結売上台数の合計は、インドネシアにおける新型車「CITY」の投入効果や「BRIO」の増加などにより、44万3千台と前連結会計年度にくらべ13.6%の増加となりました。

なお、持分法適用会社である中国の東風本田汽車有限公司および広汽本田汽車有限公司の販売台数は連結売上台数に含まれませんが、当連結会計年度の販売台数は、半導体供給不足の影響などを受け、「CIVIC」や「CR-V」が減少したことなどにより、157万9千台と前連結会計年度にくらべ15.1%の減少となりました。

アジア地域の連結子会社の当連結会計年度の生産台数(注3)は、48万7千台と前連結会計年度にくらべ21.2%の大幅な増加となりました。

なお、中国の持分法適用会社である東風本田汽車有限公司および広汽本田汽車有限公司の当連結会計年度の生産台数は162万台と前連結会計年度にくらべ13.7%の減少となりました。

 

(注) 1 タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、台湾、インド、パキスタンの8ヵ国の合計、当社調べ

2 出典:中国汽車工業協会

3 タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、台湾、インド、パキスタンの7ヵ国の合計

 

その他の地域

主要市場であるブラジルの2021年(暦年)の四輪車総需要(注)は、約197万台と前年にくらべ約1%の増加となりました。

当連結会計年度の連結売上台数は、ブラジルでは増加したものの、一部の国で減少したことにより、12万2千台と前連結会計年度にくらべ3.2%の減少となりました。

当連結会計年度のブラジル工場での生産台数は、8万3千台と前連結会計年度にくらべ16.1%の増加となりました。

 

(注) 出典:ANFAVEA(ブラジル自動車製造業者協会:乗用車+軽商用車)

 

 

(金融サービス事業)

当社グループは、製品販売のサポートを主な目的として、日本・米国・カナダ・英国・ドイツ・ブラジル・タイにある金融子会社を通じて、顧客に対する金融サービス(小売金融、オペレーティング・リースおよびファイナンス・リース)および販売店に対する金融サービス(卸売金融)を提供しています。
 

金融サービスに係る債権およびオペレーティング・リース資産残高の合計は、10兆5,936億円と前連結会計年度末にくらべ2,591億円、2.5%の増加となりました。また、前連結会計年度末の為替レートで換算した場合、前連結会計年度末にくらべ約6,248億円、約6.0%の減少と試算されます。

金融サービス事業の外部顧客への売上収益は、リース車両売却売上の増加などにより、2兆8,206億円と前連結会計年度にくらべ3,263億円、13.1%の増収となりました。また、前連結会計年度の為替レートで換算した場合、前連結会計年度にくらべ約1,981億円、約7.9%の増収と試算されます。セグメント間取引を含む金融サービス事業の売上収益は、2兆8,233億円と前連結会計年度にくらべ3,165億円、12.6%の増収となりました。

営業費用は、2兆4,902億円と前連結会計年度にくらべ3,404億円、15.8%の増加となりました。売上原価は、リース車両売却売上の増加に伴う費用の増加などにより、2兆3,991億円と前連結会計年度にくらべ2,999億円、14.3%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、クレジット損失引当金の計上差などにより、911億円と前連結会計年度にくらべ405億円、80.2%の増加となりました。

営業利益は、クレジット損失引当金の計上差などにより、3,330億円と前連結会計年度にくらべ239億円、6.7%の減益となりました。

 

 

(ライフクリエーション事業及びその他の事業)

ライフクリエーション事業の連結売上台数は、全ての地域で増加したことなどにより、620万台と前連結会計年度にくらべ10.3%の増加となりました。ライフクリエーション事業及びその他の事業の外部顧客への売上収益は、ライフクリエーション事業の連結売上台数の増加などにより、3,992億円と前連結会計年度にくらべ775億円、24.1%の増収となりました。また、前連結会計年度の為替レートで換算した場合、前連結会計年度にくらべ約596億円、約18.5%の増収と試算されます。セグメント間取引を含むライフクリエーション事業及びその他の事業の売上収益は、4,217億円と前連結会計年度にくらべ799億円、23.4%の増収となりました。

営業費用は、4,312億円と前連結会計年度にくらべ777億円、22.0%の増加となりました。売上原価は、ライフクリエーション事業の連結売上台数の増加に伴う費用の増加などにより、3,494億円と前連結会計年度にくらべ619億円、21.6%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、諸経費の増加などにより542億円と前連結会計年度にくらべ135億円、33.5%の増加となりました。研究開発費は、276億円と前連結会計年度にくらべ22億円、8.7%の増加となりました。

営業損失は、諸経費の増加などはあったものの、販売影響による利益増などにより、94億円と前連結会計年度にくらべ21億円の改善となりました。なお、ライフクリエーション事業及びその他の事業に含まれる航空機および航空機エンジンの営業損失は、337億円と前連結会計年度にくらべ14億円の悪化となりました。

 

日本

当連結会計年度の連結売上台数は、発電機の減少などはあったものの、OEM向けエンジン(注)が増加したことなどにより、35万3千台と前連結会計年度にくらべ5.1%の増加となりました。

 

(注) 相手先ブランドで販売される商品に搭載されるエンジン

OEM:Original Equipment Manufacturer

 

北米

当連結会計年度の連結売上台数は、発電機の減少はあったものの、OEM向けエンジンや芝刈機が増加したことなどにより、273万8千台と前連結会計年度にくらべ4.6%の増加となりました。
 

欧州

当連結会計年度の連結売上台数は、発電機の減少はあったものの、OEM向けエンジンや芝刈機が増加したことなどにより、118万9千台と前連結会計年度にくらべ28.0%の大幅な増加となりました。

 

アジア

当連結会計年度の連結売上台数は、水ポンプの減少などはあったものの、OEM向けエンジンが増加したことなどにより、148万7千台と前連結会計年度にくらべ5.8%の増加となりました。

 

その他の地域

当連結会計年度の連結売上台数は、OEM向けエンジンや芝刈機が増加したことなどにより、43万3千台と前連結会計年度にくらべ28.9%の大幅な増加となりました。

 

 

 ② 特に重要な見積りを伴う会計方針について

特に重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態および経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。また、当社および連結子会社を取り巻く市場の動向や為替変動などの経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。

新型コロナウイルス感染症の拡大については、当社グループの業績への重要な影響は生じておらず、会計上の見積りに与える重要な影響はありません。新型コロナウイルス感染症の拡大により、市場の動向や経済情勢に与える影響が増大した場合には、事後的な結果との間に重要な乖離が生じる可能性があります。

次に挙げるものは、当社および連結子会社のすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。当社および連結子会社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記の「3 重要な会計方針」に記載されています。

連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。

 

(製品保証)

当社および連結子会社は、特定の期間、製品に保証を付与しているとともに、必要に応じて主務官庁への届出等に基づいて個別に無償の補修を行っています。製品保証は、製品の種類、販売地域の特性およびその他の要因に応じて異なります。

製品保証引当金には、保証書に基づく無償の補修費用、主務官庁への届出等に基づく個別の無償補修費用が含まれます。保証書に基づく無償の補修費用は、製品を販売した時点で認識しており、主務官庁への届出等に基づく新規の保証項目に関連する費用については、経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を認識しています。製品保証引当金は、過去の補修実績、過去の売上実績、予測発生台数および予測台当たり補修費用等を含む将来の見込みに基づいて見積り、計上しています。当社および連結子会社の製品の構成部品の一部は、部品供給会社によって製造され、部品取引基本契約書に基づき、当社および連結子会社に対し、保証されています。

当社は、見積りの変化が親会社の所有者に帰属する当期利益に重要な影響を及ぼす可能性があり、本質的に不確実な将来のクレームの頻度と金額を見積ることが必要となるため、製品保証引当金に関する見積りを、「特に重要な会計上の見積り」に該当すると考えています。

当社および連結子会社は、製品保証引当金が適切かどうかを常に確認しています。したがって、発生が見込まれる製品保証に関連する費用について、必要十分な金額を引当計上していると考えています。

実際の発生は、それらの見積りと異なることがあり、引当金の計上金額が大きく修正される可能性があります。

 

製品保証引当金の増減および売上収益は、以下のとおりです。

 

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)
(百万円)

製品保証引当金

 

 

期首残高

380,689

481,023

 繰入額(注)

272,076

118,378

 取崩額

△166,206

△172,754

 戻入額

△22,002

△36,882

 在外営業活動体の為替換算差額

16,466

29,436

 期末残高

481,023

419,201

売上収益

13,170,519

14,552,696

 

(注) 前連結会計年度および当連結会計年度における繰入額は、主に四輪事業における主務官庁への届出等に基

    づく無償の補修費用によるものです。

 

(クレジット損失)

当社の金融子会社は、製品の販売をサポートするために、顧客に対する金融サービス(小売金融、オペレーティング・リースならびにファイナンス・リース)および販売店に対する金融サービス(卸売金融)を提供しています。当社は、顧客に対する金融サービスのうち、小売金融およびファイナンス・リースに係る債権(以下「顧客に対する金融債権」という。)を金融サービスに係る債権に含めており、オペレーティング・リースをオペレーティング・リース資産として区分掲記しています。また、販売店に対する金融債権を金融サービスに係る債権に含めています。

クレジット損失は、金融サービスに係る債権に対して見積られる費用です。信用リスクの大部分は、顧客に対する金融債権に関して発生しており、一般的な経済動向によって影響を受けることがあります。失業率の上昇などの経済情勢悪化は貸倒れのリスクを高め、中古車価格の下落は、担保の回収による補填金額を減少させる可能性があります。当社の金融子会社は、信用リスクに影響を与えると考えられる審査基準のモニタリングおよび見直し、見積損失を考慮した契約金利の設定、損失を最小化する回収努力を通じ顧客に対する金融債権に係る信用リスクに対処しています。

また、当社の金融子会社はオペレーティング・リースの貸手として、オペレーティング・リースの借手の信用リスクにさらされています。オペレーティング・リースの一部は、リースの借手が債務不履行に陥った場合、リース期間満了前に終了することが見込まれます。通常、顧客の不払いによるリース資産の損失は、回収車両の処分によって実現します。オペレーティング・リースの信用リスクに影響を与える要因および信用リスクに対する管理方法は、顧客に対する金融債権と同様です。

販売店に対する金融債権に係る信用リスクは、販売店の財務体質、担保の価値、販売店の信用力に影響を与える可能性のある経済要因などにより影響を受けます。当社の金融子会社は、融資前に実施する販売店の財務体質の包括的な審査、支払実績と既存の融資に対する弁済能力の継続的なモニタリングなどを通じ、直面する信用リスクに対処しています。

 

当社の金融子会社は、金融サービスに係る債権の見積損失額をクレジット損失引当金として計上しています。当社の金融子会社は、少なくとも四半期に一度、これらの見積りを評価しています。

当社の金融子会社は、クレジット損失引当金について次の3つのステージからなる予想損失モデルにより測定しています。

ステージ1 当初認識以降に信用リスクが著しく増大していない金融資産に対する12ヵ月の予想信用損失

ステージ2 当初認識以降に信用リスクが著しく増大したが、信用減損はしていない金融資産に対する全期間の予想信用損失

ステージ3 信用減損金融資産に対する全期間の予想信用損失

全期間の予想信用損失は金融資産の予想存続期間にわたるすべての生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失であり、12ヵ月の予想信用損失は全期間の予想信用損失のうち報告日後12ヵ月以内に生じ得る債務不履行事象から生じる予想信用損失です。予想信用損失は契約上のキャッシュ・フローと回収が見込まれるキャッシュ・フローの差額を当初の実効金利で割引き、確率加重した見積りです。

信用リスクが著しく増大しているかの判定にあたり、顧客に対する金融債権については、個別的にも集合的にも評価しています。個別的な評価は延滞状況に基づいています。過去の実績では30日以上支払いを延滞した顧客に対する金融債権は貸倒れの可能性が高くなっているため、30日以上期日を超過している場合に信用リスクが著しく増大しているとみなしています。集合的な評価は当初認識した会計期間、担保の形態、契約期間、クレジットスコア等のリスク特性が共通するグループごとに当初認識時からの予想債務不履行率の相対的な変化に基づき行っています。販売店に対する金融債権については、信用リスクが著しく増大しているかの判定は販売店ごとに行われており、支払状況のほか、財政状態の変化や財務制限条項の順守状況等の要素を考慮しています。

金融サービスに係る債権に関する債務不履行の定義は、各金融子会社の内部リスク管理の実務によって定められています。米国に所在する当社の最も重要な金融子会社においては、60日の期日超過を債務不履行とみなしています。60日以上期日を超過している顧客に対する金融債権については、担保車両の差押えを含む回収活動を強化しており、債務不履行の顧客に対する金融債権を信用減損しているとみなしています。販売店に対する金融債権は販売店の重大な財政的困難、債務不履行や延滞等の契約違反、破産等、当初の契約条件に従ってすべての金額を回収できないという証拠が存在する場合に、信用減損しているとみなしています。

当社の米国の金融子会社は、顧客に対する金融債権のうち回収不能と見込まれる部分について、期日を120日超過した時点または担保車両を差し押さえた時点で直接償却しています。履行強制活動が行われる期間や方法は、様々な法的規制により制限されますが、未回収残高は通常、直接償却後も数年間は履行強制活動の対象となります。回収不能額の見積りには、履行強制活動による回収見込額が反映されています。販売店に対する金融債権は回収するという合理的な予想を有していない場合に直接償却しています。

当社の米国の金融子会社において、顧客に対する金融債権に係る予想信用損失の測定は、リスク特性が共通するグループごとに行われ、過去の実績、現在の状況、失業率、中古車価格、消費者の債務返済負担などの将来予測に基づく要素を反映しています。オペレーティング・リース資産の早期処分に伴う損失についても顧客に対する金融債権と類似の見積り技法を用いて集合的に見積っています。

当社は、基本的に不確実な要因に基づいて重要な判定を行わなければならないため、クレジット損失引当金およびオペレーティング・リース資産の減損損失に関する会計上の見積りが「特に重要な会計上の見積り」に該当すると考えています。当社の金融子会社は、クレジット損失引当金およびオペレーティング・リース資産の減損損失が適切かどうかを定期的に確認しています。これらの見積りは、報告期間の期末日時点で利用可能な情報に基づいていますが、実際に発生する損失は、前提条件の変化により、当初の見積りと異なることがあります。

引当金計算の影響度に関して、引当金計算における主な前提条件の1つの変化が、クレジット損失引当金の再測定による変動額および引当金残高にどのくらい影響を及ぼすかについては、仮に、当社の金融子会社の金融サービスに係る債権において、当連結会計年度の直接償却額が10%増加した場合、クレジット損失引当金の再測定による変動額およびクレジット損失引当金残高は、それぞれ約51億円、約39億円の増加となります。これらの影響度は、あくまでも試算ベースであり、当連結会計年度に関してのものです。

 

 

クレジット損失の増減に関する追加説明

当社の金融子会社における、金融サービスに係る債権に関するクレジット損失の引当金は、以下のとおりです。

前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)

 

小売金融
(百万円)

ファイナンス・リース
(百万円)

卸売金融
(百万円)

合計
(百万円)

クレジット損失引当金

 

 

 

 

期首残高

60,241

690

2,537

63,468

再測定

△4,778

142

△402

△5,038

直接償却

△20,733

△107

18

△20,822

在外営業活動体の為替換算差額

△444

88

114

△242

期末残高

34,286

813

2,267

37,366

金融サービスに係る債権期末残高

4,847,906

126,766

486,138

5,460,810

金融サービスに係る債権平均残高

4,547,545

123,547

501,943

5,173,035

直接償却/
金融サービスに係る債権平均残高

0.46%

0.09%

0.00%

0.40%

クレジット損失引当金/
金融サービスに係る債権期末残高

0.71%

0.64%

0.47%

0.68%

 

 

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

 

小売金融
(百万円)

ファイナンス・リース
(百万円)

卸売金融
(百万円)

合計
(百万円)

クレジット損失引当金

 

 

 

 

期首残高

34,286

813

2,267

37,366

再測定

10,263

△255

△726

9,282

直接償却

△12,256

△97

30

△12,323

在外営業活動体の為替換算差額

4,474

26

238

4,738

期末残高

36,767

487

1,809

39,063

金融サービスに係る債権期末残高

5,054,428

145,932

284,506

5,484,866

金融サービスに係る債権平均残高

4,964,846

134,316

319,583

5,418,744

直接償却/
金融サービスに係る債権平均残高

0.25%

0.07%

△0.01%

0.23%

クレジット損失引当金/
金融サービスに係る債権期末残高

0.73%

0.33%

0.64%

0.71%

 

 

当社の金融子会社における、顧客の不払いに伴う、オペレーティング・リースに係る損失の実績は、以下のとおりです。

 

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日) 
(百万円)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日) 
(百万円)

支払期日を過ぎたオペレーティング・リース料に係る
クレジット損失引当金の再測定

3,287

225

オペレーティング・リース資産の早期処分に伴う損失(戻入△)

△16,321

1,872

 

 

当連結会計年度における前連結会計年度との比較

当社の金融子会社における、当連結会計年度のクレジット損失引当金の再測定による変動額は、前連結会計年度にくらべ143億円増加しました。直接償却は、前連結会計年度にくらべ84億円、40.8%減少しました。

オペレーティング・リース資産の早期処分に伴う損失は、前連結会計年度にくらべ181億円増加しました。

クレジット損失引当金の再測定による変動額およびオペレーティング・リース資産の早期処分に伴う損失の増加は、北米地域の金融子会社において信用リスクが大幅に減少した前連結会計年度にくらべて、当連結会計年度においては比較的安定していたことによるものです。前連結会計年度においては、主に北米における政府の景気刺激策などによる経済情勢の改善に伴い、失業率などの将来予測が変動し、信用リスクが減少しました。

また、直接償却の減少は、北米における政府の景気刺激策の継続的な効果、比較的低い失業率、堅調な中古車価格などにより、貸倒実績率が減少したことなどによるものです。

 

 

(リース残価損失)

当社の北米地域の金融子会社は、オペレーティング・リース開始時において、将来の中古車価格の見積りに基づいて、リース車両の契約上の残存価額を設定しています。車両をリースしている顧客は、リース期間満了時において、そのリース車両を契約上の残存価額で買い取るか、もしくは販売店に返却する選択権を持っています(リース期間満了前にリース車両を買い取る場合は、契約上の未払残高で買い取ります)。リース車両を返却された販売店は、リース期間満了時に顧客から返却されたリース車両を契約上の残存価額で買い取るか、市場価格で買い取る選択権を持っています(リース期間満了前にリース車両を買い取る場合は、契約上の未払残高で買い取ります)。リース車両を返却された販売店がリース車両を買い取らなかった場合は、市場のオークションによってリース車両を売却します。当社の北米地域の金融子会社において、リース期間満了時におけるリース車両の市場価格が契約上の残存価額を下回る場合、返却されたリース車両の処分に伴い損失が発生するリスクがあります。

リース残存価額の見積りは以下の2つの重要な構成要素に基づき行っています。

① 予測リース車両返却率、すなわちリース期間満了時に、顧客から金融子会社に返却されると予測されるリース車両の割合

② リース期間満了時における予測市場価額

これらの見積りにあたっては、一般的な経済指標、新車および中古車の外部市場情報並びに過去の実績等のさまざまな要素も勘案しています。リース車両については、契約上の残存価額と見積残存価額のいずれか低い価額までリース期間にわたり均等償却をし、少なくとも四半期に一度、見積残存価額を見直しています。なお、見積残存価額の修正については、オペレーティング・リース資産の減価償却費として、残存リース期間にわたり均等償却しています。

当社の北米地域の金融子会社は、オペレーティング・リース資産の帳簿価額の回収可能性については、疑義を生じさせる事象の発生および状況変化がある場合、減損の判定を行っています。減損が発生していると考えられる場合、帳簿価額のうち回収可能価額を上回る金額を減損損失として認識します。

市場の変動に影響を受けやすいこと、本質的に不確定な将来の経済状況、リース車両の市場価格およびリース車両返却率についての仮定を要求されることから、当社は、当該リース残存価額および減損損失に関する会計上の見積りを、「特に重要な会計上の見積り」に該当すると考えています。当社および当社の金融子会社は、現在使用している仮定は妥当であると考えています。しかしながら、実際に発生するリース残存価額および減損損失は、前提条件の変化により、当初の見積りと異なることがあります。

当連結会計年度の当社の北米地域のオペレーティング・リースに関して、他の条件は一定とみなして、販売店で扱っているすべての車両の将来の中古車価格が現在の見積りよりも、それぞれ約1万円下落した場合、減価償却費は、残存リース期間において、約56億円の増加となります。また、当連結会計年度末の販売店で扱っているすべてのリース車両についての将来の返却率が現在の見積りより1%増加した場合、減価償却費は、残存リース期間において、約15億円の増加となります。これらの影響度は、あくまでも試算ベースであり、当連結会計年度に関してのものです。また、中古車価格が下落した場合、返却率が増加する可能性が高いため、影響度が変化する可能性があります。

 

(退職後給付)

当社および連結子会社は、各種退職給付および年金制度を有しており、ほぼすべての日本における従業員および一部の海外の従業員を対象としています。当社および連結子会社は、確定給付制度債務および確定給付費用を、割引率や昇給率などのさまざまな仮定に基づいて算出しています。割引率は、確定給付制度債務と概ね同じ支払期日を有し、支払見込給付と同じ通貨建ての優良社債の報告期間の期末日時点における市場利回りに基づいて決定しています。昇給率については、直近の見通しと実績を反映しています。当連結会計年度末の国内制度における割引率および昇給率は、それぞれ0.8%1.5%であり、海外制度における割引率および昇給率は、それぞれ2.8%4.0%2.0%3.6%です。

当社は、見積りの変化が当社および連結子会社の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があることから、確定給付制度債務および確定給付費用に関する会計上の見積りが「特に重要な会計上の見積り」に該当すると考えています。

当社および連結子会社は、現在使用している仮定は妥当であると考えています。しかしながら、仮定の変更は将来の確定給付費用、確定給付制度債務および制度への必要拠出額に影響を与える可能性があります。また、実際の結果は、当社および連結子会社の仮定と異なることがあり、当該差異は、発生時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。

割引率が変動した場合の確定給付制度債務に与える影響額については、連結財務諸表注記の「18 従業員給付 (1) 退職後給付 ④ 感応度分析」を参照ください。

 

(繰延税金資産)

繰延税金資産の認識にあたり、将来減算一時差異、繰越欠損金および繰越税額控除の一部又は全部が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しています。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予定される繰延税金負債の取崩し、予測される将来課税所得およびタックス・プランニングを考慮しています。

当社は、繰延税金資産に関する会計処理が、基本的に不確実な、将来課税所得や事業計画の評価や見積りを伴うため、「特に重要な会計上の見積り」に該当すると考えています。

当社および連結子会社は、過去の課税所得水準および繰延税金資産が控除可能な期間における将来課税所得の予測に基づき、前連結会計年度末および当連結会計年度末における繰延税金資産は、回収される可能性が高いものと考えていますが、当社および連結子会社を取り巻く市場の動向や為替変動などの経済情勢により、将来課税所得の予測の不確実性は増大します。

 

 ③ 流動性と資金の源泉

(資金需要、源泉、使途に関する概要)

当社および連結子会社は、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持および健全なバランスシートの維持を財務方針としています。当社および連結子会社は、主に二輪車、四輪車およびパワープロダクツの製造販売を行うとともに、製品の販売をサポートするために、顧客および販売店に対する金融サービスを提供しています。生産販売事業における主な運転資金需要は、製品を生産するために必要となる部品および原材料や完成品の在庫資金のほか、販売店向けの売掛金資金です。また設備投資資金需要のうち主なものは、新機種の投入に伴う投資や、生産設備の拡充、合理化および更新ならびに販売施設や研究開発施設の拡充のための必要資金です。また、当社および連結子会社は、「地球環境への負荷をなくすこと」、「尊い命を守る安全を達成すること」に徹底的に取り組んでいきます。具体的には、環境においては、2050年に当社および連結子会社の関わる全ての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルをめざします。また、安全においては、2050年に全世界で当社および連結子会社の二輪、四輪が関与する交通事故死者ゼロをめざします。これら「環境」と「安全」への取り組みに対しても資金が必要となります。

生産販売事業における必要資金については、主に営業活動から得られる資金、銀行借入金および社債の発行などによりまかなっております。なお、当社は、当連結会計年度において、「環境」と「安全」への取り組みに対する支出の一部を社債発行により調達するためのサステナブル・ファイナンス・フレームワークを設定し、資金使途をそのフレームワークに準じた環境事業に限定する米ドル建てグリーンボンドを、総額27.5億米ドル発行しました。これらを踏まえ、現在必要とされる資金水準を十分確保していると考えています。これら生産販売事業の資金調達に伴う当連結会計年度末の債務残高は8,368億円となっています。また、顧客および販売店に対する金融サービスでの必要資金については、主にミディアムタームノート、銀行借入金、金融債権の証券化、オペレーティング・リース資産の証券化、コマーシャルペーパーの発行および社債の発行などによりまかなっています。これら金融子会社の資金調達に伴う当連結会計年度末での債務残高は7兆2,699億円となっています。

当社および連結子会社の借入必要額に、重要な季節的変動はありません。

今後も必要資金と手元資金の状況を鑑みながら、必要に応じて資金調達を検討していきます。

 

(流動性)

当社および連結子会社の当連結会計年度末の現金及び現金同等物3兆6,749億円は、主に米ドル建てと円建てを中心としていますが、その他の外貨建てでも保有しています。

当社および連結子会社の当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、売上収益の約3.0ヵ月相当の水準となっており、当社および連結子会社の事業運営上、十分な流動性を確保していると考えています。

しかしながら、景気後退による市場の縮小や金融市場・為替市場の混乱などにより、流動性に一部支障をきたす場合も考えられます。このため、特に5,682億円の短期債務を負う金融子会社では、継続的に債務を借り換えしているコマーシャルペーパーについて、代替流動性として合計1兆2,261億円相当の契約信用供与枠(コミットメントライン)を保有しています。さらに、有価証券報告書提出日(2022年6月22日)現在、当社および連結子会社は世界的に有力な銀行と契約に基づかない信用供与限度額を十分に設定しています。

当社および連結子会社の当連結会計年度末の資金調達に係る債務は、主に米ドル建てを中心としていますが、円建てやその他の外貨建てでも保有しています。

資金調達に係る債務の追加情報については、連結財務諸表注記の「15 資金調達に係る債務」および「25 金融リスク管理」を参照ください。

また、当社および連結子会社が発行する短期および長期債券は、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、スタンダード・アンド・プアーズおよび格付投資情報センターなどから、2022年3月31日現在、以下の信用格付を受けています。

 

 

信用格付

短期格付

長期格付

ムーディーズ・インベスターズ・サービス

P-2

A3

スタンダード・アンド・プアーズ

A-2

A-

格付投資情報センター

a-1+

AA

 

 

 

 

なお、これらの信用格付は、当社および連結子会社が格付機関に提供する情報または格付機関が信頼できると考える他の情報に基づいて行われるとともに、当社および連結子会社の発行する特定の債券に係る信用リスクに対する評価に基づいています。各格付機関は当社および連結子会社の信用格付の評価において異なった基準を採用することがあり、かつ各格付機関が独自に評価を行っています。これらの信用格付はいつでも格付機関により改訂または取り消しされることがあります。また、これらの格付は債券の売買・保有を推奨するものではありません。

 

 ④ 簿外取引

(貸出コミットメント)

当社および連結子会社は、販売店に対する貸出コミットメント契約に基づき、貸付金の未実行残高を有しています。当連結会計年度末において、販売店への保証に対する割引前の将来最大支払額は、1,191億円です。これらの貸出コミットメント契約には、貸出先の信用状態等に関する審査を貸出の条件としているものが含まれているため、必ずしも貸出実行されるものではありません。

 

(従業員の債務に対する保証)

当社および連結子会社は、当連結会計年度末において、従業員のための銀行住宅ローン70億円を保証しています。従業員が債務不履行に陥った場合、当社および連結子会社は、保証を履行することを要求されます。債務不履行が生じた場合に、当社および連結子会社が負う支払義務の割引前の金額は、当連結会計年度末において、上記の金額です。2022年3月31日現在、従業員は予定された返済を行えると考えられるため、当該支払義務により見積られた損失はありません。

 

 ⑤ 契約上の債務

当連結会計年度末における契約上の債務は、以下のとおりです。

 

期間別支払金額(百万円)

合計

1年以内

1~3年

3~5年

それ以降

資金調達に係る債務

8,391,545

3,218,988

3,187,759

1,219,591

765,207

その他の金融負債

579,669

146,949

133,571

67,480

231,669

発注残高およびその他契約残高(注1)

60,527

51,175

8,955

397

確定給付制度への拠出(注2)

40,976

40,976

合計

9,072,717

3,458,088

3,330,285

1,287,468

996,876

 

  (注) 1 当社および連結子会社の発注残高は、設備投資に関するものです。

 2 2023年度以降の拠出額は未確定であるため、確定給付制度への拠出は、次連結会計年度に拠出するもののみ記載しています。

 

 ⑥ 市場リスクに関する定量および定性情報の開示

連結財務諸表注記の「25 金融リスク管理 (2) 市場リスク」を参照ください。

 

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