業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、79,536百万円(前連結会計年度末は74,536百万円)となり、5,000百万円増加いたしました。

流動資産の残高は、45,360百万円(前連結会計年度末は40,323百万円)となり、5,037百万円増加いたしました。これは原材料及び貯蔵品の増加3,137百万円が主な要因であります。

固定資産の残高は、34,176百万円(前連結会計年度末は34,213百万円)となり、37百万円減少いたしました。これは無形固定資産の減少390百万円が主な要因であります。

流動負債の残高は、40,103百万円(前連結会計年度末は31,951百万円)となり、8,151百万円増加いたしました。これは短期借入金の増加6,598百万円が主な要因であります。

固定負債の残高は、12,056百万円(前連結会計年度末は9,673百万円)となり、2,382百万円増加いたしました。これは長期借入金の増加1,313百万円が主な要因であります。

純資産の残高は、27,377百万円(前連結会計年度末は32,911百万円)となり、5,533百万円減少いたしました。これは利益剰余金の減少8,504百万円、為替換算調整勘定の増加3,033百万円が主な要因であります。

自己資本比率は、34.4%となっております。

(2) 経営成績

当連結会計年度における国内外の経済は、新型コロナ感染拡大に伴う半導体を中心とした部品供給の停滞が長期化しており、自動車は継続的な減産となっていることに加え、2月下旬以降、急激に緊迫化したロシア・ウクライナ情勢等、国際情勢に重大な影響を及ぼす事象が発生し、先行きは不透明な状況となっております。

このような状況の中、当連結会計年度における売上高は、主に第2四半期までの北米及び中国での新型コロナ感染拡大影響からの復旧及び為替影響等により前期比4.1%増の86,504百万円となりましたが、第3四半期以降は、長期化する半導体供給不足の影響等により減収となり、厳しい状況が続いております。製品別の売上高は、安全部品のうち、ハンドルは前期比13.1%増の22,481百万円、エアバッグは前期比1.1%増の23,302百万円、樹脂部品は前期比1.0%増の39,378百万円、その他は前期比16.3%増の1,343百万円となり、全製品で一様に増加となりました。損益面では、第2四半期までの増収影響及び合理化効果はあるものの、半導体供給不足による直前での大幅減産により適切な生産体制の確保が困難であったことや、コンテナ不足による海上輸送費の高騰、市況変動に伴う原料の値上げに加え、第3四半期以降の減収影響等により営業損失は722百万円(前期は1,288百万円の営業利益)となりました。経常損失は289百万円(前期は1,669百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は日本での減損損失及び製品保証引当金繰入額の計上等により8,018百万円(前期は1,045百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 日本

国内の売上高は、新型コロナ感染拡大影響からの復旧はあるものの、半導体供給不足の影響等により27,985百万円と前期に比べ1,422百万円(△4.8%)の減収となりました。セグメント損失は、1,834百万円(前期は738百万円のセグメント損失)となりました。工場での休業実施、諸経費抑制等に努めたものの、減収影響に加え、半導体供給不足による直前での大幅減産により適切な生産体制の確保が困難であったことや、コンテナ不足による海上輸送費の高騰、市況変動に伴う樹脂原料の値上げ等により赤字となりました。

なお、市場環境悪化に伴い、収益性が低下したことから、固定資産の一部回収が困難と判断したため、減損損失4,165百万円ならびに製品保証引当金繰入額1,420百万円を特別損失に計上しております。

② 北米

北米の売上高は、第2四半期までの新型コロナ感染拡大影響からの復旧、新車の立ち上がり及び為替影響等により29,128百万円と前期に比べ1,715百万円(6.3%)の増収となりましたが、第3四半期以降は、長期化する半導体供給不足の影響等により減収となり、厳しい状況が続いております。セグメント損失は、1,436百万円(前期は788百万円のセグメント損失)となりました。第2四半期までの増収影響及びコロナ禍において実施してきた業務の効率化等はあるものの、半導体供給不足による直前での大幅減産により適切な生産体制の確保が困難であったことや、コンテナ不足による海上輸送費の高騰、市況変動に伴う樹脂原料の値上げが長期化していることに加え、第3四半期以降の減収影響、アメリカの賃金上昇に伴う労務費の増加等により赤字となりました。

 

③ 中国

中国の売上高は、第2四半期までの新型コロナ感染拡大影響からの復旧及び為替影響等により26,276百万円と前期に比べ2,586百万円(10.9%)の増収となりましたが、第3四半期以降は、長期化する半導体供給不足の影響等により減収となり、厳しい状況が続いております。セグメント利益は、第2四半期までの増収影響等はあったものの、第3四半期以降の減収影響、市況変動に伴う樹脂やマグネシウム原料の高騰に加え、賃金上昇に伴う労務費の増加等により2,322百万円と前期に比べ389百万円(△14.4%)の減益となりました。

④ 東南アジア

東南アジアの売上高は、新型コロナ感染拡大影響からの復旧等により3,114百万円と前期に比べ560百万円(21.9%)の増収となりました。セグメント利益は、増収影響及びコロナ禍において実施してきた業務の効率化等により327百万円と前期に比べ276百万円(546.8%)の増益となりました。

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、1,712百万円(16.2%)増加し、当連結会計年度末は12,310百万円となりました。

営業活動の結果獲得した資金は1,306百万円(前年同期は5,285百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費5,562百万円をはじめ、減損損失4,165百万円、売上債権の減少3,712百万円等の資金増加要因が、税金等調整前当期純損失5,875百万円、棚卸資産の増加4,032百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

投資活動の結果使用した資金は6,869百万円(前年同期は5,862百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,713百万円等によるものであります。

財務活動の結果獲得した資金は6,378百万円(前年同期は1,790百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純増額5,540百万円をはじめ、長期借入れによる収入4,355百万円等の資金増加要因が、長期借入金の返済による支出2,734百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

28,139

4.0

北米(百万円)

29,421

7.4

中国(百万円)

26,772

14.9

東南アジア(百万円)

3,523

37.0

合計(百万円)

87,856

6.4

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高(百万円)

前年同期比

(%)

日本

27,610

10.9

2,387

13.6

北米

28,607

4.8

2,407

17.8

中国

26,342

8.1

2,381

2.9

東南アジア

3,062

18.6

260

16.5

合計

85,623

0.4

7,436

10.6

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

27,985

4.8

北米(百万円)

29,128

6.3

中国(百万円)

26,276

10.9

東南アジア(百万円)

3,114

21.9

合計(百万円)

86,504

4.1

 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

     2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(百万円)

割合(%)

販売高

(百万円)

割合(%)

日産自動車㈱

14,079

17.0

13,412

15.5

東風汽車有限公司

9,045

10.9

11,511

13.3

Nissan North America, Inc.

9,235

11.1

10,326

11.9

     3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。重要な見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要については、事業伸長・生産性向上・合理化等、企業競争力強化を目的とした投資及び事業遂行に関連した投資が主な内容であります。今後の重要な資本的支出の予定及びその調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金及び2022年3月期に計上した製品保証引当金繰入額の資金を効率的・安定的に確保するため、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により充当しており、当社グループの資金調達については本社で一元管理しております。

また、国内金融機関において流動性の補完に対応可能な40億円のコミットメントライン契約を締結し緊急時の対応資金を確保しております。

(7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2021年3月期からの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画を定め「お客様品質評価No.1」「投下資本利益率 2.8%(2023年3月期)」「SDGsへの貢献」を経営目標として掲げ、活動を推進しております。

・お客様品質評価No.1

ゼロディフェクト達成に向け、体制強化や工程保証度強化施策の積極的な推進、監査・教育推進活動の強化等、大小さまざまな活動に取り組みました。今後もこれら施策の運用を継続・強化し、更なる品質改善に向け全社一丸となって取り組んでまいります。

・投下資本利益率 2.8%(2023年3月期)

1年目は新型コロナ対応の優先、2年目は半導体影響等による収益悪化を受け、目標値を2.8%へ修正いたしました。

2022年3月期の投下資本利益率は、半導体影響等による収益悪化を受け、経営目標は未達成だったものの、新機種生産設備の導入等による生産体制の強化やアロケーションの最適化、自動化や省人化等の生産効率や収益良化を見込んだ投資等をおこないました。

今後はさらに取り組みスピードを上げ、設備投資の適正化や生産アロケーションの最適化といった投下資本の適正化施策や材料費の合理化、労務費効率の向上、経費の適正化等の利益を獲得するための施策を包括的に実行し、2023年3月期での投下資本利益率2.8%という目標の達成を目指してまいります。加えて将来のビジネス拡大に向けて、固有技術をベースとした魅力ある商品を提案してまいります。

・SDGsへの貢献

専任組織を発足し、「CO2排出量ゼロ化」「社内廃材実質ゼロ化」を目標に定め、当社の創立100周年である2048年の達成を目指し活動しております。これまでの活動を通じ、「日本プラスト サスティナビリティガイドライン」を見直し、新たに「No.13 気候変動に具体的な対策を」、「No.15 陸のゆたかさを守ろう」の2項目を追加した全11のゴールに対し、質と速度をあげ推進してまいります。

2022年3月期の具体的な取り組みとしては、静岡県内の森林整備と森林環境教育の推進をはかることで、未来の子どもたちに豊かな森林環境を引き継ぐため、当社、特定非営利活動法人ホールアース研究所、静岡県の3者が 「しずおか未来の森サポーター」協定を締結しました。今後、生物多様性に富んだ学びの森をつくり、従業員・地域の方々に対する環境教育を通じての地域貢献を行ってまいります。

働きがいのある職場づくりの取り組みとしては、特に優良な健康経営を実践している企業として、経済産業省と日本健康会議が共同で選出する「健康経営優良法人 2022(大規模法人部門)」の認定を受けました。また、労働時間適正化の実現に向け、間接業務の改善を行い、労働生産性が向上したことにより、総労働時間を1,828時間にすることができました。加えて、障がい者の雇用拡大に向け、定期的なインターンシップの受け入れを行う等、グローバルで積極的な活動を行っております。

なお、当社は2020年6月に「くるみん」企業に認定され、2022年3月期は「プラチナくるみん」企業の認定を目指し、さまざまな活動を行ってまいりました。このたび、その活動が評価され、仕事と子育ての両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取り組みを行っている企業として、2022年6月に「プラチナくるみん」認定を受けました。

2023年3月期はサスティナビリティガイドラインに基づき設定した具体的な目標達成に向け、活動をさらに強化してまいります。

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