文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「常に誇り得る商品をつくり 顧客に奉仕し 社会に寄与する」を経営理念として、創業以来自動車部品業界での事業活動に取り組んでまいりました。今後もこの経営理念を旗印に、日本プラストグループの企業価値を高めることが、株主、顧客をはじめとする企業の利害関係者の期待に応えることであると考えております。企業環境はますます厳しく、またグローバル展開における的確な舵取りが従来にも増して不可欠であり、当社は常に「顧客に奉仕」・「社会に寄与」を念頭に経営に取り組んでまいります。
(2) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」という。)感染拡大に伴う半導体を中心とした部品供給の停滞が長期化していることに加え、2月下旬以降に急激に緊迫化したロシア・ウクライナ情勢等により、先行きは不透明な状況にあります。
このような環境下、当社グループの業績は、前期の新型コロナ感染拡大によるロックダウン等の影響からの復旧はあったものの、長引く半導体供給不足による減産、原材料市況や海上輸送費の高騰等の収益悪化要因を受け、苦しい状況となりました。依然としてその解消時期は見通せませんが、最新情報を可能な限り細かく入手し、得意先の生産変動にあわせた適切な生産対応をすることや諸経費の見直し、合理化等により、リスクの低減をはかっています。
2021年3月期からスタートした第5次中期経営計画の進捗は、1年目は新型コロナ対応の優先、2年目は半導体影響等による収益悪化を受けて苦戦しておりますが、最終年度となる2023年3月期は、下記の目標達成に向け、取り組みを加速してまいります。
① 第5次中期経営計画
当社が身を置く自動車業界では、大きな変革期を迎え、利益創造構造の変化と、同業種に加え異業種からの参入による競争の激化が進み、さらに受注環境は厳しさを増しております。一方で地球に目を向けると、行き過ぎた経済至上主義の代償として、地球温暖化による水害・風害・干ばつ・山林火災、地下資源の過剰汲み上げによる地盤沈下・資源の枯渇や、貧富差の拡大、飢餓、若年強制労働等、早急に取り組むべき課題が乱発しております。
そのような中、当社は従来より取り組んできた経営基盤の強化に加え、国連で採択された国際目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」を踏まえ、長期的な展望で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速し、「顧客からの揺るぎない信頼と企業価値の最大化」を目指し、2021年3月期からの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画を策定しました。
第5次中期経営計画 経営方針
a.基本方針
めまぐるしい環境変化に柔軟かつ迅速に対応しつつ、製品を通じて安全と快適を提供しているという自負の下に、全社員の意識を改革し、全てのお客様の信頼と満足を追求する。
b.経営目標
管理項目 |
目標値 |
お客様品質評価 |
No.1 |
投下資本利益率(ROIC) |
2.8%(2023年3月期)(注1) |
SDGsへの貢献 |
11のゴール(注2) |
(注)1.当初目標6.3%から新型コロナ及び半導体影響を受けて目標を修正いたしました。
2.当初目標9のゴールから目標を修正いたしました。
当社が取り組むSDGsのゴールは次のとおりであります。
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c.スローガン
INNOVATION~革新~
全従業員の価値観を“革新”
目指すべき企業価値基準を“革新”
文化・仕組みを“革新”
d.重点施策
・社会的責任の追及
人命を守る事業を扱う企業として、また樹脂事業に携わる企業として、SDGsの目標達成に向け当社が取り組むべき課題を積極的に検討し、2030年の社会貢献領域での事業化を目指します。
・品質保証体制の強化
ゼロディフェクト品質を追求し、お客様品質評価No.1を目指します。
・働きがいのある職場づくり
当社グループの持続的な成長を支える重要な基盤は人財です。国内外において労働人口が減少していく中、テレワークの推進とIT活用による働き方改革や、女性活躍・シニア活用・海外拠点との人材交流等、多様性があり、働きがいを持って仕事ができる職場づくりを目指します。
・企業競争力の向上
原価企画活動の強化や固有技術をベースとした魅力ある商品の提案、国内外の生産アロケーションの最適化への取り組み等、QCDD(品質、コスト、納期、設計・開発)全領域の徹底的な強化を目指します。
・稼ぐ力の強化
利益追求の考え方から投資効率の重視へ考え方をシフトし、キャッシュ・フローの効率化や投下資本の適正化に取り組みます。
② 主要な事業の経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
・安全部品部門
現在の自動車業界は、2極化の局面がさらに強まってきています。都市化が進む先進国ではぶつからない車、人が運転しない車、クリーンでエコな車が求められ、CASEに代表される次世代自動車の開発が加速度的に進んでいます。これに対し当社は、高度化する安全法規対応に加え、加速する“つながる車(コネクテッド)”化を受け、アラーム機能やセンシング機能を充実させ、外部からの情報を的確に”車から人へ”伝え、運転手の意思・判断を確実に”人から車へ”伝える情報伝達(HMI)デバイスとして、ハンドル、ドライバーエアバッグを中心に機能拡充をはかり、当社製品の必要性と重要性及び発展性を最大化した魅力ある商品を提案し続けます。
一方、市場拡大が期待されるアセアン・アフリカ諸国等の新興国では、インフラ上の問題から従来型自動車の需要が大半を占め、高度化よりも廉価化が求められています。これに対し共通化、シンプル化を追求し、安全・安心を確保しつつ、リーズナブルで受け入れられやすい部品(価格)を提案し、自動車市場拡大に寄与していきます。
・樹脂部品部門
自動車に対する要求は、単なる移動手段から、移動する居住空間へと大きく変化しています。ユーザーが求めるクオリティをいかに実現していくか、ニーズの変化をいち早くとらえタイムリーに提供していくか、更には市場のトレンドから次に来るニーズを予測し、新たなウェーブを作り出していくかを求められています。これに対し当社は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚に対し、人間が感じる”快適”を当社の独自技術で数値化し、保有するあらゆる技術(樹脂成型技術、マグネシウム鋳造・アルミニウム鋳造技術、塗装技術、加飾技術、組み立て技術等)により、これを具現化していきます。
また、両事業領域の融合により”安全で快適な居住空間”を提供し続けます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2021年3月期からの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画では、品質目標、利益確保の効率化指標として投下資本利益率(ROIC)、地球環境・社会に寄与するSDGsの取り組み推進を重点指標といたしました。第5次中期経営計画の具体的な経営目標については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
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