当社が優先的に対処すべき事業上及び経営上の課題は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
また、当社グループが今後取り組む事業内容をより明確に表現する意図から、翌連結会計年度より、おうちのトータルメンテナンス事業は「HomeworthTech事業」に、BPO事業は「ExtendTech事業」に、報告セグメントの名称を変更することといたしました。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「To worthful life」をスローガンに、独創的なリアルとデジタルのサービスで、暮らしの資財価値を最大化する「WorthTech(ワーステック)Company」として、「HomeworthTech事業」及び「ExtendTech事業」を行っております。Warranty・Finance・Operationとデジタルを組み合わせた独自のサービスソリューションによって、あらゆる製品・サービスの価値を最大化する仕組みを提供し、「価値あふれる暮らし」の実現を目指して企業活動を行っております。
(2)経営環境及び経営戦略
①企業構造及び主要サービス
当社グループは、当社及び子会社2社で構成され、「HomeworthTech事業」及び「ExtendTech事業」を通じて、Warranty・Finance・Operationとデジタルを組み合わせた、独自のサービスソリューションを提供しております。
②競争優位性
当社グループは、独創的な保証・金融サービスに代表される商品開発力及び保証提供に関する一連のオペレーション機能(修理受付・精算・情報管理等)、そして修理・メンテナンスを実施する全国ネットワークを保有した上で、保証申込等をオンラインで完結できるデジタルプラットフォーム、電子マネーの積立・管理・利用を一気通貫で行うことができるモバイルアプリ、AIチャットボットを活用したハイブリッドコンタクトセンターなど、保証サービス利用者の顧客体験価値を高めるデジタルプロダクト・業務支援システムを開発・提供できる点が競争優位性であると考えております。
③事業を行う市場の状況
HomeworthTech事業を取り巻く環境に目を向けると、国内の新設住宅着工戸数は年々減少のトレンドが予想されている一方、既存住宅マーケットに対する各住宅事業者の関心は年々高まっていると認識しており、ストック型ビジネスの確立を目的とした当社サービスの導入及び検討も加速度的に増加している状況です。また、国内住宅業界は他業界に比してDX化が遅れていることから、当社が近年力を入れているデジタルプロダクトがより重要な役割を果たし、当社グループのHomeworthTech事業をさらに加速させる要因になると捉えております。
一方でExtendTech事業を取り巻く環境に目を向けると、環境的・社会的持続性の確保という世界的な潮流、とりわけ再生可能エネルギー領域における国を挙げての継続的な施策が当社グループの事業を加速させる状況であると捉えております。また「良いモノを永く使う」という保証本来の理念・思想の浸透を通じて、今後さらに保証サービスの社会的ニーズが高まると確信しており、さらなる事業拡大の大きな好機であると捉えています。
④経営戦略
当社グループの中期目標及びそれに対する強化ポイントは以下のとおりです。
事業 |
目指す姿 |
強化ポイント |
全社共通 |
・既存住宅マーケットにおける修繕、リフォームの円滑な実施を促進する金融プラットフォームの確立 ・Warranty・Finance・Operationとデジタルを組み合わせたソリューションで、あらゆる製品・サービスのライフサイクルを支える基盤の確立 |
・デジタル人材の確保、育成 ・デジタルプロダクトの開発 ・既存事業の深耕と新規事業の拡大 ・金融サービスの強化 |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①当社グループの知名度の向上
当社グループが事業拡大するにあたって、人材の獲得と販売力の強化の双方の面でグループの知名度向上が重要になると考えております。そのために当連結会計年度より、知名度向上を目的とした企業ブランドの刷新に向けた検討を進めてまいりました。人材獲得の更なる加速や事業領域の拡大に向け、引続き知名度の向上を図ってまいります。
②保証ビジネスソリューションのデジタルアップデート
住宅・不動産領域はサービスや業務のデジタル化が最も遅れている業界のひとつと言われております。アナログ業務により事業者・ユーザーが抱える不満は、双方の問題点を把握している当社グループが解決すべき課題だと認識しております。当社グループは従前から積極的に保証ビジネスのデジタル化のためのプロダクトの開発・製品化を行っており、今後も競争力の強化を図っていく方針であります。
③HomeworthTech事業での事業者との関係性強化
当社グループは従前より住宅領域の取引事業者拡大に努めてまいりましたが、ネットワーク効果による参入障壁を強固にする観点から、一層のマーケットシェア拡大が必要だと認識しております。そのために、住宅事業者に対するサービス提供会社にとどまることなく、事業者の経営戦略を実現するためのパートナーとしての地位を確立できるよう、ニーズに合わせてサービスを有機的に組み合わせ・開発し、ワンストップで提供できる体制を拡充していく方針であります。
④ExtendTech事業での事業領域の拡大
祖業であるHomeworthTech事業の深化を図るとともに、ExtendTech事業領域の拡大を図っております。多様化する家電製品・デジタルガジェットの拡大や近年の持続可能な社会実現に向けての機運の高まりといった要因により、保証サービスのニーズは拡大しております。デジタルプロダクトの開発と業務の規格化を継続して実施することで、事業領域の拡大、顧客体験・業務生産性の向上を図り、マーケットシェアを拡大する方針であります。
⑤新規事業の創出及びM&A
既存の主な事業であるHomeworthTech事業及びExtendTech事業は、主力事業としてさらに強化を行っていく一方で、新たな収益の柱として、新規事業を創出する活動も必要だと認識しております。当社グループの既存事業との相乗効果が期待できる事業への進出を積極的に検討しているほか、ブロックチェーン開発やファイナンス機能の強化などM&Aや資本提携の実施も視野に、新規事業への積極的な挑戦を進めていく方針であります。
⑥人材の採用、育成
当社グループは、今後の企業規模拡大や事業発展のためには、優秀な人材を継続的に確保・育成することが重要な課題であると認識しております。そのため、新卒・中途採用活動や各種社内研修の実施等を積極的に行うとともに、働きやすい職場環境の整備に取り組むことで、優秀な人材の確保・育成に努めてまいります。
⑦ITシステムの強化
当社グループは、今後の企業規模拡大や事業環境の変化に対応するためにITシステムの充実を図ることが重要な
課題であると認識しております。また、当社グループの財務諸表を作成するにあたって、ITシステム等の信頼性を
担保することが重要な課題であると認識しております(注)。これらの課題に対処するため、基幹システム等のIT
基盤及び内部統制の整備・強化に取り組んでまいります。
(注)当社の主要なサービスである保証サービスに係る売上高、前受収益及び長期前受収益等の金額の計算においては、ITシステムのIT全般統制並びに各業務プロセスに対して整備・運用された内部統制に依拠した会計処理が実施されております。具体的には、顧客より一括にて収受した保証料を保証期間にわたって均等に期間配分し、当連結会計年度に対応する額を収益計上し、未経過分の保証料については前受収益又は長期前受収益に計上しております。保証サービスに係る個々の取引金額は、売上高全体に比べて極めて少額であり、契約件数は非常に多く、また、新商品の開発が継続的に行われていることから、商品の種類も増加傾向にあります。保証サービスに係る大量の契約情報は、当社が自ら設計、開発したITシステムによって一元的に管理されており、商品ごとに登録される商品マスタの情報と個々の契約ごとに入力される申込書の情報に基づいて、売上高、前受収益及び長期前受収益等金額が自動計算され、その計算結果が会計システムに連携されます。
⑧内部管理体制の強化
当社グループが今後も業容拡大を図り、企業価値を継続的に高めていくためには、業務の効率化やリスク管理のための内部管理体制のさらなる整備・強化が重要な課題であると認識しております。社内規程や業務マニュアルの整備、業務フローの周知徹底、定期的な社内研修の実施等を通じて業務効率の向上や法令遵守の徹底を図り、経営の公正性・透明性を確保するための体制強化に取り組んでまいります。
⑨社会課題解決とビジョンの実現を両立するサステナビリティ経営
当社グループは、独自のサービスソリューションを通じて、価値あふれる暮らしの実現と環境・社会課題の解決を両立した事業推進に努め、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
当社グループはこれまでもHomeworthTech事業及びExtendTech事業において、教育機関のICT環境の整備・再生可能エネルギー関連機器普及の推進・住宅業界のDX推進・中古住宅流通の活性化・「良いものを永く使う」文化の醸成・住宅市場におけるスクラップアンドビルドからの脱却、といった取り組みを推進してまいりました。
今後も、サステナビリティ経営を重要課題と位置づけ、環境・社会課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。
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