業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令等により、経済活動への影響が避けられない状況もありましたが、ワクチン接種の進展等の感染拡大防止策により、2022年3月に全てのまん延防止等重点措置が解除され、今後の経済正常化が期待されておりました。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再拡大への懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクの上昇、原材料価格の上昇等もあり、世界経済は先行き不透明な状況が続いており、国内景気や企業収益に与える影響についても依然として先行きの見通しが不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループにおきましても、ITセグメント(コンテンツマーケティング事業、メディア事業、AI事業)と語学セグメント(法人向け語学研修事業、留学斡旋事業、日本語教育事業)を中心に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大等の影響を一定程度受けておりますが、当社グループが持つ「IT」「語学」の各事業の強みを活かし、グローバル・インバウンド(日本国内における国際化)に向けた事業展開を推進してまいりました。なお、「英会話スクール事業」を、2021年10月1日に、NOVAホールディングス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:稲吉 正樹)に事業譲渡しております。また、海外介護人材事業に参入するため、2022年4月1日に全研ケア株式会社(当社の100%出資子会社)を新たに設立し、株式会社ヒノキヤレスコ(本社:東京都文京区、代表取締役社長:上村 耕一)より有料老人ホーム運営事業等を2022年7月1日に譲受ける事業譲受契約を2022年3月16日に締結しております。

この結果、当連結会計年度の売上高は7,705,619千円と前年同期と比べ1,489,041千円24.0%)の増収、営業利益は2,341,171千円と前年同期と比べ1,067,347千円83.8%)の増益、経常利益は2,349,708千円と前年同期と比べ1,029,694千円78.0%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は1,584,198千円と前年同期と比べ627,394千円65.6%)の増益となりました。なお、当連結会計年度の期首から、収益認識会計基準を適用しておりますが、業績全体に与える影響は軽微であります。

 

セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

a.ITセグメント

当セグメントにおきましては、主にWEB検索市場におけるマーケティング戦略を通じ、クライアントに対する集客支援を展開する「コンテンツマーケティング事業」を中心としております。

当該事業では、2022年6月期において400を超えるメディアを公開するとともに、1,300を超えるメディアを安定的に運用(平均継続期間37.9カ月)しております。当連結会計年度においては、主要なサービス提供先の一つである住宅業界において、ウッドショックの影響等による広告費削減により、新規メディアの受注減少や運用メディアの解約が増加しました。しかし、一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受け、展示会等で集客を行っておりましたBtoB(電気・機械等)の業種に対して、WEBを利用したマーケティング戦略の提案により、新たな顧客の獲得につながりました。この結果、「コンテンツマーケティング事業」の年間公開メディア数は前年に及ばなかったものの、BtoB(電気・機械等)の業種に係るメディアは既存のメディアと比較して規模が大きく売上高の増加に貢献したことにより、「コンテンツマーケティング事業」の売上高は3,669,337千円となりました。

また、当期においては、AI事業で子会社の株式会社サイシードが開発した新型コロナウイルスワクチン接種専用予約管理システムの販売が好調でした。当該システムでは、住民が、WEBブラウザ・LINE・電話(自動音声)といった様々な手段で接種予約を行うことができ、それぞれの接種予約は、自治体(事務局)側で一元管理が可能となっています。なお、オペレーターが住民から電話を受けて、代わりに接種予約することも可能です。また、住民からの問い合わせに自動で対応するAIチャットボットも標準で搭載しております。当該システムの提供は、2021年3月から開始しておりますが、この1年間でシステムを提供した実績のある自治体は200以上、職域接種においてシステムを提供した実績のある団体は100以上となり、当該予約管理システムに関して1,346,381千円の売上を計上しております。

 

その結果、ITセグメントの売上高は6,235,718千円と前年同期と比べ1,589,890千円34.2%)の増収、セグメント利益は2,568,639千円と前年同期と比べ925,832千円56.4%)の増益となりました。

 

b.語学セグメント

当セグメントが属する語学教育業界においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を引き続き大きく受けております。そこで、成長戦略の柱となる事業に経営資源を集中することを目的として、英会話スクール事業を2021年10月1日にNOVAホールディングス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:稲吉 正樹)に譲渡いたしました。また、当該事業譲渡に伴い、主に英会話スクール事業の教材を仕入れておりましたダイレクトイングリッシュ・ジャパン株式会社を、2021年12月31日に当社を吸収合併存続会社として吸収合併しております。

主力である、法人向け語学研修事業においては、対面型の法人向け語学研修事業からオンラインでの研修形態への切り替えや、「中学・高校向けオンライン英会話授業」の推進(学生が家庭においてもレッスン受講できる環境の整備等)を図ってまいりました。また、各国政府による外出制限や渡航制限措置の緩和などに伴い、留学生の出入国も徐々に増加してきております。運営する日本語学校においても、2022年4月以降、学生が増加しております。

その結果、語学セグメントの売上高は713,240千円と前年同期と比べ129,435千円15.4%)の減収、セグメント利益は30,787千円と前年同期と比べ69,372千円(前期はセグメント損失38,584千円)の増益となりました。

 

c.不動産セグメント

当社グループの不動産セグメントにおきましては、「全研プラザ」、「Zenken Plaza Ⅱ」の賃貸を中心に行っております。

その結果、不動産セグメントの売上高は461,045千円と前年同期と比べ13,341千円3.0%)の増収、セグメント利益は314,025千円と前年同期と比べ10,619千円3.5%)の増益となりました。

 

また、財政状態については次のとおりであります。

(資産)

流動資産の残高は6,802,281千円(前連結会計年度末比1,868,278千円の増加)となりました。これは主に、営業活動の結果により現金及び預金が1,882,003千円増加したことによるものであります。

固定資産の残高は8,485,795千円(前連結会計年度末比86,622千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産及び無形固定資産が103,902千円減少したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は、15,288,077千円(前連結会計年度末比1,781,656千円の増加)となりました。

 

(負債)

流動負債の残高は2,142,189千円(前連結会計年度末比475,548千円の増加)となりました。これは主に、未払法人税等が343,485千円増加したことによるものであります。

固定負債の残高は998,678千円(前連結会計年度末比161,774千円の減少)となりました。これは主に、約定弁済により長期借入金が148,488千円減少したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、3,140,867千円(前連結会計年度末比313,774千円の増加)となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、12,147,209千円(前連結会計年度末比1,467,882千円の増加)となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益を1,584,198千円計上したことにより、利益剰余金が1,463,674千円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、6,071,533千円と前年同期と比べ1,882,003千円44.9%)の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、2,080,745千円の資金の獲得(前年同期は1,510,472千円の獲得)となりました。これは主な要因として、税金等調整前当期純利益が2,342,176千円と前年同期と比べ1,054,838千円81.9%)等の増加があった一方で、減少要因として、前年同期は新型コロナウイルスワクチン接種専用予約管理システム提供に伴う取引の開始等の影響もあり前受金の増加額が291,604千円と大きかったものの、当期は当該要因がなくなり60,871千円の減少となり、前年同期と比べ前受金の増減額が352,476千円減少したことや、法人税等の支払額が445,425千円と前年同期と比べ257,840千円137.5%)増加したこと等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、12,080千円の資金の支出(前年同期は50,362千円の支出)となりました。これは主な要因として、前年同期は、語学事業の事務所等移動に伴う敷金の回収による収入28,859千円や、不動産セグメントにおける当社が所有するオフィスビル「全研プラザ」の賃貸に伴う空調設備の更新等による有形固定資産の取得による支出56,940千円等がありましたが、当期は、主にパソコンやソフトウェア等の有形固定資産の取得による支出10,506千円無形固定資産の取得による支出9,131千円等、前年同期と比べて少なかったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、186,662千円の資金の支出(前年同期は496,128千円の獲得)となりました。これは主に、前年同期は新規上場に伴う新株式の発行等による株式の発行による収入738,083千円等がありましたが、当期は、前年同期のような収入はなく配当金の支払額118,170千円等があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ITセグメント

6,235,718

34.2

語学セグメント

713,240

△15.4

不動産セグメント

461,045

3.0

その他

295,614

5.4

合計

7,705,619

24.0

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

3.当連結会計年度において、ITセグメントにおいて販売高に著しい変動がありました。これは主に、新型コロナウイルスワクチン接種専用予約管理システムの販売が好調で、当該予約管理システムに関して1,346,381千円の売上を計上していることによるものであります。

4.当連結会計年度において、語学セグメントにおいて販売高に著しい変動がありました。これは主に、英会話スクール事業を2021年10月1日にNOVAホールディングス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:稲吉 正樹)に譲渡したことによるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績

(売上高・売上原価・売上総利益)

当連結会計年度の売上高は7,705,619千円(前年同期比24.0%増)となり、前連結会計年度に比べて1,489,041千円増加しました。主な増加要因は、ITセグメントで1,589,890千円増加した一方で、語学セグメントにおいて129,435千円減少したことによるものであります。セグメント別の売上高については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

売上原価は、2,738,055千円(前年同期比11.1%増)となりました。主な増加要因は、人件費や業務委託費等により増加しております。

以上の結果、売上総利益は4,967,563千円(前年同期比32.4%増)となりました。
 

(販売費及び一般管理費・営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,626,392千円(前年同期比6.0%増)となり、前連結会計年度に比べて147,552千円増加しました。主な増加要因は、研究開発費の増加、販売促進費の増加、人員の募集・採用にかかる費用の増加等によるものです。

以上の結果、営業利益は2,341,171千円(前年同期比83.8%増)となりました。セグメント別の利益については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

(営業外収益・営業外費用・経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、15,545千円(前年同期比76.6%減)となり、前連結会計年度に比べて50,843千円減少しました。主な減少要因は、雇用調整助成金等による助成金収入、貸倒引当金戻入額等の減少によるものです。

営業外費用は、7,008千円(前年同期比65.3%減)となり、前連結会計年度に比べて13,190千円減少しました。主な減少要因は、前連結会計年度においては、2021年6月16日に東京証券取引所マザーズ市場に上場する際の公募増資に伴う株式交付費8,920千円等が生じていたことによるものです。

以上の結果、経常利益は2,349,708千円(前年同期比78.0%増)となりました。

 

 

(特別利益・特別損失・親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度に特別利益は、発生しておりません。

特別損失は、7,532千円(前年同期比76.9%減)となり、前連結会計年度に比べて25,143千円減少しました。主な減少要因は、前連結会計年度においては、事業構造改善費用17,079千円等が生じていたことによるものです。

また、法人税等として757,978千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,584,198千円(前年同期比65.6%増)となりました。

 

b.財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。 

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

d. 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要の主なものは、人件費、業務委託費等であります。資金の流動性を安定的に確保することを目的とし、資金需要の額や使途に合わせて自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段の方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。

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