課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

私たちが描く未来とは、これから起こることをただ受け入れるだけの「すでにそこにある未来」ではなく、新たな出会いによって新しい価値が創造される「まだそこにない未来」であります。“新しい価値”を創ることができるのは“人”であり、人と人との出会いによって生み出されるクリエイティブに他なりません。

私たちは、IT事業と語学事業の提供を通じて、異なる文化や言語を持つたくさんの“人と人との出会いの場”を創出し、「そこにない未来を創る」ことを経営の「ビジョン」として掲げております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、既存事業のさらなる成長を目指しつつ、成長市場領域である人材領域、特に海外人材事業での事業開発に取り組み、新たな収益事業を創造することで、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。そのため、現時点で当社グループの重視する経営指標は、「売上高」「営業利益」の2指標であります。

 

(3) 経営環境、経営戦略等

① ITセグメント

ITセグメントが属するインターネット広告の市場規模について2021年におきましては、2兆7,052億円(前年比21.4%増)となり、マスコミ四媒体(「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」)の広告費(2兆4,538億円)を初めて上回りました。また、日本の総広告費におきましても6兆7,998億円(前年比10.4%増)となり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令により、大きな影響を受けたものの、「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)」による広告需要の後押しもあり、広告市場の成長につながりました(出所:株式会社電通「2021年 日本の広告費」)。なお、引き続き動画広告市場の拡大等などにより、インターネット広告市場は成長する見込みであります(出所:株式会社CARTA COMMUNICATIONS 株式会社D2C 株式会社電通 株式会社電通デジタル「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」)。

上記のように、市場全体において成長を示す一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再拡大への懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクの上昇、原材料価格の上昇等もあり、依然としてITセグメントが属するインターネット広告市場においても先行きは不透明な状況にあります。

 

ITセグメントの売上高の約6割を占めるコンテンツマーケティング事業において、この市場環境の下、主に「契約顧客数の拡大」「運用メディア当たり単価の向上」「運用メディア継続期間の長期化」の3つに注力し、事業を展開してまいります。

・契約顧客数の拡大

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受け、展示会等で集客を行っておりましたBtoB(電気・機械等)の業種に対して、WEBを利用したマーケティング戦略の提案により、新たな顧客の獲得につながりました。

この過程で蓄積した事例や実績を活用して、BtoBの取扱業種を増やし、新規市場を開拓することで、契約顧客数を拡大してまいります。

・運用メディア当たり単価の向上

高い集客効果のあるメディアを制作することにより、運用メディア当たり単価の向上を実現してまいります。

・運用メディア継続期間の長期化

当社は、2022年6月期において400を超えるメディアを公開するとともに、1,300を超えるメディアを安定的に運用(平均継続期間37.9カ月)しております。

今後、メディアが高い集客効果を維持することで運用メディア継続期間の更なる長期化を実現してまいります。

 

② 語学セグメント

語学セグメントの属する語学教育業界においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を引き続き大きく受けております。そこで、当社は、英会話スクール事業を2021年10月1日にNOVAホールディングス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:稲吉 正樹)に譲渡いたしました。また、当該事業譲渡に伴い、主に英会話スクール事業の教材を仕入れておりましたダイレクトイングリッシュ・ジャパン株式会社を、2021年12月31日に当社を吸収合併存続会社として吸収合併しております。

主力である、法人向け語学研修事業においては、対面型からオンラインでの研修形態への切り替えを図ってまいりました。また、各国政府による外出制限や渡航制限措置の緩和に伴い、留学生の出入国も徐々に増加してきております。運営する日本語学校においても、2022年4月以降、学生が増加しております。

 

③ 不動産セグメント

当社グループの不動産セグメントにおきましては、西新宿エリアに所在する自社ビル「全研プラザ」、「Zenken Plaza Ⅱ」の賃貸を中心に行っており、安定的な収益獲得に貢献しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループにおける経営戦略を実現するための対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

① 人材の確保と育成

当社グループが、事業を拡大、経営の強化を実現していく上で、人材の確保・育成は不可欠であります。広報活動による情報発信等を行い、優秀な人材が当社グループに対して魅力を感じるようにするとともに、人材が最大限に能力を発揮できるような働き方や職場環境作り等を通じ、中長期的な持続的成長を目指してまいります。

 

② 新規事業の展開

現在、ITと介護の分野で新規事業としての海外人材事業を展開しております。この事業では、生産年齢人口の減少による労働力不足を解消するために、海外の人材市場に着目しました。

・海外IT人材事業

当社は、2019年にインドIT都市ベンガルールにZENKEN INDIA LLPを設立し、現地にある工科大学と連携しました。そこでは、ジャパンキャリアセンターを大学内にオープンし(2021年にはオンラインキャリアセンターもオープン)、現地の学生と日本企業のマッチングを進めております。2022年6月までの実績としては、現地34校と提携し、人材登録者数は11,000人を超え、取引実績企業数112社、内定人員は202人となっております。今後は、IT人材不足に悩む全国各地の企業にも展開すると同時に、現地提携校と連携しながら人材登録者数を増大させ、事業を拡大していきます。

・海外介護人材事業

当社は、インドネシアの送出機関と独占契約を締結し、現地での日本語教育・介護教育体制を整えました。また、日本の受入先事業者が海外介護人材をどのように受入れるのか、フラグシップモデルとなる介護施設の運営を開始いたします。今後は、フラグシップ施設で受入先事業者が抱える課題へのソリューションを体現し、新たな顧客の開拓を図ることで、事業を拡大していきます。

今後も上記事業のみならず、継続して新規事業の開拓と育成が必要と考えております。そのためには社内リソースの活用だけではなく、外部リソースを活用することも重要と考えており、事業提携やM&A等のあらゆる可能性を検討してまいります。

 

③ 内部管理体制の強化

当社グループが今後更なる業容拡大、継続的成長をするためには、リスク管理体制の強化と、確固たる内部管理体制構築を通じた業務の標準化及び効率化の徹底が重要であると考えております。当社グループとして、役職員のコンプライアンス意識の向上、当社連結子会社並びに各事業の取引態様に即した内部管理体制を構築するなど、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

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