文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)運営方針及び中長期的な経営戦略
当社グループを取り巻く環境は、国際政治経済の枠組みの変化や地政学リスクの増大、気候変動をはじめとするサスティナビリティへの社会の意識・関心の高まり、日本の少子高齢化の進展に伴う国力の衰退懸念等、日々刻々と変化し、厳しさを増しております。かかる状況下、当社グループは、「小津グループ中期経営計画2021」を基礎として、更なる飛躍を実現するため、2021年6月から2024年5月までの3ヵ年に亘る中期経営計画「中期経営計画2024(Leap into the Innovation)」を策定しております。
「中期経営計画2024(Leap into the Innovation)の骨子
1.小津グループが中長期的に目指す事業像
製造商社機能の高度化、新規事業の創出、事業ポートフォリオ変革により、「価値創造企業」への飛躍を目指します。
2.「中期経営計画2024(Leap into the Innovation)」の基本方針
「紙と不織布」の技術力を基盤に、製造機能を拡充した商社として収益性の更なる向上を達成します。
3.基本戦略は以下の4項目です。
(1)製造基盤の強化
株式会社ディプロの設備の拡充、高機能設備の導入を進め、生産能力・生産性の向上に取り組んでまいります。
除染材の製造基盤の拡張にも取り組んでまいります。
小津産業株式会社内に新設した「生産・開発本部」をヘッドクォーターとしてグループ全体の生産管理を行うとともに、開発力を強化し、新規事業の構築を推進してまいります。
また、海外での生産体制についても検討を進め、日本国内への製品持ち帰り拠点の設立を目指します。
「紙と不織布」の技術力を基盤に、製造商社機能を拡充し、収益性の更なる向上を達成します。この目的を補完するためのM&Aも視野に入れます。
(2)海外展開の拡充
アジア地域を中心とした海外事業の拡大を目指し、ASEAN拠点(シンガポール支店)、中国拠点(小津(上海)貿易有限公司)の人員増強と機能強化を推進してまいります。
主力のエレクトロニクス分野の一層の拡大に加え、コスメティック製品、過酢酸製剤や、新製品・新商品の海外販売の拡大に積極的に取り組んでまいります。
(3)新規事業の確立
米国エンビロテックケミカルサービス社および全国農業協同組合連合会とともに新会社を設立し販売強化を図っている過酢酸製剤や、東京大学との共同研究により提供を開始した除染布「五大力」といった新規事業の本格拡大を鋭意、推進してまいります。小津産業の「生産・開発本部」を軸にグループ開発推進体制を整備するとともに、産学連携や他社連携、M&Aによる、次世代新規事業の開拓に注力してまいります。
(4)グループ経営基盤の強化
グループマネジメントを推進し、グループ一体となった営業強化、生産管理、人財育成に取り組んでまいります。
地球環境への対応が求められるなか、環境対応商品の開発や、製造工程における環境対応の強化に努めてまいります。
公正・公平で迅速かつ透明性の高い経営を実践するため、コーポレート・ガバナンスの強化に引き続き取り組むとともに、株主の皆さまやその他のステークホルダーとの対話の強化を図るため、IR活動にも積極的に取り組んでまいります。
これらの基本方針、基本戦略に基づき、2024年5月期は、売上高170億円、営業利益14億円、ROS8%・ROE8%を目指します。
また、中長期的には売上高200億円、ROS10%・ROE10%を目指します。
※数値目標は収益認識会計基準等の適用前の数値です。
(2)経営環境及び対処すべき課題
経済社会活動の正常化に向けた動きが期待されるものの、新型コロナウイルス感染症の感染者の増加、エネルギー価格・資源価格の高騰、円安ドル高の進行、国内物価の上昇及び個人消費の落ち込み懸念等、経済の先行きの不透明感は一層高まっております。
当社グループは「中期経営計画2024(Leap into the Innovation)」に掲げる「『紙と不織布』の技術力を基盤とした『価値創造企業』への飛躍」を実現すべく、当社グループ一丸となって取り組んでまいります。
2023年5月期における取組みの骨子は以下のとおりです。
①製造機能の拡充
小津グループが目指す事業像の根幹と位置付け、高付加価値製品の開発・拡販および、一層の生産性向上を推進してまいります。
②外部環境変化への迅速な対応
原材料価格、物流コストの高騰等、先行きの不透明感が増すなか、収益確保に向け、迅速かつ的確な対応を推進してまいります。
③新製品・新商品の開発、新規事業の探索
次世代の核となる事業の構築を目指し、取組みを加速してまいります。
各事業分野における2023年5月期の取組み事項は以下のとおりです。
エレクトロニクス分野におきましては、需要増が見込まれる、高速データ通信用デバイス、車載用電子部品、リチウムイオンバッテリー、再生医療分野等での拡販を図ります。また、海外展開の強化にも取り組みます。メディカル分野におきましては、お客さまニーズを的確・迅速に捉え、商品ラインナップを拡充し、売上の増強と新規販売先の開拓を推進してまいります。コスメティック分野におきましては、インバウンド需要の急速な回復は期待できないものの、株式会社ディプロの製造機能も活用し、新事業・新商品の創造に注力し、国内外において売上の増強と新規販売先の開拓を図ってまいります。除染関連分野におきましては、電力会社等への提案活動を従来以上に強化するとともに、産学連携による用途開発を進めてまいります。
株式会社ディプロにおきましては、独自ブランド商品「ケアウィル」の拡販を推進してまいります。また、製造機能の活用・拡充を図り高機能商品の開発を進めるとともに、生産性向上策等にも積極的に取り組み、品質の向上と原価低減の実現を図ってまいります。
日本プラントシーダー株式会社におきましては、天候不順、自然災害等の影響が懸念されるものの、シーダーテープ対象作物の拡大と拡販に注力してまいります。また、拠点の統廃合を実施し、営業戦力の再配置と合理化を推進してまいります。
除菌関連事業を営むエンビロテックジャパン株式会社におきましては、食品殺菌用途および、畜産分野の防疫対策用途として過酢酸製剤の販促活動を積極的に行うとともに、小津グループ各社との連携を一層強化し、販路の拡大に注力してまいります。
当社を取り巻く環境は厳しいものの、中期経営計画で掲げる目標を実現すべく、営業活動の強化、海外展開への取組み強化、新規事業の探索、新製品・新商品の開発のため、戦略的に予算を充当してまいります。
今後も当社グループは、経営環境の変化に迅速に対応しつつ、中長期的な経営戦略に基づき経営資源の最適な配分を行い、企業価値の向上に全力で邁進するとともに、社会環境や安全性に十分配慮し、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
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