課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 企業理念と経営ビジョン

 当社は、企業理念として「Growing Together」を掲げ、共存共栄の思想を原点に、当社のステークホルダー(株主、お客様、社員、パートナー、社会)と共に、成長し続けることを目指しております。

 また、当社は、1994年の創業以来、「自動車の流通革命」を起こすことをビジョンとして掲げ、業界の変革を志向しております。自動車流通という循環型経済の一端を担うことが当社の社会的な存在価値と認識し、日本及び海外で事業を拡大させ、自動車の流通革命というビジョン実現に向けて邁進しております。

 

(2) 経営環境

 日本における中古車の小売市場規模は約3.7兆円(※1)、中古車の年間流通台数は約262万台(※1)と推計され、当社を取り巻く市場は大変大きな規模であります。こうしたなかで、業界最大手である当社にあってもその市場シェアは5%程度(※2)と推計されます。今後、当社が更に市場シェアを拡大する余地は大きいものと考えています。

 また、日本の自動車市場における中古車と新車の比率は、米国は中古車の方が高いのに対し、新車の方が高い現状にあります。一般論として、昨今は消費者の中古品への抵抗感が薄くなってきています。こうしたトレンドの変化は、自動車業界においても例外ではありません。当社では、中古車への抵抗感が薄くなり、また、流通取引の透明化が進むことで、長期的に観て、日本においても米国と同様に、中古車の比率の方が高い状況になる可能性は十分にあり得ると考えています。つまり、日本の中古車の小売市場規模は更に拡大する可能性があり得ると考えています。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ①成長戦略

  1.大型店の新規出店

   店舗展開については、近年は資本効率を重視し店舗網の再構築を進めてきました。今後は、「ガリバー」のブランド力による集客力や蓄積されたノウハウを武器に、大型店の新規出店を進めていきます。大型店の出店ペースは、資本効率を見極めながら段階的に加速していく方針です。

 

  2.整備工場の展開

   当社では、顧客との取引循環サイクルを拡大させ、リピート顧客化し生涯顧客として囲い込みをしていくことを狙い、整備工場の展開を進めていきます。

   日本における自動車整備の市場規模は約5.4兆円(※1)と推計され、中古車の市場規模と並び大変大きな規模であります。また、当社としては、内製化によるコスト効率を高めることが可能などのメリットがあります。ビジネスチャンスは大きく、成功確率は高い事業であると考え、拠点の拡大を進めていきます。

 

  3.既存事業展開における改善の取り組み

   当社では、従前より、出店エリアの戦略的判断、インターネットによる集客の効率化、在庫管理の徹底などを経営課題と捉え、近年はその改善に取り組んできました。これらに関連する課題に対しては、引き続き、改善策を講じてまいります。

 

  4.新たな事業の展開

   中古車の小売ビジネスに限らず、車のフリマアプリ「Gulliver フリマ」、月額定額サービス「NOREL(ノレル)」、個人間カーシェア「GO2GO」などの新たなサービスの立ち上げを行っております。

   また、将来的には日本に留まらず海外での事業拡大を見据え、その足がかりとして豪州や米国を中心にグローバル展開を行っております。

 

 ②経営課題

  1.事業拡大への対応

   当社では、事業拡大に対応するための人材教育の強化や、多様化する消費者のニーズに応えるサービス開発力の強化やマーケティング活動の進化を図っていく必要があると考えています。これらの取り組みを有効かつ効率的に実現させるために、人材教育体制の整備、専門性のある人材の採用、新しいIT技術を取り入れたIT投資も積極的に行っていきます。

 

  2.自動車業界の変化への対応

   排ガス規制の強化や、自動車のEV(電気自動車)化といった自動車業界における規制や商品の変化が進んでいます。EVなどの新技術が市場に浸透するためにも、中古車の循環は重要だと認識しています。これらの変化を事業のリスクと機会を捉えた経営判断を行っていく必要があると考えています。

 

  3.新型コロナウイルス感染症の拡大への対応

   新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う政府や地方自治体による外出自粛要請によっては、一時的に来店客数が減少することがあります。また、当面は、景気の先行きの不透明さは続くことが想定されます。一方では、コロナ渦において自動車の活用が促進されれば、中古車業界には追い風の面もあり、これらの経営環境の変化を的確に捉えた上で、経営判断・事業展開を行ってまいります。

 

  4.コーポレート・ガバナンスの強化

   上記の事業拡大や環境変化に対応するために、実効性の高い経営体制・業務執行体制や経営意思決定プロセスを構築するなど、コーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。

 

  ※1 出所:矢野経済研究所「2018年 自動車アフターマーケット総覧」

  ※2 2022年2月期 当社直営店小売台数を、上記の年間流通台数262万台で除して計算

 

(4) 中長期的な経営方針と重視する経営指標

 当社は、従来の中古車の買取と卸売(中古車業者向け)を中心とするビジネスから、中古車の小売(一般消費者向け)を中心とするビジネスへ転換を図ってきました。現在、小売ビジネスを中心とするなかで、引き続き、店舗出店や在庫投資を行いながら事業拡大を図ってまいります。

 上記の内容を推し進めるうえで、当社は経営指標として、営業利益(着実な増益)、ROIC(資本コストを意識した水準)、フリー・キャッシュ・フロー(中長期的な拡大)を特に重視しております。

 

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