当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、前年に引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴う経済活動の制限により、企業収益及び個人消費の悪化など厳しい状況が続いております。一部で持ち直しの動きがみられるものの、当該感染症再拡大の影響により本格的な回復には至っておらず、依然として先行き不透明な状況にあります。
外食産業におきましても、政府・自治体からの緊急事態宣言、まん延防止等重点措置や各種要請等を受け、営業時間の短縮や酒類の提供禁止などにより非常に厳しい状況となりました。当該感染症の影響により、店内飲食が減少する一方で、人との接触機会の少ないテイクアウトやデリバリーサービスが増加するなど、消費者のライフスタイル・消費行動が変化しております。また、インバウンド需要の低迷は続いており、回復の目途が立たない状況にあります。
一方で、米国では大型経済対策などから内需が伸び、また、レストラン営業規制の緩和、解除が進み、経営環境は急速に改善しております。
こうした中、当社グループは、財務健全化を第一に捉え、中小企業向けの制度を活用し新たな融資を実行したほか、コストの見直しなどを行い収益性の改善に取り組みました。また、商品・サービス及び空間の品質向上を継続するとともに、厳しい状況下でも持続的な成長を可能とするために、海外にフランチャイズ店を2店舗(「権八 ドバイ」、「権八 上海」)出店し、8月には愛知県名古屋市の商業施設「RAYARD Hisaya-odori Park」内に「タコファナティコ」と「ラ・ボエム パスタフレスカ」の2店舗、10月には名古屋市の商業施設「イオンモール Nagoya Noritake Garden」内に「ラ・ボエム パスタフレスカ」をオープンしました。その一方で、5月には契約期間満了のため「モンスーンカフェ たまプラーザ」を閉店いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、95億73百万円(前年同期比68.9%増)となり、当連結会計年度末の総店舗数は45店舗となりました。
報告セグメントについては、当社グループはレストラン経営を主とする飲食事業という単一セグメントでありますので、記載を省略しております。
売上高をコンセプト(営業形態)別にみると、「ラ・ボエム」は26億20百万円(前年同期比66.7%増)、「ゼスト」は1億59百万円(同7.3%増)、「モンスーンカフェ」は17億40百万円(同14.5%増)、「権八」は21億7百万円(同83.7%増)、「ディナーレストラン」は16億1百万円(同137.3%増)、「フードコロシアム」は1億25百万円(同1.0%増)、「その他」は12億18百万円(同153.1%増)となりました。
また、損益につきましては、営業利益7億27百万円(前連結会計年度は営業損失11億75百万円)、経常利益10億66百万円(前連結会計年度は経常損失11億2百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益10億46百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失15億9百万円)となりました。
財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて17億50百万円増加して、76億85百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比較して15億94百万円増加し、24億75百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が15億29百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比較して1億56百万円増加し、52億9百万円となりました。主な変動要因は、有形固定資産が新規出店、改装等による増加や、減損損失及び減価償却等により純額で1億51百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計額は、前連結会計年度末に比べて5億63百万円増加して、45億41百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比較して62百万円減少し、22億29百万円となりました。
固定負債は、前連結会計年度末と比較して6億25百万円増加し、23億12百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金が6億21百万円増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して11億87百万円増加し、31億43百万円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して8.0ポイント上昇して40.8%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して15億29百万円増加し、18億50百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益10億72百万円、減価償却費1億83百万円、減損損失1億42百万円などにより、営業活動の結果得られた資金は、14億17百万円(前年同期は3億5百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出3億14百万円、資産除去債務の履行による支出43百万円、差入保証金の回収による収入1億35百万円などにより、投資活動の結果使用した資金は、2億48百万円(前年同期は5億9百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純減5億21百万円、長期借入れによる収入11億32百万円、長期借入金の返済による支出2億50百万円などにより、財務活動の結果得られた資金は、3億55百万円(前年同期は8億20百万円の収入)となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、下記のとおりであります。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年12月期の期首から適用しており、2018年12月期以前に係るキャッシュ・フロー関連指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっております。
5.2020年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
当社グループは、店舗に来店した顧客の注文に基づき飲食物を提供する飲食事業を営んでいるため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。
(注) 1. 上記金額に消費税等は含まれておりません。
2. その他に含まれるバンケット部門、デザート製造部門及びフランチャイズ部門は店舗数に数えておりません。
3. 上記店舗数は、連結会計年度末現在の店舗数であります。
(注) 1. 上記金額に消費税等は含まれておりません。
2. 東京都に含まれるバンケット部門、デザート製造部門及びフランチャイズ部門は店舗数に数えておりません。
3. 上記店舗数は、連結会計年度末現在の店舗数であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
当期における国内の外食産業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に伴い、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、休業・営業時間短縮、酒類提供の制限・中止といった経済活動が大きく制限される要請を受け、極めて厳しい事業環境が続きました。当社は前連結会計年度から当連結会計年度の第3四半期連結会計期間まで「継続企業の前提に関する事項の注記(GC注記)」を付した状態が続いており、会社の存続と従業員の雇用を守るため、同感染症についての情報収集に努めるとともに、金融機関をはじめとする取引先・関係先への事情説明等を経た結果、商業施設を除く店舗においては通常営業を貫くことを決断致しました。新型インフルエンザ等特別措置法第45条に関する東京都からの営業時間短縮の命令に一度は従ったものの、当社はその命令には違法性があると捉え東京都を提訴するに至り、以降通常営業を継続しております。結果として、お客様をはじめステークホルダーの皆様に支えられ、国内既存店売上高はコロナ前の2019年度実績を超えました。全店売上高では、インバウンド需要が消滅した権八や商業施設店舗の大幅売上減少並びに大型店の閉店による影響を他の店舗の総力によって補うかたちとなり、愛知県名古屋市への3店舗を新規出店したことから、2019年度比で12.6%減と健闘しました。その結果、国内売上高は前年比52.0%増の79億66百万円、不採算店閉鎖効果も重なり営業利益は5億93百万円、営業時間短縮等による協力金収入2億35百万円を計上したことから経常利益は8億22百万円となり、商業施設内店舗の不振による減損損失計上により当期純利益は6億68百万円と、3期ぶりの増収増益となりました。
米国では、店内営業の全面禁止や使用率制限が設けられるなど、日本以上に厳しい経営環境でありましたが、大型経済対策などから内需が伸び、急速に経営環境が改善に向かいました。そのような中、子会社においては、返済免除措置のあるPPPローン(中小企業向け給与保護プログラム;Paycheck Protection Program)や税額控除など米国政府の手厚い支援プログラムが活用でき経営が安定したこと、また自治体から屋外営業の一時許可を取り付けて実現したアウトドアダイニング(駐車場や店舗前の歩行者通路を大胆かつ快適なダイニング空間に変身)とエンターテインメントの提供が当期も引き続きお客様に好評だった結果、売上高は前年比238.8%増、コロナ前の2019年度比でも209.9%増の16億6百万円と大幅な増収を実現し、営業利益は1億33百万円、営業外収益に従業員雇用継続税額控除による受取還付金90百万円を計上したことから経常利益は2億43百万円、当期純利益はPPPローン返済免除益1億48百万円の特別利益計上により3億77百万円と、近年続いた赤字経営から黒字転換を実現致しました。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上高は前年比68.9%増の95億73百万円、営業利益7億27百万円(前年は△11億75百万円)、経常利益10億66百万円(前年は△11億2百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益10億46百万円(前年は△15億9百万円)となりました。
目標とする経営指標につきましては、当連結会計年度は経済支援対策などの特殊事情も加わった大幅な業績改善により、ROA(総資産経常利益率)15.7%(目標10%)、ROE(株主資本当期純利益率)41.2%(目標5%)となりました。また、既存店売上高の前年比は80.5%の増収となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料費、人件費及び店舗支払家賃等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店及び既存店の改装等であります。
従いまして、運転資金と設備投資資金については営業キャッシュ・フローで充当するとともに、必要に応じて金融機関等からの借入れによる資金調達を実施し充当しております。また資金調達においては、安定的な経営を続けるために必要な流動性を確保しながら金融情勢を勘案し、長期資金を中心とした安定資金を重点的に調達しております。
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